Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第42号

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 会員の伊豆光男さんが2週間に1回発行している「みたぼら通信」を今号から紹介することになりました。2002年12月には、これら通信を整理した「我らゆっくり夢農業」という本を刊行しています。伊豆さんの農業に取り組む姿や地域の話題・世の中のことなど、芯の通った文章を楽しんでください。

〜みたぼら通信〜


伊豆 光男

333号  2004穀雨

 蛙の声が洞を満たし、草は緑の道を作った。紫のつつじが山の中に咲き始めた。新緑の季節の始まり。長い長いへびがのんびりと道を渡っていく。空をとんびが飛び、犬が吠え立てるのだがのんびりを変えない。

 我が家の物置の裏に竹が迫り、竹が物置を傷めるのではと女房殿が心配していた。わたしも女房殿に褒められたいと思い、物置の裏の竹をせっせと切った。物置の裏には一本の柿の木があり、その根元に二本のヌルデがある。ヌルデは漆に似ている。秋になると美しく紅葉し山の秋を彩る。私がノコギリで切ったのが漆であったのかヌルデだったのか分らないが、切り口から樹液が出ていた。その樹液にうっかり触ったとき、まずいなと思った。直ぐに手を洗えばよかったのであるが、ヌルデならたいしたことはないとあなどったのが良くなかった。

 10年ほど前にもかぶれにやられたことがある。すっかりわすれていたことをかゆみが思い出してくれた。
朝起きてトイレにたつと○○が赤くはれ上がっていた。あらこんなところが、と思っていたところ、午後には首から顔が赤くはれ上がってきた。からだの柔らかな部分が赤くはれ上がった。熱も出ている。飲み薬と塗り薬をもらってきてつけて、氷で冷やして寝た。まるで赤鬼のようであり、酔っ払いのようであった。かゆみは毎日からだの末端へと進み手のひら指先へと広がり二週間ほど体内をかけめぐった。アトピーの人の苦しみの一端を理解。

 あれもこれも女房殿に褒められたいなどというつまらない思いが、痒い痒いの原因だった。春、木々が動き始める前に、藪の片付けは済ましたほうが良い。 
鶏インフルエンザの騒ぎもやっと静かになった。毎週、家畜保健所から電話がきて死んだ鳥がいないかと聞いてくる。鶏インフルエンザは豚が感染して変質するまでは怖くない。人間のインフルエンザで毎年千人程がしんでいることと比較すれば鶏のインフルエンザはマスコミが騒ぐほどには怖くない。

 玉子を産まなくなった鶏を出荷するのだが、鶏インフルエンザの騒ぎの影響で出荷出来ない。餌を食べるだけの鶏をしばらく飼い続けることになってしまった。一日も早くこの騒ぎが静まることを願っている。

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334号 2004立夏
 山桜の白、新緑の緑の最も美しい季節。藪の中の棘棘の邪魔者、木苺までも小さな緑の葉をつける。雑木の木々の先の小さな葉。なんでもない木の美しい装い。一つ一つが同じ大きさで、ひとつひとつが同じ形で、一つ一つが同じ色。山全体がいちどきに、命が一度期に動きはじめる。森から溢れる命を胸の奥に吸い込む季節。

 山羊が朝から激しく啼いている。昨日まで遠くへ草を食べに出かけていっていたのに、小屋の外へ出してもオスの小屋の前から動かない。オスもメスに反応し、外へ出せと、小屋の板をガンガンと角で突く。オスがガンと突くと、小屋全体が揺れる。震度2から3。囲いの板は角で削られ薄くなっている。母山羊は出産から2ヶ月ほどしかたっていないのに、発情が始まった。一年に二度出産すると聞いていたが本当に二度出産できる時に発情する。「栄養がいいから順調なのね」秋にまた三つも生まれたら困るから、人間のご都合で山羊はいつまでも鳴き続ける。

 女房殿が出稼ぎに行くことになりました。平谷村「産直市場あずま」我が家から1時間ほどの所で店番をしています。飯田から名古屋へ通じる道の途中です。お近くをお通りの方は是非お寄りください。

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335号 2004小満
 鶏舎に下りる階段に、何匹ものトンボが止まっている。蝶々やとんぼが沢山飛んでいると嬉しくなる。沢山の農薬が撒かれ、小さな虫が田畑からいなくなってしまった。蠅でも蚊でも、虻でもいいから、虫たちに栄えて欲しい。藤の花の季節、雨の中、田植え機を押して歩く農民の後ろに、小さな緑の苗。

 年金問題が世間を騒がしている。少子化で納める人が減ったので、年金の財源が減ってきたから・・・支給額を減らしたい。とのことであるが、70年代我らが年金税を納め始めた頃、既に少子化に向かうことははっきりしていたのに、60歳から支給しますと言って税金を納めさせておきながら、そろそろ受給年齢を迎える頃になったら、65歳からにして、減らします。なんて言い出すとはなにごとであるのか。分っていたのに30年間、問題の先送りをし続け、放置してきた役人・政治家の「自己責任」を明確にするべきである。

 年金財源にたかって、おいしい汁を吸っていた人たちの自己責任などをあいまいにしたまま国民負担が増えることだけがはっきりしている「改革」って何なのでしょう。グリーンピアなど無駄遣いの責任を問わない、問えない腐った人たちのすべての改革は国民負担を増やすだけの改革。 

 法律を作ることの出来る政治家の年金が最もおいしい年金であってはいけない。議員年金を直ちに廃止するべきである。それをしないで「年金改革」などとバカなことは言わないで欲しい。おいしい議員年金があるから、国民年金など入る必要を感じなかったのである。
フリーターなど年金の外へ放り出された、無年金の人からも税金を取って年金制度を支えるのであるなら、無年金の人からも消費税と言う名の年金税を集めるのだから、無年金の人にも年金を払うべきである。それをしないのを「やらず、ぶったぐり」と言い詐欺ペテンだと思う。制度を作る、政治家たちは最も劣悪な年金で我慢しなくては国民の信頼を得ることが出来ない。

 年金の運用で何兆円もの損失を出した人の「自己責任」を明確にして欲しい。
「秘書が」とか「妻が」と言って「自己責任」を取らない人にかぎって、他人に「自己責任」などと言い出す。株式に投入した年金資金は引き出すと株の暴落を招くので引き出せない。年金資金は株価の下駄にされている。だから巨額な資金を取り崩すことが出来ない。株価を支えるために国民から消費税を集めているようなものである。まず政治家の年金を廃止する。それが年金改革の最初の一歩である。

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336号 2004芒種
 雨の日が続いている。今年はいつもより田植えの時期がおそいように思う。昔はもっと遅かったというから、少し昔にもどったのかもしれない。より早くから、自然にあわせ、季節にあわせた農作業になったのかもしれない。人間の都合で自然を無視することは出来ない。雑草ばかりの畑に苗を植えた。数年前から耕運機、管理機を持っていない。使う機会が少ないので、使おうとすると動かない。修理にお金がかかる。こんなことならハンドパワーで済まそうということになり、鎌と鍬、スコップで農作業をしている。

 毎日通る道端の家で、突然老婆が亡くなった。田お越しの季節に、田圃の中に耕運機が置いたままになっていた。通るたびに「もう、爺さんは田圃をする気力が無くなったのかな」と思っていた。いく度かの雨があり、雨ざらしの機械にシートが掛けられ、それでも田圃の中に置いたままであった。回りの田圃の田植えが済んだ頃、田圃がこなされ水が張られていた。今年も田植えをするらしい。なんとはなしにほっとする。

 わが町、六千人を切っているので村のような町である。町の広報があり、町長が書くコラムがある。今月のコラムを読むと沖縄へ行って来たと書いてある。出版記念会に出席したとのことである。わが町が募集したま文学賞の出版記念会に出席した。わが町の税金で出版した記念会がわが町ではなく、沖縄で行われ、町長がのこのこと沖縄へ出かけたと書いてある。自費ではなく、税金でいったのだろうな。隣の泰阜村には知事が引っ越してきて、わが町でなかった原因がこの「主体性」の無さにあると思う。企画、運営、選出全ておまかせ。お金だけ町の税金。町は宣伝のためだと言っているが、泰阜村は県内では知らない人がいない。知事が住んでいる泰阜村の隣の町ですと言えばすぐに分るようになってしまった。泰阜村は医療に対する取り組みなど、独自の取り組みをしてきた。わが町の合併の話も、水道料、保育料など各種料金の値上げの話しばかり・・・。


 

〜寄付することについて〜


中澤 滋

 長野県に来てからはいろいろな寄付金が高いのに閉口しています。赤い羽根募金では、梓川村も割り当てと称する額は高額で、最後に払ったときはなんと1,200円でした。

 こちらに来た当初はビックリして、長野県の本部に「そのような指導をしているのか」と確認をしたら、「強制ではないのでご自由に」と言う、当然の答えでした。しかし何やら無駄なことに使われてはいまいかと疑念をいだき、私はそれ以降300円と決めています。

 暗に強制するためか、封筒に自分の名前と金額を書くという、ふざけたことをしているのですが、私は意に介せず書き込んだ封筒を組長に渡します。面白いもので、何年かすると私と同じように500円や200円の人も出てくるのがうれしいです。

 経済大国日本で赤い羽根募金に頼らなければならないというのは、政治が悪いことに他ならないと私は思っていて、もっと寄付する対象を考えざるを得ません。それと都会の人が100円、200円程度というのも、集めやすい田舎にターゲットを求めているようで気に入りません。

 昨年12月のイラン地震の際には、真っ先に現地に入り活動していたユニセフに募金をしたのですが、郵便局の担当者が「日赤は振込手数料がかかりませんが、ユニセフで良いですか?」と変なことを聞いてきました。70円くらいの手数料で、自分の寄付する対象を変えるほどのものではないことが、彼らには分からないのでしょう。何でも日赤へ、と言う変な常識が支配しているのでしょうか。

 ところで私たちがこちらに来てすぐの頃、「日赤奉仕団」に入るよう勧められたことがあります。そしたら「災害の時の炊き出しなどをしてもらえるから入りなさい」と、これまた変なことを地区の顔役が言うのです。「災害の時にはみんながボランティアで出来ることをする」というのが常識だと思うのですが、何と言うことでしょう。

 私の女房は日赤出身なのでその精神はたたき込まれていますが、末端の寄付金集めの実状に唖然としたものです。で、そんな訳の分からないところに寄付しても、集まった寄付金が無駄に使われないかとの危惧を感じ、そして地区の担当者の鼻を高くするのも癪なので、未だに日赤奉仕団には入っていません。

 昨日ユニセフから寄付のお願いの案内が届きましたが、「3,000円で親をエイズで失った3人の子供に1カ月間食事を支援できます」というものでした。おいしいものをいつも食べている私たち日本人には、ちょっとショックな事実を突きつけられてしまいました。国内の寄付も必要でしょうが、緊急性ということから考えると、世界各地の本当に困っている人々への寄付の方がその優先順序は高いと思います。さっそく振り込みにいきます。

 私は普段、困っている人に自分ができることを考えない安易な生活を送っていますが、「できる人が、できるときに、できることを」というのを、あらためて感じました。


会員紹介


 


〜事務局便り〜

 このところ取材の話がひんぱんにきています。なかなか先方の望むものとは合いませんが(山の中、人里離れたところで生活をしている人いませんか、などもあります)、5月に亀井さんと中原さんがテレビ松本の取材を受けて6月にテレビで放映されました。また「信州で暮らしませんか?」の宣伝にもなるということで、6月16日に「田舎暮らしの本」の取材をYさん、Kさん、Mさん、Tさん、そして私の5名で受けました。

 青木村のOさんのお誘いで6月上旬に青木村を訪ね、同村内の会員のKさんと話をすることができました。両名とも積極的に倶楽部と関わってくれるそうで、7月は青木村のキャンプ場に泊まりがけの例会が企画されました。近くには大勢Iターンの方がいるらしくて、倶楽部入会を薦めたい人が多くいるようでした。将来的には新・信州人倶楽部東信支部まで視野に入れているようです。このような各地域での交流や活動が盛んになれば、それぞれの地域から皆さんにいろいろな企画が発信される日が来るかも知れません。

 そういえば県外東地区、県外西地区でも倶楽部ノートでの交流が密のようなので、それぞれの地域で年に何回かのオフ会みたいなものがあっても良いように思います。そんな集まりで出た話や提案などを聞かせてもらいたいものです。

 倶楽部ノートの原稿はTさんとMさんが入力してくれるので、大変助かっています。コピーは前回はTさんの事務所で、今回はMさんの事務所をお借りすることになり、印刷代の大幅な削減が可能となりました。


〜事務局よりのお知らせ〜

◆倶楽部ノートのこと◆
 倶楽部ノートを受け取ったときに、差出人である会員の方の名前を覚えていないことも良くあると思います。Gさんの提案で県外東のノートには「封筒に『倶楽部ノート在中』と明記しましょう」と書かれていました。そこで他のノートにも同じようなお願い文を載せてみました。

 印刷代と郵送料の低減が可能となったので、倶楽部ノートの内容はできるだけ別冊に掲載することが編集会議で決まりました。今まで県外の2名の方には県内ノートを回していましたが、これをやめて今後は会報の別冊に書かれた記事を読んでいただくことでご了解をお願いしたいと思います。

 アンケートの結果から「大変なので、できれば辞退したい」というかたが3名いらっしゃいました。当初から辞退の申し入れのあった1名と合わせて4名の方にはノートを送らないようにしました。別冊で皆さんのノート内容をご覧頂きたいと思います。また「実は私も辞退したい」という方がいらっしゃいましたら、遠慮なく事務局にお申出ください。
それから県外西のノートがまだ戻ってきていません。今お手元に持っている方、中澤までお送りください。


◆アンケートのこと◆
 「倶楽部アンケート2004」が半分くらいの方から戻ってきています。まだ集計する段階ではないと思いますが、おおむね倶楽部に入って良かった、ということでありがたく思っています。会報や人との交流、そして倶楽部ノートについて好感を持っている方が多いようです。
  趣味も、多くの方に共通していることもあり、今後のサークル活動みたいなことにつながることができると面白そうです。



〜催しのご案内〜


◆そば栽培オーナー募集◆
朝日村のそば処「もえぎ野」では信州の味 そばの栽培からそば打ちまでを体験できる「栽培オーナー農園」があります。
募集区画:60区画程度(1区画約50F)
そばが好きな方で家族または4名までのグループを単位とし、種蒔き、収穫、そば打ち体験等に参加可能な方はぜひどうぞ。
1区画は2万円(そば種、肥料、農具貸し出し、製粉、そば打ち体験料、イベント案内、一般管理費を含む)で、4人揃えば1人5,000円でオーナーとなれます。
1区画玄そば5L以上(粉量4L以上=20〜40人前)収穫が期待されますが、もしも予定収量が収穫できない場合は粉4Lを保証してくれます。詳細&申し込みはTまで。なお締切は7月5日です。


◆ピアノリサイタル◆
ピアノリサイタルの案内です。ピアニスト樋口紀美子さんのコンサートで、バッハ、ショパン、リストの曲が演奏されます。樋口さんは1977年、イタリア、フィナーレ・リグレ国際ピアノコンクールで3位入賞、その後ドイツ、スイス、イタリア各地で数多くのリサイタルを行っています。
日時 7月31日 15:00より
場所 セミナーハウス花村(穂高町)
料金 3,000円(ドリンク付)
会場や曲目などの問い合わせはMまで。

 


編集後記

 先日山仲間と一緒に蝶ヶ岳に登ってきました。蝶ヶ岳はお気に入りの山で毎年必ず登っています。今年は雪解けが早く、例年より一足早く穂高連峰の景色を堪能してきました。次は何処に登ろうかな・・・。(宮)

 雨……。入梅前にはよく降るのに梅雨入りした途端にカラッと晴れた日が続く……過去を振り返るとそんな感じの年が少なくないように思える。もっとも梅雨入りなんていう区切り自体が人間様(日本人)が勝手に作り出したものなのだから、自然の都合で雨天の時期がずれることくらい当たり前なのだけれど。屋外の活動が絡むと天気予報に神経を使ってしまうが、雲行きが怪しくても気持ちの中だけはいつもスッキリ晴れているようにしたいと思う今日この頃です。(高)

 もう10年以上前にNHKのBS1で見た番組(エンジョイライフ)で紹介されていたカナダの園芸番組で、鉢の中の“ごろ土”の代わりに、発泡スチールをちぎって利用する方法が紹介されていました。日本の園芸番組では見たことも聞いたこともなく、何人かの知り合いに教えたらとても喜んでもらっています。大きな鉢の重量が軽くなり、とても良いですよ。おまけに土との分別も楽で、何回でも再利用できます。(中)

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会報目次

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