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2009.4 No.184  発行 2009年4月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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3月のニュースから

シンドラー社エレベーター事故、担当者ら書類送検 業過致死容疑

 東京都港区のマンションで06年6月3日、都立小山台高2年、市川大輔さん(当時16歳)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、警視庁捜査1課は30日、製造元の「シンドラーエレベータ」の東京支社の元保守部長と保守管理会社「エス・イー・シーエレベーター」の鈴木孝夫社長ら2社の計6人を業務上過失致死容疑で書類送検しました。

  捜査1課はエレベーターの稼働当初に保守管理を担当したシンドラー社が、過去の故障情報を引き継ぐなどの安全対策を怠ったほか、エス社が事故前の点検でブレーキ異常を見落とすなどの過失が重なり、事故が起きたと結論づけたものです。

 他に書類送検されたのは、シンドラー社東京支社の元保守第2課長と、エス社の専務、元メンテナンス部長、点検作業員です。事故機は98年4月に稼働を開始、以降05年3月まではシンドラー社が、事故2カ月前からエス社が保守管理を担当していました。

 捜査1課によると、シンドラー社は04年中に起きたブレーキ異常が原因のトラブルで部品交換などの対策を取らず、故障情報や点検マニュアルを引き継がなかった疑い、そしてエス社幹部は過去の修理状況などを十分に調査しないまま点検させ、作業員はブレーキ異常を見落とした疑いだといいます。
 事故機は電磁コイルの不具合により、ブレーキがかかった状態で運転が続き、パッドが摩耗、ブレーキが機能しなくなり事故が起きたとみられています。

 市川さんは、12階で、降りようとしたエレベーターの扉が開いたまま急上昇し、建物の天井とエレベーターの床に挟まれたものです。

 ところがシンドラ社は4月8日になると、「過失はなかった」とする声明を発表、書類送検されたことに関し「誠に遺憾です」とし、「製品情報およびメンテナンスに関する必要情報は全て提供しています」と主張しました。

 捜査一課は当初、事故機に欠陥はないとして、シンドラー社の立件は困難と見ていたものの、同社が過去の事故情報を引き継ぐなどの安全対策をしていなかったことが新たに判明したとして、立件可能と判断したものです。シンドラー社は強気の発言をしていますが、今後の捜査からどのような結果となるのか、同社のアナウンスが傷を更に深くするのかもしれません。

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電池の発火相次ぐ/サンリオ、ドリームメーカー

 サンリオは13日、2007年9月から発売しているハローキティの携帯型DVDプレイヤー「KTエキショウDVDハートP」で、付属充電池が変形発火する可能性があるとして、充電池の無償交換を行うことにしました。

 経済産業省の発表によると、2月26日に東京都で、DVDの再生中に充電池が発火する事故があったもので、サンリオはこれまでに人的被害の報告は受けていないとしています。

 同社は、着払いで充電池の送付を受け付ける。良品の充電池の提供開始は6月上旬となるため、それまでは製品付属のACアダプターを利用するよう呼びかけています。

 さてドリームメーカーでは、同社の液晶デジタル写真たて「DMF035W」の一部において、内蔵電池が原因で発火する可能性があるとして、3月17日に無償交換を開始しました。
 回収対象は、背面に記載された製造番号の頭3ケタが「085」で始まる製品。2008年6月から2009年3月にかけて、2010台販売したものです。

 2009年2月に、製品の下に敷かれていた敷物シートの一部が焦げる事故が1件発生、製造段階における組立ミスが原因で、本体内蔵のリチウムイオン蓄電池が破裂したためとみられています。

 同社は、Webサイトや販売店でリコール情報を掲載するとともに、使用を中止するよう呼びかけています。該当製品は代替品の発送をもって、交換されるとのことです。
 問い合わせ先ドリームメーカー電話:0120-771-193

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エコ電球回収/兼松

 兼松(株)では6日、2004年以降発売した「エコ電球」(型番EFS13EL)が、使用開始後発熱して、ガラス管付け根部分・及び白い樹脂部分が黒く変色、焦げたり、発煙を伴うことが判明したとして商品の使用中止を促し、回収を始めました。

 同社では、電球には難燃素材を使用しているため、火災にはならないとしています。
 同社による原因についてですが、電球根元部分のガラス管が細くなっている部分から内部に空気が流入、その結果内部の温度が上がり台座の白い部分が黒く変色することが原因だとしています。また空気が流入する原因については、着脱時や輸送中に加わった外部からの圧力等によってクラック(小さなヒビ割れ)が生じ、そこから空気が流入、そして経年劣化で、長期間使用しオン、オフを繰り返すうちに、ガラス管と本体の間に熱膨張による隙間が生じそこから空気が流入したとしています。

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「異物の侵入」に注意/国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターでは、子どもの身の回りにある小物類の「異物の侵入」による事故は、口、鼻、耳、眼の順で多いことから、小物類を飲み込む、詰め込むなどの「異物の侵入」による事故を紹介し、再発防止・拡大防止のための注意喚起を行いました。
 以下、センターが公表した4件の事故事例を紹介します。

【玩具のボールの吸盤を誤飲した事故例】
 1歳4ヶ月の男児が、吸盤が複数付いているボールの吸盤を飲み込んだ様子だった。受診しX線検査(レントゲン)をしたが、異物は発見されなかった。3日後嘔吐が激しくなり、別の病院を受診した。経過観察をしていたが入院2日後のCT(コンピュータ断層撮影)検査により異物を発見した。全身麻酔をかけて胃カメラ、内視鏡を用いて異物を除去した。胃の幽門部(ゆうもんぶ)に蓋をするような格好で吸盤が入っていた。取り出したプラスチックの吸盤は胃酸等の影響から硬くなっていた。(事故発生年月:2008年9月、1歳、男児、愛知県)

【ボタン電池が鼻に入った事故例】
 姉が弟の鼻の異臭に気付き、近隣の耳鼻科を受診したところ、ボタン電池が入っていることが分かり受診した。電流が流れたためか鼻中隔の組織が壊死して溶け、孔が開く鼻中隔(びちゅうかく)穿孔(せんこう)により異臭を発していた。鼻中隔穿孔の治療は皮膚あるいは粘膜を移植する手術にて行うが、体の成長期におこなう手術は鼻の軟骨の成長を阻害してしまう可能性もあり、問題が多い。ボタン電池による鼻中隔穿孔の症例は、他にも過去に報告があり、幼児に危険である。(事故発生年月:2007年8月、3歳、男児、東京都)

【耳栓が耳から取れなくなった事故例】
 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)を繰り返し発症するため、耳に溜まる浸出液を出すために鼓膜に穴を開けてチューブを留置している4歳男児の症例である。スイミングスクールで泳ぐときに耳栓を使用しており、その粘土のような耳栓が耳の孔から取れなくなってしまった。(事故発生年月:2007年 11月、4歳、男児、静岡県)

【瞬間接着剤が眼に入った例】
右眼に瞬間接着剤が入った。一人で遊んでいて母が気付いた時は右眼が開かない状態だったため救急車を呼んだ。異物はまつ毛ごと除去し帰宅となった。(受診年月:2008年5月、1歳、女児)
センターでは事例からみた消費者へのアドバイスとして、
・小物類を子どもの手が届くところや落下するおそれがあるところに置かないる
・扱いに注意を要する道具などは、子どもが気軽に使えないようにする。
・子どもが何かを飲み込んだり、詰め込んだりしたときは、その物により対処が異なるので、子どもの周囲に何がどの位あるか常に気にかけておく。
の三点を挙げています。

 加えて事業者への要望として、子どもが出入りする可能性のあるところに置かれる物は、より高度な安全性が求められ、特に小物類は子どもの体に入るおそれがあるため、事故時の危険を含めた注意表示を望む。そして口や鼻などに入るような小さな工業製品を包装パッケージごと誤飲しないように、パッケージを大きくすることや製品から電池などが簡単に取り出せない設計にするなど、一層の工夫が望まれる、と安全確保の配慮を促しました。

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いびき軽減に根拠なし、3社に排除命令/公取委

 「睡眠時に鼻につけるだけでいびきを軽減」などと表示して販売したクリップの効果に根拠がないとして、公正取引委員会は16日、景品表示法違反(優良誤認)でピップフジモト、ピップトウキョウ、キートロンの3社に排除命令を出しました。

 公取委によると、3社は平成17年10月から今年1月にかけて、左右の鼻の穴を仕切る鼻中隔を刺激することで鼻呼吸を促進、いびきを軽減するなどと宣伝して「いびきクリップ」などの商品を販売したものです。
 公取委が根拠の提示を求めたところ、ピップ2社は回答を出さず、キートロンは利用者のアンケートはがきなどを提出しただけで、合理的な根拠を示せませんでした。商品はピップ製が1575円、キートロン製が1554円から6000円前後で、公取委が不当表示を認定した期間中、3社で計約25万個を販売し、約3億8000万円の売り上げがあったといいます。

 平成15年、景品表示法に「公取委が求めた場合、15日以内に合理的な根拠を示す資料を提出しなければならない」という4条1項が新設され、今回のケースも4条1項に違反したもので、同条項に違反したとして排除命令を出したのは20年度は15件目といいます。

 20年度で15件もの違反があったと言うことは、根拠のないメディアによる宣伝が購買をあおり、その結果期待される効果を得られなかった消費者の不満が背景にあるようです。
 しかもピップエレキバンで認知度の高いメーカーですら、確たる根拠もない、まるで詐欺まがいの商法に飛び乗っていたのです。しかも過去の販売における利益の返済もないのでは、公取委に指摘されたら販売中止、次の一手を考える、そんな構図が確立されているようです。

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「携帯受信アップ」は根拠なし/公取委、4販売会社に排除命令

 携帯電話の充電池取り付け部分にセットすると「受信状態がアップ」などとする商品は効果に根拠がないとして、公正取引委員会は9日、景品表示法違反(優良誤認)で吉本興業子会社の吉本倶楽部(大阪市)のほか、ナスカ(同)、カクダイ(埼玉県)、森友通商(東京)の計4社に排除命令を出しました。

 公取委によると、商品はナスカが韓国の企業に委託して製造したもので、4社は2007年10月ごろから「銅板がアンテナ機能を果たし受信状態アップ」「劣化した充電池を再生」と表示し、携帯本体と充電池の間に挟んで使う「バリ5 タカアンドトシ・ライオンバージョン」などの商品(約1000円−2600円)を販売したものです。これら商品に対し公取委は表示内容を裏付ける資料の提出を求めましたが、4社は合理的な根拠を示せなかったといいます。

 この製品は銅板に鉱石の粉末を塗布したシート状のもので、これを携帯電話の裏側に貼り付けることで「受信感度の向上」や「バッテリーの持ちの向上」、「劣化した充電池の再生」などの効果をうたっていた。
受信感度の向上は、それなりにありそうですが、他の二つの効能には疑問視する人も多いと思います。しかし2007年10月以降、4社総計で約45万個(約9億円)の売上があったそうですので、このようなビジネスが絶えない理由なのでしょう。

 このため効果を裏付ける資料がなかったとして、公正取引委員会が排除命令を出したものです。
また商品には「世界28カ国特許取得済」など事実でない表示もあった、といいますから、企画から製造・販売まで詐欺まがいの商法だっと言えます。これら企業名は覚えておいた方がいいでしょう。

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