Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部

▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲


〜第5号〜

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〜桜の季節に想うこと〜

E.E.


 我が家から、ちょっと見上げた所の桜の木。夜になると提灯がともされひっそりと咲いていた桜は、夜の闇に浮き上がり少し恥かし気にも映りながら、とても綺麗です。

  下伊那では全国的に有名な高遠のコヒガンザクラ、飯田ではぼんぼり山の桜などありますが、何といってもここには静けさがあります。つい独り酒でも一杯やりたくなるような誘いの桜は今満開。

  この木の立っている場所に、今では珍しくなった木造りの分校が残っています。廃虚になったのは、昭和45年と聞いていますので、それ以来春になると花を咲かせ時を刻むかのように、年々大きくなっていったのでしょう。何とも淋しいと感じたのは誰もが同じ想いのようで、2年程前からこの時期提灯がつけられ、思い切って購入した綿飴製造機なるもので、それは大きな綿飴を作り子供達に振る舞うようになりました。

  勿論子供の数は知れていますから私も一緒に混じり、「特別おおきいの」と一声かけて作ってもらいます。両刀づかいの私ですから綿飴片手に一杯やりたいのですが、まだまだこの地は男の社会。せいぜい飴が溶けないように家までおあずけの花見です。

 さらにこの桜の木の下に六角屋根の磨可不思議な建物があります。直径にすると2メートル足らずで、まん中の柱を中心に六方に仕切られ、その部屋に入ると三角形になっています。ついこの前まで「鳥小屋かな?」と思っていたため、これがトイレだったと聞いて驚きました。今ではとてもボロなのですが、明治時代のしゃれた遊び心の豊かさが伝わってきます。
先だっての亀田屋酒造店の酒蔵も明治時代と聞き心が動いた思いでした。

 今は池と化した小さなプールも、「昔は飛び込みをすると頭をぶつけたんだ」、「第一浅すぎるよ」、「生徒の数が増えて、この道沿いに教室を増築した」とか、話を聞いているうちにタイムスリップしていつの間にか幼い頃ここにいたかのように錯覚します。何かここには昔のほっとするものが残っているようです。ここも年に一度、飯田人形劇カーニバルの時には舞台となり、2時間程大勢の人で賑わいます。以前劇団の人が、「ここは飯田のチベットこの先に道は無い、と教えられてきた」といい大笑いしたことがあります。

 というのは今は道はよく車のない家も無く、町へは20分程で行けるからです。ずいぶん日本といわずここもかわったようです。さてこのカーニバル、今年は20周年となり日本各地はもちろん世界よりたくさんの劇団が集まり、町中から山の中まで公演会場が設けられ演じられます。今年は8 月2 日〜9 日です。 “どうぞ、おいでなんしょ”

 

 今日の夕暮れ時、犬の散歩にこの分校にやってきました。花見の時より花はかなり散りましたが、まだ、灯はついたまま。もう数年かで、取り壊されるのも時代の流れでしょうか。

 



 

 

〜Iターン現象について考える〜

M.I.

 

 人は何故Iターンするのであろうか、ということで話を進めて行きたい。

 いや、他人事ではなく典型的なIターン者の一人である、私自身のことから始めることにする。松本に移り住んでから、地元の方や新聞、雑誌、テレビ等々のマスコミの方から「何故、Iターンしたの?」「何故、松本に移り住んだの?」とよく聞かれる。私ばかりでなく、新・信州人倶楽部の皆様もよく聞かれますよね。私は元来、多少へそ曲がりな人間なので「何故って聞く方がおかしく、とても一言で語れることではないでしょう」といつも反発を感じてしまう。もっとも普段の会話の中でそんな問いかけがあったら、「自然が豊かで」とか「山が好きなもので」とか、曖昧な笑顔で曖昧に答えてしまうのだが、実際にIターンを果たし松本で暮らしている自分自身に対し「お前は何故Iターンしたのか述べよ」と問われると、何とも人生の根本問題についての回答を突きつけられたようで、最近特に真剣に考えているところである。

 「空気がきれい、北アルプスが見える、星がきれいに瞬いているなど自然が豊かだから」、「子供を伸び伸び育てられるから」、「交通渋滞が無いから」、「マイホームが持てるから」などなど、「都会よりも暮らしやすいから」、もう少しカッコよく言えば「人間らしい生活ができるから」、というのが一つの答えであるような気がする。
 幸せ、というのは相対的なものであって、日々爆撃の恐怖に晒されている人々が戦争の無い国へ行けば幸せと感じるかも知れないし、食糧危機で今日一日どうやって生き延びるかを考えている人々が食うに困らない土地へ行けば天国に思えるだろう。自らの意思でIターンした人達は、いや少なくとも私は、都会の生活よりも地方での生活をベターと、すなわちより幸せと判断し、移住したことは確かである。先ほど述べた取るに足らないような一つ一つのベターが集合して大きな価値観となり、より良い人間らしい生活との意識づけが行われ、それがIターン実行のエネルギーとなった、というのは一つの真理であるような気がする。
 それでは、私の言う「より良い人間らしい生活」とは何か、というように話を続けて行くべきところであるが、先ほど述べたように私はへそ曲がりなので、話しはいきなり「日本人は何処へ行くのか」といったマクロ的なテーマに突入してしまうのである。

 Uターン、Jターンを含めIターンが加速されている。長野県だけでも、長野県Iターン相談室の発表によると、東京、大阪、名古屋の相談室を活用して県内に就職した人は、平成9年3月末現在で1,271人に達している。すなわち、転勤などの会社都合ではなく、自らの意思で移住した人の数がこの数値であり、もちろんIターン相談室を利用しないでIターンした人達がたくさんいる訳であるから、実際の数字はもっと大きなものになる。雑誌、テレビ等でも大きく取り上げられ、一つのブームのようにも扱われている。しかし、家族もろとも生活を一転させる一大決心を伴った行動を「ブーム」では済まされないであろう。文字通り「家族の生活がかかっている」のであるから。これはやはり、日本人の価値観、生き方が変化し始めた、その具象化としてのムーブメントとしてとらえるべきなのではないか、そんな気がしてならない。

 戦後、日本の大きな方向性は、何といっても高度成長。右肩上がりの経済、右肩上がりの生活水準。欧米に追いつけ追い越せで一心不乱に走ってきて、気が付いたら日本は世界でも有数の豊かな?国になっていた。仕上げは言わずと知れたバブル経済。蝋燭の炎は燃え尽きる寸前が最も光り輝く、の喩え通り、日本国中が狂乱していた。そのバブルが一瞬にしてはじけて日本経済は低成長時代へ突入。時代が大きく変わった。

 日本人、といっても様々だが、大多数を占めるいわゆるサラリーマンを日本人の一典型として論を展開させていただくと、バブル以前の日本人の幸せの一つの方程式は、「いい中学、いい高校、一流大学を出て、一流企業に入る、イコール、生涯安心幸せ」であった。ところがバブルがはじけて、まさに青天の霹靂。一流大学出の一流企業に勤める、交通地獄とスモッグに耐え、マイホームも持てずに頑張っている一家の大黒柱が、会社でリストラに会い、肩をたたかれ、出向を命ぜられ、家庭でイライラし、あるいはガックリと肩を落としている姿を見て、妻は、子供は何を思うのか。また、絶対につぶれないと不敗神話を誇ってきた一部上場のエクセレントカンパニーや金融機関の経営破綻。課長、支店長といった肩書きを持っていた人々が、35歳以上は再就職が見つからないという現実に直面し、苦悩し、右往左往する姿を見て、日本人は何を思うのか。一流大学、一流企業をめざして人々は都会に集まってきた。より豊かに、より便利に、を合い言葉にガムシャラに走ってきた。その結果がこれなのか。

 そんなにガムシャラに走り続けることはないじゃないか。ストレスだらけの都会に無理して住むことはないじゃないか。そんな悪女にも似た都会の生活は捨ててしまえばいいじゃないか。という天の声が日本人に囁いているような気がしてならない。そして、その声に耳を傾け、自分自身の生活を見直し、自らの意思で生活の場を新天地に求める人々が増えている。それがIターン現象なのではないか。決して「ブーム」などではない。日本人としての、いや、人間としての根源的な生き方が、今、問われているような気がするのである。

 地方の方々、特に若者が都会に出たいという気持ちはよくわかる。一度は生活してみたいあこがれの地だとも思う。また、都会には都会の良さがあり、地方より都会の生活にベターな幸せを感じる人もたくさんいることだろう。都会といっても、雑踏の中に下町のようなポッカリあいた空間があることも事実である。しかし生涯過ごす人間の生活の場、そして行動半径を含めた生活空間を考えたとき、日本人の「生きる、生活する」ことに関する価値観が少しづつ変化してきているような気がしてならない。

 新・信州人倶楽部の皆さんはどうお考えか。何故自分がIターンしてきたのか、その根源的な意味を自身に問うてみるのもよいことだと思うのだが…。独断と偏見の一人よがりの文章であるが、へそまがり人間として迷惑を顧みず、これからも続編を綴って行きたいと思っている。




 


第4回例会(総会)報告(当日の様子はこちらをご覧下さい)

 4月5日の第4回例会(総会)の報告をします。
 朝10時半少し前から会員が集まり始め(中には8時半頃来て温泉に入ってきた人もいましたが…)、定刻を少し過ぎてから総会が始まりました。当日は八王子や横浜から参加していただいた方もおり、会員以外の方を含め30人(と子供2人)が出席しました。

 まず、Kさんのあいさつそして会場のオーナー(Iターンの方で会終了までに会員になっていただきました)とゲストの方のあいさつが済み、そして出席者全員の自己紹介になりました。(今回はゲストとして長野県Iターン事務局関係の県職員の方が出席しました。)

 次に、1997年度事業報告・会計報告と1998年度の事業計画・予算計画および会規約(案)の紹介が行われました。その後村上さんの都合で幹事辞退の申し出があり、後任幹事に笹川さんが選出されました。

 他の幹事は現状のまま承認を受けましたので、代表、幹事3名、会計1名体制で今年も活動して行くことになりました。また、今年度から会計監査には経験豊富なSさんにお願いすることができました。

 

 昼食をはさみ会員同士のなごやかな会話が続き、ウッドデッキでは会員の持ち寄った品物でフリーマーケットが開かれました。午後3時前から専門3部会(Iターン相談)別に、担当者を中心に会員が集まり活発な意見交換が行われました。

 

 時間をオーバーして午後4時過ぎに会は終了しましたが、ペンションのお湯に入ってゆっくり帰宅される方もいました。

 


 

 

◆◆◆◆ 催し ◆◆◆◆

 

〜梓川(矢橋)自然観察会〜

日時:5月17日(日) 午前10時〜お昼過ぎまで
場所:梓川村 矢橋(下島橋の上流)

 梓川の河原ではあるものの、うっそうとした林の中、山の植物なども多く生えていて湧き水には新聞にも紹介されたオカメ(ホトケ)ドジョウが生息しています。鳥の種類も多く梓川流域で人の手の入っていない本当の自然らしい場所です。もうすでに夏鳥のオオルリが来ています。鳥は少しは分かりますが、誰か植物に詳しい方が来てくれると良いのですが…。

 お弁当を河原でを食べて解散しましょう。双眼鏡と、長靴はあった方がいいでしょう。雨天(小雨でも)の場合は中止です。参加希望の方は中澤(0263-78-5002)まで連絡して下さい。(中澤)

 


 


〜美ケ原トレッキング〜

・日時:5月31日(日) 午前9時出発
・集合場所:
 三城いこいの広場(松本市入山辺)センターハウス前の駐車場

・行程:9:00駐車場出発〜9:15「少年の家」上の登山道入口〜10:00
 山小屋〜11:30王ヶ頭着〜休息・昼食〜12:30出発〜塩クレ場〜百曲
 り〜14:00広小場〜15:00駐車場着 解散

・持ち物等:昼食、水筒、シート、山登りできる靴、雨具、防寒用の衣
 類、杖があると便利かも?

 美ケ原は以外とハードですので、山登りのつもりで準備してきて下さい。基本的に「自分のことは自分で処理する」というスタンスで行いますのでご了承下さい。参加を希望される方はI(0263-86-7913)までご連絡下さい。なお、事前連絡なしでも当日参加OKですし、会員でなく隣近所の方の参加も結構です。また、参加連絡のあった方でも集合時間に遅れれば先に出発してしまいます。雨天(小雨でも)の場合は中止です。(I)

 


 

その他の連絡事項

◆幹事による連絡員網と会報通信員
 きめ細かな連絡ができるように、会員の皆さんを幹事が分担して受け持つことを始めました。幹事の誰かが突然電話をしてくることがあるかと思いますが、よろしくお願いします。すでに皆さんに連絡がいったと思いますが、会報通信員をお願いしていて、すでに何人かの方から協力いただけることになりました。ありがとうございます。皆さんの住んでいる場所や最近訪ねた場所の、ちょっとしたトピックスを提供いただきたいと思います。会員皆さんで作る会報としたいので、できれば巻頭を飾る長い文章も皆さんから投稿されることを願っています。
 ゆくゆくは編集者を増やし(もちろん皆さんの中で得意な方の協力を得てですが…)、毎月会報を出したいと思います。そのためにも是非協力をお願い致します。

◆事務局からのお願い 
 総会で了承されたように新・信州人倶楽部では、毎年4月から新年度とすることになりました。つきましては今年度会費(1,500円)を納めていただきたいと思います。先日の総会で新年度会費を払っていただきましたが、まだ納入されていない方にはこの会報と一緒に振込用紙を同封しますので、5月末日迄に納めてください。もちろん直接Kさん宅(事務局)に持って行かれても結構です。

 


編集人から

 第5号会報「よりましょ」をお届けします。
 あっという間に桜も散り、初夏の気候になってきました。花が咲き乱れ鳥のさえずりも心地よく、これからが信州をエンジョイする絶好の季節でしょう。美ケ原のトレッキングは興味あるものの、登山靴はどこにしまったのかな?とか、急に運動したら体がおかしくならないかな、とか心配です。
 どうしたものでしょうか…。

 

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