1999.1 No.61  発行 1999年1月11日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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逆バンジージャンプでワイヤ外れ、転落/別府の遊園地
マンホールのふたの安全対策/建設省、全国の自治体に通知
ガス抜きキャップ、全スプレー製品に/アサヒペン
タクシーとシカの衝突事故で賠償命令/日本道路公団に53万円
ゴミ処理場でダイオキシン被害/豊能郡美化センター元従業員提
 訴
PCB大気汚染/環境庁調査で初確認
ホテルオークラがISO9001取得
もしもしホットラインISO9001取得/テレマーケティングで初
騒音・黒煙のない天然ガストラック/日本ガス協会
ダイエー、妊婦対象に無料配送/障害者サービスも拡大
JT、米国でのたばこ訴訟の和解に参加


12月のニュースから

■逆バンジージャンプでワイヤ外れ、転落/別府の遊園地討

 20日午後1時40分ごろ、大分県別府市東山123-1、城島後楽園ゆうえんちで、福岡県の男性2人が乗った逆バンジージャンプ「スカイショット」のいすがワイヤから外れて転落しました。このため男性1人は意識不明の重体で、もう1人は頭に軽いけがをしました。
 スカイショットは地上に固定されたいすの両端に長さ5メートルのゴムロープが付いており、それを高さ25メートルの2本の鉄柱からワイヤで引っ張り、ゴムが伸びたところでいすを放すものです。とても長いロープが付いたブランコを想像すると分かりやすいでしょう。ゴムが伸びたところでいすを放すため、ゴムの収縮力で乗客を乗せたいすが急上昇し、高さ31メートルまで達します。次に落下したいすはリバウンドでまた上昇し落下をくり返す、いわゆるバンジージャンプ的なスリルが得られる遊具です。
 事故はいすが高さ31メートルまで上昇した後、落下してリバウンドで2度目に上昇する途中で起きました。いす左側のゴムロープとワイヤをつなぐ留め具が破損したため、いすが振り子みたいに鉄柱の高さ5メートル付近に激突、乗客を乗せたまま地上に落下したものです。
 少し形は違いますが8月には北九州市の「スペースワールド」で、上昇・下降する遊具のワイヤが切れる事故がありました。この事故の場合、ワイヤの点検・保守の問題点が指摘されました。今回はゴムとワイヤをつなぐ留め具の破損ということで、構造上この留め具が破損する可能性は設計時には予想されていたはずです。したがって留め具は重要点検部品と考えられることから、委託運営している大分市の会社の点検・保守の責任が問われます。
 ワイヤ、ロープ、ゴムなどで吊り下げてリバウンドさせる遊具は、急激なストレスが各所に加わる構造のため、安全性を確保するための日常点検を厳格にして欲しいものです。

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■マンホールのふたの安全対策/建設省、全国の自治体に通知

 高知市で9月の集中豪雨の際、マンホールのふたが外れたため2人が転落死した事故を受けて、建設省は27日までにマンホール内で高まった圧力を逃すふたを取り付けるなどの安全対策をまとめ、全国の自治体に通知しました。業界団体の日本グラウンドマンホール工業会によると、全国で約850万基(97年度末)あり、ほぼ下水道管30メートルに1カ所の割合で設置されているといいます。
 マンホールのふたが外れる原因は予想を上回る雨量がマンホール内に流入、水圧や空気圧が急上昇するためと同省は分析しています。対策としては、マンホール内の圧力が高まった場合に一定の高さまでふたが浮き上がって圧力を逃すものや、ふたの下に隙間の空いた金属の中ぶたを取り付けて歩行者の転落を防ぐものを挙げています。  対策されたマンホールのふたが設置されるのは当分先のことですので、大雨で川のようになった道路を歩くときは十分注意したいものです。

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■ガス抜きキャップ、全スプレー製品に/アサヒペン

 オゾン層を破壊するなどの環境問題に対応するため、塗料などのスプレー製品では従来使われていた不燃性のフロンガスから可燃性のLPGが多く使われるようになりました。しかし廃棄時に内部のガス抜きをしない人もいることから、ゴミ収集車で粉砕中にLPGボンベが爆発・火災になる事故が発生しています。
 このためアサヒペンでは98年5月発売のスプレー式塗料製品からガス抜きキャップをいち早く採用し、環境・安全性に配慮してきました。これら製品が消費者に好評のことから既存製品(13商品)全てに対し、99年4月までにガス抜きキャップに切り替えることにしました。コストは若干アップするものの、製品価格は据え置く方針です。
 各種スプレー製品を廃棄するときには、ガス抜き商品がいくつか売られているので使うことがありますが、「子供でも手軽に」というものではありません。ガス抜きが少々面倒なため、ボンベのガスを抜かないでゴミに出す人もでてくるわけです。ガス抜きキャップであれば、簡単な操作でガスを抜くことができ、ガスボンベによる火災事故は減少するでしょう。
 アサヒペンがガス抜きキャップを採用してから、化粧品や殺虫剤メーカーなど十数社から問い合わせがあったそうです。このため同社では99年にも数社に供給を始める予定で、業界を超えてガス抜きキャップ付きの製品が増えてくるようです。

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■タクシーとシカの衝突事故で賠償命令/日本道路公団に53万円

 高速道路でタクシーがシカに衝突した事故で、札幌市のタクシー会社が道路管理者の日本道路公団に対し約53万円の賠償を求めた訴訟の判決がありました。札幌地裁の片山良広裁判長は14日、「公団はシカの進入を防ぐため防護フェンスを設置するなどの対策を怠った」として、公団に全額を支払うよう命じました。
 公団によると、高速道路での動物との衝突事故で賠償を求められたケースは全国で例がないといいます。判決理由で片山裁判長は「高速道路の利用者は安全に走行できると思うからこそ安いとはいえない料金を払うのであり、利用者の信頼に応えるよう道路は高度の安全性を備えなければならない」と指摘しました。その上で「事故現場付近は地元住民がシカを目撃しており、シカの出現は予見可能だったにもかからず対策が取られなかった」と公団の安全対策に不備があったとしました。
 非常に分かりやすい判決理由で、ドライバーにとっては心強いものがあります。ただ公団にとっては今までこのようなケースがないため、これから全国で動物の進入が予想される高速道路での安全対策の見直しが求められます。しかしその対策の結果、安易に高速料金を上げることになるのは困りますが…。

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■ゴミ処理場でダイオキシン被害/豊能郡美化センター元従業員提訴

 ダイオキシン汚染問題で10月に閉鎖が決まった大阪府能勢町のゴミ処理施設「豊能郡美化センター」ですが、今度は訴訟問題で苦労しそうです。同センターで働いていた元従業員の畑中克男さん(60)が、「皮膚炎などの症状が出たのは作業中に摂取したダイオキシンが原因」として5日までに、損害賠償を求める訴訟や労災申請など法的措置を取ることを決め、支援する弁護士8人が拡大弁護団を結成しました。
 畑中さんは89年6月から98年3月までの約9年間、同センターで焼却炉から出た焼却灰をセメントで固める作業などをしていて、ダイオキシンを多く含んだ粉じんを吸い込んだといいます。顔に、ダイオキシンの影響と見られる黒いにきび状の皮膚炎ができ、また足のふくらはぎなどにも原因不明の皮膚炎の症状が見られることから、医師により「ダイオキシンの影響の可能性がある」と診断されていました。
 拡大弁護団では、畑中さんの元同僚で大腸がんになった能勢町内の男性(67)についても医学的な確認を取った上で同様な法的措置を検討することにしています。
 廃棄物処理法の改正で、焼却炉のダイオキシン規制が12月1日から強化されました。この結果多くの施設では運転が認められなくなりましたが、ダイオキシン濃度の測定が業者任せになっていることから、データの信頼性に疑問の声が上がっています。「何を燃やすかによって排ガスの内容は全く違う。調査の1日だけ、安全性の高いものを燃やす事業所は多いはず」という同業者の声も聞かれます。また、ダイオキシン類などの測定結果についても「利害関係者の求めに応じて閲覧させなければならない」とする同法ですが、新聞社等の取材に対し結果を明らかにしない施設も多いのが現状です。このような業者では従業員の安全にどの程度配慮しているのか疑わしい面があります。ダイオキシンの危険に対し、少しでも不安のある従業員は積極的に会社に情報開示を求め、自らの安全を確保しないといけないでしょう。

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■PCB大気汚染/環境庁調査で初確認

 ポリ塩化ビフェニール(PCB)は残留性の高い有害物質として製造・使用が禁止されています。しかしPCBの保管・管理がずさんなところもあり、また不法投棄などのために水質や土壌、生物の汚染が問題となっています。
 環境庁が18日に公表した1997年度の化学物質環境調査で、PCBが微量ながら大気中から検出されたことが分かりました。今まで大気中でPCBが検出された報告はなく、今回の調査でPCBが水だけでなく大気を通じて環境中に拡散している事実が明らかになりました。
 調査は北海道、長野、愛知、長崎など19道府県の県庁所在地などで、自治体に依頼して21地点で実施しました。大気1立方メートル中の濃度は、1.5ナノグラム(長崎県庁)〜0.044ナノグラム(仙台市榴岡公園)の範囲で、長野県の乗鞍岳でも0.15〜0.12ナノグラムが検出されています。
 PCBが大気から人体に入った場合の影響はまだ詳しくは分かっていませんが、環境庁では「直ちに人の健康などに影響がでるレベルではないが、今後も監視を継続したい」としています。
 PCBはダイオキシンと同様に環境ホルモンの疑いが強く、大気にも含まれているというのはとても気になります。

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■ホテルオークラがISO9001取得

 ホテルオークラは30日、品質保証の国際規格である「ISO9001」の認証を取得しました。対象はホテルオークラ東京の施設、料理、サービスなど全部門の品質システムです。ホテル・旅館業ではすでに石川県の「加賀屋」がISO9002を取得していますが、ISO9001の取得はホテルオークラが国内で初めてのものです。ホテルオークラでは国際的な信頼性を高めるとともに、顧客サービスの向上に役立てる考えでいます。
 認証を取得したホテルオークラは62年5月20日開業、施設は客室857、レストラン8、バー4、宴会場33、その他結婚式場、ヘルスクラブ、ビジネスセンター、ギフトセンターなどを備えた都市型ホテルです。
 同ホテルでは今年2月、ISO取得のために大崎社長を委員長とする「ISO9001認定取得推進委員会」を発足させ、全社的な準備を進めてきました。この結果、10月の本審査を受けて認定されたものです。
 一般に製造業の顧客満足度の把握は間接的であり、企業の自己採点は以外と甘いものです。しかしホテル・旅館業などのサービス業では直接お客の生の声が聞こえてくることから顧客満足度には敏感にならざるを得ない面があります。このことからもホテル・旅館業ではISO9000シリーズの認証を取得することで、顧客に対するサービスの良し悪しが客観的に把握でき、その結果利用客への対応を始め各種サービスに即反映できるものです。
 最近では環境ISOの取得を目指すホテルも出てきていますが、利用者からみれば顧客に対する品質(サービス)が大事な要素でしょう。いくら環境に配慮したホテルであっても顧客サービスがおざなりであれば、そのホテルの必要性は感じないでしょう。ホテル業の存在理由・目的を顧客の目で見て欲しいのですが、なかなかISO9000シリーズを目指すところは少ないようです。ホテルオークラのISO9001認証取得を機に、多くのホテルで認証取得が進むことが期待されます。

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■もしもしホットラインISO9001取得/テレマーケティングで初

 テレマーケティング大手のもしもしホットラインがISO9001の認証を取得しました。テレマーケティング会社でISO9001を取得したのは初めてのことだといいます。
 テレマーケティング業務の企画、提案から運用・管理までの全ての業務が対象です。同社では顧客1社に対し専門の担当者1人を付けて顧客データの機密保持に配慮するなど品質重視のサービスを行ってきましたが、顧客には他社との差が分かりづらかったようです。このため同社では、今回のISO認証取得により他社との差別化を図り、テレマーケティング業務の受注増につなげたいとしています。
 テレマーケティング業務では顧客企業に代わり消費者との窓口業務を務めるなど、そのサービスの質が重要になりますが、ISO9001の認証取得会社であれば信頼性も高まり、企業の求めに応じて監査も受け入れてくれるでしょう。同社では、アウトソーシングに慎重だった金融機関からの受注も拡大できると見ています。

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■騒音・黒煙のない天然ガストラック/日本ガス協会に

 日本ガス協会は25日、液化天然ガス(LNG)を燃料にしたLNGトラックを開発したと発表しました。ディーゼル車特有の黒煙の発生や振動、騒音のない総重量20トンのトラックとLNG充てん設備(スタンド)がこのほど完成しました。通産省の補助金(約4億円)を受けて96年度から4年計画で開発を進めていたものです。
 日本では、圧縮天然ガス(CNG)の自動車が企業や自治体の車両を中心に2,915台(11末現在)走っているそうですが、LNG自動車は初めてのものです。米国ではすでに800台程のLNG自動車が走っているということなので、日本の取り組みは少し遅いようです。それでも今後普及することで不快なディーゼル車の黒煙が少しでも減ることを期待したいと思います。
 液体のLNGはCNGに比べて同じ燃料タンクでも約3倍の燃料を積むことができるのですが、価格が現在のところディーゼル車などの通常車両の2倍にもなるので、もう一頑張りしないと普及させるのは難しいようです。

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■ダイエー、妊婦対象に無料配送/障害者サービスも拡大

 ダイエーは障害者や妊産婦へのサービスを拡大し、9日から一部店舗で妊産婦が購入した商品を自宅へ無料で届けるサービスを開始しました。
 無料配達サービスは97年から障害者と65歳以上の高齢者を対象に始め、実施店舗は現在38店になっています。同社ではこのサービスの利用客が増えていることから、今回妊産婦も対象に加えることにしたものです。対象商品は米やペットボトル、缶詰、陶器などの小物で、生鮮食品などの要冷蔵品や大型家電、家具などは対象外です。ハイパーマート8店舗ではさらに障害者・妊産婦専用駐車場を設置しますが、これは日本初とのことです。
 また障害者のために、「タクシーを呼んでください」などの日常よく使うメッセージなどが書き込まれたコミュニケーションツールの「電話お願い手帳」を、9日の「障害者の日」を機に直営の全店に配置しました。
 障害者や高齢者が快適に買い物ができるような配慮は、企業イメージアップにもなり消費者・企業お互いに歓迎できるものです。よく利用するハイパーマートでは車いすの人もよく見かけますし、開店当初から車いすで押せるショッピングカートがあったことからも、企業の福祉への取り組みが伝わってきます。

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■JT、米国でのたばこ訴訟の和解に参加

 日本たばこ産業(JT)は1日、米たばこ大手4社と全米46州との間で先月成立した、たばこ訴訟の和解契約に参加すると発表しました。
 和解に参加しないと供託金として約10億円(JT試算)が必要であることと、JTでは米国で年間約8億本のたばこを販売しており、今後も事業を維持拡大するために和解参加を決めたようです。
 JTは和解契約のうち、
 ・屋外・交通広告の禁止や未成年へのサンプリングの禁止などの行為規制18項目
 ・和解参加州におけるたばこ規制に対する訴訟提起の禁止
 ・金銭の支払い
  の3点に参加します。
 負担額はシェアに応じて決まりますが、JTの場合は支払いを始める2000年時点で約1億7,000万円(1ドル=120円で換算)の見込みで、この和解金の支払いは無期限で続くことになります。
 JTでは現在日本国内で3件のたばこ訴訟を抱えていますが、事業を維持するための米国での対応がこれら訴訟にも影響するかもしれません。国内の訴訟で和解することで今後日本のたばこ訴訟が増える可能性も高く、さて、どうするのでしょうか。

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終わりに

 西暦2000年問題ですが、米国ではすでに40件もの訴訟が起きているようです。内訳は消費者がメーカーを相手取って起こす集団訴訟が大部分で35件、企業同士の契約不履行問題で3件、株主が企業の役員に対して起こす株主代表訴訟が2件となっています。
 米国の弁護士によると「企業がどれだけ情報開示しているかで訴訟に大きな影響が出る」と指摘しています。たとえば企業の2000年問題対応が不十分であるため株価が下がったと株主が訴えた場合、「情報開示が遅れた分だけ損失額が加算される」とのことです。我が国ではこのような訴訟が起きるかは分かりませんが、いまだに2000年問題の対応が完了していない企業もあることから、実際にトラブルが起きてから大騒ぎになるのではないかと心配です。
 ところで「今世紀最後の○○」といったキャッチコピーをよく見聞きしますが、このためか1999年が20世紀最後と勘違いし、2000年から21世紀だと思っている人がいるようです。21世紀は2001年からですので注意しましょう。昔のことですが、映画「2001年宇宙の旅」が、何で2001年なのかな?と一瞬考えた人も多かったのではないでしょうか。

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