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2003.12 No.120  発行 2003年12月16日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel/Fax 0263-78-5002

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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運転中の携帯電話に罰則/道交法改正

JR、運転中の携帯使用相次ぐ/モラルはどこへ

手術件数多い病院ほど死亡率低下/厚労省研究班

SARS消毒に家庭用洗剤が有効、治療後の副作用明らか

ドクターヘリ導入進まず

にせ有機農産物横行/6%の店で表示違反

台湾産ウナギに抗菌剤/厚労省、輸入業者に検査命令

加工食品の原産地表示拡大/農水省案

弁当、総菜などの化学調味料を全廃/ローソン



11月のニュースから

運転中の携帯電話に罰則/道交法改正

 警察庁は13日、自動車運転中に通話やメールの送受信など携帯電話を使用した場合、警察官が確認すれば直ちに罰則の対象となるよう法規制を強化する方針を固め、道路交通法の改正作業に入りました。同庁は早ければ、来年の通常国会にも道交法の改正案を提出する見通しだといいます。

 警察官が携帯使用の運転手に注意したという話も聞いたことがありませんし、郵便局員がバイクで歩道を走っているのも注意などしません。そのような効果のない法律そのものの存在が問われるのですが、初めから携帯使用即罰則、という法律を作らないために回り道をし、多くの死者を出し続けてきたのです。それでもこれはぜひやって欲しかったことで、歓迎できます。

 経済優先で国民の安全を確保することが後回しにされることが多いのですが、「いつでもどこでも」という、情報を常にオンラインでつないで利用する利便性そのものを真剣に考える必要があります。メーカーも消費者にも、単に便利だからということで、歩きながら、自転車に乗りながら、そして車を運転しながら、という携帯電話の利用形態そのものを異常なことと考えるセンスが備わっていないのでしょうか。それもこれも携帯電話各社の巧みな宣伝による努力の結果ですが、そのような価値観を埋め込むことがこれからの国民の幸せにどのように関係してくるのか、社会的責任問題として捉えて欲しいものです。法律さえ守ればいいというのは、途上国の企業や零細企業ではやむを得ないものですが、大手企業にはそのような楽をするビジネスではなく、人や社会に対してより良い製品を提供、そして安全な社会環境の構築など心掛けてもらいたいものです。


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■JR、運転中の携帯使用相次ぐ/モラルはどこへ

 新幹線を運転中に知人に携帯電話で写真つきメールを送っていた事件は、18日に発覚しましたが、翌19日にはJR東日本の運転士が今年1月、乗務中に喫煙し、携帯電話でメールを確認していたことが発覚、JR西日本でも快速電車運転士による3年前の携帯使用が判明しています。

 相当モラルが低いJR各社ですが、いずれの事件も乗客など社外からの通報で分かったことであり、社内調査で新事例がないとする、各社の調査そのものの信頼性が低いようです。実態を把握するするためには、罰則をないことにして過去にさかのぼって聞き取り調査するなど、手段はいろいろあるはずです。自社の社員を信頼しているのか、単なる慢心なのか、面倒だからなのか、いずれにしても安全を求める乗客に対して、社内調査で1件も出てこない、ということでは納得しがたいものがあります。

 しかもJR東海の社長が26日の定例記者会見で発言した「電話の使用が直接安全に影響することはない。4重、5重の安全装置があり、それは実績が証明している」との言葉には、一言の謝罪もなく、ハードがしっかりしていればそれを操作する人の資質は問わないような、およそ人の安全を常に意識すべき公共交通機関の社長とは思えないようなものでした。重大事故には人の操作ミスや勘違い・エラーによることが多いのですが、危機感もなく新幹線の安全神話に浸かっているような発言です。このような社長であれば社員のモラルが低下してもしょうがないでしょう。

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手術件数多い病院ほど死亡率低下/厚労省研究班

 胃がんやくも膜下出血など11種類の病気では、手術件数が多い病院ほど患者の死亡率は低いことが、厚生労働省の研究班が16日までにまとめた調査結果で明らかになりました。手術件数と医療の質の関係を統計的に検証する本格的な研究は、我が国でこれが初めてのことだといいます。

 調査は厚労省が3年に1度実施する全国の患者調査や自治体の地域がん登録など6種類のデータベースを活用、数千の病院、10万人以上の患者についてがんや心疾患、脳卒中の手術件数と5年後の生存率などの関係を調べたものです。

 調査の結果、胃、食道、結腸、肝臓など9種類のがんで手術件数が多いほど患者の死亡率が低くなることが分かり、心筋こうそくなどの虚血性心疾患、くも膜下出血の手術でも同様の傾向が見られたといいます。
手術件数が多い病院ほど患者の死亡率は低い、というのはごく当たり前に感じられるものですが、科学的に検証されたということで、病院のHPに掲載されている診療科別手術件数のデータを見る目が変わりそうです。

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SARS消毒に家庭用洗剤が有効、治療後の副作用明らかに

 通常の家庭用合成洗剤に含まれる成分で新型肺炎、SARSの原因ウイルスを死滅できることを国立感染症研究所のグループが確かめ、その内容が同研究所のホームページhttp://idsc.nih.go.jp/others/sars/sars03w/index.htmlで見ることができます。

 合成洗剤に含まれる2種類の界面活性剤の消毒作用が確認されたもので、1リットルのぬるま湯に洗剤5ccを溶かし、タオルなどに染み込ませて患者の触れた場所をふけば簡単に消毒できるといいます。今までもエチルアルコールによる消毒は知られていましたが、蒸発しやすいので今回の情報は家庭でも簡単にできる消毒として意義のあることです。

 さてSARS感染者に骨壊死の症状が相次いでいることが17日までに分かりました。これは治療に大量使用した副腎皮質ホルモンの副作用と見られており、中国紙、新京報が報じたニュースは、一部の病院では退院した患者数の半数以上に、歩行困難などの症状が出ているといいます。

 緊急措置としての治療でしたが、感染が急拡大した今年3、4月ごろは1日に200から300ミリグラム、時には400ミリグラムもの副腎皮質ホルモンが投与されたといいます。その後カナダの医学雑誌で1日40ミリグラムが適当とする論文が紹介されたことから、5月からは使用量が控えられたようです。

 副腎皮質ホルモン、いわゆるステロイドの副作用については今までも多くの情報があるので、中国の医療現場はちょっと怖い気がします。

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ドクターヘリ導入進まず

 救急医師や看護師が乗り込み救急現場に駆けつける「ドクターヘリ」は、米国やドイツ、スイスで1970年代から導入されていて、その実績からわが国でも2001年度から本各導入されました。厚労省では2001年度から5年間で全国30カ所に整備する計画でしたが、現在ある7県、9カ所以外での増設予定はないといいます。
ドクターヘリを導入した病院では効果が上がっているとのことで、日本医大千葉北総病院によると、導入後1年で299人の患者を搬送、このうち患者の状態から78人は死亡するという推計に対し実際に亡くなったのは37人と半減しています。また同病院では「死亡だけでなく、後遺症を抱えるケースも大幅に減少している」と話しています。

 このように効果があるにも関わらず導入が進まない理由には、1カ所当り年間基準額1億7,000万円のうち国が補助するのが半分、残りは都道府県の負担となることからだといわれています。また着陸地点の規制についても問題があり、今年6月23日に東名高速道路で起きた玉突き事故では愛知県と静岡県の2機のドクターヘリが現場に向かったものの、日本道路公団から高速道路の本線上やサービスエリアへの着陸許可が下りなかったといいます。

 サービスエリアでは一般車輌の誘導など手間どりますが、通行が遮断している事故現場の道路上に着陸を認めないという公団は一体何を考えているのでしょう。「過去に例がない」ということで、個人の責任を取りたくない役人気質そのもののようです。

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■にせ有機農産物横行/6%の店で表示違反

 日本農林規格(JAS)法で農薬や肥料の使用が厳しく制限されている有機農産物をめぐり、基準に満たないのに「有機」「オーガニック」などと違法に表記して販売しているスーパーなどが全国で6%前後に上ることが19日、農水省の調査で分かりました。

 生産者では制度を知らないホウレンソウ農家が自らの基準で栽培した作物を「有機」として出荷したり、認定マークのない農産物なのに小売店が「有機」と表示して店頭に並べたケースもあったといいます。

 いまだに制度を知らない生産者がいたり、店舗による不正があるのは困りものですが、表示違反6%というのは意外と少ないように感じます。実体は果たしてどうなのでしょうか。有機認証マークのないばら売り野菜で、「有機質土壌で育てました」「有機農法で作ったおいしい野菜」などの表示板をよく見かけます。

 また、この8月には「有機大豆100%使用」などと表示し販売されている豆腐と納豆のうち計80品を抽出して農水省などが遺伝子をチェック、約3割にあたる計25品から遺伝子組み換え大豆が検出されていたことが分かっています。にせ有機農産物もこの事件と同じ3割程度の違反がありそうですが、どうでしょう。

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■台湾産ウナギに抗菌剤/厚労省、輸入業者に検査命令

 台湾から生きた状態で輸入したウナギから、食品に含まれてはいけない合成抗菌剤スルファジミジンが検出されたため、厚生労働省は10日、食品衛生法に基づき、台湾産の養殖生きウナギを輸入するたびに業者に検査を義務付ける「検査命令」を出しました。

 厚労省監視安全課によると、10月30日に那覇検疫所那覇空港支所に輸入届があった生きウナギを検査した結果、11月7日までにスルファジミジン0.28ppmが検出されたといいます。また10月21日にも大阪検疫所で、台湾産の冷凍白焼きウナギからも同じ抗菌剤が0.23ppm検出され、検査命令は台湾産冷凍白焼きウナギも対象になっています。

 2002年の輸入生きウナギは2万1,000トンでしたが、そのうち1万9,500トンが台湾産であるということですから、国内のウナギ市場への影響は大きいものです。輸入ウナギでは中国産の冷凍ウナギから抗菌剤の検出が相次いだばかりで、台湾産の生きウナギや冷凍ウナギも抗菌剤が使用されているということで、中国系食品の安全面での不信が募ります。

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加工食品の原産地表示拡大/農水省案

 農水省では加工食品の原材料の原産地表示義務付け拡大を進め、2004年度中にJAS法を改正することにしています。加工食品の品目案では、切り干し大根、干し柿などの乾燥もの、塩さけ、塩いくらなどの塩蔵もの、味付きカルビなど調味液との混合もの、カット野菜ミックス、合いびき肉などの4種類で、農水省が定めた「加工程度が低く、原産地が品質や価格に大きく影響する」という基準で選んだものです。

 また現行では輸入牛を3カ月以上国内で飼育すると「国産牛」となる制度を改め、最も飼育期間が長い場所を原産地として表示するよう改正することにしています。豆腐、納豆、緑茶、野菜飲料、もち、こんにゃくなどについても対象品目には挙げてないものの、「加工程度は低くないが品質に大きく影響する」として今後詰めていくことにしています。

 加工食品品質表示基準では、「容器に入れ、又は包装された加工食品」が対象のため、容器に入れられてない、あるいは包装されていないものを販売する場合には適用されない、ということで、全ての食品の原産地を知りたい消費者にとってはまだまだ不満が残るようです。

 加工食品全てに対し、原材料の産地、加工業者(国)、販売者、住所などがあれば分かりやすいのですが、品 目で特定の“もの”だけに表示を義務付ける、という従来型の法規制なので、1種類のカット野菜では適用されないのかもしれません。カットやミックスの定義など何でこのように煩わしいのか、もう少しシンプルにして役人の数を減らしてもらいたいものです。

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加工食品の原産地表示拡大/農水省案

 農水省では加工食品の原材料の原産地表示義務付け拡大を進め、2004年度中にJAS法を改正することにしています。加工食品の品目案では、切り干し大根、干し柿などの乾燥もの、塩さけ、塩いくらなどの塩蔵もの、味付きカルビなど調味液との混合もの、カット野菜ミックス、合いびき肉などの4種類で、農水省が定めた「加工程度が低く、原産地が品質や価格に大きく影響する」という基準で選んだものです。

 また現行では輸入牛を3カ月以上国内で飼育すると「国産牛」となる制度を改め、最も飼育期間が長い場所を原産地として表示するよう改正することにしています。豆腐、納豆、緑茶、野菜飲料、もち、こんにゃくなどについても対象品目には挙げてないものの、「加工程度は低くないが品質に大きく影響する」として今後詰めていくことにしています。

 加工食品品質表示基準では、「容器に入れ、又は包装された加工食品」が対象のため、容器に入れられてない、あるいは包装されていないものを販売する場合には適用されない、ということで、全ての食品の原産地を知りたい消費者にとってはまだまだ不満が残るようです。

 加工食品全てに対し、原材料の産地、加工業者(国)、販売者、住所などがあれば分かりやすいのですが、品 目で特定の“もの”だけに表示を義務付ける、という従来型の法規制なので、1種類のカット野菜では適用されないのかもしれません。カットやミックスの定義など何でこのように煩わしいのか、もう少しシンプルにして役人の数を減らしてもらいたいものです。

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弁当、総菜などの化学調味料を全廃/ローソン

 ローソンは来年3月をめどに、弁当や総菜などに使われている化学調味料を全廃、天然調味料に切り替えます。消費者の食に対するこだわりに対応、うま味調味料のほか酸味料や甘味料も対象とするとしています。

 化学調味料ではありませんが、最近の食品はグルメ嗜好ということもあり、うま味やこくを出すため、得体の知れない様々な物質が入っているようです。魚介類、豚、鶏、牛など、どの部位が使われているかも分からない、というのはあまり気持ちの良いものではありません。それでも消費者は簡単に調理できることにつられて購入する傾向にあり、10年前のたれなどの商品の数と現在を比べると、恐ろしいほどの数の商品が並んでいます。

 このようにさまざまなものが食品に使われている現在、化学的に作られた調味料だけでも使用しない、というローソンの取り組みには安心を感じます。大手流通業者でも行っていない、ということからも評価できます。

 化学調味料のほとんどは各メーカーの製造段階で加えられるため、東洋水産、日本水産、キューピーといった約110社の関連企業にこのほど協力を求めました。また気になる小売価格ですが、基本的に据え置き、ということでこれも歓迎できます。

 保存料についてもセブンイレブンが全廃していることから、ローソンでも保存料の全廃も進めているといいます。環境に対する取り組みもコンビニ各社は積極的ですが、スーパーやコンビニに押されている町の商店(商店街)も、安全志向の取り組みで消費者の心をつかんで欲しいものです。

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