Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第63号

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相談会・忘年会のお知らせ

中澤 滋


  すでに何度かお知らせしましたが、Iターン相談会・忘年会の最終案内です。皆さまにはお忘れ無いようお願いします。
 日頃話す機会が少ない会員同士のふれあい、また泊まりでリラックスできる場はあまり無いため、美味しい料理やお酒、そして楽しい会話で盛り上がりましょう!
 忘年会の前に行われるIターン相談会ですが、Iターン希望の人だけではなく、会員の相談も受け付けることにしました。相談というと特別なものに感じてしまいますが、「こんなことがあったのだけれど…」という疑問など、他の方の意見やアドバイスを聞きたい方もぜひご利用ください。
●日時 12月6(土)〜7日(日)
●場所 梓水苑(松本市梓川倭4262-1)
 Tel:0263-78-5550
●相談会  12月6日 午後3時〜
●忘年会  12月6日 午後6時開始
●会費(1名での料金)
 10,500円 (一室2名で宿泊時)
 9,975円 (一室3名で宿泊時)
 4,200円 (日帰り)
 ※お酒を飲む人は別途 1,500円必要です。


〜リレーコラム〜

新天地にて

塩谷 健樹

 私にとって「信州で暮らしませんか?」はバイブルのようなもので、何度も読みかえす本の1冊です。信州に住んでちょうど3年半、職人の世界の「石の上にも3年」も過ぎて、甘さも辛さもわかってきた頃です。新・信州人倶楽部の集会やそのほかの場所で、いろいろな人にお会いする機会もありました。しかしながら、その人たちの中にもさまざまな事情で信州を離れて以前の場所に戻った人や、仕事を変えてしまった人なども出てきています。
 田舎暮らしの夢と現実にはギャップがあるのかもしれません。

 今年出版された本に「田舎暮らしに殺されない法」という、物騒なタイトルの本があります。
 芥川賞作家の丸山健二さんが書いたものです。今までにマスコミが作り上げた幻想の田舎暮らしを戒め、現実を直視した田舎の暮らしを、少し大げさではありますが書いたものです。
 現実にお悩みの方は、是非一読することをお奨めいたします。
 要は便利すぎる都会生活に慣れた心身を鍛えて、本当に自分で自立していきなさい、ということになります。
 私が住んでいる安曇野はたまたま田舎の都会のようなところで、日々の生活の中でそんなに大都会の生活と違うことはありません。喧騒がないことと、車がないと生活がしにくいということぐらいでしょうか。

 そんな安曇野の日常生活の中で最近すごく感じていることがあります。有機稲作をしている農家の人のことです。私はその方から米を購入しています。稲作りの節々に通信を発行していますが、今年は折に触れ土作りから観察させていただきました。
 ショックだったのは8月の初めに発行された通信に「合鴨、きつねに襲わる」の記事があったことでした。

 その方は昨年、稲の根腐れと雑草に負けて稲作りに失敗しました。その反省にたって、昨年冬から土作りをしました。畑に混ぜた籾殻とボカシ肥料などで万全を図って、今年も春先に有機稲作をスタートしました。本当によく有機(自然農的)稲作作りを研究し食の安全を勉強されています。
 順調に田植えも終わり、いよいよ雑草との戦いが始まりました。私も合鴨が草を食べるところを何度か観察に行きました。
 しかし、近くに住むきつねの親子に合鴨が襲われて大部分が食われ、殺されてしまったとのことでした。このきつねは最初一匹で暮らしていたようですが、数年前から家族ができて生きるために今回の襲撃に及んだようです。きつねはきつねで必死に生きているわけで、責めることはできないでしょう。その農家は外敵防止用のネットの不備を悔やんでいました。合鴨農耕の大変さを改めて知ることとなりました。

 それにしても自然の中で生き抜く力(闘争)の凄まじさを垣間見たような気がします。その後は除草機を使って何とか雑草との戦いには勝てたようです。
 本人は今回のことで草の特性などをさらに研究し、除草剤を使わない無農薬田の米作りに自信を持ったようです。
 安全な米を作るにはこれだけ大変な努力をしているのです。一昨年彼の「安全な農産物作り」の講演に行きましたが、本当に熱心に除草剤、殺虫剤や輸入農産物のポストハーベスト農薬(収穫後の作物貯蔵用)の危険性について研究していて、現在の農作物作りに疑問を投げかけていました。

 この田のすぐ近くに減農薬米を売りにしているブランド米の田圃があります。そこに表示されている除草剤、殺虫剤などは30から50パーセントの量を減らしているというだけで、使用していることに変わりはありません。これらの薬剤は土壌や我々の身体の中に少しずつ蓄積されていきます。

 先週、穂高で海産物の練物製造業者の講習会がありました。こちらは無添加でおでんの材料やかまぼこなどの練物を作っています。市販の魚のすり身には、いかに添加物が入っているかを教えてくれました。アミノ酸という化学調味料、弾力剤、増量剤、合成保存料、合成着色料、酸化防止剤、PH調整剤などなど、数え切れないくらい練り合わせの加工品には入っています。表示されているのはすべてではありません。
 しかしながら一部の製造業者には、そのような添加物を混ぜないで魚の素材だけを使って製造しているところもあるのです。このような業者は大手ではなく、大都市でない地方の産地にあります。大方は大手業者の下請けをさせられていますが、それでも独立独歩で安全な食材を作り続けているのです。

 また化学物質の飛躍的増大に危機感を持った女性の弁護士を中心に、医者、化学者、政治家などが「化学物質政策基本法」を求めNPOを立ち上げています。こちらは大都市の人たちが中心ですが、以前に起きた水俣病、カネミ油症、スモン病などの公害・薬害事件の発生では地方の人たちが多く被害を受けました。
 シックハウス症候群・化学物質過敏症などの健康被害の発生、癌疾患、アレルギー性疾患、発達障害の発症にも合成化学物質の関与が疑われているのです。この女性の弁護士たちは、ダイオキシン・環境ホルモン対策などで被害者の弁護をした人たちです。今ロビー活動をしながら各政党に働きかけて、法案を作ってもらおうと努力しています。
 これらの病を発症した人たちの中には転地療養を兼ねて大都会を脱出し、田舎暮らしをする方も多く見られようです。
 私はこちらに移ってから、このような理由で田舎暮らしを始めた人にたくさん会っています。
 そして多くの人が自然と接することで自分自身に免疫を作り出し、また自然によって鍛えられて少しずつ良くなっているのではないかと思います。


 上述した農業の人、魚の練物業者、女性弁護士たちが共通して声を大にして一生懸命訴えていることは、未来のある子供たちには安全な食生活をしてもらいたい、そのためにはどうしても今子供たちのために安全なもの、環境を残しておかなければならないのです、ということでした。

 食品添加物、農薬類、化学物質、薬品などの安全基準はすべて大人を基準にしたものであって、乳児や幼児には量が多すぎるのです。そうでなくても既に自然の中に蓄積されている合成化学物質(複合された汚染物)は、いっぱいあるのです。
 自分自身で食べるものには化学肥料や農薬を使わないで、マーケットに出すものにはバンバン使って、見栄え良いものにするようなやり方は許されるものではありません。地産地消を叫ぶならまず安全な食物を作ることです。何で農協は安全な食物作りを奨励しないのでしょうか。心ある農家の人たちからは「農協に明日はあるのか − 我が家の食卓をどうする」という声も上がっています。

 なぜ改めないのでしょうかね、私には本当に理解できません。
 このようなことは田舎に暮らして初めて知り得たことでした。


〜ふるさとづくりの活動〜

〜NPO法人信州ふるさとづくり応援団について〜

高松 伸幸 


 信州ふるさとづくり応援団という名称のNPO法人があります。これまでこの会報でも同法人の主催するイベント案内を行ったりしてきたので、名前はすでにご存知の方も多いかと思います。信州ふるさとづくり応援団は、Iターン者と地域住民との交流による新しいふるさとづくりをめざして平成18年2月に設立され、同年6月に長野県からNPO法人としての認証を受けた団体です。
 応援団という名前が示すとおり、地域で活動する市民活動団体や行政等との協働を重視し、地域住民ネットワークの構築を目指していて、現在は長野県内で安曇野、東信、上田の各支部に分かれてそれぞれ地域密着の活動を行っていますが、このうち宮崎さんと私が活動している安曇野支部の活動について少し触れたいと思います。
 先述のように同NPOではIターン者と地域住民の交流から生まれる新しいふるさとづくりを目指すという大きなテーマを掲げていますが、安曇野支部ではIターン者との交流より以前に、まずは今ここに暮らす人々自身が地域の自然や歴史、文化、風土などの魅力を再認識・再発見すると同時に、これからの地域づくりを考え、そして実践してゆくことが大切ではないかとの思いから、支部として様々な地域活動を推進しています。
 よりましょ前号で案内した“ふるさとウォッチング in 安曇野”というイベントも安曇野支部の主な活動のひとつで、地域住民が地域の魅力を再発見することを目的にこれまで計4回のウォーキングツアーを開催してきました。
 最新のツアーでは安曇野市豊科の飯田地区を舞台に、拾ヶ堰の取水口の見学にはじまり、屋敷林や古い民家の佇む歴史的なまちなみを巡ったり、田園風景から幾多の道祖神、旧信濃教育会館の歴史的建造物などを見学して回り、ツアーのおしまいに“ぬかくど(籾殻を燃料にしたかまど)”で炊いた安曇野米のおにぎりを、約100名を数えた参加者全員で頂きました。
 このふるさとウォッチングの魅力は、なんといっても隠れた地域の財産とも言うべき魅力溢れる自然や歴史・文化などを発見できること。そして集った参加者同士のコミュニケーションとネットワークが広がり、それが地域づくり・まちづくりの大きな力となっていくことにあります。私たちのNPO以外にも地域で活動を続けている市民団体のメンバーとも有意義な交流が出来ていて、そうした小さな繋がりの糸がやがて大きな束となって地域づくり・まちづくりに発展していくことを期待しています。
 そして来る11月8日には“第3回ふるさとづくりフォーラム in 安曇野”というイベントを開催します。これはNPOの活動成果を報告し、様々な地域活動の市民団体の様子を知ってもらったり情報交換してもらうことを目的とした、住民同士が交流を深めてもらうためのイベントです。安曇野の魅力はアルプスを背景に広がる田園風景が先行イメージとして多くの人に認知されていますが、そうした田園の貴重な風景財産もすべては地域に暮らしてきた人々の地道な(生業もボランティアも含めたすべての)活動の結果によるものです。そうした地域を支える新しい担い手としての市民活動団体をはじめ住民同士が、地域をよくしてゆきたいという共通の思いを語り合い、そして交流を深めるイベントとして、ふるさとづくりフォーラム in 安曇野を企画しました。
 またイベントでは、松本大学地域づくり工房「ゆめ」において学生たちに地域づくり・社会活動を実践のなかで教えている福島明美先生の講演も予定されています。“みんなで進める地域づくり”と題した講演は安曇野に限らずどんな地方・地域にも共通するテーマとして参考になると思います。新・信州人倶楽部のメンバーにも安曇野市民は大勢いらっしゃいますが、市民に限らず多くの方に足を運んで頂き、イベント参加を通じて交流の輪を広めて頂ければ嬉しく思います。

 

〜美味しい味を、すこし(35)〜

中澤 滋


 最近よく作っている、とても簡単にできるチャーシューを紹介します。
パン・ウェイさんのレシピを参考にしていますが、つけ汁に漬けた肉を焼くだけで、簡単にチャーシュー風の焼き豚ができます。
  また冷たくなっても美味しいので、お弁当にも最適です。ぜひ試してみてください。

<材料>
 ●豚バラ肉(ブロック) 500g
 ●つけ汁
  オイスターソース 大さじ2.5
  しょう油 大さじ2.5
  紹興酒 大さじ1
  ごま油 大さじ1
  黒砂糖 大さじ4
  タマネギ(みじん切り) カップ1/4
  ニンニク(みじん切り) 一かけ分
 
<作り方>
つけ汁の材料を合わせて、1センチほどに切った豚肉を一晩漬ける。
つけ汁から豚肉を取り出し、魚焼きグリルで4分位焼いて、軽く焦げ目ができれば出来上がり。
簡単でしょう!!

つけ汁に好みで香り野菜を入れても良いです。また、肉はつけ汁に入れたまま一週間くらい持つので、必要なときにちょこっと焼いて、急なおつまみにも最適です。

グリルでアルミフォイルを使うときは、フォイルを手でシワシワにして、その上に豚肉を置いてください。そして焼けたらフォイルごと取り出して、フォイルを縦・横、場所を変えながら何回か引っ張ると、肉がホイッと外れて楽ちんです。
おさかな料理などでも、割とはがれやすくて良いですよ! (これは以前、NHKの料理番組で紹介されたものです。

 


編集後記

 娘の振替休日を利用して、10月14日に紅葉の高瀬ダムに行って来ました。高瀬ダムは高さ176mを誇るロックフィル式ダムで、大町の高瀬川テプコ館から無料の見学バスが運行されています。
 テプコ館の見学バスは予約制で、4月下旬から11月下旬のシーズン中は1日6便運行されています。テプコ館の入場も見学バスも無料で、ダムと発電所の見学を含む所要時間は約2時間。岩を積上げたロックフィルダムと眼前に迫る北アルプスの景色は迫力満点で、紅葉とのコントラストが見事でした。
 テプコ館そのものもダムに関する映像や展示等が豊富で、子どもから大人まで楽しく学べるようになっています。シーズン中でも黒部ダムのような混雑もなく、安曇野からテプコ館までは車で約40分。ガイドブックには載っていない、安曇野周辺の穴場スポットですよ。(宮)

 いま、穂高駅前通りにある事務所の表構えをリフォーム中。工事の主目的は結露がひどかったこれまでのアルミフレームとシングルガラスをどうにかすることなのですが、新しい素材にスギ板を利用して落ち着いた感じで仕上げる予定で、通りの景観向上にも貢献できるかなと密かに喜んでいる次第。で、通りを毎日登下校していく穂高商業高校の女子高生たちが通りすがりに「あれっ、なんか店出来るだ? ここって前、何屋さんだったっけ?」なんてお喋りしていくのを耳にして、つくづく存在感のない事務所だねと少々凹んだり、女子高生の日常には全く関係のないお店だからねとひとり納得してみたり、設計屋さんはやめてクレープ屋でも始めようかと一瞬本気で考えたり。(笑) (高)

今回の会報より、運営委員に参加させていただくことになりました、田中です。どうぞよろしくお願いいたします。前号のリレーコラムに書いたとおり、単独常念岳テント泊、その後、燕岳日帰り登山、次いで先日は初めての単独以外のツアー参加で、上高地から涸沢、そして北穂高岳の往復という一泊二日の強行?な山行に行き、紅葉と初冬の狭間の絶妙な景観を全身で堪能してきました。二足歩行を何年やってると思ってるんだい!と言わんばかりの、ご年輩登山者の健脚振りには、いつも深い感慨を覚えます。いいですね。(田)

今号の塩谷さんのコラムにもあった有機農法の田んぼで、二家族で古代米の稲刈りに参加してきました。最初はぎこちなかったのですが、だんだん上手?になり、ついつい張り切ってしまいました(笑)。
 ハゼかけが終了する頃にぱらぱらと雨が…。ラッキーでした。皆さんとの食事・おしゃべりも楽しかったです。次の日からいつも使わない内股の筋肉が突っ張り大変でしたが、チョウやトンボ、イナゴやカエルなども多くいて、農村部の自然環境の保全には、田んぼや畑の環境が大事だと改めて感じました。(中)

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会報目次

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