Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第51号

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〜みたぼら通信〜 伊豆家の便り>

 

第372号 10月23日  霜降
 稲刈りの済んだ田圃から、小さな穂が出て米粒がぱらぱらとなっている。田圃は一面あおくなっているのだが、もう大きくならない。草の上の朝露も冷たく、青空に無数に待っていた赤とんぼも姿を見せず、ただ青い空と雲だけがある。

 雨の日の夜、飯田からの帰り道。トンネルを抜けたところにある石屋の墓石がずらりと並んだ道の前で、道路に倒れている黒い塊が車の明かりに照らし出された。
「おっ!」。狸やイタチが撥ねられているのはよく見かけるのだが、今日のは大きい。後ろにも車が続いていたので止まらずに通り過ぎた。「鹿だわ、大きな角があったもの。」隣に乗っていた娘が叫んだ。?  (光男)

 新米、栗、リンゴの季節である。馬肥ゆる秋。肥えているのが馬だけでないのはさておき、我が家では大掃除の準備に追われている。師走といえば我が家にとってはかき入れ時。

 そのため毎年大掃除は10月、11月に行うのが通例となっている。ついでに衣替えなどしてみると、すっかり忘れていた服が顔を出し、懐かしく袖を通してみれば、穴が開いていたりする。

 そんなことはさておき、我が家ではインターネットがつなぎっぱなしになったのを機に、みんながホームページを見るようになった。私が最近見つけたお気に入りのブログがある。ご存知の方もあるかもしれないが、今話題の「生協の白石さん」のブログである。

 東京農工大の学生生協の職員、白石さんがご要望カードに書いた返事を掲載したブログである。実際にブログの管理をしているのは農工大の学生さんで、第二の電車男とまで言われている。

 初めて検索したとき、「生協」「白石さん」で、なんと2万件以上のヒットがあり、度肝を抜かれたのを覚えている。これは、個人のホームページなどで、「生協の白石さん」という語がひとつでも出ると検索して引っかかってしまうためであるが、この性別・年齢・氏名不詳のこの人物に、かなりの人が注目しているようです。

 生協の白石さんに関してあまり詳しく書くと、著作権の問題があるかもしれないので、興味のある方は実際に見ていただくのが手っ取り早いかと思われます。
検索エンジンかグーグルで、「生協」「白石さん」のキーワードを入れれば簡単に見ることができます。(より夏)

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 第373号 11月4日  立冬
 先月、出来たばかりの掘り炬燵(ごたつ)で暖まっている動物に、遠慮しながら暖を取っている今日この頃。

 私の友人に、小さい頃から箱膳で食事をしている人がいる。しつけの厳しい家というのはよくあるが、箱膳で食事をしている人に出会ったのは初めてだった。小さい頃、彼女はどこの家もそうやって食事をしていると思っていたそうだ。我が家はというと、食事はおいしくが基本である。姉と私の左利きもそのままに育てられたが、姉は器用なのでほぼ両利きに近い。

 スポーツの世界では、左利きは比較的有利とされている。ただし、皆さんがある日突然左利きになったとしたら、かなりの戸惑いを感じるだろうと思う。

  世の中のほとんどのものは(少なくとも日本では)右利きの方のためにできている。私が生まれて最初に左利きの壁にぶつかったのは、保育園のときだった。保母さんは、右左を教えるとき、箸を持つ手が右、お椀を持つ手が左と教える。この時点でわたしはかなり重大な勘違いをしてしまった。しかし、長らく私はそのことに気が付かなかったがために、小学校の低学年まで右左の感覚があいまいなままだった。左利きのお子さんをお持ちの方、注意してあげてください。(笑)

 とにかく、ジャムのビンに始まり、水道の蛇口、ドアノブなどなど、左利きには違和感のある方向に回さなければいけないものが多い。が、良くできたもので、そういう時は左手を使うようになっていることに、つい最近気が付いた。 

 もうひとつ、字を書くときに大きな問題が発生する。左手で字を書くと、書いた字を手の甲でこすってしまうため、書いたものがかすれてしまう。手の甲も黒くなる。小さい頃は、万年筆やガラスペンは使えない。今はコツを得て、そんなことは少なくなってきた。ただ、食事時に右利きと左利きが並ぶと、ひじがぶつかって都合が悪い。狭い食堂など、終始気を遣わなければならないので疲れるし、それは授業のときも同じで、私がまだ学校に通っていたときは、そのことで隣の席の子と口げんかになったこともある。

 なぜか私の友人には左利きが多い。類は友を呼ぶらしい。今週末も、左利きの友人の家に遊びに行く予定。そこでも、のんびりと食事ができる。(より夏)

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第374号 11月21日  立冬
 冬も初め。朝、氷結して曇りガラスになった窓に落書きをするのは、今では私くらいのものである。氷が溶けて乾ききった後には、はるばる中国からおいであそばした黄砂がうっすらと残っている。それよりもはっきりと残っているのが、我が家の猫達の足跡である。お陰で出かけた先々で、「猫を飼っていらっしゃるでしょ?」と知らない人にまで言われてしまう。掃除しなければ。

 先月受けたテストが返ってきた。郵便屋さんがいなくなった後の郵便受けを覗くと、姉と私の答案が一度にかえってきたので、異常な厚さの郵便物が輪ゴムでくくられて入っていた。我が家は仕事のせいか毎日郵便物の届く家で、郵便屋さんに毎日会う。時々、「ここは毎日郵便があるね、」といわれるが、小さい頃は、どこの家でも毎日郵便屋さんが来ると思っていた。

 とにもかくにも、返ってきたのだから嫌でも見ないわけには行かない。
カッターを手につらつらと思い出してみるに、試験会場とは面白い場所である。
携帯をいじるやつ、仲の良い人と喋るやつ、ゲームするやつ、音楽聞くやつ、挙句寝るやつに弁当食べるやつ。そしてオーソドックスに勉強するやつ、を観察するやつ(私)。

 携帯をいじったり音楽を聴いたりはよくあるパターンであるが、寝るやつはもうとっくに諦めている場合が多いが、そんなフリをしていて実は平均九十点台を出していたりするので油断がならない。友人いわく、「こんなところまで来て勉強しているやつもどうかと思う。」だそうだ。けれど、私は最後まで悪あがきするぞ。

 そんなことをしていると、先生がやって来て試験が始まる。3人がけの机の両端に生徒を座らせるが、どうしても机が足りなくなると、教台に座らされる人が出る。「先生、居心地悪いです。」なんていっても仕方が無い。

 こんなにいろいろなやつが居ても、カンニングを図るやつはそんなに居ない。もともと少人数のクラスで、先生の目が行き届いてしまううえに、協力校からやって来たのか、女の先生が甲高い声で「不正行為は許しません!」なんていったりするから、そこまで言われてカンニングできるやつは居ない。カンニングでどんな罰があるのかは知らないが、とにかく割に合わないことだけは確かである。

 そんなこんなで、特に混乱も無いまま試験を終わり、私は数学の答案を見ながらため息をつくのである。 (より夏)

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第375号 12月5日  大雪
 雪の上に獣の足跡、狸や狐が夜毎に出没し、鶏の見回りをしているらしい。獣達も食料を探しているようだ。困っているのだろう。だからといって、我が家の鶏を差し出すわけにもいかない。そんなことをしたら獣達はきらきらした瞳を失うだろう。敏捷に身構え、時を待つことを忘れるだろう。獣達の足跡の上に、ふわふわの雪が降る。


 鮮やかな赤みを失い、少し黒ずんだ、熟した柿の上にうっすらと雪が積もる。山羊が首を伸ばして食べられるところの柿はすべて食べた。木の枝に足をかけ、揺すって落として食べた。それでも落ちなかった、熟した柿が枝についている。いつか小鳥がやってきて食べることになる。熟して甘くなった渋柿は、私の好物であったのに、食欲がわいてこない。冷たいものがだんだん体に合わなくなって、飛びつかなくなった。それでもと2つ、3つ取って一口食べ、残りは鶏にあげた。

 鶏は奪い合って食べる。奪われないように口にくわえて走り回る。何だか分らない鶏も、走り回る鶏がいれば後を追いかける。逃げ回らずに食べてしまえば食べられるのに、誰も居ないところでこっそり食べたい鶏は、他の鶏に獲物を持っていることをアピールしてしまう。それが習性らしい。

 他人よりも儲けたい人間にも、同じような習性があるらしい。野菜や果物の出荷のときに、同じ一箱ならと少しへぼい物を混ぜる人が必ず出る。マンションの手抜きも、この手の人の仕業らしい。この手の人は田舎にも都会にもいる。だから検査機関があったはずなのに、能力が無いのか、やる気が無いのか判をついていたらしい。国が手抜きをしていたのだ。田舎の古い農家のように柱も梁も丸見えの家なら、こんなことはおきないのに。便利な暮らしは、不安と同居している。?  (光男)

 初雪が舞い、猫も犬も外へなど行きたがらなくなった今日この頃。世間はクリスマスと年越しの準備に駆け回る時期、私達は目下かき入れ時です。ありがたい限り。
 けれど、忙しいのを口実に、私達の部屋では全く大掃除が進んでいません。その前に、年賀状を書いたりクリスマスカードを作ったりしなければ。子どもといえども、付き合いがあるのです。最近はパソコンソフトを駆使した年賀状が多く、手書きのものは少なくなりつつあります。手で書くのは一言添える程度で、かなり楽だし、できばえもなかなかです。今年こそは元旦に付くようにと、努力はしていますが、努力が必ずしも実らないことがあることはテスト勉強で身にしみています。  (より夏)

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第376号  12月19日  冬至
 茶色くなったススキの上に雪は積もり、やがてススキは地面に倒れこむ。一面の雪を掻き分けてみると緑の草が顔を出す。その強さに脱帽。雪の下ですべてが枯れているわけではない。枯れたススキとて地面の下で春に備えて新しい芽を用意しているのだろう。寒いといっては空見上げて恨み、暑いといっては空を見上げて恨む。なんというわがままな私。雪下ろしをするほどの雪でもないのに「寒い、寒い」といって嘆く。早く春になれ。 (光男)

 我が家では、私が一番年上である。それは老化も一番早く始まっているわけで、今年は夏の終わり頃から腰のヘルニアに苦しめられている。精密検査まで受けたが、結局ヘルニアの95パーセントは自然治癒するそうで、痛さを抱えながら無理をせずに暮らせばいいそうだ。豊田市にレーザー治療で短期に直す医者がいるが、保険外診療でとても費用が高かった。死ぬわけでなし、この痛さを逆手にとって家族にいろいろ手助けを頼みやすくなった。 (光枝)
 
 先日、もう次の試験の範囲が届いた。薄っぺらになったカレンダーに試験の予定を書き込みながら、同級生たちの顔を思い浮かべる。会うのは楽しみだが、試験となると頭が痛い。
年の瀬のあわただしさは増すばかり。ろくろく掃除もしていない私達の部屋をどうにかしなければ、遊びに来る友人に笑われてしまう。その前に、先生方はどうしてクリスマスに2通もレポートをよこすのか、私は少し不満です。

 友達が言いました、「冬の試験勉強は、寒さとの戦いです」。ごもっとも。半纏を着てホットカーペットを使っても、寒いとなぜか眠くなる。猫は私のカーペットで暖を取ろうとするし、机にいるとコタツが恋しくなる。窓の外では山羊が雪の降りしきるなか、平気な顔をして草を食んでいる。なぜ寒くないのか。ああ、羨ましい。

 結局のところ、問題は精神力なのかもしれない。ということは、向かいの机で平気な顔をして勉強している姉は、山羊並みに精神力が強いのか。
すると、「そりゃ、より夏が低血圧だからだよ」と言われた。

 低血圧は辛い。夏暑く、冬寒い。そこで私は考える。どうやったら血圧は上がるのか。姉は笑いながら言う、「しょっぱいものを一杯食べたら。」と。

 そんな私らを見て「そんなこと考えている間に勉強したら?」という母が一番正しいのかも知れない。私は寒いのは冬だからだと思うことにして、不満そうな顔の猫をどけて机に向かうのである。(より夏)



〜美味しい味を、すこし(30)〜


中澤 滋


 我が家では私が黒豆を作ることになっています。結婚して間もない頃女房が作りましたがうまくいかず、私もあるとき挑戦したのですが、やはりうまくいかなかったものです。その頃は豆を一晩水につけて戻し、そして味付けしたのですが、味は美味しいのですが、どうにも豆がしわしわになったり、こわかったりするのです。そんなことで最近は正月に黒豆を自分たちで作るのはあきらめて、市販の“くどい”甘さの黒豆を買う状態が続いていました。

 ところが2年ほど前のある日、「かんたん美味」という日経新聞のコラムのレシピを試したところ、とても上手にできたのです。我が家では私と女房で料理を作りますが、いつの頃か特定の料理で上手な人、あるいは最初に作って上手くいった人が担当することになってしまいます。で、黒豆はたまたま私が作ったことから、それからは私の担当になってしまいました。でもこれはとても簡単で、誰にでも失敗なく、ふっくら柔らかく仕上がるのでお薦めです。

 お弁当などに重宝することから、我が家では常備菜として良く作っています。今回はそんな黒豆を紹介します。

黒豆


<作り方>
黒豆250gを洗ってざるにあげ、鍋に水1.5リットル、砂糖180g、しょうゆ大さじ1、重曹小さじ1/2と一緒に混ぜて一晩(8時間)置きます。
次の日、そのまま強火にかけて煮たったらアクをすくいます。そして鍋の表面が静かに“ふつふつ”するくらいまで火を弱め、落とし蓋をして、ふたは少しずらして乗せて5、6時間煮ます。豆に絶えず煮汁がかぶっているように煮て、煮汁が少なくなったら、豆ぎりぎりの線まで水を足します。
煮えたらそのまま煮汁につけて一晩置き、豆に味を含ませます。冷蔵庫に保存すると1週間は持ちます。食べきれない時は冷凍しても大丈夫です。
水あめが入った甘さのものとは違う、自然で優しい、かむと豆の香りの良い、なかなかのものです。素材の味をこわさないので、豆の差が歴然と分かります。皆さんもぜひ試してみて下さい。


編集後記

 久々に上高地に行く機会がありました。通いなれた通勤道路の感覚でしかなかった158号線でしたが、雨に煙った様は一級の観光地であることを思い出させてくれました。いつも湯煙を目にしながら素通りしていた坂巻温泉の露天風呂もまた、霧雨で紗のかかった紅葉とともになかなかの風情でした。この次は 新緑のころ訪ねるつもりです。(白)

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
今秋の国勢調査によると、長野県の人口は前回調査に比べ35年ぶりの減少となり、8割の市町村で人口が減少しました。一方、県外からのIターン移住者が多い、安曇野市、茅野市、軽井沢町が人口増加数の上位トップ3となり、二極化の傾向が明確になっています。国内の人口も今年はじめて減少に転じ、これから本格的な人口減少時代を迎えます。来年には団塊世代の大量定年を控え、Iターン移住者の受皿体制の整備がますます重要になってくるでしょう。新信州人倶楽部としても、その役割の一旦を担っていきたいですね。(宮)

 年初には「今年こそは勝負の年!」(←主に仕事の話です)と自分自身にハッパをかけるのだけど、一年後の年の瀬には大した変化も実感せずに静かに新春を迎えているのが毎年お決まりのパターン。でも穂高に暮らし始めた8年前に比べてみれば、いろんな面で変化した自分が居ることも同時に実感したりして。仕事・住まい・趣味・人付き合い・体型(汗)……。さてさて、今年はどんな静かな(劇的な?)変化が待ち受けているやら。。。(高)

 どうやらキジバトが庭木に巣をかけたようで、つがいで庭をうろうろして餌をとっています。そのためか小鳥達の訪問が少ない気がします。
 とある日、「バタバタッ」という羽音がしたので見ると、ドイツトウヒの木からキジバトが何かに襲われて逃げ出したところです。よく観るとチョウゲンボウが追いかけて行きました。さすが猛禽類、いつの頃からか、ちゃんとキジバトの幼鳥を狙っていたのですね。キジバトにはかわいそうですが、これも自然です。
 それから2日後に私が庭に出たところ、4羽のキジバトがあわてて飛び立ちました。「ああ無事だったんだ…」。ちょっとホッとしました。(中)

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