Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第39号

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〜倶楽部ノートから 〜



倶楽部ノートA

2003.11.21 齋藤 真弓

 ある日、といっても11月16日なのですが、齋藤家に“まるごと鴨”がやってきました。それも2羽。“まるごと鴨”といってもそれは、息をしている鴨ではなく、もう冷たくなったものでした。

 後で新聞を見て知ったのですが、前日は狩猟解禁日であり、鉄砲で撃たれた鴨だということがわかりました。“まるごと鴨”死んでるだけで、まだ羽根も頭もくっついている鴨が2羽、スーパーの袋に入れられていました。鴨が届いたときは、たまたま私しか家にいませんでした。玄関の戸がガラガラっと開いて「じいちゃんいる?」と誰かがやってきました。
私が「今、誰もいません」と答えながら、…この人、誰だったかなぁ?どっかで会ったことあるよねぇ。でも、思い出せないから、名前聞いといたほうがよね…などと考えていました。

 その人は「これ、カモ」と言って鴨入りのスーパーの袋を玄関にドンと置き、「ネコにやられないように」というとすぐにまた、玄関の戸をガラガラと閉めて帰っていってしまいました。

 「あれまぁ、帰っちゃった。まずいなぁ、名前わかんないといけないよなぁ。困ったなぁ…」としばらく考えていた私は、やっとその人が親戚の人だったことを思い出しました。そうして置いていった袋のことが気になり、袋の中をのぞいてみました。

 中身を見てビックリ仰天!!

 それは、まさしく鴨、空を飛んでる鴨だったのです。私は「カモ」と聞いてはいたものの、鴨だとは思ってもいなかったので、袋を開けて羽根とクチバシが見えた時、はじめて鴨だと認識したのでした。

 「ちょっと待ってよ〜!!これをどうしろって言うの?食べろってこと??」と思いつつ、玄関に鴨を置きっぱなしでもいけないと思い、台所のテーブルの上に鴨を移動させて誰かが帰ってくるのを待ちました。
間もなくダンナさんが帰ってきました。

 「ちょっとカモがきたよ〜!カモが…。顔見る?まだ、羽根も頭もついてるよ!!」と私は言いました。そういうものが嫌いなダンナさんは「こんな所に置くなよ」と言って鴨入りの袋をつまんで、台所のテーブルの上から廊下のすみへほうりだしました。

 そして義父と義母が帰ってきました。

 義父は鴨入りの袋を持って外へでていきました。しばらくすると鴨は頭と羽根をむしりとられて台所へ戻ってきました。それから義母が鴨を解体し、“まるごと鴨”は一口大の肉片となりました。

 肉片となった鴨は、鴨鍋にすることにしたのですが、今度は鴨鍋の作り方がわかりませんでした。家にあった料理の本をみても載っていませんでした。適当に作って食べられなくてもこまるので、なんとか鴨鍋の作り方を知りたいと思った私は、インターネットで探してみました。ですが、鴨料理のお店ばかり出てきて鴨鍋のレシピはなかなか出てきませんでした。やっと郷土料理の HPでレシピを見つけ“まるごと鴨”は鴨鍋となって齋藤家の人々のお腹におさまりました。

 気になる鴨肉の味ですが、肉は赤っぽい肉で脂がすごくのってて、どちらかといえば鶏肉のような味がしました。部位によっては味があっておいしいのですが、柔らかい鶏肉を食べなれている私には、少々硬く感じました。でも、鶏好きのダンナさんと義父は「うまいうまい」と言って食べていました。

 私は鴨よりも一緒に煮た野菜がおいしかったような気がしました。
「カモネギ」とかってよく言いますけど、食べてみるとそのとおり、ネギがとってもおいしくいただけたお鍋でした。



〜忘年会報告 〜

中澤 滋

 12月13日にあるかすで忘年会を行い、26名の会員と一緒に美味しい料理とおしゃべりの一時を過ごしました。あるかすオーナーの中原さんの薫製も三品出され、味もまろやかでだいぶん腕を上げられたようです(失礼)。都会から3名、そして新会員のZさんと初参加のMさんと多彩?な顔ぶれでした。ビンゴゲームは私はいつもダメで今回も最後から2番目の上がりでしたが、皆さんそれぞれ賞品を手にされ、満足していただいたようです。実は1カ月くらい前から松本周辺のセールを狙い少しずつ、いろいろな場所で「自分達でも欲しいもの」ということで買い集めたものです。きれいにラッピングしたので、なかなか良かったと思います。ちょっと大変ですが、安くていいものが見つかったら来年の忘年会用に少しずつ集めておこうかな、などと今思っています。

 それから余談ですが、今回はデジカメで写真を撮ったのですが、バッテリを代えたらASA感度がオートになってしまったのです。そのためフラッシュでも手ぶれがあり、上記写真もフラッシュで0.3秒、F2.8で撮られていたのです。こんなことってあるのですね。


〜おいしい味を、少し〜 −24− 

中澤 滋

今回は残念な話を二題。

 まず会報26号(2001.10.24)で紹介した安曇野モックのお米ですが、ダメになりました。今年の秋の新米を食べたときのこと、今までの古米と変わらず、新米の香りがしないのです。配達の人にそう伝えると、しばらくしてから連絡があり、精米しているばあちゃんが「あれは絶対新米だ」といっている、とのこと。そのばあちゃん曰く「都会の人にパサパサする、といわれたので今年から水分調整をできるよう乾燥機を新しくしたので、水加減を少な目にすればいい」と言い張るだけなのです。自分たちは伊賀焼きのごはん釜なので水加減ではなく、蒸気の出具合で炊きあがりを管理している、といっても全く理解してくれません。挙げ句の果てには「そんなことを言うのなら、どこかほかで美味しいお米を買って下さい」ときました。客の感想を悪質な非難だと思い違いをしているような、それを何年間も食べてきた客に対して平気で言うのですからあきれかえってしまいました。

 都会のお客の言葉は大事で、地元の客の言葉はどうでもいい、というのでしょうか。確かに都会には美味しいお米はあまりなく、都会にいた頃の私たちもデパートのコシヒカリで満足していたのです。そんなお米よりもモックのお米が美味しい、と感じる都会の人はきっと多いのでしょう。どうやら固定の客が大勢付いてきたので商売がいい加減になってしまったようです。以前会報で紹介した頃は、研修生を受け入れたり、アイガモ米に挑戦したりと積極的に質を探求、倉庫には味を確かめるために買った米が余っていて大変だ、ということを言っていたのですが…。

 さて、どうしても納得がいかなかった私たちは、「新米がこんな味のはずはない」「今までの古米と交換して、これを食べてもらいたい」といって、引き取ってもらい、代わりに持ってきた米は「新米がまずいというのだから古米を持ってきた」というのです。私はばあさんが間違って古米を新米として精米しただけの話だと思っていたのですが、あくまで「お客さんは新米がまずいと言った」ということにしたかったようなのです。
その後しばらく連絡がないので、こちらから電話で確認したら、「あのお米は食べましたが、新米のようです」と配達の人は言うのです。どうも歯切れが悪い言い方と、時間がかなりたっているので、私たちの考えが合っていたのだと直感しました。それにしてもうそを付くことはないですよね。今まで長い付き合いで食べていたのにガッカリです。もうモックとはお別れです。

 ということで、今度はどのお米を食べようかと、いろいろ調べることになりました。浅科のブランド米五郎兵衛米はとても高いし、何もわざわざ送料を払ってまで買う必要はないと考え、新聞に出ていた松川村のお米を試してみることにしました。高瀬川沿いの通称オリンピック道路にある道の駅「よって亭松川」に置いてある、というので行ってみました。特別栽培米で農薬の使用を減らし有機肥料を使っている、ということなので5キロ2700円で購入、食べてみるとこれがなかなか美味しくて、ほっくりとして香りも良く、昔モックのお米をはじめて食べたときの感覚がよみがえってきました。

 伊賀焼きのごはん釜はどのお米でもそこそこ美味しくしてしまうため、知らず知らずの間に味の変化が分からなくなっていたようです。ところで松川米には特別栽培米でも「ハゼ掛け米」があるのですが、当日はなくて次のときに試すことにしました。

 それから3週間ほどして、道の駅に電話で聞くと、「ここにはないので、農協に聞いてみる」といってくれたのです。そしたら国道147号沿いの農協直売所(たしかアルプス市場というような名前でした)にいくつか入っている、というので早速購入してきました。そして食べたらやはりとても美味しくて、こし、つや、香りも良く、何と言ってもごはんが甘いのです。これでしばらくは松川米に決まりで、一件落着でした。




 さて次の残念な話は会報33号(2002.12.26)で書いたスーパーTERAのことです。

 今年の夏ごろからいけすや特設場所の一匹ものがなくなり、パックされた鯛など、ごくありきたりの魚しかな出なってしまったのです。1カ月位したときに、魚の大将Nさんに聞いたところ、会社の方針が変わり、今までのように近海物の一匹ものを仕入れなくなった、というのです。それでも付きに1度くらいはのぞいて、ひょっとしたら復活するかも、との期待で時は過ぎていったのです。しかもある時期からNさんの姿を見かけなくなったので、店員に聞いたところ「Nさんは辞めたんですよ。どこへ行ったのか自分たちも知らない」とのことでした。フレッシュな生きのいい魚を仕入れて、それを売ることが楽しみだった彼には会社の方針転換には付いていけなかったようです。確か「自分は五島の生まれだ」と聞いたような気がするので、こどもの頃から新鮮な魚の中で暮らしてきた彼には、絶えられないことだったのでしょう。

 残念ですが、テラに魅力はなくなってしまいました。ということでお刺身倶楽部は自然消滅、今は梓川のデリシアでたまに良いのがあると、それをお造りにしてもらい、にぎり寿司にしています。何せずいぶんNさんには魚の種類から鮮度の見分け方など勉強させてもらいましたので、自分で選ぶことにしました。ベイシアでお造りをしてもらってもサバキ方が雑で、切り身の厚ぼったいし、だめです。その点梓川のデリシアの、名前は知らないお兄さんのお造りはよいですよ。今度名前を聞かなければ。別の人のお造りだと味が違うのです。それでもNさんのサバキにはかないませんが…。

 今まで刺身といえばマグロやイカ、タイ、イサキ、ブリ、アジ、イワシ、サンマや貝類、とちょっと高級なヒラメなどでした。それが太刀魚、ボラ、ソイ、カレイ、アイナメ、メダイ、キンメダイ、ホンムツ、ホウボウ、ナメラ、スズキ、ウマズラハギ、イトヨリ、コチ、八角、本カサゴなどなど、刺身で食べたことのない魚を鮮度がよいので美味しく食べ、その都度感激したものです。



 ちなみに2002年11月2日のお刺身ノートから紹介します。

◆イトヨリ◆
 イトヨリは煮付け、というワンパターンの考えでしたが、「刺し身で食べられる」と市場でいわれて仕入れてきた、と店の人が言うのでお造りにしてもらうことにした。

 店の人は刺し身で食べたことがないといっていたので、お造りを作っているときに食べてもらったら、「鯛みたいでうまい」といっていた。

 ふっくらとしてとても柔らかい身が、鯛みたいでおいしいが、鯛のような独特のにおいがなく甘さがある。ごくわずかなハーブのような渋味の味がする。握り寿司にとても合い、煮付けに調理するだけではもったいない。

◆ナメラ◆
口にいれた瞬間、何かさわやかな香りが抜けていく。とてもおいしい。歯ごたえもあり、脂も適度に乗っている。握り寿司にするとおいしさがアップし、キリッとしてよい。

◆カワハギ(ウマズラハギ)◆
 キリッとして甘さがあり、今日のは今まででトップクラスだ。こくがありうま味が感じられ、これは握り寿司よりも刺し身がよい。カワハギの香りがさわやかでおいしい。

 店では魚の表面が乾燥したように見えたが、とてもフレッシュだったのだろう。素材で勝負しないで、水をかけているような店の魚がおいしくないのがうなずける。

 今読み返してもあのときの満足感が思い出されます。あ〜あ、残念です。

〜体験作文の本、できあがる 〜

 来年の1月半ば頃の予定だった本、「信州で暮らしませんか?」が届きました。とりあえず200冊で、来年になってから次の追加分を届けてもらうことにしました。

 出来上がりは上々で、とても満足のいくものです。
こちらで紹介しています。

 執筆者の方々は、おおむね協力的だとの出版者の話もあり、スムースに運んだようです。巻頭には加藤仁氏の文章も載せていただき、口絵カラー8ページで信州の山や自然の美しさを紹介しています。また執筆者お一人が辞退されたので、副題の30人が綴るIターン物語は、厳密には29名の作品集ですが、加藤氏を含めて30人、ということにしています。


〜Iターンフェアのお知らせ 〜

 会報38号で触れましたが、長野県I・Uターンフェアの概要をお知らせします。

開催日および会場
2004年1月31日(土)10:00〜19:00
新宿エルタワー30Fサンスカイルーム
(新宿区西新宿1-6-1)
電話:03-3340-4181

 新宿駅から徒歩3分、小田急ハルクのそばです。倶楽部ではブースを1つ確保、倶楽部の紹介や「信州で暮らしませんか」の販売、信州での暮らしやIターンの準備についての質問などを受け付けようと思っています。事務局は数名行くつもりですが、時間も長いし、どう対処しようかと悩んでいます。首都圏で協力できる方がいらっしゃると、とても助かります。ご連絡をお待ちしています。


編集人から

 今年は冬が遅く初雪も遅れていましたが、ここに来て突然の大雪になった場所もあります。北信地方では記録的な降雪量だったようですが、ここ安曇野は5センチから10センチくらいでしょうか。それでも晴れた翌日の北アルプスはやはり素晴らしく、信州に住んでいることの良さを実感しました。

 クリスマスシーズンなので恒例のシュトーレンを2つ買いましたが、今年の「トムソーヤー」のものは昨年よりしっとりして美味しかったです。昨年は新潟のパン屋さん「麦畑」と両方比較したのですが、トムソーヤーに軍配が上がり、今年はもっと美味しくなったということで、パンの味も味わうほど深いものがあります。

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