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1999.5 No.65  発行 1999年5月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
インターネットでは主な記事を紹介します。

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掃除機で吸引、80歳男性の窒息死防ぐ/大阪、救急隊員指示
救急医療品の搭載義務を国内線に/運輸省通知
リサイクルからリデュース、リユースへ/通産、政策を転換
駅のバリアフリー評価/運輸省、全国主要駅を格付け
ホテル、旅館を客が採点/運輸省、別府で実験
駅やホテルの案内標識統一へ/運輸省が検討会設置
■2000年問題、原発7施設で改修終了/エネ庁調べ
■2000年問題、日銀が「危機管理策」/40兆円準備、手作業決済も
 想定
■2000年問題対策で日本の評価カテゴリー2に上がる/ガートナーグ
 ループ調査
■クレジットカードの利用がOK/JR西日本
■全国初、薬の無料宅配/大分の病院が開始


4月のニュースから

■掃除機で吸引、80歳男性の窒息死防ぐ/大阪、救急隊員指示

 2日午後7時10分頃、大阪府大阪狭山市金剛1の無職の男性(80)がすき焼きをのどに詰まらせて意識不明になりました。家族が119番通報し「白目をむいている。意識がない」と説明したところ、応対した救急隊員が背中をたたくよう指導、効き目がなかったので掃除機を使うよう指示しました。そこで家族が男性の口をこじ開け掃除機の先を口に入れて吸引、糸こんにゃくと水菜を吸い出し、一命を取り留めたものです。
 家族は「掃除機が有効という知識はあったが、気が動転していた。119番の指示で冷静になれた」と話しています。とっさのときには知識があっても思うように対処できなく、日頃の訓練の重要性が分かります。道を歩いているときに誰かが倒れていた場合、普通の人はどのような処置が必要なのか、とまどうことでしょう。小学校、中学校での継続的な教育の一環として、授業の中で人工呼吸などの救命・救助の実地体験を積むのも大事なことでしょう。

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■救急医療品の搭載義務を国内線に/運輸省通知
 5億円


 運輸省は1日までに、国内線の機内に点滴器具や輸血、注射器などの救急医療品を9月末までに搭載するよう航空各社に通知しました。今までは国際線には常備されていたものですが、国内航空会社の機内で急患が出て医師の協力を求めたケースは、94年度からの4年間で国内、国際線合わせて約1,100件あり、その約半数が国内線で発生していることから今回の通知になったようです。
 国内線に搭載が義務付けられるのは、点滴器具などのほか、強心昇圧剤、血圧降下剤、血圧計などです。電気ショックを与える医療機器などは航空各社の判断に任せて義務付けてはいませんが、それでも乗客にとっては安心できるものです。

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■リサイクルからリデュース、リユースへ/通産、政策を転換

 通産省は循環型経済システムの構築に向けた政策の企画立案方針として、リデュース(発生抑制)とリユース(再使用)の促進を推進することを明らかにしました。これは環境と資源の制約に対応しながら、経済成長を維持するためには現行のリサイクル政策では不十分であるとの認識からきたものです。
 通常、金属やガラスなどの回収では分別・洗浄の後、一度粉々に砕き熱処理で素材へと還元することが多いのですが、これでは大量のエネルギーを使うため循環システムとしてはいずれ限界が来るといわれています。リターナブルのビンなどでは洗浄とラベル処理だけで商品に再生されるので、環境負荷はリサイクルよりも格段に減らすことができます。また、最近ではチャイルドシートをリユースする動きも自治体などで出てきています。 通産省ではリデュース、リユースの取り組みで経済成長を損なうことを懸念していますが、産業界ではすでにリユースに向けて動き出しています。日本アイ・ビー・エムでは97年から家庭用の旧型パソコンでもインターネットや電子メールが利用できるソフトを販売するなど、パソコンの再利用に取り組んでいます。
 また昨年、リコーや小松リフトでは使用済み製品を修理して新品並の機能を保証した「再生機」の販売を始めました。リコーの取り組みはオフィスから回収した高速複写機の部品やソフトを更新、部品の寿命などを新品同様に保証した製品にするもので、2000年をめどに年間数千台を販売する計画でいます。企業内のOA機器はレンタルやリースが多く、リユースすることのメリットは大きいのでしょう。小松リフトでは従来代理店から引き取った中古機を転売していましたが、顧客の要望に応じて修理や塗装、エンジンやバッテリーの交換などの改造でカスタム仕様を設定、2000年度には20億円の事業規模を目指しています。
 いずれも従来からの「中古品」というものではなく、最新機種の品質を低価格で購入できることから、購入側のメリットも大きいものです。

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■駅のバリアフリー評価/運輸省、全国主要駅を格付け

 運輸省は6日、交通エコロジー・モビリティー財団と共同で、全国の主要駅を対象に高齢者や障害者が利用しやすいかどうかを「格付け」し、地方自治体や事業者のバリアフリーへの取り組みを促進することを決めました。沖縄県を除く各都道府県ごとに最低1駅、5年間かけて205駅のランク付けを行うもので、99年度内には新宿(東京)、名古屋、難波(大阪)など3大都市の主要10駅程度を採点することにしています。
 障害者からは「鉄道は最悪」という評価もあることから、先の長い話しとはいえ運輸省の取り組みは歓迎できます。具体的なバリアフリーの基準や評価手法は年末までに詰める予定で、エレベーターやベンチの有無、切符を買って電車に乗り降りしたり、駅構内のトイレを利用するなど一連の行動が円滑にできるかどうかを採点するとしています。
 委員会では「誰のためにどこまでのバリアフリーかが必要か」を明確にして具体的な評価基準を策定するとし、その際「利用できない人が利用できるようになったかどうか」(同省)という点を重視するとしています。「施設(ハード)を作って終わり」ということにならないよう、実際の利用者による検証を受け入れられるよう進めてもらいたいものです。
 同省では将来、格付けの対象を駅だけでなくバスやフェリーのターミナルにも拡大、インターネットなどで結果を公表することも考えているようです。

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■ホテル、旅館を客が採点/運輸省、別府で実験

 運輸省は7日、ホテル・旅館の施設・サービスの評価をアンケートで採点する実験を大分県別府市で行うと発表しました。同省は問題がなければこの方式を全国展開し、集計結果を公表することで利用者のホテル・旅館選びの参考となる情報を提供する考えです。海外では宿泊施設の評価を公表することが一般的ですが、日本では客観的評価で格付けする統一的なものがないのが現状です。同省によると、別府市では台湾や韓国からの観光客を中心に、ホテルなどに「星はいくつか」などの問い合わせが多いといいます。
 アンケートの実施時期は今月15日から5月22日までで、別府市にある約40の宿泊施設を対象とします。アンケートは同期間中に訪れた個人利用客に記入用のはがきを渡し、宿泊後に郵送してもらう方式で、客室、料理(夕食、朝食)、サービス、大浴場、ロビーや庭園などの共用施設などの項目を10点満点で採点してもらうことにしています。集計後は各施設の各項目ごとに平均点を出し、6月末をめどに一覧表で公表する予定です。
 雑誌やテレビなどで紹介される宿泊施設やレストランなどの評価は、施設と出版社・局の利害関係によって紹介されることから、実際に行ってみたものの「話と違う」ということも結構あるようです。このような信頼性の低い情報がまかり通っていることの問題も大きいのですが、同省では「2002年のワールドカップに間に合わせ全国に展開したい」としているので、これから楽しみです。
 また、評価が妥当かを調べるため、有識者などに当該宿泊施設に実際に泊まってもらい、モニター調査なども行う、としているので、これも評価できます。後は定期的な再評価の仕組みを作れば、この制度が皆に利用されるものになるでしょう。

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■駅やホテルの案内標識統一へ/運輸省が検討会設置

 運輸省は駅やホテルなどにある案内標識(シンボルマーク)の統一に乗り出します。鉄道など関係業界の担当者らをメンバーにした検討会を設置して具体案を協議、2年ほどかけて最終報告をまとめる予定です。
 トイレや電話などのシンボルマークはいろいろの場所で目にしますが、設置会社によってデザインの統一性がないのが現状です。このため見た目のデザインが優先されているものもあり、シンプルな人形マークから抽象的な男性の顔に「Gentlmen」といった英語表記のものまで様々です。このため高齢者や海外からの旅行者には分かりにくいものもあるとの指摘がでています。また鉄道の駅や地下通路の行き先案内標識は分かりづらいものが多く困ってしまいます。JRの駅では、ホームから階段を下りた正面の天井から吊られている行き先案内標識があります。この標識の場所はいいのですが、そこには矢印の表記がなく左右あるいは斜め前方なのかとまどうこともあり、少し歩いてから理解できるものも少なくありません。標識そのものはシンプルできれいなデザインなのですが、肝心の情報が「行き先名」だけで「方向」が不明瞭では標識の役目を果たしているとはいえません。設置者の自己満足なだけの標識と思われても仕方がないでしょう。このような状況は、皆に理解され、使われ、満足を与える本当のデザインがどういうものか勘違いしている企業と、その企業に使われるデザイン会社の罪と言っていいでしょう。プロであるデザイナーは、幅広い知見でデザインの本当の姿を企業に示して欲しいものです。

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