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新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第27号

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転身3年 次はわが家を

K.S.

 山の向こうから鐘の音が聞こえる。日差しは強いが、木々をわたる風は涼しい。畑仕事に励み、一日に4度の鐘で時を知る暮らしを始めて3年目。Sさんは「こうしてぼーっとしているときが最高ですね」と話す。サラリーマン時代と較べて収入は激減したが「暮らしていける」。代わりに家族と過ごす時間は増えた。Sさんは「これでよかった」と思っている。

 奈良県出身。信大工学部卒後、同県の家電メーカーに開発職として勤務。帰宅時間は連日深夜に及んだ。土曜は決まって出勤し、日曜は疲れ果てて眠るだけの生活。「家族のために働いてるのに、家族のためになっていないなあ」−−。このまま疲れ果てて人生を終えていいのか。そんな思いは、2人の子どもが成長するほどに強くなった。

 無趣味な仕事人間だったのではない。子供が産まれたことをきっかけに食に興味を持ち、家庭菜園を始めた。休日には三重県の農家に出掛け、有機農業の見学や手伝いを楽しんだ。その回数は次第に増えた。土を触っているときの心地よさ。「農業を仕事にしたい」と思っていた。

 新規就農者を募集している自治体の説明会に足を運んだ。農業用語を理解するため、東京農大で園芸農業の通信教育を受講した。仕事に追われ、2年コースの終了に3年かかった。毎週末、就農準備校の有機農業コースを受講した。妻にはすでに気持ちを伝えてあった。機は熟した。

 20年以上勤めた会社に辞表を出したのは3年前。「何をするんだ」と絶句する上司に「分かりません」と答えた。うそではなかった。就農先も、どんな農業をするのかも決まってなかった。

 退職後、就農先探しは本格化した。1年分の生活費程度の蓄えはあったが、家族の生活を守るため、初年度からきちんとした収入を得たかった。結局、大学時代を過ごした信州を選んだ。

 まず借家を見つけて転居。その後、知人の紹介で4カ所計40アールの農地を借りることができた。早速、ジャガ芋、小松菜、春菊などを作り、友人グループに宅配した。初年度の収入は90万円だった。その後、知人を通じて、松本市内のレストランに野菜を収めることになった。2年目の収入は倍増した。農地は塩尻市内と隣の辰野町で計1ヘクタールに増えた。今年は、収量を増やす工夫を重ねている。

 旬の野菜を「お任せ」で詰め合わせるのがSさん流。得意客は京都や名古屋、関東各地にいる。夫婦2人での農作業、発送、配達は多忙で、のんびりできるのは1、2月だけ。でも、志野さんは「最初から冬のバイトをするな」という農業の先輩の教えを守り、有機農業の勉強に励んでいる。「バイトをすれば、現金収入になる。農業で同じ額の収入を得ようとすれば、はるかに大変。現金の誘惑に負けて、農業がおろそかになったら、何のためにここにいるのか分からない」と話す。

 2年目の冬は厳寒に見舞われ「来るんじゃなかった」とこぼしていた妻が、今は家を建てる計画を進めている。「ここでやっていくと腹を固めたんでしょうか。金がないから、自分で建てなければならないですが」。Sさんは、よく日焼けした顔をほころばせた。


会員紹介


〜おいしい味を、少し〜


中澤 滋

 今回はランチが手頃でおいしく食べられる割烹の店と、松本地方ではなかなかお目にかかれない、おやきの店を紹介します。前回も書いたのですが、どうもおいしいお店との巡り会いは松本市よりも長野市の方が効率的なようです。店が多くて競争しているのか、市民の味覚の差なのか分かりませんが、松本地域ではなかなか巡り会えません。知人に薦められた最近できたという穂高町のそば屋もトライしたのですが、のど越しはいいのですが、新そばの香りがよく分からないなど、800円のざるそばとは思えないようなものでした。量もそれほど多くないので、常連の人には1,200円の大ざるがよく出ていました。どうもこの辺りは観光客用の値段設定のようで、一部のまずい店はともかく大体同じような味と値段のような気がします。「石臼でひけばいい」という、いかにも観光客目当ての店もあり、それも殻のかけらが混ざっているのが多く見えるようでは、いまどき「黒い色がそばの証」とでも言いたいのでしょうか?客をバカにしているとしか思えません。

 そういえば12月3日付の日刊工業新聞の記事で、新潟県長岡市のメーカーが作る水冷式製粉機が人気だといいます。この機械で製粉すると粉の粒が10ミクロン程度の超微粉になり、香りや風味が出てくるということで、そば店、お菓子屋、大手の食品、医薬品メーカにも好評のようです。ちなみに価格は、種類により7万8,000円から220万円までとのことです。あずみ野のそば屋も、本当においしいそば粉の香るそば追求し、お客さんに提供してもらいたいものです。素人のお客だから、といって適当にあしらうような品質ではいけません。そんなことで今回も松本地域のお店はパスとなりました。

割烹そおだ

 JR長野駅西口から歩いて数分の、南石堂町はNTT長野支店のそばにあるお店です。割烹料理で店構えが大きいため少し躊躇しますが、日替わりランチが800円ととても手頃で味もまともです。

 当日出されたのはノルウェーサーモンのグリルがメインの皿で、みりんとお酒でしっかりと味が付いた、癖のない柔らかな風味と食感が大変おいしいものでした。中華風?の煮物と漬け物3種、そしてみそ汁が付いてきました。みそ汁はきちんとだしのとれたもので、みその味も濃すぎず香りの良いものでした。またご飯もおいしくて、こだわりの割烹ランチという感じで値段の手頃さもあり大変満足しました。煮物が普通の味?だったので、また別の日におじゃまして味を利きたいと思います。

 お昼に丼もの程度のランチを考えている人は、利用されることをお奨めします。なお板前さんの話ですが、ふぐ料理は6,000円から提供していて、値段といい質といい、他店には負けない、と自信をのぞかせていました。長野市で泊まりとなるときは要チェックのお店です。(電話026-226-3362)

西沢餅店

 「そおだ」から100メートル程北にある、添加物を使わないおやきのお店です。ほとんどが110円と手頃で、高いのが120円で100円のものもあったと思います。変に油あぶらした“しつこい”おやきと違って、とても食べやすいものです。中の具も、素材の味を大事にした適度な味付けでとても満足できるものです。女性ばかりでなく、近所のサラリーマンも1つ、2つと買って行くので、結構人気のお店のようです。「長野に来たら毎回来なければ!」と思うこと請け合いのお店です。(電話026-226-5295)

 ところで松本市の新村にあるおやきのお店「さかた」はいつも人が多く群れています。もう10年も前に利用したことがあるのですが、油こってりの皮に素材の味を無視したような濃い味付けの具、しかも値段が高く1つが200円以上した記憶があります。きっとジャンクフードに慣れた観光客目当てなのかな、と思っていたのですが、何かのおみやげに地元の人が利用するようなので驚いたことがあります。ブランドの功罪というのでしょうか…。このようなお店に行く人には、西沢餅店のおやきを食べてもらいたいものですが、“もの”の良さが分からない人には無駄なことかも知れませんね。



編集人から

 先日雑誌に掲載されていたエプソン製プリンターのアップグレードをしました。昨年の夏に購入したのですが、半年もしないのに「縁なしプリント」機能付きの製品が出てきて少々不満でした。それが今回のアップグレードで可能になり、ロール紙のアダプターなども付けてくれて15,000円はまあまあだと思います。これでしばらくは使い続けていけそうです。

 過去何回かの会合でお会いした同社の方には、「エプソン社員」がとても自慢で天狗さんの人が多く、あまり良い印象はありませんでした。ほかに大きな会社がないのでしょうがないのでしょうか。でも会社はまともで、使用済みカートリッジの回収箱を早い段階で各電気店に置いたりと、環境負荷の軽減には積極的です。そういえば98年には歳暮を全廃するなど、社会的慣習にもポリシーを持っているようです、今回のように、古い製品を使い続ける環境作りも評価でき、「なかなかやるな」と見直しました。PM-800C/DC、820C/DC、3300Cをお持ちの方は、神林の松本修理センター(0263-86-9995)まで連絡してみたらどうでしょう。

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