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2004.12 No.132  発行 2004年12月18日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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11月のニュースから

■レトルトカレー756袋が未殺菌/丸大食品が自主回収

 丸大食品福島工場(福島県本宮町)がレトルトカレーの「ビーフカレー」756袋を殺菌しないまま出荷していたことが分かり、同社は16日、自主回収を始めました。出荷先は北海道から大分県までの29都道府県に及び、福島県は同日、食品衛生法に基づき同工場を立ち入り検査しました。
未殺菌のレトルトカレーが分かったのは、同社員が15日、出荷先の店頭でパックが膨張した製品を発見、殺菌漏れと分かったものです。この商品は雑菌により発酵して、開封すると悪臭がする可能性があるといいます。
加熱処理をしなかった製品を出荷した、というのは単純ミスのように思われがちですが、レトルト食品の工場で一番大事な行程である加熱殺菌をしないという間違いが、どのように起きたのか考える必要があります。工場を作ったときに加熱殺菌漏れのない手段を講じたはずですが、二重、三重のマネジメントシステムになっていなかったのでしょう。おそくら間違いが起きやすい“人”の管理上の問題があったと思われます。
同社の、品質マネージメントが信頼されないことから、しばらくは丸大の食品は買わないほうがいいでしょう。
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「イオンで農薬中和」で景表法違反/公取委2社に警告

 米を販売する際、科学的な根拠もないのに「マイナスイオンで農薬を中和した」などと表示したのは景品表示法違反(優良誤認)のおそれがあるとして、公正取引委員会は19日、「米の野田屋」(愛知県小坂井町)と「山田鶏卵」(山形県米沢市)の2社に警告しました。

  マイナスイオンを対象にした商品で公取委が景表法の警告を出すのは今回が初めてで、 公取委によると、米の野田屋は2000年12月から今年9月まで「イオンチャージ健康米」の商品名の精米を関東や関西、愛知県などで販売、包装袋やシールに「残留農薬をイオンで中和しています」「マイナスイオンの力で生まれた健康米です」などと表示していました。

  また山田鶏卵は1999年11月から今年2月まで「電子米」という商品名の精米を山形県と福島県のスーパーで販売。「お米に電子(イオン)を供給することで農薬や化学物質を中和することができます」と記載していました。

  しかし消費者もだまされやすいものです。テレビや雑誌など、企業・業者主導でメディアが誘導する健康志向の情報があふれる中、「身体によさそう」という客観性のない安易な根拠で商品選択する消費者の知識の低さには困ってしまいます。我が国の消費者レベルがこの程度では、このような悪徳業者の暗躍は続くのでしょう。

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スギヒラタケの毒性、腎機能正常でも危険

 スギヒラタケを食べた人に急性脳症の発症が相次いでいる問題で、厚生労働省は19日、腎機能に異常がない人もスギヒラタケの摂取を控えるように注意喚起することを決め、都道府県などの衛生主管局長宛てに通知しました。これは腎機能障害がなかった可能性のある人の死亡例が初めて確認されたためで、同省は「発症の原因が分かるまでは念のため食べないでほしい」としています。

  一方、スギヒラタケがマウスに対して致死性の毒性をもっていることが28日までに、静岡大農学部の河岸洋和教授(天然物化学)らのグループの研究で分かり、29日午後、厚生労働省の研究会で報告されました。

 河岸教授らは、多数の患者が発症している甲信地方のスギヒラタケを採取、マウスに与える実験を重ねたところ、「水に溶け、熱に強い高分子」の成分が、マウスに対して強い毒性を持つことを確認したものです。同教授は「環境の変化で今年のスギヒラタケが急に強う毒性を持った可能性が考えられる」と話しています。

 今回の実験により人体への影響や毒性物質が特定されたわけではないですが、ウイルスや細菌ではない、キノコ自体になんらかの毒性が含まれている疑いが出てきたので、スギヒラタケの摂取は控えるべきでしょう。

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三菱重を指名停止へ/ミサイル開発ミス、未報告で処分

 88式地対艦ミサイルの改良型「SSM1改」の開発ミス問題に関連し、防衛庁は三菱重工業(本社・東京)を同庁発注の指名競争入札で指名停止処分とする方向で検討に入りました。同社は防衛庁との間で年間2800億円を超す取引がある国内最大手の防衛産業で、戦闘機、戦車など同社でしか製造できない武器は契約を続けますが、処分による信用失墜は避けられそうもありません。


 防衛庁は、ミスを見抜けなかった同庁技術研究本部の担当者を近く処分し、次いで同社の指名停止期間を決める方針です。この処分で、同社は指名競争入札と一般競争入札の参加資格を失い、海上自衛隊艦艇の修理から外されるほか、開発案件にも参加できなくなります。

 ただ三菱重工業だけが生産技術を持っているF2支援戦闘機、90式戦車などは、例外規定の「真にやむを得ない場合」として新規の契約が認められることになります。

 防衛庁にとっても同社を締め出すことは防衛力の低下につながる影響があり、指名停止の期間がどの程度になるのか興味のあるところです。

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三井物産、DPFのデータねつ造/ディーゼル車規制、性能偽り販売

 東京都など首都圏1都3県が昨秋以来実施している、ディーゼル車規制をクリアするために販売した排ガス浄化装置(DPF)について、三井物産は22日、虚偽の試験データを2回にわたって東京都に申請、その後の性能試験でも社員らが虚偽の測定データを都に報告していたことを明らかにしました。


 都への報告などによると、同社(三井物産の全額出資の子会社ピュアース)は当初、排ガスの粒子状物質の集塵に細かいフィルターを用いて装置を組んでいましたが、耐久試験中の2001年10月、熱で一部が溶ける事故が2件発生、粗い網目に変更した結果、基準を満たさなくなったために、ねつ造したと見られています。

 不正を隠すために重ねる不正、という構図ですが、同社のDPFは1台約100万円で、これまでに2万1500台を販売したということから、莫大な利益を予想するあまりの犯行だったのでしょう。不正が起きる環境、いわゆる能力(技術・生産・納期など)が劣るとき、個人・職場・企業単位で起きる保身行動そのもので、利益追求が後押しするものです。実績を重んじるプライド?の高い大企業ほど、不正に陥りやすい環境があるようです。

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JIS表示、初の取り消し/生コン業者を経産省が処分

 建築工事などに使う生コンクリートの品質管理が不適正だったとして、経済産業省は22日、工業標準化法(基準不適合)に基づき、生コンクリート製造会社、オギノコンクリート(岡山市)に対し、日本工業規格(JIS)表示の認定を取り消す行政処分をしたと発表しました。JIS表示認定取り消し処分は初めてのケースだといいます。

 同社は、受注量が急増したため、品質管理の能力のない臨時雇用者に仕事を任せ、出社しない日は試験や検査をしていなかったといいます。

 顧客に対して品質を保証する考えもない、ただお墨付きを得るためのJIS取得の企業であったようです。企業の不正ニュースの氾濫もあり、今回のケースは氷山の一角で、「自分のところでなくてよかった」と胸をなで下ろしている企業もあるのでしょう。

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「ゼロ・ウェイスト」の取り組み/福島県上勝町

 福島県上勝町の住民は、2001年からごみを34分別、全国で最多分別数を誇る取り組みを行っています。
町では95年から生ゴミ減量策として、生ごみを家庭で処理できるよう補助金を出し、各家庭は1万円の負担でコンポストを設置しています。またゴミステーションに持ち込みできない人のために、ボランティアが運んだり、シルバー人材センターが有料で運ぶシステムもできています。その結果、年間150トン程だった焼却ごみが、現在60〜70トンと半減しています。その分資源回収量は増え、リサイクル率は80%にも達するといいます。

 しかし表面をコーティングした紙や、プラスチックのフタが取れないびんなど分別できないごみがあることから、町は製造者の責任を明確にしようと動き出しました。ここが同町の半端でない取り組みで、今年2月小池百合子環境大臣に、不要になった品物について製造者が消費者にお金を払って改修することを義務付ける内容の「資源回収に関する法律(仮称)」の制定を要望しています。その要望の根底には「不要な容器など買いたくない」という素直な不満があるようです。

 いま市町村合併で揺れている多くの自治体がありますが、上勝町のような徹底さで住民協力を促すことができれば、合併しない選択も現実味を帯びてきます。

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釣り糸でサンゴ死ぬ率上昇/ハワイでの調査

 釣り人が海中に残した釣り糸が海鳥などを死亡させる影響は知られていますが、サンゴに絡まり死ぬ率を上昇させ、生息に悪影響を与えていることが今回初めて分かりました。釣り糸がサンゴの表面を傷つけることが原因のようです。

 米ハワイ大の芳川朋子研究員とお茶の水女子大の麻生一枝研究員らのグループが、ハワイでの調査で28日までに突き止めたものです。

 グループは、釣りが盛んなハワイの沿岸7カ所と、そこに近くて釣りが行われていない海域で、サンゴに絡んだ釣り糸の量やサンゴの状態を調査、釣りが行われている海域も行われていない海域も、サンゴ密度はほとんど変わらないのに、死んだサンゴの割合は7カ所とも釣りが盛んな海域で目立って高いことが分かりました。

 死ぬ割合は、絡んだ釣り糸の量が多くなるほど高くなる傾向にあり、釣りが行われていない海域に比べ3倍近く高い場所もあったといいます。

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会社のパソコン持ち出し、半数は許可を得ず/企業の管理は?

 会社のノートパソコンを社外に持ち出す際、許可を得ないビジネスマンが半数近くいることが、情報技術関連の調査会社ガートナー・ジャパンのアンケートで分かりました。


 調査は7−8月、インターネットを通じて製造業、IT企業などの社員ら約700人を対象に実施したもので、ノートパソコン持ち出しに関して「ガイドラインが社内にない」との答えが約21%、「ガイドラインはあるが許可不要」が約24%でほぼ半数は許可を得ないようです。「ガイドラインがあり許可が必要」は約45%、「持ち出しは全面禁止」は約4%でした。

 半数近い企業はそれなりに管理されているようですが、会社の残業となるところを、自宅で無報酬で作業してもらう管理者の許可は甘くなるのは確かです。またガートナーでは「企業は持ち出しをただ禁止するだけでなく、情報漏れを防止できる技術的な仕組みを作る必要がある」と指摘しています。

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「肺がん原因」表示を大きく/JT新包装

 日本たばこ産業(JT)は5日、「ハイライト」など11銘柄について、たばこの及ぼす健康被害の注意表示を強化した新包装デザインを発表しました。


 新包装は11月下旬から順次導入し、来年6月までに全銘柄へ広げるとしています。

 今回の措置は、世界的なたばこの健康規制強化の流れを受けた省令改正で導入が決まったもので、従来の「吸いすぎに注意しましょう」などと側面に表示しただけのもののからようやく具体的な注意喚起となりました。

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世界初、たばこ販売全面禁止/ブータン

 ヒマラヤの小国ブータン政府は17日までに、12月17日からたばこの販売を一切禁止すると告示しました。レストランなどの公共の場での禁煙を定めた国はありますが、全国一律に販売まで禁止するのは世界初とみられています。

 現地の新聞クエンセル紙(電子版)によると、告示は店舗やホテル、レストラン、バーに対し、保管している全てのたばこを処分するよう指示したといいます。施行日以降にたばこを販売した場合、営業許可を取り消し、1万ヌルタム(約2万3,000円)の罰金を徴収するようです。

 ただ個人消費の利便性のため、外国からのたばこは100%の関税を払えば持ち込みできるようです。喫煙そのものを禁止したわけではないので、外国産のたばこの闇取引が横行するかもしれません。

 国民医療費の削減や健康被害による国民総生産の減少に対し危機感を持つ国も多く、ようやくたばこの包装表示が改善、という我が国のレベルがもの足りません。

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