1995.1 Vol.13  発行 1995年1月27日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel. 0263-78-5002


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欠陥自動車による事故/原因究明の機関技術評価部設置/PL法に備え運輸省
「住宅部品PLセンター」5日から活動開始/ベターリビング
医薬品の「使用上の注意」/厚生省見直しへ
資生堂のスプレーで缶の破裂事故が続発/4商品を回収へ
乳幼児のたばこ誤飲多発/厚生省、93年度まとめ
ベンツ車炎上事故で輸入業者などを提訴/東京の舞踏家
返品スプレーを再出荷/社名直し 3人中毒
ノート型パソコン/首や肩の血行障害の原因に
パソコンから情報漏れていた/郵政省の検証試験で判明
環境訴訟、米で続発/日本企業にも罰金
オゾン破壊係数ゼロ/米キヤリア エアコンに採用
ISO9000審査/海事協など3機関追加

12月の新聞記事より

■欠陥自動車による事故/原因究明の機関技術評価部設置/PL法に備え運輸省

 運輸省は24日、95年7月から製造物責任(PL)法が施行されるのに伴い、消費者に代わって自動車事故の原因を究明する機関として同省交通安全公害研究所に自動車技術評価部を新設する、と発表した。来年度予算の組織・定員要求で認められた。
 新設される部は消費者の欠陥立証負担を軽減するため、自動車事故の原因調査を実施する。

 最近の車は、コンピューター制御を始め電子化された部分が多くなっており、欠陥原因の特定には専門家の力が必要です。公的な機関による原因調査は、消費者に期待されるところですが、手続き上のわずらわしさがないようにして欲しいものです。

■「住宅部品PLセンター」5日から活動開始/ベターリビング

 ベターリビング(理事長北畠照躬氏)は95年1月5日から「住宅部品PLセンター」による調停を本格的に開始する。これに先立ち、古川修京大名誉教授を委員長とする紛争審査委員14人を選定したほか、「90日以内で調停完了」、「原因究明のための諸経費は原則無料」などの紛争処理業務の原則ルールを定めた。
 住宅部品PLセンターは民間初の住宅部品に関する裁判外紛争処理機関(ADR)として9月1日に設立され、これまではフリーダイヤルによる相談、あっせんを行ってきた。今後もフリーダイヤルで受け付けた住宅部品の欠陥による危害情報はできる限り公開する。

 住宅部品の欠陥や不具合は、施行業者を通して要望するのが普通です。したがって業者によっては納得にのいく回答が得られないこともありトラブルの原因でもありました。
 今後のベターリビングの活動は期待されますが、住宅業界の情報(パンフレット、広告、営業マンの説明等)にも案内をするなど、消費者への周知を図ることも必要でしょう。

■医薬品の「使用上の注意」/厚生省見直しへ

 厚生省は24日までに、医療用医薬品の添付文書である「使用上の注意」の様式や内容などを抜本的に見直すことを決めた。また、臨床試験(治験)での薬効評価の方法などについても併せて改善策を打ち出す方針。
 厚生省は「使用上の注意」の改善に関しては、学識経験者らによる「医薬品添付文書の見直し等に関する研究班」を設置し、今後2年間にわたりどうすれば「医師に読まれやすい」文書になるかを検討。その結果を踏まえて具体的な改善策を固める。

 「医師に対する注意書きが十分に読まれていなかった」というので改善を進めるようですが、少々疑問も残ります。
 医師自らが薬害についての正確な情報を求める行動は、今まで十分に行われていたのでしょうか。注意書きが読みやすいかどうかの問題だけではないと思われますが…。
 ただ、このような動きがきっかけとなり医師の勉強不足が是正され、またモラルの向上も図られるかも知れません。

■資生堂のスプレーで缶の破裂事故が続発/4商品を回収へ

 資生堂は12日、1990年までに生産を打ち切ったフロンガス使用のヘアスプレー4商品を回収する、と発表した。うち2商品は、破裂したり底が抜けたりしたためで、そのほかは製造方法が類似しているため、と説明している。破裂などでけが人は出ていないという。
 問題のヘアスプレーは、90年4月に生産を終了した「スーパーハード・アンセンティド」の270g人りと87年4月生産終了の「バスボン・トリートメントヘアスプレー・ユーキャン」(250g入リ)。アンセンティドは約760万個製造したうちこれまでに9件、バスボンは54万個のうち3件の破裂事故などがあったという。
 このほか、アンセンティドの50g入りと「バスボン・トリートメントヘアスタイリングスプレー・ユーキャン」(250g入リ)は、事故はないが安全を考えて回収することにした。
 資生堂によると、いずれもフロンガスを使用しているため、製造後約10年たつと、缶の内部が腐り破裂したり底が抜けて中身が飛び散ったりするという。
 アンセンティドは、フロンガスを使用していない現在生産販売している商品も外装がほとんど同じで、裏面に「微燃性」と表示してあるのが回収品。
 回収は13日からで、全国紙や地方紙などに告知広告を出すとともに、問い合わせのためのフリーダイヤル(0120-187-110)を同日設置する。

 今回、回収の対象となったスプレー缶は、缶の側面部と底部が一体化したものではなくつなぎ合わせたものだということです。
 フロンが缶内部の腐食を促進することと、缶の構造的なことが重なり破裂事故に結びついたようです。

■乳幼児のたばこ誤飲多発/厚生省、93年度まとめ

 乳幼児が誤って異物を飲み込む事故が相変わらず多いことが30日、厚生省がまとめた93年度の「家庭用品にかかわる健康被害病院モニター報告」でわかった。
 調査は79年度から実施しており、93年度は小児科、皮膚科それぞれ6病院から報告のあった事故や健康被害をまとめた。報告件数は小児科が前年度より41件多い452件、皮膚科が104件少ない190件だった。
 小児科で最も多いのはたばこの誤飲事故で、前年度より3件多い225件と全体の半数を占めた。この状況はここ数年続いている。生後6〜11カ月の乳児によるものが7割強を占め、保護者が近くにいながら事故が起きたケースも多かったという。中には飲料の空き缶を灰皿代わりにし、そうとは知らない子供がその中の液を飲んでしまった事例もあった。
 たばこに次いで「医薬品・医薬部外品の誤飲が5件増えて77件だったほか、体温計をいじって壊し水銀を飲んでしまうなど「体温計」にまつわる事故も前年度から8件増え14件となった。
 「食品」を飲み込んでのどを詰まらせた事故は同1件増えて13件発生、昨年8月には東京都内の男児(1歳)が「柿の種」6粒とピーナツ1粒を食べたところ気道につまり、死亡する事故もあった。同省は「ピーナツなどは乳幼児の気道に入りやすい大きさ、形なので、保護者は十分注意する必要がある」としている。

■ベンツ車炎上事故で輸入業者などを提訴/東京の舞踏家

 独メルセデス・ベンツ社製の乗用車が走行中に炎上したのは、部品に不具合があったのが原因で輸入業者などに事故の責任があるとして、東京都渋谷区の舞踏家、小沢昭吾さん(64)がメルセデス・ベンツ日本(東京都港区)など3社を相手に1050万円の損害賠償を求める訴訟を22日、東京地裁に起こす。
 訴えによると、小沢さんは91年7月にベンツ560SEを購入。93年9月17日、新宿区内を運転中、車のエンジンルームから発火、炎上し、小沢さんは逃げ出して無事だったが車は全焼した。小沢さん側は「ガソリンを供給するパイプか、パイプの取り付け部分に不良があり、ベンツ日本などは安全な車を輸入販売する義務を怠った」と主張している。
 【メルセデス・ベンツ日本の話】現時点ではコメントを遠慮させて頂きたい。

 1年以上前の事故ですが、原因の特定がある程度できたので提訴したようです。PL法施行を前に車の安全性に対する関心も高くなり、その成り行きが注目されます。

■返品スプレーを再出荷/社名直し 3人中毒

 防水スプレーで死者1人を含む多数の中毒者が相次いでいる問題で、スプレーメーカーのスズカファイン(本社三重県四日市市)が、販売会社2社から「事故頻度が高い」として返品された約5万8540本に、自社名のシールを張り直して再出荷していたことが、16日までに厚生省に入った連絡で分かった。
 再出荷した製品で3人が呼吸困難の中毒症状を起こし、うち2人が入院する事故につながっており、厚生省の指示を受けた三重県は同社の立ち入り調査を実施、同省も近く厳重注意する方針。
 問題の製品はスズカファインが製造し、発売元のジャパーナ(本社名古屋市)が「パーサーライン(白キャップ)」、カーメイト(本社東京)が「いいウエアを持っている人の防水スプレー」の商品名でそれぞれ販売していた。
 厚生省によると、平成5年12月から年明けにかけて販売されたが、中毒症状を起こす人が続いたため両社が返品。
 スズカファインはスプレー缶の下部にある販売会社名の上に自社名のシールを張り、5月から10月にかけて「パーサーライン」約5万6540本をクリーニング店向けに、また4月下旬には[いいウエア」約2000本を市販用として再出荷したという。

 このような悪質な会社があるのですね…。
 取引のある企業にとってはPLを配慮し、「自社のリスクを増大させる取引先」との認識を持つべきでしょう。
 そのような企業間取引などの動きが出てくれば、消費者や社会全体の利益が図られ、PL法の目的でもある「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」になるでしょう。

■ノート型パソコン/首や肩の血行障害の原因に

 オフィスなどで急速に普及しているノート型パソコンは使用者の姿勢を拘束し、首や肩の血行障害を引き起こしやすいことが、愛知みずほ大学の斎藤真講師らの研究で分かった。首を傾けたり目を近づけて使うことが多いためでデスクトップ(据え置き型)パソコンよりも体への負担が大きいという。「画面の位置を調整できるようにするなど製品の改良が望ましい」と斎藤講師は話している。
 実験は標準的な液晶画面付きノート型パソコンと、据え置き型のCRTディスプレー(14インチ型)を使用。パソコン作業に慣れた4人の大学生に30分間仕事をしてもらい、作業姿勢や筋電図などを調べた。
 その結果、ノート型を使うと首の付け根にある「僧帽筋」や肩の「三角筋」の緊張が増し、据え置き型に比べて筋電図の振れが2〜3倍に高まった。さらに据え置き型では筋肉が緊張と弛緩(しかん)を繰り返すのに対し、ノート型では緊張状態がずっと続くことが分かった。
 その原因とみられるのが作業姿勢。ノート型では目と画面の距離が平均で33センチと、据え置き型よりも6センチ近付く。またいすに普通に座るのに比べて頭部の「前傾姿勢」が深まり、作業が長時間続いてもこの姿勢はほとんど変わらないという。

 ノート型パソコンはどこにでも携帯でき、ラップトップと称して椅子に座った状態の足(腿)の上でキー入力することもあります。この場合の入力はデスクトップ型より楽なのですが、頭部の前傾姿勢はさらに増してしまいます。適度の休憩や姿勢への注意など、作業者による作業環境改善の意識が必要になります。

■パソコンから情報漏れていた/郵政省の検証試験で判明

情報通信機器の電波放射(漏れ)による情報盗聴が可能なことが、郵政省の調査研究会が15日までにまとめた検証試験結果で明らかになった。検証試験は両省として初めて実施したもので、市販のアンテナや受信機を利用しても幅広い受信帯域でパソコン情報をキャッチできることが確認されたという。また盗聴の要因となる電波漏れはパソコン本体からが著しいことも判明したとしている。今後、同省ではファクシミリなどでの電波漏れについても実態調査するとともに、95年3月をめどに防護技術の開発、予防措置のガイドライン策定に乗り出す方針だ。
 検証試験は、郵政省が非公開で10月に新設した「通信端末機器などの情報漏洩(えい)に関する調査研究会」が今月初旬に無線設備検査検定協会(MKK)の電波無反射室で実施した。国内で広く普及しているNECの「PC-9801」など2機種を試験対象とし、アンテナ、受信機は市販もされている機器を使ったという。ただ電波漏れによる情報を再生する機器には、一般的に入手できるものの、高価な水平・垂直同期用計測器を使用して検証試験を行った。

■環境訴訟、米で続発/日本企業にも罰金

 田辺製薬、協和発酵、日本ぺイント、蝶理、味の素、コニカ−−。米環境保護局(EPA)が昨年、今年と米有害物質管理法違反で起訴した日本企業の一覧だ。同法は4年に一度、業種ごとに化学物質の量、保管方法などのEPAへの報告を義務付けている。いずれの社も米国法人がその義務を怠ったとして、罰金を科せられた。
 「現地法人が報告の締め切り期限に気付かなかったようだ。罰金は経営に影響を与えるほどの額ではない」(コニカ)。

■オゾン破壊係数ゼロ/米キヤリア エアコンに採用

 業界筋によると、大手空調機器メーカーである米キヤリア(コネティカット州)は、大手メーカーとして初めて、オゾン破壊係数がゼロの3種混合冷媒を使用した業務用エアコンシリーズの商業化にこぎつけたことを明らかにした。
 今回、キヤリアが商業化した空調機器はHFC134aを52%、それに可燃物質ではあるがHFC32が23%、さらに性能が悪いものの、不燃性補完のためのHFC125を25%混合した冷媒を用いた、出力14〜30キロワットタイプの業務用エアコン。同3種混合冷媒は欧州の中小企業や、大手ユーザーがスポット的に導入した実績はあるが、今回のように世界的に大きな影響力のある空調機器メーカーがシリーズでの生産を開始したのは初めて。

 HCFC22と同等かあるいはそれ以上の性能が期待される3種混合冷媒の使用が本格的に始まり、今後各社の追従が期待されます。
 このように今後のオゾン層対策は進行していますが、現在冷媒用で使用されているフロンの効率的回収はなかなか進まず問題となっているようです。
 そんな折、オゾン層対策産業協議会(東京都文京区本郷2-40-17、TEL 03-5689-7981)が「冷媒フロン回収マニュアル」を作成したので、関係者にとっては良い参考になるかも知れません。販売価格は一冊3000円とのことです。

■ISO9000審査/海事協など3機関追加

 日本品質システム審査登録認定協会(JAB、理事長飯田庸太郎氏/三菱重工業会長)は7日、品質管理・保証の国際規格である「ISO9000シリーズ」の審査登録機関として、新たに日本海事協会、日本海事検定キューエイ、高圧ガス保安協会品質保証審査センターの3機関を認定したと発表した。これによりJABが認定した審査登録機関は7機関になった。JABは93年11月に設立されたISO9000シリーズに関する品質システムの日本唯ーの認定機関。これまでに日本規格協会品質システム審査登録センターなど4機関を審査登録機関として、テクノファを審査員研修機関として認定しており、現在までに約500人の審査員が登録されている。

終わりに

 乳幼児の誤飲事故ではあいかわらずたばこが多いのですが、そろそろたばこが社会に与える経済的損失について議論する時期なのかも知れません。
 火災、死亡率の増加、ごみの回収作業、煙や臭いを除去する作業、非喫煙者の健康や精神的苦痛等、失う財産、生命、自然環境、エネルギーなどが果たして国民の合意の得られるものなのかと…。


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