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2007.5 No.161  発行 2007年5月23日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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4月のニュースから

■シュレッダーから発火・爆発事故/エアゾールタイプのスプレー使用

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が収集した事故情報の中に、エアゾールタイプの防錆潤滑剤をシュレッダーに使用して爆発した事故がありました。
 原因については現在調査中とのことですが、これまでにも同様と思われる事故が何件かNITEに寄せられているといいます。

 1つ目のケースですが、紙詰まり状態でシュレッダーの刃が止まりモーターがうなっているので、刃の滑りを良くしようとエアゾールタイプの防錆潤滑剤を吹き付け、そしてスイッチを切ろうとした時に突然火を噴き、顔全体に軽い火傷を負ったというものです。

 2例目は、シュレッダーが紙詰まり状態になったので、逆転操作をしながらスプレー式のダスターを使用したところ、突然爆発が起こって顔に火傷を負い、髪の毛が焦げたというものです。

 3例目は、シュレッダーで裁断していたところ動かなくなったので電源を切り、刃の部分にエアゾールタイプの防錆潤滑剤を吹き付けた後、15枚ほど正常に裁断できたものの、再度動かなくなったので紙送りとリバースを繰り返したところ、シュレッダーから火が出て右手に火傷を負ったものです。

 いずれの事例もシュレッダーの紙詰まりを解消しようと、エアゾールタイプの潤滑油などを刃に吹き付けて事故が起きていることから、NITEではエアゾール製品に使用されている可燃性ガス(LPGガス等)がシュレッダー内部に入り、シュレッダーのスイッチを操作した際に発生する火花により引火して、出火や爆発に至ったと推定しています。

 一般には電源が入っていないシュレッダーに対し、エアゾールタイプの防錆潤滑剤使用後に内部に可燃性ガスが滞留し、その後電源を入れた際に着火する危険性はなかなか予見できないと思います。そのためシュレッダーの取扱説明書や注意表示には、可燃性ガスを使用したエアゾール製品の使用を禁止を促すことが重要ですが、記載がないメーカーもあり、このようなケースの事故の場合は訴訟上メーカーが不利な立場になることを認識しなければなりません。

 エアゾール製品の注意書きには「炎や火気の近くで使用しない旨」の表示はありますが、(電源)スイッチのオン・オフ時のアークまでは言及していないようです。しかし今回の事故では、スプレーすることが直接の引火・爆発のトリガーでは無いため、基本的にはシュレッダーの取扱説明書に可燃性ガスを使用したエアゾール製品の使用禁止を必ず明記することが求められます。消費者もこのような事例を参考にして、機器の安全な使用を心掛けたいものです。

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ベビーカーで指切断2件報告、国民生活センターまとめ

 折り畳み式ベビーカーを開閉する際に乳幼児が誤って指をはさみ切断した事故が、昨年11月に2件報告されていたことが17日、国民生活センターのまとめで分かりました。センターでは、ほとんどのメーカーのベビーカーで同様の事故が起こる危険性があるとして「子どもの近くで開閉しないよう注意して」と呼び掛けています。

 センターによると1件は1歳10カ月の男児のケースです。公園でいつものように母親が折りたたんでいたベビーカーを開いて、抱いていた息子を降ろしてから足でベビーカーの背もたれのフレームを体重をかけて押し下げたところ、息子がベビーカーのハンドルフレームに手をかけてつかまり立ちをしてしたため、フレームの接続部分に左手小指の第一関節手前部分を挟んでしまったものです。

 もう1件は9カ月の女児の事例で、30代の母親が通信販売で買ったベビーカーのストッパーを外したところ、急激に開いて近くにいた女児が左手中指を挟んだ状態になったといいいます。

 ベビーカーの開閉時には、まだ自立できない乳幼児が保護者に寄り添うことがあることや、ベビーカーにつかまることは十分想定できる行動として、センターでは可動部が多く存在するベビーカーは、乳幼児に用いるものである以上、厳格な安全性が求められるとして、乳幼児が陥りやすい危険要因が排除されるようメーカーや事業者団体に要望しました。

 メーカーはベビーカーを使用する親だけでなく、製品の周囲にいる幼児の行動も想定しなければならないことを厳しく受け止めてもらいたいものです。

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TOTOの温水便座、発火や発煙/18万台点検へ

 洗面台や便器の製造最大手TOTOは16日、温水洗浄便座便器の一部で発煙・発火する事故が発生したと発表しました。便器の一部が焼損した事故が平成18年3月から19年3月までに岩手、山形、群馬各県で計3件発生、類似の発煙事故が26件あったといい、同社では平成11年3月から13年12月までに製造した該当製品約18万台を無料で点検修理することにしました。

 同社によると、製品内部の端子でメッキの密着が悪く、使用を続けるうちにメッキがはがれ発熱、その後、発火したと説明しています。また、この端子は同社が発注していたメーカーが99年3月に、日本製から中国製に切り替えられていて、発火・発煙した39件の便座はいずれもこの中国製の端子を使っていたことが判明しました。

 4月17日にはINAXも同社製の温水洗浄便座による発火・発煙の事故が、2005年までに8件発生していることを明らかにしました。うち7件は原因が特定できず機種も様々なため、同社は無料の点検・修理を行なわなかったということです。

 このうち原因が分かっている1件の事故は、84年にF1という機種で起こったもので、内部のコネクターから発火した事故で、この事故に対してINAXは、85年に約3万台を無料で点検・修理しています。事故の原因となったコネクターは、2007年4月の時点では、INAX製の温水洗浄便座には使用していないとのことです。
TOTOの事故では、温水ヒーターの接合部で火花や放電が繰り返される「トラッキング現象」が起きて発火することが判明したため、経済産業省が業界団体に調査を要請、5月9日に温水洗浄便座協議会の調査結果が報告され、同様の事故は84年以降105件起きていたことが明らかになりました。うち、製品が原因で起きた事故は、松下電工を加えた3社で64件に上っているようです。

 部品の不良という初歩的な問題ですが、多くの中国製品の品質問題が露見している現在、企業も部品の品質評価・検査基準などの見直しが必要になるかも知れません。

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野放し中国産原料の危険性/ペットが死に、薬品では死者も

 米国で半生タイプのペットフードを食べたネコや犬が相次いで死んだ問題で、大規模な商品回収の対象が徐々に拡大、飼い主の不安が高まっています。米食品医薬品局(FDA)は原料に使用された中国産の小麦製品に化学物質が混入していたとして禁輸を発表、「中国原因説」が強まる中、中国産食品の安全性へ懸念の声も出ています。

 カナダのペットフード大手メニュー・フーズが3月半ば、6000万個に上る商品の自主回収を発表、他社製品の生産も手掛けていたため、対象は100種以上に拡大、FDAは腎臓疾患による16匹のネコや犬の死を公表しましたが、体調が悪化したペットの数は全米で何百、何千匹にも上るとの報道もあるようです。

 米国では全世帯の半数以上がペットを飼っているといわれ、飼い主などからの問い合わせはFDAだけで1万4000件以上に達したといいます。
こうした中、FDAは4月初旬、問題のペットフードの原料に使われた中国から輸入した小麦グルテンに肥料や樹脂に使われる化学物質メラミンが多量に混入していたと発表、中国からの輸入を禁止しました。4月中旬には、別の業者が中国から輸入しペットフード用に販売したコメ製品にメラミンが含まれていたことも判明しています。

 米ニューヨーク・タイムズ紙は、小麦グルテンを製造した中国江蘇省・徐州の業者がタンパク質の含有量を増やすためメラミンを意図的に混ぜた疑いがあると報道、「中国のずさんな食品安全規制は問題」と警鐘を鳴らしました。

 中国産食品の安全性をめぐっては、日本でも冷凍ホウレンソウの残留農薬問題が記憶に新しいのですが、その後5月に入り事態は急展開します。

 中国外務省などは8日、パナマ向けに輸出された薬用甘味料のグリセリンと、米国とカナダへ輸出されたペットフードにそれぞれ毒性物質が混入していたと発表しました。6日付米ニューヨーク・タイムズ紙はパナマで100人の死亡が確認されたと報道していましたが、同省の姜瑜副報道局長は8日の会見で、「グリセリンの代わりに医薬品には使用できない化学薬品が使われた」と述べ、因果関係を初めて認めました。

 同紙などによると、パナマで昨年、内臓の機能低下などの不調を訴えた多数の患者が原因不明で死亡していましたが、患者らが服用したかぜ薬の原料として「グリセリン」と表示があったといいます。そこでパナマ政府の依頼を受けたFDAが調査したところ、ジエチレングリコールが含まれていたことが判明したといいます。

 以前、糖度を増すためにドイツワインにジエチレングリコールが混入された事件を思い起こしますが、ジエチレングリコールは車のラジエーター不凍液に使われるもので、グリセリンに比べて格段に安価なため、江蘇省にある化学薬品会社がグリセリンに混ぜて製造、スペインや中国の貿易会社を通じて輸出されたといいます。

 同紙によると、パナマでは365人の死亡報告があり、うちこれまでに100人の死因がジエチレングリコールと確認されているようです。同紙はまた、昨年判明したパナマと中国の例は製造元が中国企業と確認できたものの、確認できなかった「有毒甘味料」による被害が過去にハイチやバングラデシュ、アルゼンチン、ナイジェリア、インドでもあったと報じています。

 一方、中国の国家品質監督検査検疫総局は同日の8日、江蘇省と山東省の2社が製造して北米に輸出されたペットフードからも、樹脂などに使われるメラミンが違法に添加されていたと発表、冒頭での疑いのニュースが現実となりました。

 中国産の食品は生鮮品から、口に入るありとあらゆるものまでが適正に管理されてない一部の実体が判明、まさに無法者(企業・業者・個人)の温床の懸念が強まりました。大量に安価な製品を供給し続けて発展を遂げてきた同国ですが、品質問題だけではなく法律順守も大きな課題となっています。北京オリンピックを控えて、選手団を送る各国の信頼を崩すような事件は起こして欲しくないものです。

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充電の電圧などに基準/業界団体、パソコン用電池発火を受け

 ノートパソコンの充電池の発火が相次いだ問題を受け、パソコンメーカーや電池メーカーでつくる電子情報技術産業協会(JEITA)と電池工業会は20日、充電時に電池に過剰な電圧が掛からないようにするための基準を明示するなど、パソコンでリチウムイオン電池を安全に利用するための指針をまとめました。
同指針は、同日ホームページでも「ノート型PCにおけるリチウムイオン2次電池の安全利用に関する手引書」として公開されました。

  概要ですが、電池製造時に金属粉が内部に混入・ショートして異常過熱したケースについて、(1)内部で電圧のバランスが崩れた(2)過充電で特定の部分に高い電圧が掛かった、など複数の要因が重なったため起きた可能性がある、と指摘しています。
また統一的な基準がなかった充電時の電圧の上限を4.25ボルトなどと規定し、過充電は「バッテリーへの高速充電などの際、充電方式によっては発生する場合もある」(電池工業会)とし、無理な充電をしないよう求めています。

 電池やパソコンの外装には燃えにくい難撚性素材を使うことや、材料選定基準なども示しています。また電池内に異物が混入しても発火しない安全設計を求めたほか、安全性を確認するための実験方法も提示しました。

 指針ではリチウムイオン電池の安全性を確認するため、現行よりも厳しい基準で安全性試験を実施する必要があることから、国際電気標準会議(IEC)や日本工業規格(JIS)で定める試験法に、新たに2つの項目を追加しています。追加項目の1つ目は、充電電圧と、電池セルの表面温度に関する条件で、2つ目は、「強制内部短絡試験」です。

 現在のところ、この手引書の内容を順守しなければならないという強制力はありませんが、両工業会では「この手引書への準拠を強く推奨していく」として、今後国内外の電池メーカーとパソコンメーカーに対応を求め、海外に向けても英語版の手引書の作成を進めています。また、この2つの試験方法を国際標準規格に追加すべく、国際電気標準会議(IEC)へ提案中とのことです。

 2006年夏に発生したリチウムイオン電池の発火事故は多くの消費者を驚かせましたが、ようやく具体的な安全対策が見えてたことを歓迎したいと思います。

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健康食品に認証マーク/厚労省、検討始める

 健康食品があふれて商品の安全面に対する関心も高まっていることから、厚生労働省は16日までに、成分基準の新設や認証マークの導入検討など、安全性確保のための総合的な対策づくりに乗り出すことを決めました。

 5月に有識者らによる検討会を設置、成分の届け出義務化や1日の摂取量の目安についても議論して必要に応じて食品衛生法の改正も検討を進め、2007年度中に取りまとめる方針でいます。

 現在、健康食品と一般の食品とを区別する法的な規定はなく、同省は「何が健康食品なのかという明確な定義はない」としています。安全性については「コレステロールが高めの方に」などと表示できる「特定保健用食品」として許可された製品だけは国が審査しているものの、それ以外の製品は製造・販売業者の責任に委ねられているのが現状です。

 最近では特定の成分が濃縮されたサプリメントなどが増加、因果関係は不明ですが、食べた人が体の不調を訴えるケースもあることから同省は抜本的な対策が必要と判断しました。

 「健康に良い」という言葉がはんらん、消費者は疑うことなく商品を購入するケースが多く、効果がなければ他の商品を購入、この繰り返しの人もいます。業者の中には詐欺まがいの方法で売り上げを増やしているケースもあり、取り締まりと罰則の強化も併せて行う必要があると思います。

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防災地図、一元的に検索/国交省27日にサイト開設

 国土交通省は、市町村が作成した洪水や土砂災害などの各種ハザードマップを一元的に検索、閲覧できるインターネットポータルサイトを、27日から開設すると発表しました。住民の避難場所の確認に役立てたり、周辺市町村と作成状況を比較し防災意識を高めてもらうのが狙いだといいます。

 ハザードマップは、洪水、高潮、津波、土砂災害、火山、下水道から水があふれる内水の計6種類ありますが、作成状況は市町村によってさまざまです。サイト上の地図で検索すると、どの市町村に何種類マップが作成されているか確認できます。

 マップがネットで公開されている場合は、そのサイトにリンクすれば閲覧可能で、市町村の担当窓口で公開している場合は、問い合わせ先を明記しています。

アドレスは
http://www1.gsi.go.jp/geowww/disapotal/index.htmlです。

 現在ほとんどの市町村ではハザード(防災)マップを作成、各ホームページでも公開しているところが多いのですが、同サイト掲載の「ハザードマップ公表市町村」では、実際に市町村作成のマップがあり、またインターネットでも公開しているのに掲載されていないものもあります。国交省が各市町村の実態を把握しきれていないようで、自治体が実際に行っている提供情報を反映する作業を進めてもらいたいものです。

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