1995.11 Vol.23  発行 1995年11月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel. 0263-78-5002


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運輸省、側面衝突に安全基準/乗用車など98年から実施
運輸省、軽自動車の規格拡大/99年始めから適用
製品安全で相互承認/日本品質保証機構、米欧亜と4極体制
注意!乳幼児の指巻き込み事故/掃除機の「パワーブラシ」
防ごうガラス製品の事故/特性知らず破損、扱いにも注意を
こんにゃく入りゼリー、死亡事故の追跡調査/国民生活センター
市販ミネラル水2.3%に異物混入/厚生省まとめ
ミネラル水の異物混入防止へ研究会/厚生省
レバー式水栓金具、TOTOも上オン式発売
ガソリンに品質基準/環境庁、輸入自由化に備え
ハーレーがエンジン音商標申請

10月の新聞記事より

■運輸省、側面衝突に安全基準/乗用車など98年から実施

 運輸省は12日、乗用車と小型トラック、バンに始めて側面衝突時の安全基準を設けることを決めた。既に乗用車に適用されている正面衝突時の基準についても小型・軽トラックと多目的レジャー車(RV車)に対象を広げ、それぞれ1998年10月から新型車に適用する。
 側面衝突時の安全基準は日本と欧州連合(EU)が共同で定める統一基準で、自動車分野で外国と統一した安全基準を設けるのは初めて。直角方向から時速50キロで衝突された場合に乗員が30日以下の軽傷で済むよう頭や腹部などへの衝撃を抑える設計を義務付ける。

 ドイツ車などは、以前からサイドドアビームが装備されており、安全性の高い車のイメージを作っていました。数年前からマスコミなどで紹介されることが増え、日本車でもサイドドアビームを装備する車が増えてきました。技術的な問題はないので、より高い安全基準の車を早く提供してもらいたいものです。
 安全グレードの高い車ということで差別化して、早いうちに市場に投入するのはどうでしょう。「安全性がより高ければ、多少の出費はいとわない」という消費者は最近増えてきました。

■運輸省、軽自動車の規格拡大/99年始めから適用

 運輸省は99年始めにも軽自動車の規格を全長10センチ、全幅8センチ拡大する方針を決め、軽自動車メーカーにその概要を通達した。軽自動車の規格拡大については昨年春から夏にかけてトヨタ自動車など大手メーカーが小型乗用車との競合から猛反発するなど業界を二分した論争を起こしたが、日本自動車工業会が昨年7月下旬にまとめた要望書にそった範囲内での決着となった。
 現行の軽自動車の規格は90年1月に実施され、全長が3.3メートル以下、横幅が1.4メートル以下、またエンジン排気量は660cc以下となっている。この規格が99年始めにも排気量は据え置くものの、全長は3.4メートル以下、全幅は1.48メートル以下に変更になる。
 全長については運輸省も昨年8月の段階で10センチの拡大を認めていたが、全幅は小型乗用車並みの側面衝突の安全性を満たすためどの程度の拡大幅が必要か技術的な検討を続けていた。

■製品安全で相互承認/日本品質保証機構、米欧亜と4極体制

 日本品質保証機構(JQA)は18日、米国の代表的な品質保証機関であるアンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)と総合製品安全に関して包括的な相互承認を行なうことで合意したことを明らかにした。また同時にカナダの品質保証機関・CSAとは製品安全、品質システム、環境管理システムなどでの相互協力協定を、またシンガポールの品質保証機関・SISIRとは電気製品の安全確認試験などの包括協定も締結した。同機構はすでに18ヶ国が加盟する世界的な品質保証機関のヨーロッパ・クオリティ(EQ)ネットに加盟し相互承認できる仕組みになっており、今回の各国との提携により、日米欧亜の4極を結んだ相互協力体制が整うことになる。
 米ULとの合意は日米それぞれの市場で製品、部品、システムなどについて共通の品質保証を行うための包括協定と各分野での個別協定を結ぶもの。これにより日本ではJQAからの「ULマーク」取得、ISO9000、QS9000などの相互承認が可能になり、米国ではULで「S-JQAマーク」を取れることになる。
 カナダのCSAとは分野ごとの個別協定を締結することになるが、今回は電気安全分野についての相互協力協定が結ばれ、日本における電気製品の安全認証マークである「S-JQA」がカナダでも取得でき、カナダ各州で認められている「CSAマーク」が日本でも取得できることになった。

■注意!乳幼児の指巻き込み事故/掃除機の「パワーブラシ」

 吸じん性能を高めるために掃除機の吸い込み口に付けられている「パワーブラシ」に乳幼児の指が巻き込まれ大けがをする事故が多発していることが分かり、国民生活センターは「消費者被害警戒情報」を出して注意を呼びかけている。
 同センターに報告された事故だけでも、1988年以降16件。事故はいずれも3歳以下の乳幼児でうち1歳児が9件で最も多い。92年以降で12件あり、近年増加しているのが特徴。中には手の指の骨が露出したり、後遺症が残る重傷例もあった。
 「パワーブラシ」は電動で吸い込み口部分のブラシを回転させ吸じん力を高める装置。住宅の洋風化などに伴いメーカー各社が発売、94年度で約200万台(全掃除機の約37%)が出荷されている。
 同センターが事故を起こした製品1台をテストした結果、回転数は毎分約5000回転、吸い込み口とブラシの間隔は約13ミリあった。同センターは「幼児の指がブラシに触れれば、巻き込まれる危険性は大きい」と判断した。
 一方、空気流で回転させる「ターボブラシ」での事故例は報告されておらず、テストでは巻き込む力はパワーブラシの3分の1程度と推定したが、「事故の可能性は否定できない」としている。
 同センターでは「はいはいを始めた乳児が掃除機に興味を示して手を出しやすい。子供のいる家庭ではとくに注意を」と話している。

 ずいぶん前から事故があるのに、近年増加しているというのはどういうことでしょう。消費者が注意する度合は、大して変化していないと思われます。ということは、メーカーの競争によるパワーブラシの性能アップにその原因を求めることができると思います。
 「予見しうる事故を、メーカーが対策せずに放置した結果が最近の事故である」と考えると、これは問題だと思います。

■防ごうガラス製品の事故/特性知らず破損、扱いにも注意を

 ガラス性のなべのふたやポットが突然割れてけがをするという事故が相次いでいる。製品そのものの欠陥もあるが、間違った使用法法が原因のことも少なくない。ガラスの特質を再認識して安全な使い方を。
 強化ガラスは、成分は普通のソーダガラスと同じだが熱処理を加えることによって強度を増したもの。少々雑に扱っても割れないが、耐熱性は普通のソーダガラスと同じ。
 一方、耐熱ガラスは熱膨張率が小さいホウケイ酸ガラスを成分としたもので熱には強いが衝撃には強くない。両者を混同して、熱にも衝撃にも強い万能ガラスと勘違いしている人が少なくないと言う。
 例えば、強化ガラスは物理的衝撃には強いが、ガラス表面に圧縮する力を加えることによって強度を増したものなので、小さな傷が付くと均衡が崩れて割れやすくなる。ガラスを傷つける恐れのある研磨材入りのスポンジや金属たわし、クレンザーなどでこすらないよう注意が必要だ。ナイフ、フォークなどをグラスの中に入れるのもだめ。
 耐熱ガラスは高温には強いが、急激に冷やされるのに弱い。熱くなった耐熱ガラス食器をぬれふきんの上に置いたり、熱い麦茶を入れたポットをそのまま冷蔵庫に入れたり氷水で冷やす、熱くなったガラスなべのふたの上に水をかける、などは破損の原因になる。また、いくら熱に強いとはいっても金属ではないので耐熱ガラスなべを空だきすると割れてしまう。

 たしかに強化ガラスは「強いガラス」という意識が働き、雑な扱いをすることも多いのでしょう。「強化」「強力」「パワフル」などの意味を強調する語は、「何でもできそうな錯覚」を誘うためかもしれません。
 消費者が説明書をあまり読まないのであれば、デメリットを目立たせたラベルなどの対応が必要になるでしょう。

■こんにゃく入りゼリー、死亡事故の追跡調査/国民生活センター

 つるんとした口当たりで人気の、一口サイズのこんにゃく入りゼリー。このゼリーをのどに詰まらせて乳幼児が死亡する事故が報告され、国民生活センターが調査に乗り出した。
 各地の消費者センターを通じて、これまでに国民生活センターに寄せられた死亡事故は2件。今年の7月に起こった事故では、1歳半の子に凍らせたゼリーを食べさせたところ、一口にほおばってせき込み、のどに詰まらせた。病院へ運ばれたが、入院して約40日後に死亡した。凍らせていないゼリーでも、8月に6歳の子に同様の死亡事故が起きた。
 同センターによると、こうしたゼリーは普通のゼリーより固めで、弾力性も強い上、切って食べるには小さすぎ、そのままのどを通るには大きすぎる。さらに、ゼリーの入ったカップに口を当て、中身を吸い出して食べるため、勢いがついて一気にのどまで達しやすい。ただ、同種の製品全部が危険なのか、特定の銘柄だけかどうかは、まだ分からないという。
 同センターは、事故の原因究明テストや、専門医のヒアリングなどを始めているが、「乳幼児にこんにゃくゼリーを与えるときは、スプーンなどで小さくして」と警告している。

 こんにゃくゼリーは健康ブームの中で若い女性を主な購買層としていましたが、販売が進むにつれ子供の間でも人気が出てきた商品です。営業的には購買層の拡大は歓迎することですが、拡大した購買層全体に対する安全性評価は十分ではなかったようです。
 購買層が拡大したということは、企画のねらいが外れたことであり、その時点で安全性の再評価を行うべきだったのでしょう。「売れることはいいことだ」との営業論理を優先して安全を軽視した結果、このような事件になってしまったようです。

■市販ミネラル水2.3%に異物混入/厚生省まとめ

 市販のミネラルウォーター約47万本を全国の保健所が検査したところ、全体の2.3%にあたる約1万1000本にかびなどの異物が混入していたことが27日、厚生省のまとめで分かった。特に国産品は、ほぼ20本に1本にあたる5.6%で異物が見つかった。いずれもすでに販売停止や回収をしているが、同省では混入の割合が予想以上に高かったことを重視。「さらに詳しい実態把握と、原因究明を進めたい」としている。
 今月19日までの1ヶ月間、全国の保健所の係官が国内のメーカー433ヶ所と、小売り店約2万ヶ所とで、ミネラルウォーターのボトルを1本1本見て、かびやプラスチック片などが混入していないかを調べた。

 当初は海外の低コスト製品にみられがちとの見方がありましたが、国産品のほうが断然異物の混入が多かったようです。「品質にはうるさい」という日本ですが、実際はずさんな品質管理がまかり通っていたのかと思うとがっかりです。
 農産物を含めた食品では、「規制緩和で外国品がどんどん入ってくると、安全が守れない」という議論が根強くありますが、国内の食料品がどれほど安全なのか検証して欲しいものです。
 「安全であるはずだ」(安全であって欲しい?)というのは困ります。

■ミネラル水の異物混入防止へ研究会/厚生省

 ミネラルウォーターに異物が混入する事故が相次いだため、厚生省は30日までに、農林水産省の協力を得て、原因究明と再発防止のための研究会を設置した。班員は食品衛生や微生物・細菌の専門家などの12人で、班長には斉藤行生・国立衛生試験所副所長が就任した。製造工場の視察なども行い、年内に報告書をまとめる予定。

■レバー式水栓金具、TOTOも上オン式発売

 TOTOは従来と開閉方式が逆の上に倒すと水の出るレバー式水栓金具を発売する方針を明らかにした。市場に出回っている金具のほとんどは最大手TOTOの下オン方式が主流だが、キッチンバス大手専業メーカーを中心に逆の上オン方式に統一しようという動きが出ている。TOTOでは他社のシステムキッチンや洗面化粧台など向けに限定して自社と逆方式の金具の供給を開始することを決めたもので「自社ルートはあくまで従来の下オン方式を続ける」としている。
 TOTOではシングルレバー方式の生産を1967年から開始、70年頃からは他社でも生産が始まり72年ごろから一斉に家庭に普及し始めた。TOTOが下オン方式を採用した理由は米国最大手の住設機器メーカー、アメリカンスタンダード社の方式を参考にして決めたものだが、そのア社がすぐに上オン方式に変更、後発の国内メーカーが上オン式を採用し2方式に分かれた経緯がある。
 国際的には上オン方式が主流になっているものの、国内の水栓金具生産で約4割のシェアを占めるといわれるTOTOが下オン方式のため、現在では同方式が主流になっている。
 今年に入ってシステムキッチンやバスを製造するメーカーが、自社商品に使用するシングルレバーを上オン式に統一することを決め、現在準備を進めている。キッチン・バス専業最大手のタカラスタンダードは96年春までに統一、クリナップも来年1、2月をめどに上オンに統一するほか、サンウェーブ工業も検討を進めている。

 とっさに上から「叩く」、「押す」などの動作は“状態を変化させる”(何かの停止)ための自然な行動に思えます。米国メーカーの仕様変更の技術的な理由をTOTOがどのように判断したかは分かりませんが、20年以上も1つの方式に固執してきたというのはどういうことでしょうか。
 使いやすさというのは、“慣れ”や“慣らされたくせ”によるものが大きく影響します。安全に関わる標準仕様の決定は、1企業の問題ではなく、社会全体の問題として考えて欲しいものです。

■ガソリンに品質基準/環境庁、輸入自由化に備え

 品質の悪いガソリン、軽油による大気汚染を防ぐため環境庁は、自動車燃料に含まれる硫黄やベンゼンなどに関する品質基準を定め、2日付の官報に告示した。近く通産省が関係業者の品質管理義務などを定め、来年4月の石油類の輸入自由化に合わせて規制を実施する。
 規準を定めるのは、ガソリンは鉛、硫黄、ベンゼンなど4種類、軽油は硫黄など3種類。現在国内で流通している燃料がほぼ基準内に収まる程度に許容限度を設定した。
 具体的には、排ガス対策装置の触媒を劣化させる鉛は「検出されない」、発がん性のあるベンゼンは「体積で5%以下」などとなっている。
■ハーレーがエンジン音商標申請

 世界的人気ブランドの米2輪車メーカー、ハーレー・ダビッドソンは6日、同社製オートバイのV型ツイン・エンジン音を商標として登録するよう米特許商標庁に申請したことを明らかにした。
 ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)発のロイター電によると、他社がエンジン音を模倣するため商品価値が低下する恐れがある、というのがハーレー側の申請理由。
 同車のスポークスマンは、「わが社のオートバイが売れる理由は、見た目と音だ。世界のどこに行っても、ハーレーが走ってきたら、その音で分かる」と強調。他社のエンジン音「コピー」で混乱が生じる可能性がある、としている。
 今回の商標登録申請に対し同業他社は反対の意向を示しており、特許商標庁の最終決定がいつになるかは今のところ不明だ。

 「さすがは‥‥」と思ってしまいます。エンジン音がデザインされたものかどうかが登録のカギになるのでしょうか、最終決定が楽しみです。

終わりに

 自動車の安全装備も充実してきて、エアバッグ、ABSも標準で装備する車も増えてきました。また、オプションであっても価格がずいぶんと下がってきました。競争原理が働いているからですが、どうも食品などの「安全」をうたった商品(農作物)は相変わらず高値安定です。
 食料品の安全に関する関心は、まだまだ低いということでしょうか。

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