Web版

2008.11 No.179  発行 2008年11月21日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

[ ASP トップ ] [ ASPニュース2008 ]

ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

.



10月のニュースから

カップ麺に防虫剤の残り香、日清食品回収へ

 神奈川県藤沢市内のスーパーで購入した日清食品のインスタントめん「カップヌードル」を食べた同市の女性(67)がおう吐や舌のしびれを訴え、スープから防虫剤成分「パラジクロロベンゼン」を検出した事件ですが、県警では容器に穴などの異常はなく、ほかに健康被害の報告がないことから、市は製造過程での混入に否定的な見方を示し、県警は11月6日、カップめんの容器や外装フィルムから、防虫剤成分パラジクロロベンゼンを検出したことを明らかにしました。いずれも消費者が保管した際に防虫剤をそばに置いていたことが判明、県警は容器に防虫剤成分が付いた「移り香」の可能性が高いとみています。

  県警によると、藤沢市で販売された日清食品「カップヌードル」は容器外側と外装フィルムから成分を検出、購入した男女は自宅で、防虫剤を入れた和ダンスのそばに段ボールに入れた状態で保管していたといいます。

 横須賀市で販売された生協ブランドの「CO・OPカップラーメン」のめんやスープからは防虫剤成分は検出されなかったものの、容器の外と内側からパラジクロロベンゼンを検出、購入した男性宅の保管棚の隣には、防虫剤の入った洋服ダンスがあったといいます。

 同社は24日、東京・新宿の東京本社で記者会見を開き、両市のケース以外に、今年4月以降、20件計26個のカップヌードルなどから防虫剤成分のパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出されていたと発表しました。そして「防虫剤のにおいが容器の中に移った可能性がある」との中川晋社長の発言は、「保管時に臭気の強い場所を避ける」との表示をしてこなかった商品でありながら、顧客の保管状況に原因があるとするような“責任転嫁”の発言がありました。

 また同社では、消費者が手で持っても熱くないようにするため、4月からカップヌードルなどに、耐水性に強い厚手の紙容器を導入していたことが判明しました。その新容器導入後から「防虫剤のにおいがする」と異臭に関するクレームが増えたため、容器のにおいに対する透過性を初めて分析、その結果、試験期間が長くなれば、それだけ容器内の麺に異臭が生じる可能性が高まることが判明したといいます。明らかに設計変更時の品質評価・分析不足といった同社の不手際で、消費者に対する注意喚起の遅れが失策となっていまいました。自分たちの非を認めたくない中川社長の安易な記者会見は、同社のレベルの低さを裏付けるもののようです。
事件発覚当初回収はしないとしていた同社ですが、すぐに50万個の回収を始めたことは、当然のことです。


目次へ


ボルヴィック57万本回収/ペンキのにおい付着

 キリンビバレッジ(本社・東京)は29日、ミネラルウオーターの「ボルヴィック」から「消毒薬のような異臭がする」などの苦情が20日から28件寄せられたとして、問題のある500ミリリットルのペットボトル57万本を自主回収することを決めました。

 同社によると、商品を輸入する際に使ったコンテナ内部のペンキのにおいが容器のペットボトルに移ったのが異臭の原因ですが、水質には問題なく健康への被害は出ていないといいます。

 においの原因は、フランスからの輸入の際、輸送会社が使用した輸入コンテナの一部にボルヴィック社が定める食品輸送品質基準を満たさないコンテナがあったためだとしています。

 カップ麺に続き、今度はミネラルウォーターにもにおいが移った問題が起きました。それだけ消費者が口にすれる食品・飲料に対して敏感になっていることも背景にありそうです。しかし両社とも今回問題となった容器に通気性があるため、においが移ることは認識しているとしています。誰でも感じられるにおい・味の異常に対して、メーカーの配慮不足は否めません。

目次へ


人形用の浴槽型玩具で幼児2人が重軽傷/パイロットが回収

国民生活センターは、幼児が人形にシャワーを浴びせるおもちゃのシャワーを支える支柱部分が原因となった深刻な事故が2件寄せられたことから、それら事故の深刻さから同種事故の再発を防止する観点で次の緊急情報を出しました。

<事例1>
 父親が娘の体を洗おうとして立たせたところ、娘が滑ってしまい、浴室内に置いてあった玩具に尻もちをついた。そのとき、玩具のシャワーを支える支柱部分が膣に入り、内部を裂傷する大けがをした。母親が浴室に駆けつけたときは大量に出血していた。

 病院で医師から「大変なことです」といわれ出血がおさまるまで1週間入院した。1週間後に退院したが、自宅に向かう車中で大量出血し、医師の指示により救急車にて即刻病院に戻り、全身麻酔をかけて手術を受けた。現在、経過観察中だが、とても心配である。
(2008年9月、女児、4歳、東京都)

<事例2>
 母親と入浴中の女児(当時3歳6か月)が、風呂の淵の部分に乗って遊んでいたところ、滑って浴室の床に置いていた玩具の上に座った格好になった。肛門に同玩具のシャワーを支える支柱部分が9センチくらい入り、括約筋などを切創した。切創部分の縫合手術を行い8日間入院した。
(2007年7月、女児、3歳6か月、宮城県)

センターでは問題点として、けがの部位は異なるものの重篤な事故につながるおそれがあり、本件玩具は主に浴室で遊ぶと思われるものであり、浴室という事故の多い場所で、しかも幼児を対象とした玩具であることから、徹底した安全設計が望まれる、としています。

 センターの情報を受け、経済産業省も14日、文具大手のパイロットコーポレーションの子会社、パイロットインキ(名古屋市昭和区)が製造・販売した玩具で、幼児計2人が重軽傷を負う事故があったと発表、メーカーの自主回収を公表しました。

 回収の対象製品は2000年2月―08年10月に販売した「メルちゃんといっしょにおふろにはいろう」「メルちゃんのいちごのバスタブ」など7製品で、計約29万7000個となります。

目次へ


USBメモリー経由のウイルス感染多数/トレンドマイクロが注意喚起

 軽量で大容量のデータを持ち運びできるUSBメモリは、最近はさらに安価になってきたこともあり、多くの人が使っているリムーバブルメディアの一つです。
 ところがこのUSBメモリを経由して、感染を広げるウイルスの被害が多数報告されるようになってきました。

 セキュリティ企業のトレンドマイクロが10月発表した「インターネット脅威マンスリーレポート」によると、2008年9月中に寄せられたウイルス感染報告中、USBメモリ経由で感染を広げるウイルスに関する報告件数が過去最多でした。

 寄せられた報告件数は5847件、その中で最も多かったのは「MAL_OTORUN(オートラン)」という、不正なautorun.infファイルです。 MAL_OTORUNの9月の報告数は347件で過去最多、8月は143件だったので、1カ月で2倍以上に増えたことになります。

 USBメモリを媒介とするウイルスの中には、USBメモリを挿しただけで感染してしまう悪質なものもあります。ユーザのパソコン操作を簡略化させるために用意された「autorun.inf」ファイルを悪用したものです。
USBメモリの「autorun.inf」は、全てのパソコンで動作する訳ではありませんが、WindowsVistaを初期設定で使っている場合は、「autorun.inf」を利用してプログラムを自動起動する設定になっていますので、ウイルスに感染する危険が高くなります。

 また、「autorun.inf」が動作しない環境の場合でも、USBメモリの中を見るために、アイコンをダブルクリックしただけで感染してしまう可能性があるので、油断できません。

目次へ


モラル無き業者の、相変わらずの産地偽装

 食品の産地偽装は相変わらず続いていますが、10月はサワラとイカでスタートしました。、農水省は3日、中国から輸入したサワラとイカを使った加工品の原料原産地を偽って販売したとして、食品企画販売「東京コールドチェーン」(川崎市)に対し、JAS法に基づき改善を指示しました。

 同省によると、同社は2007年4月から08年7月まで、中国産サワラを使った「さわら西京漬」の原料原産地を「東シナ海産」、中国産イカを使った「いか西京味噌漬」の原料原産地を「北太平洋産」と表示、計約10万パック販売、関東の小売業者を通じ、食材宅配の形で消費者に届けられたものです。

◆◆◆

 17日になると海藻の偽装表示が発覚、九州農政局と佐賀県が食品卸販売業者「五島フーズ」(長崎県佐世保市)と食品加工業者「ワールドフーズ」(佐賀県伊万里市)に対し、フィリピン産などの海藻が含まれた加工海藻類「海藻サラダ彩(いろどり)」に「長崎県五島列島」と表示していたなどとして、JAS法などに基づいて適正表示を指示しました。

 佐賀県によると、五島フーズはワールドフーズに同製品の製造を委託、同社は原材料の一部にフィリピン産やカナダ産の海藻を使用していながら、商品の包装に「長崎県五島列島」と表示していたものです。同社は「五島フーズから『表示責任は持つ』と言われた」と説明しているといい、五島フーズが儲けのために偽装していた事実が分かります。

24日には、今度はレンコンの産地虚偽表示で山口の業者が是正指示を受けたことが判明しました。
山口県は中国産のレンコンを地元産と偽り販売したとして、同県岩国市の食品加工会社「岩国青果販売」(篠田理博社長)に対し、JAS法に基づき是正を指示したものです。

 県によると、同社は中国から輸入したレンコンを水煮などに加工、「岩国産」と偽って表示し販売したとしています。

山口県は昨年度のレンコンの収穫量が、3980トンと全国第4位で多くが岩国市で生産され、地元農家などが 「岩国れんこん」としてブランド化を目指していますが、このようなブランドには悪質業者が群れるのでしょうか。

 さて次ですが、カナダ産の馬刺しを熊本産と偽装表示して販売したなどとして、農林水産省は30日、水産物加工「ショクリュー」(大阪市中央区)と「ヤマフ」(佐賀県唐津市)に対し、JAS法違反で改善指示を出しました。また、熊本県も同日、流通にかかわった熊本市の肉卸「三協畜産」を同法違反で文書による改善指導をしました。

 農水省などによると、ショクリューは少なくとも07年3月から今年8月まで、三協畜産からカナダ産の馬肉約166キロを購入。馬肉にはJAS法で義務付けられている産地表示がなかったが、ショクリューは産地表示をせず、ヤマフに164キロを販売した。ヤマフは唐津市の直販店で、購入した馬肉のほとんどを「熊本産馬刺し」として販売したものです。

 31日ですが、中国産と国産を混ぜたタケノコを「鹿児島産」などと偽装表示して販売したとして、農林水産省が加工食品製造「上野食品」(鹿児島県阿久根市)に対し、JAS法違反として改善指示を出しました。

 農水省によると、同社は06年10月から今年5月までに仕入れた国産や中国産タケノコ計2792トンのうち2630トン分を使い、中国産(1264トン)と国産を混ぜて水煮などを製造、「鹿児島県産」「国産」などと表示、全国の小売店や外食業者計142社に販売していました。

 国産タケノコは1キロあたり600円前後で取引されますが、中国産は半値程度のため、同社は農水省の調査に対し「国産の注文が多かったが対応できず中国産を混ぜた。中国産なら利益も出る」などと金儲けのためにやったと話しています。

 いずれもウソでは済まない消費者を欺く犯罪なのですが、どうも彼らには罪に対する緊迫感がありません。きっと、「どうせ他もやっていることだし、注文に応じられないと次の仕事が来なくなる。それよりも儲け優先だ」、といったことを考えているようです。こんな状況では、信頼できる業者・メーカーの判別法、そんなハウツウものが人気になるかも知れません。

目次へ


つけ爪による危害/かぶれ、やけど、カビが生えることも

 指先のおしゃれとして若い女性の間で「つけ爪」が人気のようです。ネイルサロンも身近な存在になり、雑貨店などでは自分でつけ爪をするための様々な用具も購入できますが、一方で、つけ爪による危害情報も少なからず寄せられているといいます。8月には、女子プロゴルファーがつけ爪と共に自分の爪(以下、自爪)をはがすというニュースも報道されたばかりです。

 国民生活センターで収集したつけ爪に関する危害の内容を、次に示します。
危害情報システムには「つけ爪」に関連した相談が少なくとも38件寄せられ、サロン等でのつけ爪の施術に関する危害情報が24 件、つけ爪の用具等による危害情報が8件、病院危害情報にも6件寄せられている。(2008年10月1日現在)

<事例1>
 ネイルショップでつけ爪をつけてもらったが、2日後から左手第3指が腫れ出し化膿した。内科を受診し抗生物質を飲んでいる。
(2007年6月 40代 女性 )

<事例2>
 日用雑貨量販店で購入したつけ爪用瞬間接着剤。容器に半分くらい残っていた状態で蓋を開けたら、中蓋がくっついていて液が飛散した。じゅうたんから白煙があがり、履いていたジーパンの右太ももに痛みを感じたので見ると皮膚がただれていた。
(2008年8月 40代 女性)

ネイルショップでは、技術を裏付ける資格などがあるわけではなく、痛みを感じるような作業をする店もあるようです。また、つけた爪との間にかびが生えたりすることも多く言われていることです。
日頃から安全意識が少ないせいなのか、かわいい・きれい、といったことを優先する今の社会風潮のひずみが出ているような気がします。

目次へ


[ ASP トップ ] [ ASPニュース2008 ]