●中澤 滋(松本市)
ごく最近飛び込んできたニュースです。
TVのCMで最近良く目にするラウンドアップ(グリホサート系除草剤)と言う、農協お勧めの農薬のことです。 ラウンドアップは全米で1万3000件以上の訴訟が起こされているモンサント社(現在は独・バイエル社が買収しています)の農薬・除草剤で、カリフォルニア州の裁判所で70代の夫婦に対し、がんになった賠償として20億5500万ドルの支払いを下したそうです。そして米国でラウンドアップの害が訴訟で認められたのは、昨年8月の1件目以降今回で3件目だとのことです。
健康被害について多くの研究結果や指摘がある中、ラウンドアップやグリホサートの使用を禁止している国は多くあり。フランスやオランダは禁止。ドイツ、イタリアなど世界33カ国が2〜3年後には禁止することを表明しているそうです。
ところが日本の厚生労働省は昨年12月、グリホサートの残留基準値を大幅に緩和し、小麦で6倍、ライ麦やソバで150倍、ヒマワリの種子では400倍に引き上げていますが、この件に対する大手メディアの報道はありません。
2015年、世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究専門機関から「おそらく発がん性がある」と評価されたグリホサートに各国の反応ですが、フランスやオランダはグリホサート入り除草剤のホームセンターでの販売を禁止、ドイツやスイスの大手ホームセンターやスーパーは自主的に販売中止を発表するなど動きがありました。
しかし日本の大手ホームセンターは「メーカーが安全と言い、農水省も通知を出していない」と販売続行中です。海外の動向も気にもせず、なぜメーカーや農水省の言うことだけを信じているのでしょう。しかも困ったことに100円ショップでも販売されるなど、誰でも手軽に入手できる商品となっています。
ところで農地に限らず家庭でも使われる農薬は当然地下水に混ざりますが、水道水中のグリホサート最大残留限界値を見てみましょう。
日本は2018年に見直しが行われましたが、以前と同じ2 mg/Lとなっており、EUの0.0001mg/L、米国の0.7mg/L(これ以上暴露すると「腎臓障害と生殖困難」を引き起こす可能性ありと明記)、カナダは0.28mg/L、などとなっています。いかに日本の規制値がゆるいか、驚くばかりです。
人の健康に直結する商品の安全性に対する考え方ですが、安全か危険かがまだ分からないグレーゾーンのものであればできるだけ規制、そして安全性が立証されてから市場の流通を許可するのが基本です。国民の健康を願う社会であって欲しいのに、日本政府も大手メディアも企業の利益優先に加担するだけのようです。