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2005.3 No.135  発行 2005年3月18日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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2月のニュースから

■フォード車でガラス脱落/2人けが、リコールへ

 米フォードモーターの乗用車「エクスプローラー」の後部はね上げ式のガラスハッチバック(重さ約8キロ)が脱落する恐れがあるとして、同社日本法人が17日、約4000台のリコールを国土交通省に届け出ました。この欠陥による事故では、2003年10月に千葉県市川市で女性が頭を打ち1カ月の重傷を負い、2004年5月には岐阜県羽島市で1人が頚椎ねんざなどで1カ月の重傷を負っています。

  届けによると、ガラスハッチのヒンジ取り付け部が破損、あるいはストラットボールスタッドブラケットの脱落又はストラットダンパーが外れ、ガラスハッチが脱落するおそれがあるというものです。

 金属枠のハッチではおよそ考えられないことですが、ガラスハッチその物が軽いことと、ガラスに固定するヒンジの材質・形状の制約から強度・耐久性の問題となったようです。また見た目きゃしゃな軽いガラスハッチでも、人によっては力いっぱい閉めることもあることから、そのような配慮も必要だったのかもしれません。


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塗料を拭き取ったウエスから自然発火/製品評価技術基盤機構が注意喚起

 独立行政法人製品評価技術基盤機構は18日、塗料を拭き取ったウエスからの自然発火に対し注意喚起を行いました。

 それによると2004年11月にヒマワリ油を主成分とした木用塗料を使った作業を行った後、拭き取ったウエスから自然発火したと思われる火災事故が2件発生したというものです。これらの天然植物油を主成分とした塗料は、昨今のシックハウス症候群等を配慮した消費者の自然志向等から販売数量は増加の傾向にあるといい、家庭内の身近にあるものともいえます。

 事故の発生状況ですが、1件目は外壁を塗装後、塗料を拭き取ったウエスをそのままゴミ袋に入れて置いていたところ自然発火したもので、幸い発見が早かったため壁が焦げた程度だったといいます。2件目は、塗料の拭き取りに使用したタオルを袋に入れ、それを段ボール箱に入れて台所に置いていたところ、約24時間後に出火し台所を焼損したというものです。

 消費者は塗料の取扱説明書を良く読んで、塗装が染み込んだ布やウエスは重ねずに広げて、十分に乾燥してから捨てるなどしなければなりません。

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リウマチ治療薬、副作用で134人死亡/製造元の集計で判明

 推定で約10万人が使用している関節リウマチの治療薬「リウマトレックスカプセル」(一般名メトトレキサート)の服用後に死亡し、薬との因果関係が否定できない重い副作用と判断された患者が、1999年の承認から昨年11月までに134人に達したことが11日、製造元のワイス社(東京)の集計で分かりました。

  症状は造血機能が低下する骨髄抑制や間質性肺炎が中心ですが、死亡した人の中には、同薬を服用してはいけない禁忌となっている腎障害や慢性肝疾患の患者や、定期的に必要な血液などの検査を行っていなかった人もいることから、薬を処方する医師にも問題があることが分かります。

 ワイス社は「医師や患者に注意喚起してきた」と説明、厚生労働省は「注意して使ってもらうしかない」とし、まるで他人事のようです。

 リウマトレックスは医師の処方で飲むカプセル剤で、関節障害を抑える効果がほかのリウマチ薬に比べ高く、長期間使用している患者も多いようです。同社によると99年3月の承認から昨年11月までに主治医を通じて報告され、調査の結果「因果関係を否定できない重い副作用」と判断されたのは831人に上ります。そのうち134人が死亡、多くは60、70代の女性でした。

 ワイス社は、患者選択や副作用の初期症状を見逃さない指導について、医師らに「適正使用情報」を8回出すなど繰り返し注意を喚起、患者向け冊子でも「生命にかかわる副作用」「ときに重篤」という表現で危険性に言及しているものの、「死者が出ている」との具体的記載がなく、情報提供の在り方を疑問視する声も出ているようです。

 この薬は一般名メトトレキセートという強力な抗がん剤で、副作用で死亡する例があることは知られていました。ただ、そのような劇薬を使った抗がん剤治療をほとんどしたことのない内科医が、リウマチ専門医と称して不用意に投与し続けることに制度を含めた問題の根深さがあるようです。一部では劇薬投与について、専門資格の必要性も言われています。

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「活水器」の効果・性能についての検証/東京都生活文化局

 東京都生活文化局は、“「活水器」の表示に関する科学的視点からの検証について”という報告書をまとめ、科学的根拠の無い活水器の表示の問題を指摘しています。

 「水道水のクラスター(分子集団)を小さくする」「水がおいしくなる」など、一見、科学的な根拠に基づくかのような効果・性能をうたう「活水器」と呼ばれる商品が販売されていますが、その効果・性能について消費者からも疑問の声が寄せられているといいます。

 調査対象品はA 磁気及び遠赤外線を利用するもの、B 各種セラミック等により水をろ過するもの、C 各種セラミック、鉱石及び磁石を利用するもの、D 磁気を利用するもの、E 磁気を利用するものでした。

 販売側は、活水器を使うことで水がおいしくなったり、洗濯の汚れが落ちやすくなるなどの根拠を、「水道水のクラスターを小さくする」こととしていますが、今回の調査・検証においては、クラスターが小さくなるとなぜそのような効果・性能が得られるのか、その因果関係について客観的な事実に基づく説明は得られなかったといいます。また現在のところ「水のクラスターの大きさは測定できない」というのが専門家の一般的見解であることから、本当にクラスターが小さくなったかどうかの検証もできないはずです。

 さらに「おいしくなる」等の効果があることの根拠ですが、利用者等のアンケート結果によるものばかりで、客観的なデータといえるものはなく、また「食味試験」では被験者がわずか4人、「活水のお風呂は湯あたりがやわらかく、身体の芯から温まる」という根拠にいたっては、関係者1名による試験であったことなど、記載事項が極めて信頼性に乏しいことが判明しました。活水器の効能は、「何となくそんな気がする」という、非常にあいまいなもののようです。

詳細情報は東京都生活文化局の以下のページを参照してください。
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/s_hogo/sisin/mizu.html

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ヘリ事故防止、送電線の標識/全国送電線650カ所指定

 国土交通省は15日、昨年3月に信越放送チャーターの取材ヘリコプターが長野県木曽郡南木曽町で送電線に接触、墜落して4人が死亡した事故を受け、全国約650カ所の送電線を指定し、航空法で義務付けられた事故防止用の標識の設置を徹底することを決めました。

 各電力会社など13事業者に4月末までに設置計画の提出を求め、3年以内に工事を終える予定としています。

 航空法は、地上から高さ60メートル以上にある送電線について、有視界飛行のパイロットが目視できるように球形の標識の設置を義務付けていますが、事故現場を含む大半が未設置でした。事故後に同省が初めて行った調査で、60メートル以上の送電線が全国に約8万5000カ所あることが判明、操縦士が道路や河川などを目印に飛行する際、ルートを遮るように谷筋をまたいで張られた送電線などに対策が必要と判断したものです。
遅ればせながら、ようやく電力会社の送電線の安全対策が進むことになります。まずは歓迎です。

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JFE千葉基準違反の汚水排出/2001年から、1109件の改ざん

 鉄鋼大手のJFEスチールの東日本製鉄所千葉地区(千葉市中央区)が、国や自治体の環境基準を上回る有害物質を含んだ排水を海に流していた上、水質データを改ざんしていたことが3日分かりました。

 発端は昨年12月、製鉄所沖の海水が濁っているとして、千葉海上保安部が製鉄所を立ち入り検査をしたときが始まりです。このときは、製鉄所敷地内に野積みされている製鉄くず(スラグ)により、強アルカリ性の汚水が雨水に混じって流れ出たとものと判断されました。問題が大きくなったのは、立ち入りを受けて行われた同社の社内調査結果で、2001年4月から2004年12月にわたる水質データの改ざんが見つかったからです。
これらデータは、排水のアルカリ度やシアン化合物濃度が、水質汚濁防止法などで定められた基準を上回っていたのに、基準内に収まるよう書き換えられ、そのまま千葉県や千葉市に報告されていました。

 しかも水質管理担当の男性(38)は「基準を超えても実質的に問題ないと判断した」と説明しているというのですから、根拠のない判断基準を勝手に作っていたようです。また過去の担当者も書き換えを認めているということから、改ざんは十数年間続いていたと見られています。

 この担当者は基準値を超えたら問題があることは承知の上で、「昔からやっていたので見つかることはない」としたのでしょう。また不正でよく見られる「仕事を増やしたくない」「自分の報告で、会社の作業・負担を増す」という“悪者になりたくない”心理もあったようです。

 同日会見した数土文夫社長の「管理担当者には国家資格を持つ人をあてており、大丈夫と思っていた」という言葉が、適正な品質システムが機能していない同社のレベルを物語っています。

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■農産物偽装で公表/農水省全国調査

 農林水産省は4日、全国調査の結果、152業者が農薬不使用の有無や原産地に関して、実際とは異なる不適正な表示をして農産物を販売していたと発表しました。このうち農薬を使っていたのに「無農薬」などと表示していた業者は37あり、同省は日本農林規格(JAS)法に基づいて全業者を指導し、バナナ元売り最大手の「ドール」(東京都)など計7業者を公表しました。7業者は、ドールのほか、セイツー(石川県川北町、流通業者)、クイーンズ伊勢丹静岡伊勢丹店(静岡市、小売店)、ポロロッカ五条店(京都市、同)、トップワールド萱島店(大阪府寝屋川市、同)、協同組合丸合東福原店(鳥取県米子市、同)、境港ターミナル店(同県境港市、同)、キョーエイ松島店(高松市、同)となっています。

 同省によると、ドールは2001年5月ごろから昨年11月までの間、化学合成農薬を使用して栽培されたフィリピン産バナナに「指定農園で化学合成農薬を一切使用せずに有機肥料で育成しました。」と表示して販売していたことが確認されたとあります。また株式会社セイツーは、同年7月19日から8月31日までの間、化学合成農薬を使用して栽培された熊本県産オクラに「化学合成農薬 栽培期間中不使用」と、2004年7月12日から8月31日までの間、化学合成農薬を使用して栽培された石川県産にんじんに「化学合成農薬 栽培期間中不使用」と表示して販売していたことが確認されたとのことです。

 ドールは「無農薬」表示だけではなく、「指定農園」、「化学合成農薬を一切使用せず」、「有機肥料で育成」という、消費者を信頼させる文言を多用していることから、故意に消費者を欺くことを意図していたようです。またセイツーの「化学合成農薬栽培期間中不使用」という表示も、単に「無農薬」とするものよりは、何となく客観的な安心感を感じます。最近はパッケージに生産者の顔写真を掲載するなど、「ウソは言っていません」とのイメージを与えるものが増えていますが、どこまで本当なのか疑いたくなります。

 野菜を食べてみて、農薬や化学肥料の味がすれば、生産者・販売者の不正が分かりますが、これはなかなか困難なことです。消費者としては、家庭で簡単に検査できる低価格の「農薬試験紙」なるものが欲しくなります。そうでなければ業者の虚偽表示は、いたちごっこのようにいつまでも続くことでしょう。

詳細は農水省の以下のページでご覧下さい。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050204press_5.htm
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050204press_6.htm

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■食品安全の新規格ISO22000普及へ/農水省、手引き書などで

 農林水産省は食品の安全性を証明する新しい国際規格の普及に乗り出します。国際標準化機構(ISO)が今秋にも始める安全規格で、食品メーカーや小売り店が認証を受けられるように後押しをするとしています。
食品安全の新規格は「ISO22000」で、5月に開くISOの総会で正式に発足が決まり、早ければ9月から認証制度が始まる見通しとなっています。


 認証の対象となるのは農家や食品メーカー、卸売り業者、食品スーパーなどで、農家については農薬や資料の使い方などの栽培方法をチェック、食品メーカーは食中毒を防ぐマニュアルや緊急時の連絡網の整備状況などを調べることになります。同省は普及策として規格を取得するための手引き書を作るほか、全国で講演会などを開いて農家やメーカーに広く情報を提供するとしています。

 今回のISO22000では、生産者から流通業者のみならず、包装パック製造業者、そして消費者までもが食品の安全性を証明する存在となっています。消費者も勉強をして安全性の検証の一端をになうこと、これが不正をけん制することになるでしょう。

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■ハンドル型車いす、JR東海が利用認める

 JR東海は10日、エレベーターを設けてバリアフリー化された名古屋駅など在来線の35駅で、3月1日から身体障害者が使用する「ハンドル型電動車いす」の利用を認めると発表しました。岡崎駅もエレベーター工事が完了する同19日から利用できるとしています。


 同社は「重量が重くて回転半径も大きく、周りの乗客の安全が確保できない」などとして、同型車いすの使用を認めていませんでしたが、昨年12月に法務省が同社に「一律に使用を認めないのは障害者の人権侵害に当たる」と改善を勧告したことから、同社でも他の鉄道事業者と同程度の対応を検討し、設備などが整っている一部の駅に限って乗り入れを認めることにしたものです。

 乗車できるのはホームから直接客室内に乗り降りできる車両で、駅員が渡り板を用意して対応するとしています。新幹線や特急列車などのデッキ付き車両は乗れません。同社広報部は「スムーズな対応が出来るように利用する2日前までに乗車駅に申し込んで欲しい」と呼びかけています。

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