Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第74号

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   ◆忘年会、早めのお知らせ

 少々早いですが、皆さんの予定に組んでもらえるよう、忘年会のスケジュールと概要をお知らせします。
  昨年好評だったくろよんロイヤルホテルを、今年も確保しました。実は今年5月、同ホテルの「りんどう」で洋食ランチを頂き、上品な味に満足したことがあります。以前と違うような? ということで職員に聞くと、4月に大阪リーガロイヤルホテルからシェフが総料理長として赴任してきたといい、納得したものです。
  そこで昨年は和食宴会でしたので、今年は期待が持てそうな洋食宴会を企画してみました。
  スケジュールは次の通りです。

日時:12月3日(土)PM7:00〜
場所:大町くろよんロイヤルホテル

 また会員以外のゲスト、Iターン相談のための参加も歓迎です。
  メールはこちら からどうぞ。
 

 まだホテル側の「忘年会・新年会プラン」パンフができていないため、確定した料金は示すことができません。ただ昨年の和食宴会より安いので、だいたい11,000円(宴会・宿泊)、5,000円(日帰り宴会)くらいだと思います。
 11月の会報で詳細をお知らせしますので、どうぞ楽しみにしていてください。
 参加可能な方は、早めの連絡をいただけると助かります。よろしくお願いします。

バーベキュー例会報告!
 夏恒例のバーベキュー例会を、松本市梓川の梓水苑バーベキューハウスで行いました。いつも参加してくださる会員・家族3組が来られなくなり、8名と少ない参加でしたが、遠方から鉄雄さん、Fさん、そして久しぶりに例会参加となったKさんも加わり、楽しい時間を過ごすことができました。

 当日バーベキューハウスに行くと、テーブルに足跡がたくさんあったり、ベンチも汚れていました。テーブルに手を乗せられない状況で、タオルペーパーでも敷こうかな、と思っていたら、男性陣から「洗剤できれいにしよう」、という声が上がり、TさんとKさん中心に皆さん熱心に磨き上げてくれました。ありがとうございました。
 食べ物ですが、アスパラやパプリカ、カボチャ、トウモロコシなどの野菜と、サーモンの塩糀マリネを最初に焼きはじめました。
 続いて鶏もも肉の塩糀マリネや皆さんの持ってきた食材、大きなほっけの干物、チョコさんが持ってきてくれた鹿肉のジンギスカン風など、次から次に焼いていきます。
 いつも好評のスペアリブも焼きはじめ、皮からの手作り餃子も登場。最後は焼きそばとなりました。そしてデザートにはToshiさんお持ちよりのさわやかゼリーで、フルコースの終了です。
  お腹いっぱい食べて、楽しいおしゃべりもあり、あっという間の4時間半でした。
早太郎(駒ヶ根市)
Iターン5年目にて
 Iターンをして5年目を迎えた。生まれの地の記憶がない長男も保育園に行くようになり、インフルエンザなどいろいろな病気をもらってくるのだが、「隔離」できる部屋がない。元気になって家中走り回れば怒られる毎日。
 そもそもIターンした理由のひとつは、土に触れられる庭のある、広い家に住むことである。Iターンの次のステップというべき、定住できる家探しに動き始めるものの、こまめに物件を探すことも、新築モデルハウスを見に行くこともしない「ずく」のない夫婦。

 言い訳をするとすれば、何やら二人の生年から見ると方角や期間などに制限があり、唯一動いても良い方角は人があまり住んでいない区域で、不動産屋も頭を抱える「土地や物件が動かないゾーン」。たまに出てくる物件は、農地転用申請やら築30年の寒そうな家やらと、「その気」にならない日々が続いていた。

 年が明け、多少制限が和らいだと同時にビックニュースが…。「方角OK、築3年」。聞けば同棲中の娘のために建てた家らしく、まったく生活感がなく壁から設備からきれいな家だった。
 子供たちは家中を走り回るほどお気に入りの様子。「その気」のない二人にスイッチが入れば、Iターン同様あとは走るだけ。

 結婚前の娘に家を建ててしまうことにも驚きだが、スッタモンダで違う相手と結婚してしまったらしく、家が不要になったらしい。
 今までの物件はアラ探しをしていたのに、多少の欠点も強引な論法で自己納得してしまうところが「縁」なのか。いつもながら、いきなり動くので周りはビックリ唖然。忠告も間に合わないぐらい一気に決めて、ドタバタと引越し完了。これでなきゃ長野には移住していないわけで…。

 隣組が7世帯とあまり人が住んでいない静かな住環境。夜は窓を開けっぱなしで家族全員熟睡。朝に鳥の声で目覚めるのは、亜熱帯気候名古屋では味わえない。
 子供をダシに隣組のお付き合いも上々のスタートを切り、Iターン第2章の幕開けとなった今夏。庭に苗を植えたいという長男を横目に、夫婦2人は草刈り地獄にうんざり。来年の夏までには、雑草でなく野菜を収穫したいと願うばかりである。
辻 正道(松本市)

郷土に“いいもの”発見!

〜水窪にて〜


 ここは静岡県浜松市天竜区水窪町です。浜松市の中でも一番北の端、長野県飯田市とも接する県境の寒村です。松本から高速を飯田まで走り、三遠南信道で上村、南信濃村まで行き、さらにすごい悪路をひたすら走って県境の兵越峠を超えれば、ようやく水窪です。

 平成の合併で浜松市もずいぶん広くなりました。人口80万の静岡県一の大都市であります。その浜松市が本年7月1日、めでたく市制施行100周年を迎えました。小社ではそれを記念して決定版写真集『保存版 ふるさと浜松』を7月22日に刊行いたしました。100年に一度の決定版ということもあって、おかげさまで本はよく売れました。旧市内もずいぶん盛り上がりましたが、市の中心から最も離れた、ここ水窪町こそ、実は普及率から言えば最も売れた町なのです。世帯数はわずか1,000余りしかありません。それでなんと115冊も普及しているのです。実に9軒に1冊です。

 売っているのが、村に唯一の書店、丸山書店さん。水窪の商店街の中にある、小さな町の本屋さんです。そのご主人は実に84歳のおばあちゃん、そんな歳にはとても見えない、すごく元気はつらつとしたおばちゃんです。お嫁に来てから、ずっとこの道一筋です。女性の従業員が2人、学校、役所、銀行から、個人の家まで村中を毎日配達しています。

 新聞に宣伝チラシを折込みましたら、その日に30冊以上注文が入ったというのには本当に驚きました。ほとんど電話が鳴りっぱなしです。1冊9,975円もする、決して安くない本です。まことに、地元のかたがたのわが町を愛する、郷土意識の高さ、そして丸山書店さんの永年にわたる、日々のご努力、信用の賜物でしょう。浜松の中心市街地の大型店でさえ、100冊売るのは容易ではありません。

 今回、浜松市ではこの水窪のみならず、隣の佐久間、春野、天竜、そして三ケ日、細江、引佐、あるいは舞阪、雄踏といった周辺郡部の町の書店さんが大健闘でした。
 このような、地方の町の書店さんが日々がんばっておられるから、地方の文化は支えられ、育まれているのでしょう。小さな町で商売を続けるのは、なかなか大変ですが、これからも元気に、大切な町の文化の灯をともし続けていってほしいと思います。

長野 鉄雄(船橋市)

列車で例会に参加させていただき


 ある日、仕事上の理由で通常時より早朝出勤したときのことである。
 6時50分ごろの船橋駅3番線ホームには、私がいつも利用する快速電車ではなく、「特急あずさ3号」松本行きが入ってきたのだ。
 これに乗れば、信州へ行けるのか。ここのところ時刻表を読まなくなっていた私は正直驚いていた。そんなことを考えているうちに駅メロが鳴り、「特急あずさ3号」はドアを閉めて発車した。

 考えてみれば、JNR(旧国鉄)からJRになってからは、寝台特急以外は旅情がないと勝手に決め込み、昼間の特急は殆ど利用したことがなかった。数年前の倶楽部での忘年会に参加するためクルマのタイヤがパンクし、やむを得ず「特急スーパーあずさ(以下スーパーと書きます)」に乗ったくらいだ。あの時も、やはり国鉄時代の「L特急あずさ」に比べると、旅情が薄れていたように感じられた。

 よし、今度信州へ行く機会があるときには「特急あずさ3号」に乗ろうと決めた。
 7月の倶楽部の例会が3連休の最終日ということもあり、クルマでは帰りに中央自動車道の大渋滞に巻き込まれると思い、「特急あずさ3号」に乗っていくことにした。

 今は、自宅のパソコンから指定席が予約できる。つくづく便利な時代になったものだと思う。「特急あずさ3号」はE257系という、スーパーとは異なり振り子式ではない構造の電車だ。
 7月18日の朝、定刻どおりに船橋を列車は発車した。さすがに国鉄時代の「L特急あずさ」のように、車内放送前の汽笛一声のオルゴールはなかった。これも時代の流れなのだろう。

 これは、初めての発見といえるのだが、乗る列車によって見える車窓が変わるのだ。普段、快速電車から見ている車窓がまるで違うように見える。
 そして、私が乗っている車両は現代の電車では主流のVVVFインバーター制御のモーター付きなのだが、実に静かだ。少しさみしいくらいだ。乗り心地は私が感じる分には、振り子式のスーパーより、こちらの方がよい。
やがて列車は新宿に着き、まもなく発車。普段はクルマの運転ばかりでその時は当然前を向いているのだが、列車では横の風景を見ることができる。下手に神経も使わなくて済む。そして、JNR(旧国鉄)時代の列車同様、旅情も味わえる。これなら列車での旅も悪くない。

 驚いたことに車内では、お土産などの売り子さんは、男性がやっていた。時代の流れなのだろうか。車窓に夢中になっているうちに、あっという間に松本に着く。それにしても早い。JNR(旧国鉄)時代は、新宿と松本の間は「L特急あずさ」で約4時間はかかっていたと記憶している。実際体感速度もはるかに現在より遅かった。
 例会の帰りもスーパーではなく、普通の「特急あずさ」に乗る。自由席だったが、松本駅では乗車前に列ができてさすがに混んでいる。でもなんとか窓側に座ることができた。

 やがて、一息つくとゆっくりと発車。上諏訪あたりで通路に立つ人も出てきた。
 やはり快適だ。一つ気になったのは、途中途中で中央自動車道が見えるのだが、上りが結構すいすいと流れている。まあ、よい。たまには列車の旅も悪くない。そう自分に言い聞かせた。ほどなく、終着駅の新宿に到着。列車から降りる瞬間が地獄だった。ムーアーッと熱気が襲ってきた。これは仕方のないことだが夏場の信州がいかに快適かを再認識した。あとは普段の通勤と殆ど変らない様子で電車を乗り継ぎ船橋に帰ってきた。しつこいが列車の旅もなかなか悪くない。また、列車でどこかへ行ってみたいと思った。

 自宅に着くなり、パソコンを立ち上げNEXCO東日本の渋滞情報を見た。中央道は上りが小仏トンネルのあたりで20KMの渋滞となっている。やはり今回は列車で行って正解だったようだ。
 これまで、クルマの運転で前ばかり見ていたが、今回は横ばかり見ていた。人生も実は同じで、前ばかり見ているのではなく、時々横を見ることも大事なのでは。なぜかそんな思いが頭をよぎった。

Toshi(池田町)

蕎麦の話 〜その2〜

 前回蕎麦を打つようになったきっかけをお話ししましたが、最初の頃は打つことが楽しくて、頼まれもしないのに「また蕎麦にするか」と、毎日のように蕎麦を打ちました。「蕎麦なら毎日食べても良いよな!」「…!?」というわけで、一番被害を受けたのは家族でした。
 そのうち「またソバ〜??」、子供達も遠慮なく文句を言うようになり、打つ回数も一週間に2〜3回、1回、月に2〜3回、1回、更に2、3か月に1回と少なくなっていきました。

 そんなに打っていた蕎麦も、実は総て美味しい蕎麦だったわけではありません。うまく打てても茹で方が悪くて、短い屑のような蕎麦になったことも何度もありました。打ち方、切り方、茹で方の三拍子が揃って初めて美味しい蕎麦になるのです。いろんな体験をし、失敗をして、段々上手くなっていくのです。
 失敗といえば、一番初めの頃、蕎麦を捏ねるときの水加減がもう一つ掴めなくて、暖る玉(ズル玉ともいう)になってしまい、伸ばすと伸し棒にくっついてしまい、破れて蕎麦にならなかったり、硬すぎてヒビが入ってしまい、切るとボロボロに短くなったりと大変でした。

 今でも蕎麦粉の状態で予定の水の量よりも少し多めだったり、少な目だったりの水加減は重要なことですが、それもホンの一滴か二滴の水でガラリと変わってしまうデリケートさなのですから、自分で「うん!これで良い!」「今日は上手く打てた!」、と思う蕎麦は年に何度有るか無しで、やればやるほど、奥の深い蕎麦打ちの世界です。このあたりに大勢の人が嵌まる理由があるのかも知れませんね。

 でも今は蕎麦打ちの楽しさを味わってもらいたくて教えていますから、あまり難しいことは言いません。失敗したら失敗したなりに、カバーして「大丈夫!こうすれば何とかなるから!」と手を貸して、皆が「ソバ打ちって楽しいね!」「ソバって美味しいね!」と思ってもらえるように努力しているのです。

 皆さんは「蕎麦打ちって難しいから…」なんて思っていませんか。そう思って手を出せないでいるんだったら、まずやってみましょう!
 「だって道具だって無いし、買うと高いし!」。いいえ、そんな高い道具は要りません。家の台所にある物を上手に使ってやれば良いのです。25cmから30cm位のボールは大抵の家庭に有るでしょう。伸し棒も30cm〜40cm位の物が有ればそれで十分です。もし長い物が欲しければ、日曜大工の店、ホームセンターで90cmくらいの物が1000円以下で手に入ります。麺切り包丁は普通の葉切り包丁で代用できます。それらの道具で最初の頃は十二分に間に合います。

 よく、何かを始めようというと、「道具から揃えて…」という人がいますが、私はあまりお勧めしません。少し打てるようになると段々目が肥えてきて、「もっと良い道具が欲しい」と思うのが人の常ですからね。最初は出来るだけお金をかけずに有るものを利用してがコツなのです。
 すべてプロ並みの道具を持てば上手くなったように錯覚するのでしょうが、「また道具ばっかり高いお金をかけて!!どうせパパの道楽は、揃えたら終わりなんだから!!」なんて、奧さんに嫌みを言われるのが落ちだったりして…。

 私の場合は、「またソバ〜?!」の段階を卒業して、「偶には親父の打ったソバ食べたいよナ」「やっぱり親父の打ったソバが一番美味しいよ!!」等々、家族に認められるようになってから、父の日のプレゼントに木鉢や蕎麦包丁を妻や子供達に贈ってもらい、それを大切に使っています。どちらも少人数用のもので、木鉢は内径38cmくらい、包丁は刃渡り24cmのもので500〜600グラムの粉を打つのにしか使えないのですが、我慢して1キロ位までは打っています。
 因みに、家庭で打つ場合は大勢のお客様でも来ない限り、500グラムも打てば十分です。粉500グラムに、水が45%位として225グラム、これで麺になると725グラム。一人前150グラムとして約5人前弱となります。でも150グラムの蕎麦は、かなり「食べた〜!」という量になると思いますから、4〜5人の家族なら、あずみの公園で教えている400グラムで丁度良いと思いますヨ。

 さて、蕎麦を打ったら美味しい山葵とネギ、辛味大根を下ろした物などの薬味を好みに応じて準備して、冷たく冷やしておいた蕎麦つゆで食しますが、この蕎麦つゆがまた様々にあるのです。これも凝りだすと醤油の種類から砂糖、味醂の種類や配合の割合、さらには鰹節の種類や配合割合、本返しか生返しか、等々、いくら紙面があっても足りないくらいの話があるのですが、今回は皆さんに取って置きのソバダレの作り方をお教えしましょう。

 まず自分の好みの市販のつゆを用意し、そのつゆを水で薄めるのではなく、出し汁で薄めます。出し汁は、より美味しくしようと思えば、鰹節の厚削りを買って出しをとるのが理想的です。昆布や椎茸の出しでもよいでしょう。要するに手軽なものを試してみることです。…それでも面倒だという方は、…そうですね?蕎麦つゆを2種類ブレンドするとより深みのある出しになり、より美味しくなると思いますヨ。そして冷蔵庫で良く冷やすか、濃いめのつゆに氷を入れて冷やしても良いでしょう。これらは蕎麦を打つ前、または茹でる前に準備して冷蔵庫に入れておきます。
  これで普通の蕎麦つゆで食べるよりもずっと本格的な味で食べられることになり、満足すること請け合いです。
 手軽にやろうと思ったら、やはりそれ以前に自分の好みの味のつゆはどれか?いろんなメーカーのつゆを食べ比べて見るなどの事前の準備が必要となりますね。食いしん坊も楽ではないということです!

 最後に市販の蕎麦の見分け方。既にご存じの方も多いと思いますが、乾麺などでは製品袋の裏側に、製品の成分表示がしてあり、成分の多い順に表示がしてあります。
 蕎麦は、蕎麦粉の量が40%までは「そば」と称しても良いことになっていますが、(私の記憶に間違いがなければ)成分表示が小麦粉、蕎麦粉となっていれば、小麦粉が51%〜60%は含まれており、本当の意味で蕎麦ではありません。繋ぎはあくまで繋ぎであり、そばと呼べるのは繋ぎ3割まで、それ以上になると蕎麦の味が変わってしまい、蕎麦風うどんでしかなくなります。

 市販の蕎麦を買う場合には、乾麺でも茹で麺でも成分表示が明確なもの(たとえば十割そば、二八そば等)を選ぶことをお勧めします。少々話が長くなり、諄くなりました。今回の蕎麦の話はこの辺で終わりとしましょう。
 では皆さん!美味しいおそばを食べましょう!

中澤 滋(松本市)

信濃木崎夏期大学

 我が国最初の、そして現存する最も古い歴史を持つ信濃木崎夏期大学、今年は第95回を数えます。私は今回3年目ですが、2つ以上の講座を受講したいと、パンフレットが届いた日から計画していました。そしてお目当ての講座を2つ選んで、出かけてきました。

 8月1日、夏季大学初日に講座を受けるのは初めてでしたが、30分ほどの開校式がありました。来賓者などのあいさつもありましたが、私を驚かせたのは、その式中、「朝」という曲を皆で歌ったのです。
 私はこの曲は初めて聞いたのですが、会場の人たちは皆さん声高らかに、浪々と歌い上げるのです。この曲を知らない私は、小声で皆の歌に合わせて歌うだけでした。
 この曲のことが気になり、家に帰ってから調べてみると、島崎藤村の詩を小田進吾という作曲家が作ったものだといいます。昭和11年から始まった「国民歌謡」というラジオ番組で放送され、多くの歌手が唱い何度も放送され、かなりのヒット曲だったそうです。明るい高揚感のある歌詞とリズムで、大正時代から続いている信濃夏季大学の歌として、とてもなじんでいるようでした。

 さて初日の講座は京大名誉教授で、経済学者の伊藤光晴先生です。今回の福島原発事故があったので、急きょテーマを変えて「エネルギー問題を考える」、副題「原発の中に普遍の論理を」という講座となったそうです。
伊藤先生の話は初めて聴きますが、まるで講談の様な抑揚と、枯れるような声が独特で、楽しんで? 聴くことができました。しかし内容はかなり高度なものです。

 まず「エネルギー問題を考える基本的視角」について、全ての物の売買はエネルギー換算・カロリー換算できるということから、エネルギー連関表を作成しエネルギー要素を把握すべきだといいます。
この連関表から1950年では1エネルギーを投入すると、米のエネルギー1.27を作ることができたが、74年には0.38の 米エネルギーしか作れなかったとのことです。
 それはこの間、農業の生産形態が変化し、機械エネルギーが12倍、肥料が4倍、燃料が20から30倍、人や牛の労働力は三分の一になったことが背景だと言います。
  つまり私たちが行ってきた生産性を上げることとは、物のコストを下げてはいるものの、エネルギーを大量に使っている、エルルギー多消費社会だから実現できたのだと、改めて認識させられました。

 つぎに話は難しいエントロピー(熱力学第二法則)に移り、エネルギーを使うときの質の重要性を説いていました。電気でモーターを回すのはよいが、ヒーターの熱源とするのは非効率なエネルギーの使い方なのでよくない、というものです。そして今後は、熱効率・質を考慮したエネルギー利用法の確立が必要だといいます。

 さて原発のエネルギーでは、現在300度でタービンを回しているのは非効率であり、500度以上で回すことができれば非常に効率的になると言います。そして原発の熱を使い切れないため、海にお湯を流し熱帯魚が住む環境になっている無駄を指摘、原発は未だ発展途上の技術であると結論づけていました。

 話は続き、原発は不確実性を持っている、つまり保険で担保することのできない商品である、という説明を展開。ジャンボ機、タンカーの例を示した後、保険で引き受けることのできない20万トン以上のマンモスタンカーは存在しなくなった、ということでした。
 しかし原発を推進する米政府は、保険で引き受けられない額以上は政府が負担することにしたといいます。そして米国をまねて、原発の事業者責任は追及されるが、原発メーカーの、東芝、日立、三菱は責任を問われない、という構図となっているそうです。

 とにかく巨大な利権が絡む原発を推進したい政治家・国と電力会社の利害が一致した結果、東海1号原発の1kwhのコスト2円52銭が明らかになると、他の電力会社も動きを見せはじめたそうですが、このコストは全くの嘘であったこと、そして新潟県刈羽村の使い道のない荒れた砂丘を金にする方法で見事20倍もの代金で土地が売れ、その利益から田中角栄に4億円が流れた話、松根宗一、柏崎市長であった小林治助、刈羽村村長であった木村博保などの話が、伊藤先生の講談調で語られていきました。

 多くの省庁設置委員会などで、座長、委員長を務めている伊藤先生からは、面白い話を沢山聴くことができましたが、今後の電力供給に対しては、原発は無い方がよい。ただし現状の太陽光発電や風力発電などについては、技術的な問題や効率の面からか賛成はせず、LNG発電、地熱発電を推進するのがよい、という話をしていたのが興味深かったです。

 さて2回目の講座は8月7日でした。今回は女房も休みなので、一緒に出かけてきました。
 会場に着き、受付を済ませて名簿に記入しようと用紙を見てみると、北安曇郡外の名簿にもう6回、つまり毎日来ている人が2名いました。すごいですね。

 さて今回の先生はノースカロライナ大学神経科学センター名誉センター長、鈴木邦彦先生です。講座名は「似非科学と科学教育」というものでした。
 私達は「似非」の読み方が分かりませんでしたが、講座が始まるとすぐに「えせ」と読むのだと分かりました。思わず「なるほど!」と感じたものです(無知ですね…笑)。

 講座の内容は、「昨今の科学に名を借りた似非科学の跳梁は目に余るものがあり、社会に大きな害をなしている。それを許しているのは現在の教育に於ける本当の意味での科学教育の欠如である」というものでした。
 えせ科学がのさばる理由は、現在の教育に問題があり、納得のいかないことは受け入れない、と言う基本を教えないからだといいます。そして「100%正しいと判断できるものは科学では存在しない」のに、希望的観測を巧みに利用した、信じられやすい科学がはびこっているのが原因だ、と指摘していました。

 ところでホメオパシーはえせ科学であるが、一方pracebo(プラセボ)効果として割り切る国、フランスもあることを紹介。ようは個人個人が客観的・科学的な考え方を持たなければならない、と訴えていました。
 日本では血液型を信じる人達が結構いますが、入社時の採用基準にしている企業があるとの話に驚きました。外国ではほとんど話題にならない血液型について、松本龍前復興相の「私はB型でちょっと短気な所がある」という話に対し、「失敗を血液型のせいにするな!被災者は(怒りで)血が煮えたぎったはずだ」などと評したアイルランドの日曜紙を紹介していました。

 科学教育現場では、日進月歩の分野の知識を詰め込むことが精一杯で、基本的な科学的考え方を教えてないといい、時として自分の論理を否定するような実験をする必要がある、と訴えていました。まさに客観的検証法です。
 えせ科学がはびこる原因として、現在の科学の弱さについても言及、それは人間の心理と脳の構造、代謝・電気生理との関係は今だ何も分かっていない事をあげていました。
 また、えせ科学が蔓延する原因として、メディアの無知・無責任と権威の崇拝があるとも指摘。えせ科学と野放しの金儲け主義がアメリカ式資本主義にあることを指摘、私達国民には、常に“健康な懐疑心”を持つことの必要性を訴えていました。

 

だるちゃん(大町市)

会報を読んでみて 

〜「よりましょ」73号〜

 辻正道さん北海道はさぞ広々としていたでしょうね。私も母と共に5回ほど札幌、深川、沼田へ行った事あります。
  北海道の今昔はどこに行ってもちょっとスケールが違うように思います。にしん、さけ、ししゃも、北海道以上の味はそうはないと思います。特に辻さんはお酒が飲めるので、そのうまさはただ食べるのとは違った 楽しめる味でしょうね。

  北海道の人は一度は内地に憧れるけれども、やはり北海道に戻りたくなっちゃうようで、私の母も亡くなる寸前、北海道のつららが食べたい、といっていました。長い間ずっと我慢していたのだと思います。苫小牧の鵡川今昔の本、できたら私も買いたいです。

 長野鉄雄さん、東日本大震災を体験されて怖かったでしょうね。他人事ではありません、必死な状態はわかります。未だに解決もままならない 被災者の人達に早く光を当てたい感じです。緊急時に長谷川さんのように常に自分と全体を考えられる人は貴重です。長谷川さん、重度の不眠症といっていますが心配です。普通は疲れてお腹一杯になると眠くなるのですが、長谷川さんはもしかしたら自分に厳しい、完璧主義なのかもしれません。

 頭は正確なコンピューターのように優秀だと思います。どうか、緑を眺め好きなことをしてください。のんびりする時間をつくればいくらか違いますかね。電車も車も達者なかたですからたまにこの辺に来たら遊びに来て下さい。何もない良さも良いものです。

 Toshiさんはそば職人、羨ましいですね。もう一生仕事には困りません。それは技術職だからです。定年はなく、ますます腕は磨かれます。うどんが好きで自分で作るようになって周りにもいつも振舞って喜ばれた水戸黄門さんみたいです。そばは太いか細いか好みにより違いますがおいしさの感じ方も人によってさまざまです。

  私はやや太めで『天せいろ」というのが一番好きです。信州に来てどこに行ってもありませんでした。?っていう顔されます。大き目のそばつゆのあたたかいのにあげたての天ぷらを入れて、そばをつけて頂きます。超美味しいです。

 中澤さんの料理に対する挑戦能力は素晴らしい。研究家と言った方が合っています。こごみ、こしあぶらは天ぷらやマヨネーズなどで食べますが、イラクサは初めて知りました。山菜の見分けは未だによくわかりません。

編集後記


 暑さの続く中、松本へ出掛けました。
 バーベキューの思い出話、そしてもう忘年会の準備…。時の流れの速さに驚かされます。
 中澤さんの無駄の無い計画性の中で、女性特有のおしゃべりにも、お付き合いくださりながらテキパキと話がまとまっていきます。
 男性二人の有意義なお話も伺いながらの、良い時間でした。(倉)

 久しぶりに顔を会わせる編集委員の方々と会報の内容の打ち合わせをしましたが、何ともう忘年会の予定ですって!
 そうか!会報ってすべてをさきどりして、みなさんにお伝えしなくてはいけないんだ。これは、やっぱり大変な仕事だな〜って、思わずにはいられません。
 でも委員のチョコさんや中澤さんとの楽しい会話の時間を含めて、約2時間は「あっ」という間に過ぎてしまい、また次回ということに。 …でも、「蕎麦の話」、本当に会員の皆さん楽しく読んでくださるのだろうか? 心配だなあ〜。(年)

 先日、車で松本市街に出かけたときです。私の前の車のナンバーを見ると、「富士山」ナンバーなのです。「富士」ならビックリしませんが、“山”がついているのです。こういうのもありなんですね。後で調べてみると、静岡・山梨と複数の県にまたがっているのです。
 地域の象徴という名山であれば、軽井沢ナンバーより、浅間山ナンバーも良かったりしますね。独立峰の山々、八ヶ岳、白山、立山、筑波山などのナンバーがあったら楽しいですね(笑)。
 これからどんなナンバーがでてくるのか、気になります。(中)

 

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会報目次

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