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2004.11 No.131  発行 2004年11月12日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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10月のニュースから

■携帯ハンズフリーでも危険?/事故件数、実験結果など

 大同工業大学の鈴木桂輔助教授の実験で、ハンズフリー装置でも安全運転に悪影響を与える恐れがあることが分かり、23日に名古屋市で開かれる日本人間工学会東海支部で発表することになりました。

  実験は、運転中に前方で無作為に光る電球に気づいたら、ハンドルに設置されたボタンを押す、との設定で20〜50代の男女計24人が車の運転を疑似体験できる「ドライビングシミュレータ」に乗り込み、携帯電話を使った場合、使わない場合、ハンズフリー装置を使った場合、の3パターンで行ったものです。


 電球は前方180度の視界に12本取り付けていましたが、実験では視界が端になるほど携帯電話、ハンズフリーの使用時のボタンを押す反応速度が遅れました。左右90度の視界では、携帯電話を使った場合は使わない場合より約2.2倍、ハンズフリーでも1.7倍程度遅れたといいます。

 さて車の運転者が携帯電話を「ハンズフリー」状態で使用して起こした人身事故が、長野県では今年1〜8月末で26件に上り、携帯電話を手にして使用して起こした事故の件数(20件)を上回っていることが9月29日、長野県警のまとめで分かっています。

 県警交通企画課は、今年から携帯電話使用中の事故について「ハンズフリー」の項目を設けて統計を取り始めましたが、それによると8月末までに携帯電話を持って使用していたときの事故は、電話をかけるための操作中が3件、かかってきた電話を受ける操作中が3件、相手と通話中が6件、電子メールの操作などその他が8件の計20件でした。

 ハンズフリーの場合は動作別に分類されていませんが、同期間で6件の事故が発生していることから、同課では「はっきりした因果関係は分からないが、ハンズフリーでも危険があることを示している」としています。

 また英国の保険会社の実験では、ハンズフリーでの携帯電話の通話時は、酒気帯時よりも速度や前方車輌との距離を一定に保つことが困難になり、多くの警告標識を無視した、との結果も出ているといいます。

 ところで今回の長野県警の統計について警視庁は、「詳細が分からないのでコメントできない。運転中のハンズフリーを認めないとすれば、運転手が同乗者と話をすることも認めないということになってしまう」(広報室)と述べていますが、電話と同乗者との会話を同じ性格のものと考えているようです。

 一般に電話、というのはかかってきたら出なければならない、そして話し中には聞き漏らさないよう神経を集中するものです。警視庁は、車内での同乗者とのいわゆる“上の空”での会話とは根本的に違うことを理解していないようです。
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ウコンで症状悪化1人死亡/健康食品、肝障害18人発症

 肝臓の働きを高めるとされるウコンを粉末にした健康食品の摂取がきっかけとなって、東京都内に住む肝硬変の60代女性の症状が悪化し死亡していたことが、18日分かりました。情報は、東京逓信病院が同病院の患者を対象に実施した調査からで、このケースを含めて1996年以降、18人がウコンなどの健康食品との因果関係が疑われる肝障害を発症しています。厚生労働省研究班の調査でも、比較的安全性が高いとされているウコンによる肝障害が相次いでいることから、同省は対応の検討を始めました。

 同病院消化器内科の橋本直明部長は、「原因は不明だが、代謝物質が肝臓に負担をかけたり、アレルギー反応を起こしたりした可能性がある。また摂取開始で気がゆるみ生活習慣が乱れたことも考えられる」と言っています。

 今回死亡した女性は肝硬変で同病院を受診、状態は安定していたのですが、2001年に医師に告げずに百貨店で購入した粉末ウコンを毎日スプーン一杯飲み始めたようです。ところが約2週間後に症状が悪化、入院したものの腹水がたまり約3カ月後に死亡してしまいました。ほかにもB型やC型の慢性肝炎患者6人が肝機能悪化で入院するなど、計11人がウコン摂取後に肝障害を発症しています。肝障害を発症した18人のうち14人は、もともと肝臓に疾患があった人で、「肝臓に効く」とされるウコンを多量に飲んだことが原因のようです。日本では国による健康食品の安全性の検証が不十分で適量指針もないことから、販売者や購入者独自の服用基準が危険を増加させているようです。米食品医薬品局(FDA)の指針などを参考にすべきでしょう。

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原因不明の急性脳症相次ぐ/スギヒラタケ原因?

 キノコのシーズンですが、スギヒラタケを食べた人たちに、原因不明の急性脳炎・脳症になる例が相次いでいます。30日までの発症者は新潟、秋田など8県で計48人、うち死者は13人にも上っています。

 厚生労働相厚生科学課によると、発症者の大半は腎機能障害のある50代以上の中高年者で、脳炎・脳症を起こすウイルスや細菌は見つからず、ほとんどの人がスギヒラタケを食べていたといいます。

 江口文陽・高崎健康福祉大学教授(キノコ学)は、スギヒラタケが原因となる可能性として

  1. キノコ成分の変異
  2. カビや微生物の付着
化学物質や重金属の含有 などを挙げています。また、この秋は相次ぐ台風で降雨量が多かったことに注目し「多量の水を含み、異物の付着や取り込みが起こりやすかったかもしれない」と述べています。

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リス捕獲でペスト、8人死亡/中国

 28日付の中国各紙によると、青海省衛生庁は27日、同省内で10月上旬に計19人がペストに感染、うち8人が死亡、残りの11人は治癒したと発表しました。

  ペストが発生したのは、同省の西寧市郊外や玉樹チベット族自治州など広い範囲で、感染者は主に農牧業に携わる住民とのことです。感染源が判明したケースは、すべてタルバガンというリスの一種を捕獲したり、我が国では考えられませんが生で食べたりして感染したといいます。同省衛生庁にペスト感染が報告されたのは10月4日から9日にかけてで、その後、感染地域を隔離封鎖して感染拡大は抑止されたということです。

 日本ではペスト根絶に成功、患者の発生は1926年以降出ていないこともあり、日常的には忘れられた感染症ですが、世界に目を向けると近年患者数は増加しているというのです。WHOの報告では、1991年を期にヒトペストは増加の一途をたどり、1997年には患者5,419(死者274 )で、1996 年の患者3,017(死者205)より大幅に増加しています。現在危険なペスト地域はアフリカ、東南アジア、中国、モンゴル、アラビアからカスピ海西北部、北米南西部、南米北西部などと多く、現在でも関心を持つべき感染症だと思います。

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健康なアヒルもウイルス運ぶ/鳥インフルエンザ、WHOが警告

 世界保健機構(WHO)は29日、アヒルは鳥インフルエンザのウイルスに感染しても健康な状態を保ち、長期間ウイルスをまき散らす恐れがあるという研究成果を発表しました。WHOと協力関係にある米研究機関がまとめた報告によると、今年ベトナムで発生した、感染力の強いH5N1型ウイルスをアヒルに感染させたところ、何の症状も示さないケースがほとんどだったといいます。

 感染したアヒルは呼吸や排せつ物を通じて17日以上もウイルスを排出し続けましたが、昨年のウイルスの場合は長くても10日にとどまったようです。1997年に発生したウイルスの場合は気温37度で2日しかもたず、鳥インフルエンザウイルスは高温に弱いとされていたものの、夏も感染が続いた今年のウイルスの場合は同じ 37度で6日間ももち、耐性が強まっていることがわかりました。

 WHOの集計では今年1月以来、タイとベトナムで計44人が鳥インフルエンザに感染し、32人が命を落としていますが、WHOはアヒルを家禽として身近で飼う習慣をもつアジアでは特に、アヒルを媒介とした感染への警戒が必要だと強調しています。

  1. アヒルを家に入れたりペットとするのは避ける
  2. 触ったら念入りに手を洗うB食べる場合は70度以上になってウイルスが死滅するまで10分加熱する

などの対策を勧めています。

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ジャム・ジュースの原料不適正表示/軽井沢、中山のジャム

 スウェーデンから輸入したブルーベリーとコケモモで製造したジャムやジュースを、浅間山麓の高原に自生する果実が原料と思わせるような表示で販売したとして、農林水産省関東農政局は29日、長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢の「中山のジャム」に対し、JAS法に基づき適正表示にするよう求める指示を出しました。

 同局は7月28日と8月20日、同社の軽井沢旧道銀座店を調査、2002年10月ごろから原材料のブルーベリーとコケモモを全量スウェーデンから輸入しながら、ジュースやジャムの容器に「浅間高原一帯に自生する貴重な果実」などと表示し、JAS法に基づく加工食品品質表示基準に違反しているのを確認しました。

 同社は「品質表示基準の知識を欠いていたため、古い表示をそのまま使っていた。お客さんに口頭で聞かれたときは、国産の原料ではないことを説明していたが、申し訳ないことをしてしまった」などと話しています。しかし品質表示基準の知識とは関係なく、「うその表示」をすることに対して何も感じなかったというのは明白でしょう。同社は地域のジャムやジュース産業の草分け的な存在でありながら、消費者や社会的責任のことを考えない業者なのでしょう。

 しかも軽井沢を紹介する物産のホームページでは、相変わらず「浅間ブルーベリーを 使った人気ナンバー1商品」、「フレッシュなコケモモを1つ1つ摘んで作りました」といった宣伝文句が並んでいて、報道を知らない人に浅間周辺で採れたものだと誤認させています。(11月24日現在、表現が変わり改善されましたが、ジャムのラベルの「アサマブルーべりー」は、相変わらず浅間近くで採れたという誤認の恐れがあります。また、「古き良き軽井沢を思い出させるルビー色の小さな果実」というコケモモのジャムの説明も、軽井沢とルビー色との関連性が希薄で、おそらく「軽井沢」の言葉を入れることで、近くで採れたと思わせているようです。)

 食品関係の業者の不正がニュースを賑わしていますが、今回のように罰則の適用もない注意程度の扱いでは、“本当”に反省する業者はほとんどいないのでしょう。表示という、消費者にとっては一番信頼できる情報であるべきものの取り扱い、特に消費者自らが品質の確認が出来ない食品などは、企業・業者に対し消費者が声をあげるべきでしょう。

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ISO9001認証の品質は/審査期間、資格取り消しも

 国際的な品質規格であるISO9001取得事業者が増えつつあり、歓迎できることですが、一方認証企業および認証機関の品質活動そのものに問題が出てきているようです。

 9月8日、日本のISO審査機関を認定する日本適合性認定協会(JAB)は、財団法人港湾空港建設技術サービスセンターの認定を取り消しました。同センターが建設会社など150社に発行したISO9001認定証は「紙切れ同然」となってしまいました。

 国土交通省が一部の公共工事の入札要件にISO9001の認証を導入したことから、中堅・中小の建設会社に取得ブームが起き、現在建設業のISO取得は全産業首位の30%を越えるという異常な状態です。そのため業界関係者からは「8割は認証さえとれればいい、という意識だった」と言っています。そこには「顧客のための品質向上」という精神はなく、認証機関も取得を希望する企業に対し「自分たちは認証取得のお手伝いをします」ということで、目こぼしがあるのでしょう。何といっても取得を希望する企業は、認証機関にとって大事なお客様ですから…。

 さて1992年以降、度重なるリコール隠しで事故を引き起こした三菱ふそうトラック・バスは、98年に生産部門でISOを取得しています。しかし認証が世論の批判などに配慮して事実上取り消されたのは今年8月だったことから、認証機関が行った同社の品質審査そのものの信頼性にも疑問が持たれます。同社を審査した日本ガス機器検査協会では、「昨年の定期審査では、設計の不具合で生産部門に問題はないと言う説明だった」と三菱ふそう側の言い分をそのまま受け入れていたというのですから困ったものです。同認証の限界、あるいは構造的な問題があるかもしれません。JABによる審査機構の立ち入り検査や、評価プログラムに問題はないのでしょうか。

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首位は加賀屋/日経アンケート、経営の参考にしたい旅館

 日本経済新聞社が全国の旅館経営者を対象に実施したアンケートで「経営の参考にしたい旅館」トップは、石川県七尾市の「加賀屋」で、2位は北海道阿寒町の「あかん遊久の里 鶴雅」となりました。収容人員1,000人を越す大型旅館でありながら団体客だけでなく、個人客の満足度を高める努力を続けている旅館がランキング上位を占めたようです。

 加賀屋は従業員教育に力を入れていること、子供を持つ女性従業員らが安心して働けるよう託児所付き社員寮を整備するなど、仕事に専念できる環境を整えていて、接客サービスでも全国の旅館経営者から高く評価されたものです。
鶴雅は個人客の比率向上を推進、宿泊客アンケートを毎日集計し満足度が一定点数に満たない部署を日々洗い出して改善している、というからすごいものです。鶴雅はまた、売り上げ高や利益など営業データを従業員に公開し全員参加の経営を目指しているのも特徴です。

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