1997.4 No.40  発行 1997年4月7日
発行人 中澤 滋 ASP研究所長野県松本市梓川梓3072-12 Tel/Fax 0263-78-5002


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安心しないでエアバッグ、シートベルトなしでは効果薄/併用すれば死亡・重症率半分以下 警視庁調べ
シートベルト着用率 最高は静岡、最低は京都/安全効果、非着用の5.78倍
トヨタのビデオが波紋/「安全」売り込み合戦加熱
情報機器からの電磁波、強さの上限規制策定へ/郵政省など
飯田の火災原因はリコール炊飯器か
諏訪市の住宅火災、リコール商品原因
医療機器への電磁干渉対策 EMCにガイドライン/日医機協が来月から
廃棄パソコン削減に一役!インターネットで復活/日本IBM、旧型DOS/V用にソフト
自転車店経営もう一つの輪、車椅子の修理・販売ネット/丸石自転車が福祉ビジネス
赤ちゃんも禁断症状
たばこ、発がん性認める/米リゲット メーカーで初、一部利益、25年賠償

3月のニュースから

■安心しないでエアバッグ、シートベルトなしでは効果薄/併用すれば死亡・重症率半分以下 警視庁調べ
 エアバッグ装備車が事故を起こした場合、ドライバーがシートベルトを着用していないケースでは、着用時に比べ、死亡や重症になる率が2倍以上になることが27日までに、警察庁が行った調査で分かった。同庁では「エアバッグは、シートベルトと併用しなければ十分な効果を期待できない」として注意を呼び掛けている。
 調査は95、96年の2年間、普通自動車(乗用車、ライトバン等)同士の正面衝突事故で、車両に大規模な修理が必要となったり、使えなくなったりする重大な事故を対象に実施した。
 その結果、シートベルトを着用していた場合、エアバッグを装備していない車での死亡・重症率が8.5%だったのに対し、エアバッグ装備車では6.8%に減り、エアバッグにより2割程度の被害の軽減効果が認められた。 一方、シートベルトを着用していない場合では、エアバッグ装備車の死亡・重症率は16.3%、非装備車では17.5%と、いずれもシートベルト着用時の2倍以上となっている。
 同庁では「エアバッグは、あくまでも補助的な装備。シートベルトを併用しないと、事故時に体がエアバッグの下に潜り込んだりして、十分な効果が期待できない」としている。

 シートベルト未着用の場合、エアバッグの効果はほとんどないということです。 また、シートベルトを着用する人にとっては、エアバッグ装備の効果は25%増えるだけ、つまり4回のうち3回は効果がないということが分かります。
 一般的なことですが、追加の安全装置はそのコストに比べて効果を出すのは非常に難しいものです。基本的な(1次の)安全装置が重要であり、それを無効にさせない運用・管理が求められます。見方を変えると、事故などの初期対応の重要さと通じるものがありす。
■シートベルト着用率 最高は静岡、最低は京都/安全効果、非着用の5.78倍
 「日本損害保険協会は、シートベルトの着用率状況などを調べた「安全装備(シートベルト)の分析報告書」をまとめた。それによると、運転者がシートベルトを着用していない場合の致死・重症率は5.78%なのに対し、着用した場合は1.0%と5.78倍の効果があることが明らかになった。また運転者の着用率が最も高いのは静岡県で96.0%、最も低いのは京都府の53.2%という結果も出た。
 この調査・分析は94年の警察交通事故データをもとに行った。着用率を乗車位置別に見ると運転者は79.9%で、10人に2人は着用しておらず、前席同乗者では63.9%に低下、さらに後部座席の同乗者となると7.8%と極めて利用率が低い。また車が大きいほど運転者の着用率は低下、大型車では乗用車で62.9%、トラックで63.1%と普通車に比べ20〜10ポイントも下回っている。
 男女別着用率は運転者で男性78.5%、女性84.2%、前席同乗者で男性58.3%、女性67.2%。女性の意識が高い。運転者で最も着用率の高い年齢層は男性が66〜70歳で83.4%、女性は56〜60歳の87.4%。

 交通事故(事故を起こした人)のデータをもとにしていますので、着用率の値が正しいのかは疑問が残ります。しかし大型乗用車とトラックではほとんど同じ着用率というのは興味があります。大型乗用車では走行中の振動や騒音も少なく快適に運転できますし、トラックでは車体が大きく頑丈そうで安心感があることから危険の意識が薄れてくるのでしょうか。広い空間のもたらす意識の問題もあるのかもしれません。
■トヨタのビデオが波紋/「安全」売り込み合戦加熱
 ボディー(車体)の強度を高め安全性を売り物の一つにしているトヨタ自動車が作成した、自社とライバルメーカーの車の衝突安全性を比較した社内向けビデオが業界内で波紋を広げている。
 このビデオは昨年秋に発売されたトヨタの人気RV「タウンエース ノア」と本田の「ステップワゴン」、日産の「セレナ」をそれぞれ時速60キロで壁にぶつける実験の様子を撮影したもの、衝突後の車体のつぶれ具合を3台並べて比較している。
 関係者によると、例えば「ノア」と「ステップワゴン」のどちらを買うか迷っている客にこのビデオを見せて「うちの車の方が頑丈ですよ」などと勧めているという。
 ライバルメーカーは「販売現場で馬力などカタログに出ているような数字を競合車と比較するのはよくあること」としながらも「客の前で安全性を比べるなら、どういう基準で実験をしたかも明らかにしないと、公正ではない」と批判する。
 また「ノアだけは衝突してから完全につぶれるまでの一部始終を画面上に出しきっていないのではないか」など、編集方法に対する疑問の声も出ている。
 これに対し、トヨタは「客にビデをを見せることはあるかもしれないが、あくまで社内の営業スタッフ向けに作ったものだ」としている。
 一方、「車ばかり戦車のように頑丈にしようという方向になっているが、歩行者の安全も同時に考えなければならない。また、命に関わることを商売のタネとして前面に掲げるのもいかがなものか」(本田首脳)と、距離を置く見方もある。

 確かに実験の公正さについては問題がありそうです。トヨタはGOAを積極的に宣伝しているので、何がなんでも売上げアップに結び付けたいのでしょう。日産に比べ販売が好調な本田は、多少余裕があるようです。
■情報機器からの電磁波、強さの上限規制策定へ/郵政省など
 電磁波障害減らします−−パソコン、ワープロ、電話機など情報機器から出ている不要な電磁波が、テレビの画像を乱すなどの障害を引き起こす問題で、郵政省やメーカーが対策に乗り出す。情報機器から出る電磁波の強さの上限規制を策定、2年後に導入する。欧米はこうした規制をすでに導入済み。パソコン1台当たりの「対策コスト」は数百円程度と見られ、激しい価格競争を繰り広げるパソコンメーカーにとっては新たな頭痛のタネになりそうだ。
 郵政省の諮問機関である電気通信技術審議会(西沢潤一会長)が24日に電磁波対策について新たな答申を出す見込みで、これに沿った形で、情報機器メーカー各社で構成する「情報処理装置等電磁障害自主規制協議会」(VCCI)が自主規制策定にとり掛かる。対象となるのは500キロヘルツ以下の周波数帯。2年後に規制を導入、4年後には国際規格レベルに強化する方針だ。
 郵政省によると、情報機器から出る電磁波障害に対する苦情は、95年で1600件にのぼる。対策には、パソコンの部品を換えたり、電磁波を漏らさない塗装を施す必要がある。

■飯田の火災原因はリコール炊飯器か
 長野県飯田市上郷黒田の会社員宅で9日に台所の壁、天井など約7平方メートルを焼いた火災で、飯田署は24日までに、出火原因は台所にあったリコール対象商品の炊飯器との見方を固めた。さらに詳しく調べる。
 この炊飯器は松下電器産業のSR-IH10X1(1リットル)。同種のSR-IH15X1(1.5リットル)、SR-IH18X1(1.8リットル)と共に91年1月から約1年間販売し、93年11月に欠陥商品と判明した。これまで全国で6件の発火事故が発生しているが、全て炊飯器を焼く程度にとどまっていた。
 飯田の会社員は6年ほど前、駒ヶ根市内の電気店で購入。リコール対象商品とは知らずに使っていたが、これまで異常はなかったらしい。9日の火災では、炊飯器の原形をとどめないほど激しく焼けていた。
 リコール対象の炊飯器は本体に密封が不十分な部分があり、水が入ると出火する恐れがある。約25万台販売され、約6万台がまだ点検・修理を受けていない。問い合わせは松下電器炊飯器機事業部(TEL : 0120-558-810)

■諏訪市の住宅火災、リコール商品原因
 長野県諏訪市沖田町2の民家で7日、2階の一室を焼いた火事の原因を調べていた同市消防署は13日、加熱して出火した加湿器がTDK(東京都)のリコール商品だったと明らかにした。同署によると、リコール対象の加湿器が原因で住宅火災となったのは全国で初めてという。
 出火原因となった加湿器はTDK製「湯気院スチームマスター」の「KS-31W」か「KS-32G」のどちらかで、いずれもリコール商品。93年8月から94年3月にかけて全国で約3万3400台が製造販売された。
 この2機種は後に、温度調節をする装置(バイメタル)の部分に水がたまって正常に作動せず、温度が下がらないことが判明。同社によると、販売開始から96年3月末までに、加湿器を損傷するなどの被害が7件発生した。
 同社は94年5月にリコールを決め、報道機関などを通じ今年2月末までに約1万2000台を回収した。しかし、まだ半数以上が未回収で、あらためて回収の協力を呼び掛けている。同署は「使用すれば火災になる可能性が強い。心当たりがあればすぐに連絡して欲しい」と話している。
 機種名は加湿器の背面に表示されており、回収した商品については、代替製品とも交換する。問い合わせは同社(TEL : 0120-604-777)、諏訪市消防署(TEL : 0266-52-0119)へ。

 最近、家電製品のリコールやリコール製品による事故のニュースが多いようです。パイオニアも3月19日に感電の危険があることから、AVアンプ「VSA-D7」のリコールを発表しています。
 ただ市場に出回った製品全てを回収修理するのは非常に難しいことです。知らずに使って事故に遭う人がいることから、製品の無償修理保証を受けるのを登録制とし、登録用はがきを添付するなど考えるべきでしょう。
■医療機器への電磁干渉対策 EMCにガイドライン/日医機協が来月から
 日本医療機器関係団体協議会(日医機協、会長松本謙一氏)は25日、社会問題化している医療機器への電磁干渉(EMI)リスクを低減するため、医用電気機器の電磁的両立性(EMC)についてガイドライン「医用電気機器EMC規格適合化基準」を策定した。ガイドラインは、IEC(国際電気標準化会議)基準に適合した場合には、その製品に適合表示することで、安全性を明確にするなどが骨子。4月から参加工業会および各企業に対しEMC適合化への取り組みを要請、メーカー、ベンダーの対策を促す。
 ガイドラインでは、欧州のEMC指令、MDD(医療機器)指令の適合要求規格である「IEC601-1-2(93年版)」をEMC適用規格に指定。検体検査機器についても同規格を適用規格の対象にした。各企業はIECの自己認証を経た後、製品、添付文書、容器等に「EMC、適用規格、規格刊行年」を記載し、EMC適合を明確に表示する。適合化の時期は98年6月から。実際には同時期以降に市場投入される新製品が対象となる。
 ガイドラインに従い、加盟各社はそれぞれ所属する団体に対し適合状況を報告、日医機協が全体の実施状況をとりまとめる。日医機協ではガイドラインの施行に伴い、5月にガイドラインセミナーを開催し、IEC規格の要求・試験法の理解や適合対策技術の育成を図る。またEMC試験機関などインフラ整備充実の働きかけやユーザーへの注意喚起を具体化し、医用電気機器の誤動作防止に取り組む。
 医療の現場では、携帯電話の急激な普及に伴って、医療機器に対する電磁干渉の事例が増加している。日医機協が95年から96年にかけて実施した医用電気機器の電磁波干渉実験では、携帯電話から放出される電磁波によって、医用電気機器221機種中、60%以上に当たる138機種が干渉を受けることが確認されており、医用電気機器サイドからのEMC対策が待たれていた。

■廃棄パソコン削減に一役!インターネットで復活/日本IBM、旧型DOS/V用にソフト
 インターネットに対応できないため、オフィスや自宅で眠り込みそうな旧型のパソコン。そうした旧型機に、ホームページへのアクセスや電子メール機能を与えて再活用してもらおうというソフトが日本アイ・ビー・エムから発売される。
 日本アイ・ビー・エムは、CPUにインテル386、同486を搭載した旧型DOS/Vパソコンを対象に、インターネットと電子メールに利用できるソフト「WebBoy」を開発した。インターネットの一部の機能は利用できないが、個人ユースやオフィス需要はほぼ満足できるという。
 オフィスや学校、個人が持つ対象機種は約250万台。学校で利用すれば、インターネットの実習用パソコンが実質増加することになり、学習効果も飛躍的に増やすはず。オフィスのネットワーク環境を拡張する効果も大きい。何より、年間20万台と推定されている廃棄パソコンを減らせるとあって、環境対策としても魅力ある商品。中古パソコン市場を活性化する可能性も高い。
 ちなみに、発売は「緑の日」の4月29日から。価格は9800円。

 コンピューターの場合、OSにより製品機能が限定されてしまいます。旧型機の処理速度が遅いという問題とは異なり、ソフトで対応できるのに最新の機種にだけ使えるようなOSは、ユーザー不在商品としかいいようがありません。
 今回のIBMの対応は評価できますが、ようやくといった感じです。10年も前から全機種に標準でネットワーク機能を持たせていたアップルのマッキントッシュでは、多くの旧型機が現役で活躍しています。
■自転車店経営もう一つの輪、車椅子の修理・販売ネット/丸石自転車が福祉ビジネス
 丸石自転車は4月以降、取引のある全国の自転車販売店と協力して福祉サービス事業に本格的に乗り出す。店頭で車椅子の修理や販売を始め、各種介護用品を取り扱うネットワーク「ふれあいクラブ」の組織化に注力していく。自転車販売店を使って福祉サービスを手がけるのは業界として初めての試みで注目を浴びそう。
 計画では、まず車椅子の修理と販売をメーンに事業を展開する。タイヤのパンクや交換の他、キャスターの変形修理やシートの交換など自転車の修理技術を使って車椅子を修理する。基本的にどのメーカーの車椅子にも対応するという。さらに、つえや風呂用マットなどその他の介護用品の販売を進め、将来的には自社製車椅子の販売や従来にないタイプの老人用の乗り物の開発にも着手していく。

■赤ちゃんも禁断症状
 妊娠中に喫煙していた母親から産まれた赤ちゃんは、生まれながらにして「喫煙経験者」−−。米カリフォルニア州で開かれた学会で、ベルギーの研究者が発表した。
 調査によると、喫煙する母親とその母親から生まれたばかりの新生児の尿に含まれるニコチン分解物はほぼ同量で、妊娠中に血液循環を通じて、たばこの害がそのまま胎児に及んでいることを裏付けた。 このため、母親の体から“切り離された”ことで事実上禁煙することになった新生児の中には、神経質になったりイライラするという、大人と同じような「禁断症状」がでる場合もあるという。

■たばこ、発がん性認める/米リゲット メーカーで初、一部利益、25年賠償
 「ラーク」などのブランドを持つ米たばこ大手のリゲット・グループは20日、全米22州が喫煙で生じた州政府の医療費負担の支払を求めていた損害賠償訴訟で「たばこには中毒性があり、喫煙は肺がんなどの原因になる」ことをメーカーとして初めて認めた。これを条件に同グループは全米22州との和解に応じ、今後25年間にわたり、税引き前利益の25%を毎年賠償金として支払う。リゲットが喫煙被害の因果関係を認めたことは、たばこ各社に大きな影響を与えるのは必死だ。
 合意内容によるとリゲットは@喫煙は肺がん、心臓病、肺気しゅの原因になるAニコチンには中毒性があるBたばこ各社は未成年を対象にたばこの販促活動をしてきた−−ことを認めた。同社は「喫煙は中毒性がある」との警告をたばこのパッケージに明記することも同意した。

 ASPニュースの昨年4月号で紹介したリゲット社の和解のニュースは、米国の5つの州との和解でしたが、このときは喫煙と肺がんなどの因果関係については認めていませんでした。
終わりに
 最近になり24時間風呂の改良型製品が発表されたり、抗菌・殺菌セラミックや殺菌装置などの開発も盛んになっています。
 最初からやれば良かったのに、と思ってしまいますが、問題は企業の安全性評価の姿勢にあるようです。レジオネラ菌に対する規制がないことからチェックしなかった企業が多かった、というのですから困ってしまいます。
 規制の有無に関わりなく、製品の安全性は企業自ら検証し確保すべきことです。
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