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2007.10 No.166  発行 2007年10月21日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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9月のニュースから

■TOTO温水洗浄便座全焼/病院トイレで1台焼ける

 福岡県の鞍手町立病院のトイレで8日夜、住宅設備機器メーカーのTOTOが製造した温水洗浄便座「ウォシュレット」1台が焼けていたことが分かりました。直方署によると、火事は8日深夜、男性医師が病院のトイレで便座やノズルの大半が焼け落ちた状態になっているのを発見、建物への延焼はなくけが人もいませんでした。県警などは放火の痕跡がないことから便座から発火した可能性が高いとみています。

 TOTOは今春、別の温水洗浄型便器の一部での発火や発煙の事故を公表しましたが、今回の製品は別機種で、原因を調べて対応を検討することにし、同社は25日、福岡県内の病院で今月8日に同社の温水洗浄便座が全焼した問題について調査結果を発表しました。

 それによると「製品内部からの発火が原因ではない」ということで、調査に立ち会った第三者機関も同様の見解を示したといい、同社は経済産業省や直方署、消防に報告しました。

 同社によると、全焼したトイレは電気回路部分がほとんど残り、エックス線検査でも発火の痕跡はなかったほか、焼損の激しいノズルも、発熱の可能性があるモーターのコイルは断線していなかったことなどが判明したといいます。

 製品内部の電子部品に故意に火を付ける燃焼実験でも、製品の外側が難燃性の樹脂のため5分ほどで消えることを確認したとしています。

 確かに電気回路の損傷がなく、電子部品も壊れていなかった、というと外部発火原因となりますが、どうなのでしょう。火災の原因となる持続的なエネルギーは「電気」しかないようなのですが…。

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サンダルのエスカレーター事故/過去にも事故事例が明らかに

 福岡市中央区のヤフードームで8月、正面玄関近くにある下りエスカレーターに乗っていた小学2年の男児(7)が、踏み台と側面のすき間に左足先を挟まれて親指の靱帯を損傷する大けがをありましたが、男児はゴム製のサンダルを履いていたことからサンダルでエスカレーターに乗ることの危険性が指摘されています。

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)によると、今年5月以降エスカレーターに樹脂製のサンダルを挟み込まれるなどの事故が多発しているとのことです。

 米国のシューズメーカーの樹脂製サンダル「クロックス(Crocs)」は、柔らかく滑りにくい素材が世界各国で人気を博していて、その類似品も多く出回っているようです。それらのサンダルを履いた子どもが、エスカレーターのすき間につま先部分を巻き込まれるなどの事件が多発していることを受け、経済産業省とNITEは7日、注意を呼びかけました。

 NITEによると、今月上旬までにクロックスおよび類似商品のエスカレーターでの事故が40件確認されており、そのほとんどが子どもだといいます。
ある5歳の女児は、足の中指を骨折、3本の指のつめがはがれるけがを負い、ほかにも2歳の幼児を含む6人が負傷しているといいます。

 クロックス・ジャパンは、一連の事故は製品の問題ではなく、エスカレーターの管理やその使用法に問題があるとの見解を示しており、同社広告担当者は、エスカレーターの構造の改善と点検の強化に期待すると述べています。

 普通の革靴であれば滑るために挟まれそうになっても足を持ち上げて回避できますが、柔らかく滑りにくい素材のサンダルでは食い付きが良く、逃れることができないのでしょう。シュレッダーに幼児の指が挟み込まれるのと似た感じです。

 確かにクロックス社の言うようにエスカレーターの構造の改善に期待したいところですが、メーカー側は、はだしやそれに近いサンダルでの利用は今まで真剣に考えてこなかったかも知れません。

 メーカー両者による対応ですが、注意表記以上のことはすぐにはできそうもなく、子供の事故が多いことから、まずは利用者・親が注意することが大切でしょう。

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指定外のタイヤ装着で発火したフルタイム4WD車/国民生活センター相談事例

 国民生活センターに寄せられた相談事例の、月公表分を紹介します。

 「購入後約6年、8万キロ走行のフルタイム4WD車で高速道路を走行中、車の下から煙が出ていると他の車に知らされ、路肩に停車し車の下を覗いてみると、火が出ていたのでロードサービスに連絡すると共に消防車を呼んで消火した。1年前に車検を取ったが、整備業者は1〜2ヶ月以内のトラブルなら対応するが、1年過ぎたものは使用者責任だと言い、責任はないとして対応を拒まれた。」(30歳代男性会社員)というものです。

 アドバイスとして「出火原因を特定するため、車の状態をチェックする必要があります。フルタイム4WD車の場合、4輪とも同じサイズのタイヤを装着していないとギアに負荷がかかり、摩擦熱が増加して発火に至ることがありますので、装着されていたタイヤを調べたところ、1本のサイズが指定のものと異なっていました。

 1本だけサイズが異なるタイヤが装着されていた理由を調べてみると、1年前に車検を受けた際、タイヤのうち1本が摩耗していたため、そのままでは車検に受からないので、整備業者が手持ちタイヤをとりあえず取り付け車検を通し、ユーザーに引き渡す際「後で正規のものに交換するように」と説明していたことが分かりました。

 またこのユーザーは、新車購入時より車検だけは受けたものの、12ヶ月ごとの法定点検を一度も受けずに使用していた事も分かりました。

 使用車両の状態をベストに保つのはユーザーの責任です。法律で定められた12ヶ月点検は必ず受けるとともに、日常の整備・点検も欠かさないように努めないと、いざトラブルが発生したとき、整備業者の責任を追及するのは、難しい場合もある」と助言しています。

 車のタイヤを4本同じサイズにする、というのは当たり前のことと思っていましたが、「フルタイム4WD車の場合、4輪とも同じサイズのタイヤを装着していないとギアに負荷がかかり、摩擦熱が増加して発火に至る」ということは、通常考えないことかもしれません。
  オーナーの点検義務が求められる車の安全確保ですが、業者に頼るあまり自分の行うべき事を忘れることもあるようで、注意したいものです。

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■米国産牛肉からまたあばら骨、検疫再開から2件目

 韓国では先月27日から再開した米国産牛肉に対する輸入検疫で、輸入が禁止されたあばら骨がまた見つかりました。

 韓国農林部の国立獣医科学検疫院は6日、米国産牛肉18.1トン、188箱の輸入分を検疫した結果、13.3キログラム入りの箱からあばら骨が見つかったと明らかにしました。この牛肉は輸入検疫が全面中断(8月1日)前の7月23日に現地で船積みされ、先月5日に釜山港に到着し検疫待ちをしていたもので、食肉処理した加工施設はカーギル社の所有、5月29日にもあばら骨が見つかっていました。

 韓国検疫院は検疫中断措置の解除発表時に明らかにしたとおり、当該の輸入牛肉全量を返送する措置を取り、処理施設に対し対韓輸出施設としての承認を取り消しました。カーギル社は5つの処理施設のうち4か所の承認を取り消されたことになります。ただ、今回発見されたあばら骨は特定危険部位ではないため、検疫は中断されないとのことです。

 韓国農林部は米国産牛肉の検疫問題を話し合うため、家畜防疫協議会を先週開催したのに次いで、今週も専門家協議会を開く方針です。

 ところでカーギル社ですが、10月に入りまたもや不始末を起こしています。
 農水省と厚生労働省は17日、米国から輸入された牛肉の中から、米政府発行の証明書がない牛すじ肉が225箱見つかったと発表しました。証明書は米国産牛肉を輸入する際の条件に定められており、違反は昨夏の輸入再開以来5例目となるもので、農水省は出荷した工場からの牛肉輸入を一時停止するとともに、原因究明と再発防止を求めました。

 積み荷の中にBSEの感染に関わりがあるとされる特定危険部位は含まれていないということですが、輸入が許されている月齢20カ月以下の牛肉かどうかは証明書がないため不明です。

 農水省によると、9月20日に神戸港へ到着した冷凍の牛すじ肉1333箱のうち、225箱に証明書の記載がなかったといいます。証明のない箱とある箱では、ラベルの表示に微妙な違いがあり、農水省が輸入元のジャパンフードに確認したところ「日本向けでない商品が間違って積み込まれた」との報告があったといいますが、どうにもいい加減というか、米国企業の緩い管理状況が見えるようです。

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母乳中に新種の汚染物質/PCBに似た臭素系化合物が蓄積

 毒性が強く地球規模での環境汚染が問題になったポリ塩化ビフェニール(PCB)に、構造や毒性がよく似た臭素系化合物が日本人の母乳中に蓄積していることが、摂南大薬学部などのグループによる5日までの分析で判明、都内で開催中のダイオキシン2007国際会議で発表されました。

 この物質は、国のダイオキシン類対策特別措置法の対象物質コプラナーPCBに含まれる塩素の一部が臭素に置き換わった物質で、「塩素・臭素化コプラナーPCB(コプラナーPXB)」と呼ばれ、新たな汚染物質として注目されているものです。

 グループの太田壮一摂南大准教授は「この物質による人体汚染の確認は世界初で、世界各地の魚の汚染も確認されたが、人体汚染については魚を食べることが一因とみられる。今後、人間への影響評価や発生源の解明が急務だ」と指摘しています。

 グループは、国内の21歳から33歳の母親7人の母乳を分析、毒性が最も強いダイオキシンに換算して評価した毒性換算値(TEQ)で、脂肪1グラム当たり0.42―1.41ピコグラムのコプラナーPXBを検出したといいます。

 また、国内で売られていた世界各国や日本周辺の魚、南極海のミンククジラの肉などにコプラナーPXBが含まれることも判明、地球規模で汚染が進んでいることが示されました。

 コプラナーPXBはこれまで毒性評価の対象になっていませんが、研究グループは、毒性はPCBに匹敵すると考えられると指摘、母乳中の有害物質が乳児に与える影響が過小評価されている可能性があり、PCBなどとともにコプラナーPXBを加えて評価すべきだとしています。

 太田准教授は「ごみなどの焼却のほか工場の廃水などが汚染源になっている可能性があるが、その発生源について詳しいことは分かっていない」と話し、また「母乳には免疫などに有益な成分が含まれており、母乳をやめる必要はない。ただ、母乳中の有害物質のリスク評価が過小な可能性がある。コプラナーPXBも加えた方がいい」と話しています。

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こんにゃくゼリーに警告マーク/業界3団体が10月から

 こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせて窒息死する事故が起きている問題で、メーカーなどでつくる業界団体は20日、子どもや高齢者に「食べないで」と警告する統一マークを作成しました。商品袋の前面に印刷するなどして、事故の再発を防ぎたい考えです。

 警告表示は、こんにゃく入りゼリーのメーカーが加盟する全日本菓子協会と全国菓子工業組合連合会、全国こんにゃく協同組合連合会などが、自主的な事故防止策として取り組んできたものです。

 表示は、一口サイズのこんにゃく入りゼリーが対象で、食べてはいけないことを強調するために、口元を×の形にした高齢者と子どもの顔を描き、商品袋の前面に表示することになります。大きさは縦2センチ、横3センチ以上と取り決めました。


 さらに、袋の裏側にも「のどに詰まった場合は、うつぶせにして背中をたたいて、はき出させる」などの文言を赤枠で囲むなど、目立たせて表示するとしています。

 三つの業界団体の加盟メーカーは来年1月末までに表示し、未加盟のメーカーや輸入業者にも表示を促すことにしています。

 国民生活センターによると、こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせたことによる死亡事故の判明件数は1995年以降で計14件あり、このうち7歳以下が8件、65歳以上が5件を占めていました。

 各メーカーでは、これまでもゼリーの硬さや容器の形状を変えるなどの対策を講じてきましたが、事故が続いていることから、「食べないで」との警告表示に踏み切ったものです。

 国民生活センターでは、「摂取量やアレルギーでの注意表記をのぞけば、食品に『食べないで』という警告表示は珍しいのでは」としています。

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