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1999.6 No.66  発行 1999年6月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。
インターネットでは主な記事を紹介しています。

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アクセシブルデザインを原則に/ISO高齢者・障害者WG
薬事法の改正に合わせ化粧品の全盛分表示進む/大手各社の動き
トウモロコシがチョウに影響?/遺伝子組み換え作物の安全性で
 議論広がる
スプーンのリサイクル/燕小池工業団地組合
核のごみを減量化/核燃料サイクル機構、従来の1/10
弁当の割りばしは必要?/セブンイレブンの新対応
■独禁法がリターナブルびんの障害/デポジット制度は価格カルテ
 ル
■土壌・地下水汚染を土地評価額に反映/ISO14000シリーズ規格へ
■駅に専門の案内係設置/JR東日本、国内の鉄道で初
■2030年にはたばこ被害で年1,000万人死亡/WHO報告


5月のニュースから

■アクセシブルデザインを原則に/ISO高齢者・障害者WG

 通産省によると、ISO高齢者・障害者ワーキンググループ(WG)は政策宣言の内容を固めました。標準化に当たってはアクセシビリティ(使いやすさ)という新しい概念を導入し、これに基づくアクセシブルデザインをすでに一般化しているユニバーサルデザインと共に標準化推進の基本原則とし、規格作成作業における高齢者・障害者の参加などを求めています。この高齢者・障害者WGはISO関係では我が国が初の議長国を務めているもので、昨年10月の東京会議から作業を開始し、今月ワシントンで開かれた会議で政策宣言の内容が固まったものです。宣言は来年1月のISO・国際電気標準会議(IEC)理事会で採択される見通しで、通産省が進めている同じ概念の「共用品」の開発・普及にも拍車がかかると見られています。
 政策宣言の主な内容は、次の通りです。
 <ユニバーサルデザインとアクセシブルデザインの基本原則の促進>
 標準化機関は製品、サービス、環境が高齢者・障害者を含めた消費者にとり容易に利用・アクセス可能で、安全であることを確保するための標準化作業を促進し、規格の作成・改正においてはユニバーサルデザインとアクセシブルデザインの原則を採用すべきである。
 <規格作成作業における高齢者・障害者の参加>
 標準化機関にとり規格作成プロセスにおいて高齢者・障害者が消費者として直接参加することを保証することが重要。 <研究プログラムと標準化の連携>
 標準化機関はアクセシビリティに関する研究プログラムと協力、情報交換する。 標準化機関は高齢者・障害者に関する人間工学に関する技術研究プログラム、規格において高齢者・障害者のニーズを考慮するための製品およびサービスのアクセシビリティの関連する技術研究プログラムの研究結果を標準化作業において利用すべきである。

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■薬事法の改正に合わせ化粧品の全盛分表示進む/大手各社の動き

 
欧米では化粧品メーカーに全成分表示を義務付けていますが、我が国では中小の化粧品メーカーから全成分表示が始まりました。これらの動きを受けてから1年以上後の98年、鐘紡と資生堂では新製品から全成分表示を導入しました。これは薬事法の改正で2000年度から義務付けられることへの対策ですが、ここへきてコーセー、花王も全成分表示に切り替える動きを見せています。消費者のための情報開示と言うよりも嫌々という形ですが、致し方のないことでしょうか。
 情報開示というのはその情報を利用する人が多いかどうかの問題よりも、客観的に自社の製品を評価してもらうための行動という企業ポリシーの現れであり、大手化粧品メーカーのポリシーの無さを伺い知ることができます。
 資生堂、コーセーでは消費者からの問い合わせに答えるためのマニュアルを作成し、表示内容の理解を促すことにしています。しかし化粧品に配合される成分は油脂や防腐剤、着色料など約2,700種に上るといわれ、消費者に理解してもらための各社の適切なアドバイスが欠かせないようです。

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■トウモロコシがチョウに影響?/遺伝子組み換え作物の安全性で議論広がる

 遺伝子組み換えトウモロコシがチョウに被害を及ぼす恐れを指摘した論文が20日付の英科学誌ネイチャーに掲載され欧米で議論になっています。論文は殺虫剤成分の遺伝子を組み込んだトウモロコシの花粉を食べさせると、オオカバマダラというチョウの幼虫が死んでしまうとする、米コーネル大の研究です。
 民間団体、憂慮する科学者連盟は「農業バイオテクノロジーは環境に重大に危険をもたらす」と栽培中止を求める声明を発表しました。また環境保護団体グリーンピースによると、欧州委員会は組み換えトウモロコシの認可手続き一時停止の措置を打ち出したといいます。
現在遺伝子組み換え作物は米国を中心に37品種が商品化され、トマトなど生鮮品以外の食品材料や加工品として一部が日本にも入ってきています。今回は美しい姿で人気のあるチョウの被害ということで各メディアも報道したため、遺伝子組み換え作物の漠然とした不安が吹き出したようです。

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■スプーンのリサイクル/燕小池工業団地組合

 燕小池工業団地組合(新潟県燕市)では、全国の家庭に眠っているスプーンのリサイクル運動を展開します。同組合の共同施設である共同展示館「つばめ」へ全国の家庭から不要になったスプーンを送ってもらい、地元の丸越商店へ売却、丸越商店ではステンレスメーカーへ再生材として販売するものです。
 金属洋食器の中でスプーンはほとんどがステンレス製で、リサイクル率が90%と高いことから今回のリサイクル運動が実現したものです。感心するのは、同組合ではメーカーの責任としてリサイクルを位置付け、家庭から送付してもらうときの送料を負担し、不要スプーンの売却代金は社会福祉協議会へ寄付することにしていることです。
 現在家電品業界や自治体では2001年4月に施行される「家電リサイクル法」のため、どのくらいの料金を消費者に負担させるかで試行錯誤しています。しかしメーカーのリサイクル実験での処理コストでは1台当たり軽く1万円を超えてしまい、消費者の考えている1,000〜3,000円を妥当とする負担金とは大きくかけ離れています。
 家電メーカーがこれほどまでに大きな利益を上げ成長してきた背景には、利益最優先で商品販売後の環境責任を考えずにきた結果でもあり、メーカーの責任が問われます。しかし彼らの考えは燕小池工業団地組合の考える企業の責任とは比較にならないほどずれているようです。
 「メーカーは被害者である地球の損害を補償するために商品にリスクを相殺する価格を上乗せして販売することができる。また環境被害を十分予見できる立場でありながら対策を怠った」として過失責任が問われても不思議ではないのですが…。

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■核のごみを減量化/核燃料サイクル機構、従来の1/10

 我が国では使用済み核燃料の再処理で発生する高レベル廃棄物を、ガラス固体化にして地下数百メートルの地層に埋めることにしています。核燃料サイクル開発機構は、この処理スペースを削減するため高レベル放射性廃棄物の最終処分の容積を従来の1/10に減らす「超高温処理技術」を開発しました。これは高レベル放射性廃液を2段階で高温処理し、セシウムやストロンチウムを蒸発させ回収し、再利用可能なテルニウムなどの白金族を金属の塊として分離するものです。この結果高レベル廃棄物は岩石状の酸化物となり、これを金属容器に入れ地層処分することになります。
 一般のごみ処分ではその減量化が叫ばれていますが、これはエネルギー消費による環境負荷の低減とと物理的な最終処分場のスペースの問題が主な目的です。廃棄場所も管理も特別な核廃棄物は、安全上その処分量が少ない方がリスクが大きく減ります。安全な状態で廃棄できない核廃棄物は、その量をゼロにするのが理想ですがずいぶんと難しいようです。素人の考えでは、核廃棄物を太陽に廃棄する方法を思い浮かべますが、恐らく経済的に合わないのでしょう。

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■弁当の割りばしは必要?/セブンイレブンの新対応

 セブンイレブン・ジャパンは10日から全7,760店で、弁当に付けていた割りばしの添付をやめました。弁当を購入する客にレジで必要な本数を聞き、その分だけ渡すようにするものです。たしかに外で弁当を食べるとき以外は使い慣れた自分のはしで食べるのがおいしいので、割りばしが余ってしまうものです。一部の客からも「ムダが多い」との指摘がでていたようで、いい取り組みです。同時にスパゲティなどの料理面に付けていたプラスチック製のフォークの添付もやめました。
 セブンイレブンでは消費者に身近な分野で省資源化への取り組みを広くアピールするのが狙いだといっていますが、他にもいい効果があるかもしれません。スーパーやコンビニはモダンな販売形態で浸透してきたもので、パック詰めの商品の取り扱い易さや、見た目の清潔感とともに対面販売で行ってきた売り手と買い手の会話を極力減らし経済効率を高めるものでした。自動販売機で商品を購入する形態と違い、人が応対(レジ)する店ではできるだけ会話を増やしてもらいたいと思います。商品購入の楽しさを消費者が理解することで、店とのコミュニケーションが深まり消費者の希望が企業に届きやすくなることが期待できます。良い商品を適正な価格で購入する消費者の満足感が、販売者にあっても共通の満足となる理想的な関係に近づくかもしれません。

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