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2008.6 No.174  発行 2008年6月24日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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5月のニュースから

■オーブン機能付電子レンジのカラ焼きで小鳥が死亡?/国民生活センターが調査要望
 オーブン付き電子レンジを使用した際、ペットのインコが死ぬ事故が相次いでいることが分かり、国民生活センターは8日までに、有毒ガスが発生していないかを調査し改善するよう、メーカーでつくる日本電機工業会に要望しました。

  センターなどによると、昨年12月、埼玉県の女性が新品のオーブンレンジに何も入れないで空焼きした後、オーブンとして使ったところ、近くで飼っていたインコ2羽が死んだもので、同様の事故は2002年と1997年にも報告されているといいます。

 センターが大手メーカーに問い合わせた結果、4社の製品で同種事故が起きていることが判明、オーブンレンジ製造時に庫内に付着した油が焼け、有害ガスが発生した可能性があるとみています。

 カラ焼きは、オーブン機能付電子レンジを初めて使用する際に庫内に付着している油を焼き切ったり、脱臭させるために行うもので、消費者にカラ焼きを行うよう取扱説明書に記載しているメーカーが多いとのことです。

 センターでは、「人間に悪影響を与えないということが明らかにされていないにもかかわらず、カラ焼きを消費者に行うよう求めているメーカーの姿勢は問題である。消費者に危険を負担させるのではなく、メーカー側でカラ焼きを行った上で出荷すれば、消費者が使用する際に何らかの有害なガスが発生する可能性は低くなると考えられる」と述べています。

 確かにから焼きをすると、金属や表面処理剤のせいか、とても不快なにおいが部屋中に充満します。このガスが人体に悪影響しないという保証は誰もしてくれていませんが、これは明らかにメーカーが負うべき責任範囲です。メーカー側はそのことを理解した上で、今までの対応を真摯に検証、今後の対策を急いでほしいものです。

 鳥は毒ガスにとても敏感だということは昔から言われていますが、今回のケースから人にも有害な成分が含まれていると思うのが一般的考えではないでしょうか。
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自動折畳み傘の事故増加/国民生活センターが注意喚起

 折りたたみ傘には、手の力で開閉するもの(手開き式)と、ボタンを押すと自動的に開くもの(ジャンプ式)があり、どちらも利便性の高い商品として人気がありますが、国民生活センターには事故情報が多く寄せられているといい、なかには重い後遺症が残るケースもあるようです。

 事故例1では、朝、出勤する際にジャンプ式を使用したあと、会社で広げて干していた。昼ごろ、畳んで傘袋に収納しようとしたところ、急に柄(手元)が飛び出してきた。額を切り、すぐに病院に行ったところ、こぶが黒ずんでいて後遺症が残るかもしれないとのことだった。その後、頭痛がするので精密検査を受けることになった。メーカーの日本代理店は商品代金を返金し、治療費を払うと言っている。

 事故例2は、自動開閉式を閉じて畳み、傘袋に入れるため持ち替えようとした時に、突然柄(手元)の部分が伸びてきて左眼を直撃した。その直後から左眼に白いもやがかかり、痛みがあった。
眼科医の診察を受けたところ、左眼前房出血を起こしていると言われた。1カ月程通院し出血は治ったが、事故で瞳孔括約筋が切れたため、瞳孔が開いたまま閉じない散瞳と診断され、一生治らないと言われた。部屋の明かりなど、通常であれば異常を感じない明かりであってもまぶしく、日常生活が非常につらい。
同様の事故が起きるのではないかと思い、消費生活センターに連絡した。

 このように自動折畳み傘の事故が増えているという背景には、自分の力を使わなくてすむ便利な製品特有の、機械任せ・人任せの心理が働き、注意深い行動をとらない人がでてくるのかもしれません。

 女性や子供などでは中棒を押し込む力が足りず、きちんとロックされなかったりすることも想定され、一般の人でも傘を閉じるときに開閉ボタンに触れてしまう危険性もあるようです。

 いずれにしても後遺症が残るなどの事故が発生している現状では、業界団体には構造的な改善や販売店側での注意を促す対応が強く求められます。

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ヨーグルト120万個回収、樹脂混入でオハヨー乳業

 岡山市のオハヨー乳業は27日、茨城県鉾田市の関東第1工場で製造したヨーグルトに、工場の床に塗装された樹脂片(エポキシ樹脂)が混入していることが分かり、全国47都道府県に出荷した3商品約120万個を自主回収すると発表しました。健康被害は報告されていないといいます。

 同社によると、26日、「旨実が違う まるごと苺&ヨーグルト」を購入した堺市の女性客から「ヨーグルトに硬い物が混じっている」と苦情があり、その後、同様の問い合わせが北海道や千葉、横浜、名古屋などから相次いだといいます。

 回収した商品を調べた結果、原料を混ぜるタンクの空気圧を調整するために外の空気を吸う管が、誤って工場の床に塗装された樹脂を吸い込んだのが原因のようですが、衛生管理を徹底すべき商品製造現場において、これはあまりにもずさんです。

 今回はエポキシ樹脂でしたが、ある程度の大きさのものが吸い取られるということはフィルターも無かったようです。外の空気、という言葉がはっきりと屋外を意味しているかは分かりませんが、もしそうであれば外の環境中には虫などの混入もあり得ることを示し、また工場の立地によっては農薬などの有害物質が吸い込まれる恐れもある、ということです。

 また屋内の空気を吸う場合であっても、管の先が通常とは違って床の近くにあったことを発見した段階で、それまでの製品についての追跡調査をしなければならなかったはずです。どうやら同社は品質管理の基本ができてない企業のようです。困ったものです。

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経産省の試買テスト結果をうけ2事業者が商品回収

 経済産業省は消費生活用製品の試買テストを実施、今回テストを行ったうち、玩具に類する金属アクセサリーの製造・輸入を行っている2事業者がこの試買テストの結果を踏まえて商品の回収を始めました。
回収を表明した2事業者の回収対象商品は、法令違反や事故の発生はないものの、デザインに障害の危険性があるもの、塗装や材料にクロムや鉛の基準値を超えるものが数点あったとするテスト報告を受け、回収することを決めたものです。


回収の対象となる製品は以下のとおり。
【日本トイザらス(株)】
◇対象製品(販売期間):
「ドリームダジラー・ミニバレッタ12PC」(H18年5月〜H20年4月)
「ドリームダジラーサークルメガパック・パステル120pcs」(H19年7月〜H20年4月)
「ドリームダジラーサークルメガパック・ブライト120pcs」(H19年7月〜H20年4月)
「ドリームダジラーバレッタ3PC」(H19年2月〜H20年4月)
「ドリームダジラー・ヘアアクセサリーセット・バッグ入り」(H19年7月〜H20年4月)
◇問い合わせ:0120-066-603(6/1までは10:00〜20:00、6/2〜6/27までは土・日・祝除く10:00〜20:00、6/30〜は土・日・祝除く10:00〜18:00)
【三起商行(株)】
◇対象製品(販売期間):
「ミキハウス・スリーピンセット(黄色)」(H19年7月〜H20年4月)
◇問い合わせ:0120-230-755

 日本トイザらスは22日、中国で製造した髪留めの塗料から基準値を最大で約50倍上回る鉛が検出されたとして、5品目、計約1万5000個を自主回収すると発表しました。

 回収される製品は米アルマー・セールス社(ニューヨーク州)が中国の契約工場で製造、全国のトイザらス店舗で2006年5月10日以降、順次販売したもので、トイザらスは「当初の自主検査では問題がなく、人体に影響を及ぼす危険性は極めて低い」と説明、これまでに健康被害の報告はないといいます。

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基準値を超える残留農薬/アメリカ産オレンジから

 アメリカから輸入されたオレンジから基準値を超える残留農薬「ペンディメタリン」が0.08ppm検出(基準値0.05ppm)されたことから、厚生労働省が回収を命じました。

 これらのオレンジはすでに全量が通関済みで、国内に流通する恐れがあるので、各自治体に対して流通、販売がないよう対応を求めているとのことです。

 日本の検疫検査は輸入食品のごく一部しか行っていないので、今回のようにわずかに基準値を上回った程度ではことさら心配しなくても良いですが、数倍から数十倍の農薬などが付いていた場合にも何も対処できない、そのことは知っておくべきでしょう。

 「安全・安心」と標語みたいに使われるのが最近の風潮ですが、自ら食べる食品・食材の安全について「相手の顔が見えるもの」を購入するなど、消費者も意識する必要があります。

 ところでスーパーなどで生産者の顔写真が印刷されているものが最近多く見られます。ただしそれらは安心の根拠とな使用農薬の種類や散布回数などのデータを示していることはほとんどありません。これらのパッケージは、生産者・販売店の売るためだけのイメージ戦略と思われ、用心しなければなりません。

 できればこのような消費者の意識を騙すような行為に対する、法的規制が必要だと思いますが、どうなのでしょう。

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輸入食品ずさん検査、業者任せ/総務省、2省に改善勧告

 空港や港湾で実施されている輸入農畜水産物の検査実施状況に、検体のサンプル抽出が業者に任されるなどの不適切なケースがあるとして、総務省行政評価局は23日、所管する厚生労働省と農林水産省に改善を勧告しました。


 調査は、鳥インフルエンザやBSE、中国製冷凍ギョーザ中毒事件などで輸入食品の安全性に対する国民の関心が高まっていることから、総務省が昨年12月から今年5月まで全国の動物検疫所25カ所と植物防疫所33カ所の輸入検査や、検疫所24カ所のモニタリング検査の実施状況を調査しました。

 このうち動物検疫所22カ所では、輸入検査要領で家畜防疫官が検査する畜産物(検体)を無作為抽出するよう規定されているものの、実際には輸入業者などが事前に選んだ検体を検査することが常態化、業者任せの実態が判明しました。

 また、検査する畜産物の抽出量が不足(2カ所)していたり、書類検査の内容や結果に対する確認・点検が不十分(15カ所)だったりしていたことも分かりました。

 動物検疫所によるBSEの病原体がたまりやすい特定危険部位の混入検査は、実施目標を輸入申請件数の60%に設定していますが、調査対象の28カ所の空港と港のうち、2004年度の保存データでは35%の名古屋港など、4港の実施率が50%未満にとどまっていました。

 輸入食品のモニタリング検査では、H16、17年度の残留農薬やカビ毒など半数近くの項目で、統計学的に必要な検体数を検査していなかったことが判明、なかには2年連続で検査予定数の半分以下だったケースや、レトルト食品2品目にあっては2年連続で検査がまったく実施されていないケースもあったといい、そのずさんさにはあきれてしまいます。

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コルチカムの毒に注意/球根、葉で食中毒死も

 国民生活センターは7日、コルチカム(イヌサフランの園芸名称)の毒性についての報道発表で注意を促しました。(コルチカムはその球根を机の上に転がしておくだけで秋頃に突然花の咲く変わった植物です。)
センターでは、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に「ペットの犬が庭に植えていた球根を食べてしまい、血を吐いて死亡した。球根の毒が原因のようだが、危険表示などがなかった」という相談が寄せられたことから調査した結果、コルチカムの球根や葉には有毒成分であるコルヒチンが存在し、過去には人間の食中毒死亡例もあることが分かったといいます。

 そこでセンターでは、コルチカムの毒について情報提供するとともに、今回の事故の原因と思われる球根が販売され始める時期を前に、表示等について業界へ要望することとしたものです。

 問題点として指摘しているのは、芽吹いたコルチカムとギョウジャニンニクの葉が似ていることから、誤食事故が起こる。生で食べるならギョウジャニンニクは独特のにおいがするが、調理するとにおいが分かりにくくなるため区別がつきにくくなる。一方で、有毒成分が存在し、誤食した場合に重篤な事態が発生するおそれがあることを知る消費者は少ない。

 また、土や水がなくても花が咲くことをうたっているケースもあり、球根をテーブル等の上に置いておくことで、乳幼児や子どもが誤って口に入れる危険がある。

 販売方法の問題として、“球根をそのあたりに転がしておいて、土や水がなくても勝手に花が咲く丈夫な植物です”等のうたい文句でインターネットショップや一般の園芸店等で販売されていたり、有毒成分が存在する旨の注意表示がみられなかったりと、購入時に消費者にはその危険性が伝わっていない。
  植物には有毒成分を含むものも多く存在するので、食用と正確に判断できない植物は食べない。
このようなことから消費者には、名前を明記した袋に球根を入れて、乳幼児や子どもの手が届かないところに保管する、食べ物と間違えることがあるので台所には置かないよう求めています。

 確かに園芸店では最近よく見る植物ですが、その毒性については知られていないようです。幼児が誤って食べてしまうことは十分考えられることから、かざる場所・保管場所などには気をつけたいものです。

 6月に入ると、アジサイの葉をプレートの飾りとして提供したイタリアンレストランで、その葉を食べてしまった客の食中毒事件がありました。見た目の季節感から、アジサイの葉を安易に提供したレストランは、プロである以上「知らなかった」では困ります。

 食品として利用されてこなかったものを誤って食べることの危険性について、改めて注意したいものです。

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