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新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第15号

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〜近所付き合いの“義理”について〜


中澤 恵子

 私は信州に来て10年になるが、前々から強い違和感を感じていた義理を重んじるこちらの近所付き合いについて少々意見を述べてみたい。

 それは6年前、隣組の葬式に半ば強制的な付き合いをしたことに始まる。新しい団地でほとんど付き合いのない人たちが2日間も仕事を休んで夫婦で手伝いに出た。そのときの組長は前後5日間も休んだというので驚き!!亡くなった方が松本の大手建設会社の部長であったことから、会社関係の人が100人以上も来たため、団地に車を止めて葬儀会場となった公民館との間を大型ワゴン2台でピストン輸送するような状況だった。
 本来は会社の総務関係者が取り仕切るべき葬式だったが、組長が「農協に相談しなさい」とその会社の人に言われて隣組で行うことになってしまったようである。何もかもが異常で終わった後、私たち夫婦は二度とやりたくないと思うほど負担に感じた付き合いだった。きっと農協にぼろもうけさせたのだと思うと、思い出すだけでも悔しくてならない。

 それからは直接的に関る義理もなく、あまり気にもせずに月日が過ぎていた。先日、職場の委員会で集まった同僚となにげない日常会話をしていたら、三郷村に住んでいるAさんが「いつも自分の家には新札を10〜20万は用意している」というので一体何のことかとたずねてみた。すると「冠婚葬際のために使うお金」ということが分かったのだが、それは成人式、結婚式、葬式および祖先の祭事、法事などで、人生の節目をなすと同時に近所や親類づきあいの根幹となるもので重要視しているというのである。彼女いわく「万札が飛ぶようにでていくため、家計を圧迫している」といい、最近の例をあげてくれた。「私の家は新宅で、本宅(本家)の新築祝いに10万円包んで夫に持って行ってもらったのだが、『他の家では15〜20万円お祝いをしていた』と言われ、新宅の嫁として義理を欠いたことで夫婦げんかになってしまった」というのである。
 また「同姓の家20軒で付き合いをしているグループに最近入ったため、とまどうことが多い」という。「全く顔も知らない他人なのに冠婚葬祭で数万円のお金が出ていき、葬式で2人して手伝いに出ることが続いている」という。95歳の老人の葬式に対し派手にせず質素にしたらどうかと意見を言ったら、60代70代の長老たちが反対し、今まで通りの葬式になってしまった。身内や親戚の人数より隣組、同姓の手伝いが倍くらいにもなり負担を強いられ大変だったという。(同姓とは同一地域の同じ姓を名乗る家々のことで、遠くたどれば同じ系図でつながっている親戚みたいなもの。)


 同席していた四賀村のBさんは、ある葬式のとき隣組の手伝いに来た人たちが葬式をしている家人に何の断りもなく勝手に酒や料理を店に追加注文して飲み食いし、葬式が終わったあとでびっくりするくらいの酒ビンが転がっていた、という話をしてくれた。これを見たこの同僚の父親は「いったい誰が勝手に酒などを頼んだんだ」と怒っていたという。どうも隣組とは手伝いをするというのではなく、結局飲み食いするために集まってくるようなものとしか思えない。

 前に他の人から聞いた話であるが、「酒と料理の豪華さや坊さんの人数が多いことなど、たくさんお金をかけたことが葬式の評価となることが多い」ということもあり、私には「故人のことなど全く考えない異常な世界」としか思えない。地域によって義理の付き合い方はさまざまあるようだが、嫁いで来た若い世代の彼女たちの負担・不満は多いようである。しかしその地域で生活していくためには、意見や一般常識が通用しない古い慣習やしきたりにも甘んじ、あえて壁を崩すことはできないようだ。
 最後にAさんが言った「この地を出て松本に住めばこんな付き合いはなくていいのだけど、なかなかそうもできないし…」という言葉が印象に残った。




〜ナチュラリストの紹介〜


中澤 滋

 私は信州に来てから10年が過ぎましたが、この間に知り合ったナチュラリスト達を紹介しようと思います。いわゆる“ただ自然の好きな人”というのではなく、どちらかというと研究者である彼らには今もいろいろ教えてもらう、私の良き先生になってもらっています。そんな彼らの活動をより多くの人に紹介しようと、1996年からホームページを作っていますので、興味のある方はアドレスを書きましたのでご覧ください。

◆「小鳥と小動物の森」のナチュラリスト
 松本地域に住んでいる方はご存じだと思いますが、松本市北部、市の中心部より200メートルほど標高の高いところに自然を生かした緑豊かなアルプス公園があります。松本駅から車で約10分くらい、歩いても1時間程度(歩く人はあまりいないと思いますが)の私の好きな公園です。園内には子供連れがのんびり過ごせる広場や遊び場が多く、山岳関係資料を展示しているアルプス山岳館もあります。このアルプス公園の奥の方に「小鳥と小動物の森」という小さな動物園があり、日本にすむ身近なけものや鳥、家畜などの動物を飼育しています。何種類かの動物には触ることができるので、休みの日などは子供たちが大はしゃぎしています。天気の良い日にぶらっと寄ってみてはどうでしょう。
 ここの「小鳥と小動物の森」には現在5人の飼育係がいますが、個性的な人達でテレビや新聞などに出ることもあり、「どこかで見た」という顔の人がいると思います。ここの管理事務所はまた、自然の好きな人のための「松本ナチュラリストクラブ」の事務局でもあります。初めてアルプス公園に来たときにここを訪ねてすぐ会員になってしまったのですが、ジャンルを問わない自然観察会など、ユニークな企画が多いのが特徴です。興味のある方は次の連絡先にコンタクトしてください。
松本市アルプス公園小鳥と小動物の森管理事務所
〒390-0861 松本市蟻ヶ崎大平2255-7
TEL/FAX:0263-36-5251
ホームページでは、生き物の生態など普通知らないことが月1回のレポートで紹介されています。
http://www.azumino.cnet.ne.jp/NATURE/alpszoo/index.html

◆梓川村の自然研究家
 私が都会に住んでいた頃は「日本野鳥の会」に入っていたこともあり、休日ともなるとわざわざ電車に乗り探鳥会に出かけたものです。ところが梓川村に移り住んでからは、歩いて10分ほどの矢橋というところに自然観察に適した河原があるため、もっぱらそこをフィールドにして楽をしています。犬の散歩に付近を散策するだけでも、運がいいとカワセミ、ヤマセミやアカゲラなども見ることができます。その河原で10年近く前に出会った、逸見さんという自然研究家の人がいます。この方の案内でこの地域の自然のスポットを数多く教えてもらったのですが、彼が矢橋で発見したホトケドジョウやカワモズクなど新聞で見聞きした人も多いと思います。
 写真家の故・田渕行男先生とも親交が厚く、写真集「アシナガバチ」の取材では矢橋の河原を案内しています。また、元信州大学教授のお魚博士である中村一雄先生の研究でも力を貸している方で、梓川村の自然については誰よりも詳しい人です。「今ごろはあそこで○○の花が咲いているかもしれない」といって、なにげない畑のあぜを見に行ったこともあり、「こんなところまでよく調べているものだ」と感心したことがあります。
 身近な自然の研究を紹介する逸見さんのホームページは、月2回更新しています。
http://www.azumino.cnet.ne.jp/NATURE/yabashi/index.html



〜第12回例会報告〜

 第12回例会は12月4日(土)、穂高町のペンションで行い、十数名の会員が集まりました。おいしい料理やお酒に皆さん話が弾み、ゆったりとそしてなごやかな笑いで時間が過ぎていきました。そのためか用意したビンゴゲームの開始タイミングがなかなかはかれない状況でしたが、それでもほろ酔い加減になった頃、Kさんの奥さんのリードでゲームを始めました。

今回はいつもとは少し違う趣向が隠されていて、ビンゴ」になった人から喜んで自分の好きな賞品(袋の中身は見えませんが…)を受け取るのですが、「自分だけで見て皆には公開しないで」と言われました。そして賞品が全員に回ったところでゲームは終了するのですが、今度は最後に賞品を受けた人(ゲームでは最下位の人)から順番に好きな景品と交換が許されるというものだったのです。
 もちろん交換の権利を「パス」することもオーケーで、いいものかどうかを顔の表情や袋の大きさ・重さ、あるいはうるさい外野の声などで推測して判断します。そして全員の交換が終了した後の景品披露では、もう皆で大騒ぎでした。それでも各自それぞれ納得?して、いつものビンゴにはない楽しい時間を過ごすことができたようです。

 他にも当日はKさん作詞の曲がCDで披露されました。これはあるラジオ番組の「今月の歌」で曲の詩を募集していたのをKさんが知り、さっそく作詞したものを送ったところ、9月の歌に採用されたものです。その詩にプロの作曲家が曲を作りCDにしたものです。詩は信州に移り住んだ私たちの気持ちを歌ったもので、プロがアレンジした作曲、演奏・コーラスはフォーク調でなかなか親しみやすいものでした。曲を聞いた会員の評判もよく、「新・信州人倶楽部のテーマソングにしてみたら?」という声が上がりました。CDになった(最近はCD-Rという個人で録音ができるCDがあり、そのCDに録音されたものが小峰さんに届いたものです)からといって、販売されることはないのですが、「営利目的で使用しないで欲しい」という条件を守れば、倶楽部で使ってもいいようです。演奏の音がコーラスにかぶってしまうので少し聞き取りにくいので、うまく調整して他のCD-Rに再録音できないかと考えています。

 そんなこんなで夜も10時近くになり散会したのですが、泊まりの人を含め何名かはさらに話がつきないで居残っていました。オーナーの中原さんには遅くまで迷惑をかけましたが、この紙面を借りて「どうもありがとうございました」。

例会の様子


事務局からのお知らせ

◆新・信州人倶楽部規約について
 前回の会報に同封するつもりで忘れてしまったのですが、新・信州人倶楽部規約を同封します。幹事会で決定したもので、文章の足りない点や意見などありましたら事務局までご連絡ください。来年度の見直し時に反映したいと思います。

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会報目次

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