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2008.2 No.170  発行 2008年2月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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1月のニュースから

■中国製ギョーザで中毒症状、農薬検出/食品の流通システムに警鐘

 日本たばこ産業(JT)子会社の「ジェイティフーズ」が輸入した冷凍ギョーザから、30日にメタミドホスなど有機リン系農薬の成分が検出された事件は、他の中国製食品からも農薬が検出されるなど、拡大の一途です。

 当初中国側は、「中国国内で混入の可能性はきわめて低い」、「袋を開けてまた閉じることは誰でもできる」などと、国家を代表して報道する人間とは思われない短絡的な発言が多くありましたが、ようやく日本の警察と連携して捜査を始めています。

 いかにも全体主義の国、中国的ですが、国内向けの強権的管理に基づく発言を日本にも行っていたようです。それだけ彼らにとっては国家の威信がかかる、極めて重要な問題だったということでしょう。
ただ最近の中国食品離れ、加工食品への不信感など、我が国の消費者の動きについては、考えていなかったようです。それは中国食品無くしては日本の食をまかなうことができない、それを承知の上での強硬な態度のようにも見れます。

 日本企業でも不祥事発覚時には責任のがれの発言が見られますが、謙虚であることが企業の信頼を失わない方法ではないでしょうか。
今まで問題がなかったことで、客観的根拠が無いのに過失が無いとする経営者はまだいるようですが、消費者の目が時代とともに厳しくなっていく現状認識を忘れてはいけません。

 さて2月に入り、こんどは中国加工サバから殺虫剤が検出されて、香川の業者が回収騒ぎです。
 香川県さぬき市の冷凍食品会社「香西物産」は18日、中国の工場で加工、輸入されたすし用の冷凍サバから、食品衛生法の基準を上回る有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出されたと発表したのです。

 冷凍サバは全国のすし店などに販売されているもので、香西物産は同じ工場で製造された計19品目の自主回収を決めました。県によると、健康に直ちに影響する濃度ではなく、被害も報告されていないとしています。
同社によると当該製品は、2007年6月5日に中国山東省の「威海金琳水産」と「威海市宇王水産食品」が加工し、神戸市の卸会社「神港魚類」が輸入した「炙りトロ〆鯖スライス」で、食品衛生法の魚介類の残留基準値は0.01ppmですが、0.14ppmの高濃度で検出されたものです。

 香西物産は07年以降、同じ冷凍サバを神港魚類から11万1096パック仕入れ、全国に7万2777パック販売していて、サバはデンマークで水揚げされたものです。香西物産は「水揚げから輸入までに混入したのでは」とみています。

 19日になると今度は中国製肉まんに殺虫剤のニュースです。
 広島県と大阪市は19日、中国・山東省の工場で製造され、大阪市の業者が輸入、販売した業務用の冷凍食品「青島ニラ肉焼まん」の具や皮から少量の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を検出したと発表しました。一連の問題発覚後、天洋食品製以外の検出は初めてで、両自治体は「原料に含まれていた残留農薬の可能性が高い」としています。

 肉まん全体で検出されたのは最大0.64ppmで、ニラは農産物としての残留基準値(0.3ppm)を上回る0.5ppmで、加工過程で農薬が濃縮された可能性があるとされます。
 直ちに健康に影響はないとする厚生労働省ですが、19日、残留農薬の基準を上回り食品衛生法違反に当たるとして、各地の検疫所に肉まんを製造した「山東仁木食品」から輸入する際、輸入業者に自主検査をさせるよう通知しました。

 大阪市は20日にも、輸入会社の「ニッキートレーディング」(大阪市)に、同じ製造日の製品について回収命令と廃棄命令を出すとしています。
 両社の親会社で販売元の「ニッキーフーズ」(大阪市)によると、同じ製造日分は2500袋輸入し、広島のほか、大阪、兵庫、岡山、福岡、沖縄の食品卸売業者に販売したといいます。

 広島県と大阪市によると、メタミドホスが検出されたのは、山東仁木食品が2006年8月2日に製造した製品で、賞味期限の異なる在庫品では、袋と具のいずれからも検出されませんでした。
 今年1月31日と2月1日に肉まんを食べた広島県三次市の男性(73)が、めまいを訴え受診しましたが、医師は有機リン中毒の可能性を否定したといいます。
 広島市西区の食品卸売会社から5人が計20袋を購入し、男性はうち1人から買ったもので、ほかには健康被害は出ていないようです。

 広島県は12日に男性から相談を受け、13日夜には検出を確認、厚労省や大阪市には連絡したものの、19日まで発表しなかったことには、消費者に顔を向けていない現状が相変わらず見えるようです。

 農薬混入事件はまだ続き、横浜市は20日、神奈川県など6生協で作る「生活協同組合連合会 ユーコープ事業連合」が同日から販売を始めた中国製冷凍食品「レンジDEロールソースかつ(アスパラ入り)」から、毒性の強い有機リン系農薬「ホレート」が検出されたと発表しました。ユーコープは販売を中止し、自主回収をしていますが、現在のところ健康被害の届け出はないということです。

 市によると、ユーコープの検査で、1袋の食品中からアスパラガスの基準値(0.3ppm)の4倍の1.2ppmのホレートが検出されたもので、ホレートはメタミドホスと同程度の強い毒性のもので、検出量で換算すると体重50キロの人が5個食べると、嘔吐やめまいなどの症状が出ることがあるといいます。海外で使われることがあるものの、日本では農薬として登録されたことはないため、農薬や殺虫剤に使われていないものです。
商品は神奈川、静岡、山梨の3県で759袋がユーコープの会員に宅配され、21日午前2時半現在で677袋が自主回収されました。商品の賞味期限は11月21日ですが、製造年月日は不明だといいます。

 商品は「中国清清仁木食品有限公司」の工場で製造され、19日に冷凍食品「青島ニラ肉焼まん」からメタミドホスが検出されたことが分かった「ニッキートレーディング」が輸入しているものです。
また、ユーコープは同じ工場で製造された「れんこんのはさみ揚げ(ポーク)」「ニッキーフーズ プチ肉まん」も自主回収しています。

 ところで共同通信社が中国製ギョーザ中毒事件を受け、9、10の両日に行った全国電話世論調査では、「今後、中国製食品は利用しない」という人が75.9%を占めることが分かりました。中国製食品の利用については「これまで利用してきたし、今後も利用する」が21.6%、「これまで利用してきたが、今後はしない」は36.9%。一方「これまでも利用していないし、今後も利用しない」が39.6%でした。
この数字でみると、事件前に中国製食品を利用していた人は計57.9%だったのが、事件後は利用者が21.6%に急激に落ち込んだことが分かります。

 日本においては中国産食品に疑いの目を向けているため、これからも中国産食品・食材から農薬・殺虫剤が検出されるケースは出てくるものだと考えられます。

 本来は中国当局が私達日本の消費者に、信頼の持てるメッセージを発信するのが良いのですが、中国内の薬品管理や事業者・生産者のずさんな管理があまりにもひどく、早急に解決するための打つ手が無いのでしょう。

 アクセサリー・おもちゃに鉛の含有、練り歯磨きで中米で100人もの死者、米国でのペットフード問題など、あまりに中国産製品の信頼は落ちています。消費者としては、この際ですから中国のすべての製品について徹底的な安全検証をしてもらいたいものです。

 また消費者は、簡単・便利ということで、冷凍食品に限らず加工食品が、学校給食までも席巻している現状を直視し、「食育」のための、食品・食材調達方法を抜本的に見直さなければならないでしょう。

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三洋の洗濯乾燥機が出火事故、1万6000台をリコール

 三洋電機は30日、04年1〜12月に製造・販売した洗濯乾燥機「AWD−X1」と「AWD―U1」に発火のおそれがあり、計1万6650台を無料で点検すると発表しました。昨年12月に東京都内で火災があり、電線同士の 接続不良が原因だったことがわかったもので、他には事故報告はないといます。
点検費用は連結で約3億円で、8割程度を08年3月期決算に、残りを09年3月期以降に計上するとしていますが、何かとトラブルが続く同社にとっては厳しいものがあります。

 事故は昨年12月4日、都内のマンションに住む女性が「AWD−X1」で衣類を乾燥させていたところ出火、部屋の壁が焦げたものの女性にけがは無かったといいます。問題の配線は、2本の電線を銅製チューブに差し込み、チューブをつぶして電線同士を接続する構造部で、出火した洗濯機では、作業員のミスでチューブをつぶしていなかったため接触不良が起こり、600〜700度まで過熱していたことがわかりました。AWD―U1も出火した機種とほぼ同じ構造だといいます。

 一方同社は昨年1月26日、04年以降にリコールした洗濯乾燥機が修理後にも発火、利用者がやけどを負う事故が起きていたと発表しました。問題の製品は16万4000台に上り、全対象機種を再点検・無償修理するとしています。しかし同社はリコール後の発火事故を公表しておらず、同日、経済産業省の指導を受けてようやく公表したもので、優先すべきは安全、との認識が無いようです。同省は「修理が終わるまで乾燥機能を使用しないように」と呼びかけています。

 発火事故は最初のリコール前の3件を含む計7件で、問題の機種は乾燥とスチーム洗浄機能を使う際、配線とヒーターの制御回路の接合部分(2カ所)が過熱、回路を覆うナイロン製のカバーに引火する恐れがあるとされています。同社が出火の原因としたのは、先端に電子回路に差し込む端子が付いた大手部品メーカー製の電線で、銅線と端子の接続が不十分な不良品が混じっていたため大量の電流が流れて過熱する恐れがあるといいます。

 問題の機種は02年から04年にかけて販売され、3件の発火トラブルが起きたため、04年9月に不具合を発表、配線の接合部を修理し、カバーを不燃性のものに交換する無償修理に踏み切ったものです。しかし05年4月、甲府市で修理後の機種から発火、1人がやけどを負った事故があり、この機種は、カバーの交換など、決められた通りの修理がされていなかったことが判明しています。

 三洋電機が、発火の恐れなどがあるとして、2度にわたって無償点検・修理したドラム式洗濯乾燥機「トップオープンドラム」で、再修理後も発火事故が2件起きていたことが、2月26日にわかりました。
いずれも修理ミスが原因で三洋は3度目の無償点検・修理を行うというものの、同社はいったいどうなっているのでしょう。

 過去2度の点検・修理での改修率は08年1月末現在で93.9%で、三洋は、使用中とみられる約15万台の利用者に、2月中旬から、再点検への協力を求めるダイレクトメールを順次発送しています。
 今回発火したのは07年9月の北九州市と同12月の北海道小樽市で、けが人や家屋への延焼はなかったといいます。発火の原因はヒーター回路の配線の端子への接続が不十分だったためで、2件とも04年時点で問題部分のカバーを難燃性のものに交換し、07年1月には、再点検のため、カバーを取り外し、配線の接続をやり直していたものです。同社では今回の事故は、この配線接続の際、作業ミスで接続不良となった可能性があるとしています。

 工業製品においては設計欠陥は少なくなりましたが、相変わらず製造・作業欠陥が出ています。このことは人の作業の信頼性や検証に、企業が力を注がなくなったのではないでしょうか。技能者のレベル低下、これは今後も続くことなので、企業はその対応を急がねばなりません。

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山車の支柱亀裂が原因/TDLの飾り落下事故

 千葉県浦安市の東京ディズニーランドで8日、パレード中の山車の鉄製支柱が折れ、飾りが落下した事故で、運営会社のオリエンタルランドは30日、支柱に発生した疲労亀裂が原因で破断したとの調査結果を公表しました。

 昨年9月時点で深さ1ミリ、長さ30ミリの亀裂が発生していたと推定されていましたが、同10月の定期点検では発見できず、その後亀裂が大きくなり、事故が起きたとしています。

 オリエンタルランドは亀裂を発見できなかった理由について、「山車を製作した業者に委託していた定期点検で、無資格者が検査したため適正に行われなかった」としています。

 10月の点検結果報告書では、無資格者の関与が分からなかったようですが、資格者の登録名簿の提出など、検証のためのデータ提出は求めていなかったようです。TDLの安全管理システムにも、問題があったのでは無いでしょうか?

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平成18年度事故情報収集制度報告書

 経済産業省は13日、製品の老朽化による事故を防ぐため、普及台数が多い洗濯機、テレビ、エアコン、扇風機、換気扇の家電5品目について、安全に使える耐用年数や注意事項を製品本体に表示するよう、メーカーに義務付ける方針を固めました。

 14日に成立する見通しの、改正消費生活用製品安全法(消安法)に制度概要を盛り込み、政省令で5品目を指定することになります。耐用年数は、経産省がまとめる「基本的考え方」に沿って、各メーカーが「製造後10年間」など製品ごとに定めるとしています。

 今年8月に東京都内で長年使っていた扇風機が発火し老夫婦が焼死するなど老朽化家電の事故が続発、このため製品に「耐用年数を超えて使用すると事故の恐れがあります」などの注意事項や問い合わせ先を表示し、消費者に一定期間後の点検や買い替えを促す狙いです。

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折りたたみ自転車の安全性/国民生活センターのテスト結果

 通勤・通学など日常的な使われ方も増えてきた折りたたみ自転車の安全性について、 国民生活センターがテストを行ったので、そのレポートを紹介します。

 センターが消費生活情報として収集しているPIO-NETには、事故事例が5年間で54件寄せられ、「走行中、突然左ペダルが折れて転倒し手のひらを骨折」や「走行中、突然ハンドルの固定金具が外れ転倒し足を骨折」といった重大事故も含まれていました。

 センターでは、消費者アンケートで使用実態や問題点を明らかにするとともに、日常的に使用する上で強度やブレーキなどの問題を調べるため、自転車専門店及び大型のスーパー、ホームセンターなどで店頭販売されていた普及価格帯(1〜3万円程度)の折りたたみ自転車12銘柄をテスト対象銘柄としました。

 現在所有している人では、使用頻度が週に1回以上なのは約4割、主な使用目的を「日常の足」としていたのは約4割であり、レジャー用品ではなく日常的な自転車であることが分かりました。折りたたみ操作をあまりしないのは7割で、乗車前に折りたたみ箇所を日常的に点検する人は半分以下でした。
 現在所有または過去に所有していた人では、走行時に経験した不具合としてペダル関係、ハンドル関係を回答したのはそれぞれ2割、フレーム関係を回答したのは1割でした。このほかの指摘として、ブレーキが利かない・利き過ぎるとの回答が1割ありました。

 フレームやハンドルステム(ハンドルを支える支柱)の折りたたみ部分を固定するクイックレリーズを調べたところ、ほとんどのものは急に折りたたまれにくい構造であることが確認されたといいます。ただ、レバーを解除するときの力が50N(5.1kgf)未満と弱いものがありました。

 ペダルに折りたたみ機構を採用していたものがあったことから荷重に対する強度を調べたところ、折りたたみ機構を採用していたペダルは外側に荷重を加えると下方に大きくたわみ、さらに折りたたまれたり破損したものもありました。
 交通安全に必要な装備が取り付けられているか調べたところ、無灯火走行にならない安全なハブダイナモ式のランプを採用していたものがあった一方、ランプと前方リフレクタのいずれも装着していなかったものがありました。

 ハンドルステムやフレームの折りたたみ部に固定状態の点検を促す内容があるか、固定のための具体的な操作方法が記載されているか調べたところ、十分な表示がないものが多かったといいます。

 折りたたみ自転車は、乗車前にレバーが正しく固定されているかなどの点検が必要となり、また一般的な自転車と運転感覚が異なるため、センターでは購入に際して本当に折りたたみ機能が必要か検討することを薦めています。

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