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2008.5 No.173  発行 2008年5月20日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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4月のニュースから

■樹脂製サンダルの改善要請/エスカレーター事故33件受けて

 樹脂製サンダルを履いた子どもらがエスカレーターのすき間に足の指を巻き込まれる事故が昨年6−11月に少なくとも33件あったことが分かり、経済産業省は18日、主力メーカーの米クロックス社に、サンダルの構造・材質の改善や、消費者への注意喚起を要請しました。

 経産省所管の製品評価技術基盤機構(NITE)がクロックスを含む7社の製品で実験を行った結果、「樹脂製サンダルは、柔らかく伸びやすい性質から、巻き込まれる事故が起きやすい」との結果が得られ、同省が行政指導に踏み切ったものです。

 クロックス製サンダルは2007年に国内で約390万足販売されたヒット商品ですが、他にも10社程度が類似品を扱い、同様のサンダルは計500万−600万足が販売されたとみられています。

 NITEでは、事故報告件数や再現試験の結果から、樹脂製サンダルは、各銘柄とも、巻き込まれやすい傾向にある製品であるとしています。それは材質の共通特徴である「滑りにくい」、「軟らかい」及び「伸びやすい」の3つの性質を併せ持っていることが巻き込まれの要因の一つとなっていると推定しているからです。

 他の要因としては、履き物の形状、履き物のサイズ、スカートガード(又は踏段ライザー)への履き物の押しつけ程度、エスカレーターのコンディション(スカートガード部に潤滑剤が塗布状況等)等種々の要因が相互に影響し合って事故が発生しているとの認識も示しています。

 しかし、こうした巻き込まれ事故は、エスカレーターの正しい乗り方を理解し守っていれば、防ぐことができ、また今回の事故は、子供において多く発生していることが、特徴的であるとしています。これは、サンダルのサイズが小さいと素材が薄くなり、より伸びやすくなることなども考えられるものの、子供には正しい乗り方や危険性を認識できていないことも影響していると推定しています。

 その上で、スカートガードに摩擦が低下するシリコンを塗布すると、巻き込まれのリスク低減に効果的であると考えられるとしています。

その中で、サンダルの製造・輸入事業者に向けには、次の要望をしています。
1. 樹脂製サンダルにつては、製品のタグやパッケージなどで、子供が見てもわかりやすい方法で注意喚起を徹底して行うことを要望する。
2. 事故が多発した樹脂製サンダルについては、万一、エスカレーターで正しい乗り方がなされなかった場合に備えて、今後、巻き込まれのリスクの低減のため、動摩擦係数を低下させる、硬さを強化する、伸びにくくする等の材質の改良・変更を図る、甲部分が直接エスカレーターに接触しにくいようにする等、形状・構造の改善を図る等の商品設計の工夫を要望する。


またエスカレーターの保守事業者、エスカレーター設置者に向けては、次の要望をしています。

1. 事故防止の1つとして、エスカレーターのスカートガードの動摩擦係数を低下させることが有効と考えられます。このため、エスカレーターの日常の保守において、スカートガードにシリコンオイル等の潤滑剤を塗布することを要望する。
2. 黄色い線の内側に立つ等正しい乗り方について、注意表示ステッカーの貼付・設置、注意放送等を、今後とも徹底することを要望する。

一方消費者に向けては、次の点の注意を促しています。
1. エスカレーターに乗る時は、エスカレーターに貼られている注意表示や、エスカレーター乗降時にアナウンスされている注意放送に従い、正しい乗り降りをして、特に、「黄色い線」を踏まず、「黄色い線」の枠内に立つように注意すること。
2. 子供で事故が多く発生していることから、保護者の方は、子供がエスカレーターを使用する際は、危険な乗り方、遊び乗りなどをしないよう、エスカレーターの正しい乗り方を教えるとともに、子供の安全な乗り降りに注意すること。
3. 樹脂製サンダルを履いてエスカレーターに乗る時は、特に上記1、2を注意するとともに、当該サンダル以外であっても、ゴム製の履き物、ビニル製の履き物、靴紐、裾丈が長い衣服などでも、巻き込まれる可能性があるので注意すること。


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吉野家向け輸入牛肉に危険部位混入/米国産輸入再開から初発覚

 農林水産省は23日、米国から輸入された牛肉に、BSEの原因となる異常プリオンがたまりやすい特定危険部位の脊柱が混入していたことを明らかにしました。牛肉はカリフォルニア州のナショナルビーフ社カリフォルニア工場から出荷されていたものです。米国産牛肉は、特定危険部位を除いて輸入されることになっていることから、同省などは同工場からの輸入手続きを停止しました。

 特定危険部位の混入発覚は平成18年7月の米国産牛肉輸入再開以来、初めてのことで、同省によると、牛丼大手「吉野家」が昨年8月、同工場から伊藤忠商事を通じて輸入したバラ肉700箱(17トン)のうち1箱に、脊柱部分を含む骨付き肉(27キロ)が混入していたといいます。21日夜、吉野屋で保管されていた肉を同社が検品した際に発見し、翌日、伊藤忠を通じて同省などに報告したものです。

 700箱には、特定危険部位などが含まれていないことを証明する衛生証明書が付けられていて、ほかの699箱からは特定危険部位は見つかりませんでした。
 同省などの問い合わせに、米国大使館は「日本向けでない肉が入ってしまった」と回答していて、同省は、出荷・輸入の際のミスとみています。

 米国産牛肉に、BSEの原因物質が蓄積しやすい「危険部位」が混入していたことで、牛肉を輸出した米大手精肉業者と取引のある流通・外食企業は24日、対応に追われました。問題の牛肉は市中に出回っておらず、今のところ影響は限定的だといいますが、米国産牛の安全管理上の不安はぬぐえないものです。

 「『特定危険部位』を含む牛肉が店頭に出荷される可能性は全くありません」、と吉野家ホールディングスは24日、「牛丼の安全性について」と題する文書を発表し、安全性を改めて強調しました。電話やメールで問い合わせが数十件あったといいますが、「安全管理に問題はないのか」と批判する内容と「水際で見つけたことを評価する」という好意的な内容が半々だったようです。

 伊藤忠商事は「政府による検査があるため、今までは箱の中身を調べることはしなかったが、検査の強化策を検討したい」と述べています。

 牛肉を輸出したナショナルビーフ社は、米国でメジャーに次ぐ「準大手」で、高品位の牛肉を手がけることで定評があり、日本国内でも多くの外食や流通企業が取引している企業だとされています。
 取引のあるダイエーやマルエツは24日、ナショナル社の牛肉を店頭から撤去して、売り場には「お客様の心配に配慮し、販売を中止します」との告知文を掲げました。

 共同仕入れ機構「シジシージャパン」も扱う米国産牛の全量をナショナル社から調達し、加盟約100社のスーパーに卸していますが、問題のあったカリフォルニア工場の製品は全体の8%で、同工場からの仕入れは当面停止するとしています。

 外食産業では、ステーキチェーン大手の「どん」が、同工場の牛肉を使ったメニューをやめた一方で、ナショナル社と取引がある外食大手の「すかいらーく」は「自社の全量検査後に使用するため問題はない」としています。

 大手スーパーでも、イトーヨーカ堂は「販売する側も冷静に対応しないと、逆に消費者の不安をあおる」と米国産牛の販売を続ける考えですが、ユニーはナショナル社からの牛肉だけでなく、米国産の販売はすべて中止し対応は分かれました。

 さて政府としての対応ですが、「今回の事例は、アメリカの農務省が発行した輸出証明書の表示、日本向けバラ肉とは明らかに違うものであり、これは誤って積まれたということで、対日プログラムのシステム上の問題ではないという認識をして、輸入停止等の措置は必要はないとしています。

 さらに、輸入業者等に対しては、国内流通団体における検品を徹底することを指導するとともに、輸入時の検査の抽出率を1%から10%に当面引き上げるという措置をとった」などと話していますが、国内流通団体での検品の徹底を指導、という的外れな対応なのは一体どうなっているのでしょう。

 源流管理の原則で考えると、日本政府の基本姿勢は米国の牛肉の安全性が保証されるよう要求することが第一であり、我が国の輸入企業に対して「米国のいたらないところを各企業で安全性を担保しろ」というのは、あまりにも米国に配慮しすぎの感がします。

 米国内における流通・検証システム内での運用が妥当であるかどうか、その検証がまず大事なのですが、政治的にアメリカの圧力に屈しているかのようです。国民に適切な説明を行なえない政府には、安全に対する基本的ポリシーがないのでしょう。

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ダイエット食品に排除命令/「老廃物排出」と根拠のない広告で

 「老廃物を排出する」などと、根拠のない広告で健康食品を販売したとして、公正取引委員会は1日、景品表示法違反(優良誤認)でウィズダムコーポレーション(東京)と横浜市の通販会社に排除命令を出しました。

 公取委によると、両社は2006年10月から今年1月にかけ、インターネットや折り込みチラシで錠剤「ゲルマデトックスダイエット」などを販売、「ゲルマニウムでやせやすい体質をつくる」などと表示していましたが、合理的な根拠はなかったといいます。

 両社は商品の実際の成分を確認することすら怠り、モデルを使い「2週間で体重が5キロ減った」などと架空の体験談を紹介していたものです。

 両社の錠剤などの売り上げは計約4800万円ということですが、民放のテレビCMでは健康・ダイエット商品ばかり延々と続くことも多く、いかに儲けの多い商品であるかが分かります。その裏には番組の言葉に躍らされている国民が多いことも事実でしょう。今回は、錠剤に健康を害する成分が無かっただけでも、良いとすべきかもしれません。

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気象庁、大雨・洪水警報を見直し/土壌の雨水量など考慮

 大雨と洪水の警報・注意報をより的確な防災対策に役立ててもらおうと、気象庁は30日までに、警報などを出す基準を24時間雨量から、土壌に染み込む雨水や、山の斜面などを流れ下って集まる雨水の指数に改めることを決め、5月28日から導入するとしています。

 2004年に福島や新潟、福井での豪雨や台風で大きな被害が出たことを教訓に、警報などの見直しを進めていたもので、東京都多摩南部を対象に新方式をシミュレーションした結果、過去15年で41回出た洪水警報の「空振り」を29回に減らせたといいます。

 従来の注意報・警報は1、3、24時間雨量が基準を超えると予想された区域を対象に発表していましたが、新方式の大雨警報・注意報は、土壌にたまった雨水を計算し、地盤の緩み具合を知る目安となる「土壌雨量指数」を、洪水警報・注意報は、対象地域の周囲に降った雨が時間をかけて流れ下り集まることを計算し洪水の危険性の目安になる「流域雨量指数」を、24時間雨量の代わりの指標とするものです。

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関西の駅は“喫煙天国”/鉄道各社、遅れる対策

 近畿管区行政評価局は17日、近畿6府県の駅ホームの受動喫煙防止対策を調査した結果を発表しましたが、それによると鉄道26社のうちホームを全面禁煙にしているのは6社にとどまり、ラッシュ時に禁煙タイムを設けているのはわずか2社でした。

 首都圏では構内を全面禁煙にする社がほとんどで、近畿の対策遅れが露呈した格好で、同行政評価局は同日、対策の徹底を鉄道各社に求めるよう要請する「あっせん文」を近畿運輸局に出しました。受動喫煙対策で運輸局にあっせんするのは全国初といいます。

 調査は、滋賀県の鉄道利用者から昨年10月、投書を受けて今年2月に実施したもので、近畿の主な26社の取り組みを調べました。

 全面禁煙にしているのは北大阪急行や大阪市営地下鉄など6社で、JR西日本や近鉄、南海など大手を含む20社はいずれも喫煙コーナー設置による分煙にとどまり、うちラッシュ時間帯を禁煙にしているのは阪急と阪神の2社だけだったといいます。

 大阪では、ホームできちんと並ばない、2重に連なる駐車違反は当たり前など、独自の文化? がありますが、禁煙の取り組みも難しいようです。

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