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2008.7 No.175  発行 2008年7月22日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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6月のニュースから

■三洋電機のオーブンレンジ88万台に発火の恐れ

 経済産業省は6月20日、三洋電機製の小型オーブンレンジ88万4708台に発煙、発火の恐れがあるとして、消費者に注意を呼びかけました。同社は無償点検と修理を始め、電話窓口で顧客からの連絡を受け付けています。

 対象となるオーブンレンジは、三洋電機のグループ会社、三洋電機コンシューマエレクトロニクス(旧鳥取三洋電機)が2000年6月から2007年9月に製造、販売したもので、三洋電機ブランドの30機種と、雑貨店「Francfranc(フランフラン)」ブランドの1機種で、これまで重大事故にあたる火災が3件発生したものの、人的被害は出ていないといいます。

 発火事故は、オーブン・グリルを使用中に冷却用ファンが燃えるものが今年4月から5月にかけて神奈川県で2件、東京都で1件発生しました。しかし火災事故には至らず、人的被害はなかったといいます。事故原因は調査の結果、電源コードセットの製造時の不具合により、接続が不完全なコードセットが混入したことが明らかになり、経年変化に伴って接続不良個所が発熱し、火花を伴って電源コードの被膜が発火し、その炎が冷却用ファンに延焼する可能性があるといいます。ただ、三洋側の説明によると、延焼はオーブンレンジ本体に留まり、拡大被害はないとしています。

 該当製品は本体前面か側面に「EMO-」で始まる機種名に続く英数字で、BC8、CH4―10、CH8FF、H40、H60、KDH1、ME5、MVP5―7、S4―9、SJ9、T5―7、TH5―6、CH3、S3(HL)、SH1(H)です。


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廃棄テレビから有害物質/ちりに臭素化ダイオキシン

 国内で廃棄されたブラウン管テレビの内部などにたまっているちりに、毒性が強いダイオキシンと構造や毒性が似ている有害な臭素化ダイオキシン類が高濃度で含まれていることが、愛媛大の森田昌敏教授らの分析で23日、明らかになりました。

 テレビをつけていると出る熱で、テレビを燃えにくくするためにケースに含まれている臭素系難燃剤から臭素化ダイオキシン類が生成され、ちりの中に蓄積するとみられています。こうした難燃剤の使用量は最近少なくなっていますが、現在使われているテレビにはまだ多く、研究グループの武智庸祐さんは「地上デジタル放送への移行に伴って、廃棄されるテレビは増加が予想され、リサイクル作業者が臭素化ダイオキシンにさらされる危険もある」と指摘、家庭での使用時の拡散状況を含めた詳しい調査が求められるとしています。

 グループは、愛媛県内のリサイクル業者の協力で、廃棄されたテレビ15台からちりを集め分析、すべてから臭素化ダイオキシン類が検出されました。最高濃度はちり1グラム中3万4000ピコグラム(ピコは1兆分の1)で、最低は同870ピコグラムでした。

 テレビのちりに臭素化ダイオキシン類が含まれることは2004年、国立環境研究所などの調査で明らかになりましたが、その後詳しい報告がほとんどなかったことから、今回の調査は貴重なものだといいます。難燃材を使った電子機器がある室内のほこりから、臭素化ダイオキシンを検出したとの報告もあり、家電製品や電子機器が原因の室内汚染についてさらに詳しく調べる必要があります。

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天ぷら鍋火災の対処について/国民生活センターが注意喚起

 天ぷら鍋火の初期防止として販売されている商品に消火用布がありますが、消費生活センターに「初期の天ぷら油の火災に使用できる旨の表示がある消火用布があるが、実際に消火できるか心配である。消火できる性能があるか調べてほしい」というテスト依頼がありました。

 天ぷら鍋火災については、東京消防庁「平成19年中の火災の概要」によると、平成19年の管轄区域内の全火災件数5,799件のうち、天ぷら鍋火災が原因であったのは396件(約6.8%)で、全火災件数が平成18年(5,915件)よりも116件減少しているにもかかわらず、天ぷら鍋火災の件数は平成18年と同数の396件で、全火災件数に占める天ぷら鍋火災の比率が前年よりも増加していることが伺える、としています。

 また、神戸市消防局が、天ぷら鍋火災の初期消火でタオル類、布団・毛布等を被せるなどで消火する際に、「適切でない消火手段をとったために逆に被害を拡大させたり、危険をともなう消火手段をとったために消火作業時に負傷するといったケースが多発している」との報告を行っています。

 そこで今回センターでは実際の火災で消火用布を用いて消火できなかった場合には、人の生命・身体などに重大な被害を招きかねないため、消火用布が実際に天ぷら鍋火災の消火に効果があるのか、消火性能を調べることとしたものです。

 今回は、神奈川県相模原市及び東京都町田市の店頭販売、またはインターネット通信販売等で購入可能であった消火用布、計4銘柄をテスト対象としました。消火性能テストでは、消火用布での消火の練習を繰り返し行った職員が消火を行いましたが、再び火がつくことがあり、16秒から57秒の間ですべての銘柄で再出火しました。

 また神戸市消防局は、てんぷら油火災では5件に1件の割合で負傷者が発生、その約85%が消火活動中に負傷しているとのデータを示しています。(http://www.city.kobe.jp/cityoffice/48/life/tenpurara.html)
そこでは取り扱いに難がある毛布・座布団、消火用布よりも、強化液消火器が一番適していて、次に粉末消火器を勧めています。
水をかけたり鍋を運んだりすることは特に危険性が高いので、絶対に行わないよう注意を促しています。また 
  油が発火した鍋にマヨネーズを入れる方法は、テレビなどで紹介されたことから意識している方も多いと思いますが、マヨネーズの量が少ない場合は十分な効果が得られず、油が多い場合は油があふれて火傷をしたり、火災を拡大させることがあるといい、消化できることもあるものの確実性に欠ける方法だとしています。

 天ぷら油の火災では、とっさの事態に混乱することも多いですが、常に消火する自分の安全を考えた行動を頭に入れて置かねばなりません。

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大桑村で運搬中の丸太落下/ヘリ会社、情報放置

 長野県木曽郡大桑村で3月、伐採した丸太を運搬中の「アカギヘリコプター」(東京)のヘリが、長さ約10メートル、重さ約200キロの丸太1本を、民家から200メートル余り離れた民有林内に落とし、配水管を壊していたことが分かりました。

 直後にパイロットから上がった情報は、外部から指摘があるまで社内で放置され、同社が国に報告したのは約1カ月後で、国土交通省東京航空局は「すぐ国に報告しなければならなかった事態、社内体制に問題があった」として同社を指導しました。

 関係者によると、丸太を落としたのは3月13日で、大桑村野尻の国有林で伐採したヒノキの丸太にワイヤを付け、ヘリコプターから下げた数10メートルのワイヤの先端にあるフックに1、2本ずつ下げて同村殿の作業場まで下ろしていたときのことです。運搬中、2本の丸太がぶつかりあってはねていたところ、突風が吹いてひときわ大きく1本の丸太が跳ね上がり、ワイヤがフックから外れて落下したものです。落下した丸太は、8戸が沢水を農業や雑用水に利用するため管理している配水管を直撃、ジョイント部分が壊れ水が濁ったため、地元で応急処置をし住民の連絡で事情を知った木材会社が修繕したものです。

 同社によると、丸太落下の情報はパイロットがその日中に、ヘリが所属していた同社の吉野基地(奈良県)に報告しましたが、同社はどこに落ちたか分からず、人も入らない山間地と判断し、その情報を放置、搬出を委託した同村の木材会社にも知らせなかったものです。

 4月2日になってアカギヘリコプター本社の営業担当に、木材会社から「役場から問い合わせがあった」などと連絡があり、社内で調査を開始、同月14日国交省東京航空局に報告したものです。

 さてアカギヘリコプターですが、昨年4月、富山市の北アルプス・水晶岳で同社のヘリが墜落し、機長ら2人が死亡、乗客乗員8人が重軽傷を負った事故があり、その時に同社が、過去5年間に、国土交通省から厳重注意を2回受けていたことがわかっています。同省東京航空局運用課によると、2002年6月、奈良県御杖村で、大阪航空局の許可を受けずにヘリで木材の搬出作業を行った際、ヘリが墜落して機長が重傷を負い、04年5月には、検査を受けずにヘリを改造し、それぞれ厳重注意処分を受けていました。

 このような事実を考えると国交省からの厳重注意を受けていながら、機長など現場の人間に任せきりの実態が事故引き続き起しているようです。同社の安全運行管理面・労務面での問題について、国交省の委託を受けた第三者機関の調査も必要ではないでしょうか。

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ウナギ偽装事件など相次ぐ

 大阪市の水産物輸出入販売会社「魚秀」が、大量の中国産ウナギを国産に見せかけて販売していた偽装が発覚、水産大手マルハニチロホールディングスの子会社「神港魚類」も関与していたことからウナギの産地偽装がクローズアップされています。農林水産省によれば、魚秀は愛知県内に設けた架空会社を製造者とするラベルを中国産ウナギに張って出荷、神港魚類は偽装を認識しながら少なくとも一部を卸売業者に販売していたようです。

 架空会社は国内最大級の産地・愛知県一色町と同じ地名の別の場所にあり、明らかに偽ブランドを隠そうかの意図が見て取れます。また魚秀側が神港魚類の担当社員に口止め料とみられる現金を渡していたことなども判明しています。神港魚類の親会社、マルハニチロホールディングスの管理がずさんだったことは明らかで、大手企業の関与が問題となる事件で、ブランドホルダーとしての企業責任を認識してもらいたいものです。

 ウナギの偽装事件では1月10日、静岡県が中国産のウナギかば焼きなどを「国産」と虚偽表示して販売するなどしていたとして、浜松市西区の土産物販売店「さかな家物産店」にJAS法に基づき改善指示の行政指導をしています。同店はウナギ特産地の浜名湖周辺にあり、経営者は「浜名湖のそばなのに外国産と表示して販売することに抵抗があった」と釈明、非常に身勝手なことを言っています。

 県によると、同店は平成12年ごろから昨年7月中旬まで、中国から輸入したかば焼きと台湾産のウナギの白焼きを原産国を表示せずに販売、食品偽装が社会問題化してから表示の義務に気付き、昨年7月中旬以降は外国産でも国産と、うその表示をしていたものです。そして昨年11月、県に匿名の通報があり発覚、国内産も含め原産地を表示せずに販売したのは昨年1年間に約4000枚あり、虚偽表示だったのは少なくとも180枚で、同店は国産品も扱っていましたが、原産地にかかわらず全て1枚1300円で販売していたといいます。

 さて今回の事件、不正競争防止法違反の場合ですが、虚偽表示罪の最高刑(個人)は、懲役5年または罰金500万円で、これが詐欺罪となった場合は、2倍の懲役10年だそうです。ただ一般には、相手をだます「故意」があったことの立証と、偽装で得た「不法の利益」の存在が必要なため、立証が難しいようです。消費者をあざむく食品偽装がこれだけ頻発している以上、「やり得」を許さない法整備が必要ではないでしょうか。

 さて7月に入っても偽装事件は続き、茨城県は4日、中国産ウナギを「四万十川産」とした茨城県のインターネット通販業サンシロフーズに対し、JAS法の品質表示基準と景品表示法に基づき是正を指示しました。県によると、同社はホームページと商品パッケージに「四万十川産」と表示したウナギのかば焼きを、少なくとも07年5月以降に1万2657パックを販売、9割以上が中国産だったといいます。

 県は今年3月、富山県の消費者から「二重価格ではないか」との通報を受け、立ち入り調査、仕入れ伝票などから偽装が判明したものです。問題のウナギかば焼きは仮想商店街最大手「楽天市場」の07年グルメ大賞を受賞する人気商品で、同社は1回目の立ち入り調査後に販売を中止しています。

 味覚は好みの問題がありますが、味の比較ができないときの客観的評価は難しく、その結果ブランド信奉者が多くなります。インスタント食品などの加工食品を利用する人が増え、野菜などに含まれるセレンなど微量金属を摂取しないことで味覚音痴の人が増えているとの指摘もあります。お手軽な調理行動として加工食品に頼る人は多くいますが、自身で素材から調理しないため栄養価値については無頓着となり、宣伝やブランドといった情報をそのまま信用することになるのでしょう。そのような人が増えている現在、「口コミ情報の信頼性は低い」と思った方がよいと思います。

 同じく7月ですが、今度はアユでの偽装事件が発覚しました。東京都内のスーパーが静岡県産や岐阜県産の養殖アユに「徳島県産」「天然」と不正表示して販売したことが分かり、農林水産省関東農政局は九日、JAS法に基づき、スーパーを経営する「エンゼル産業」(横浜市)に改善を指示したものです。

 農政局によると、同社は都内、神奈川県でスーパー四店を展開。うち都内の「エンゼルファミリー門前仲町店」で、4月29日から5月7日にかけて産地を「徳島県産」と不正表示した養殖アユ計54匹を販売、このうち5月7日に売れた42匹には「天然」のシールも張っていたといいます。抜き打ち調査した農政局職員が、徳島県内の天然アユ漁の解禁日前に売られていたことや、2匹で380円と価格が安かったことを不審に思い、不正が発覚したものです。

 これでは高い価格表示であれば不審に思われないことを示していることになり、まだ不正を行っている業者は別の手を考えていくことでしょう。門前仲町店は農政局の調べに「前年の販売で残っていた『徳島県産』のラベルを使ってしまったと、言い逃れに終始しているようで、5月7日は販売促進のために『天然』と表示した」と説明、個人の責任を感じていないような「仕方なかった」とする弁明で、ひどいものです。不正に対して意識が完全に麻痺しているのでしょう。

 そして今日、22日になると今度は中国産のトラフグを使った産地偽装事件です。見た目で分からないものは、ばれないようにして儲ける、このようなレベルの業者のいかに多いことでしょう。何とかしてもらいたいものです。

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