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2009.6 No.186  発行 2009年6月24日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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5月のニュースから

中国製電球、点灯中に破裂/回収

 家庭の白熱電球を電球型蛍光灯に換えるお宅も増えてきましたが、中国製の電球が点灯中に破損する事故が起きているので、注意が必要です。

  三共コーポレーション(大阪市)は19日、トルネード型の電球が点灯中に破裂事故が相次いでいるとして、中国製の「トルネード型蛍光灯交換球32W」(品番TW-32L)を製品回収し、返金すると発表しました。
当該商品は、平成19年1月から20年11月まで輸入販売されたものです。問い合わせは、同社(フリーダイアル0800-500-2457)まで。

 消費電力の少なさ、長い寿命と色合いの種類も増えてきたことから、家庭用の電球用ソケットにそのまま使える電球型蛍光灯は多く販売されています。しかし頭上の明かりが突然破裂する状況はショッキングなもので、飛散した破片が顔に当ったり、目に入ることも考えられます。同者の製品を使用している場合は、すぐに回収に応じた方がいいでしょう。

 最近ではまた、電球用口金で利用できるLED照明が出てきていますが、このタイプの製品は100V商用電源を使う製品でありながら、安全性を担保するPSEマーク対象外のため、信頼できるメーカーのものを選んだ方が良いでしょう。

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ホウレンソウから国の基準上回る農薬を検出/宮崎市が回収命令

 宮崎市は14日、市内の元卸「宮崎青果」(神野栄一郎社長)が出荷したホウレンソウから国基準を上回る農薬「トルクロホスメチル」が検出された、と発表した。市は同日、食品衛生法に基づき同社に回収命令を出した。

 市によると、12日、市内のスーパーの購入者から「異臭がする」との相談があった。元卸の宮崎青果が、このスーパーと他の出荷店に残っていたホウレンソウ4サンプルを調べたところ、トルクロホスメチルが国基準(2ppm)を上回る2.7〜4.5ppm検出されました。トルクロホスメチルは土壌殺菌剤に使われますが、今回の残留値では健康被害の可能性は少ないといいます。

 このホウレンソウは同市内の農家が栽培したもので、4月中旬に殺菌剤を散布、その後8〜12日に同社に出荷したものです。

 同社は県内外の8店にも出荷していて、出荷店は次の通りです。HEARTY志布志店(鹿児島県志布志市)▽スーパーバリューつるのしま店▽ハピネス恒久店▽野上ストア▽妻木青果▽安原商店▽ ショッピングのだ芳士店▽丸哲日高本店です。

 適正な散布濃度であれば、収穫2週間前の農薬使用は良く行われます。そのため一月近く前に散布した農薬の残留値が基準を超えることはないと考えられるため、よほど高濃度の希釈倍数で散布したことになります。
このような農家のずさんな農薬管理はおそらく多くの農地で行われているように思いますが、その背景には農薬効果を期待するため、濃いめの希釈にすることもあるようです。

 農薬を使用しても「出荷まで日数がかなりあるので、農薬は残留しませんよ」、などと言う農家がありますが、適正な農薬管理が行われていることが条件であることを、忘れてはいけません。

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外国産野菜の残留農薬

最近、外国産の野菜やフルーツの残留農薬はあまりニュースになりませんが、5月もいくつか出ています。
22日、(有)VIENTがドミニカより輸入した生鮮マンゴーについて、検疫所におけるモニタリング検査の結果、「シプロコナゾール」(0.02 ppm)が検出され、食品衛生法第11条に違反することが判明したため、厚生労働省より輸入者を管轄する東京都に対し、当該品が国内に流通しないよう回収等適切な対応を取ることを依頼しています。

 25日、誠明貿易(有)が中国から輸入した生鮮わさびについて、検疫所におけるモニタリング検査の結果、日本では農薬として使用されていない「ホキシム」 (0.05 ppm)が検出され、食品衛生法第11条に違反することが判明したため、厚生労働省より輸入者を管轄する京都市に対し、当該品が国内に流通しないよう回収等適切な対応を取ることを依頼しています。

 29日、検疫所におけるモニタリング検査の結果、スーダン産ごまの種子から基準値を超える殺虫剤「カルバリル」を検出したため、輸入者に対し、厚生労働省により食品衛生法に基づく検査命令を出しました。

 29日、アイピーエム西本(株)がメキシコから輸入したアボカドについて、検疫所におけるモニタリング検査の結果「アセフェート」(0.02 ppm)が検出され、食品衛生法第11条に違反することが判明、当該品が国内に流通しないよう、厚生労働省より輸入者を管轄する東京都に対し、回収等適切な対応を取ることを依頼しています。

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相変わらずの食品偽装表示/ウナギ、アオサ、ハチミツ、そば

 食品の偽装表示は毎月数多く続いていますが、いっこうに無くなる気配はありません。JAS法違反での罰則が甘いせいだと思いますが、同法の改正後もあまり期待が持てない状況が続いています。このような偽装は簡単に行えること、そして罰則が緩いこともあり、これからも無くなることはないでしょう。ただ大手による偽装・不正は、消費者の厳しい目で抑止してもらいたいものです。
 5月の目立ったニュースを次に紹介します。

徳島、ウナギ産地偽装容疑で逮捕
 徳島県警は4日、中国産などのウナギのかば焼きを徳島産と偽って販売したとして、不正競争防止法違反の疑いで、同県阿南市の水産物卸会社「アオキ淡水」社長、青木義市容疑者(67)を逮捕しました。
 逮捕容疑は、阿南市の水産物卸会社「丸源水産」社長片山利文容疑者(59)=同法違反容疑で逮捕=らと共謀し、2006年6月ごろから08年2月ごろにかけ、中国産や台湾産のウナギのかば焼き約39トンを徳島産と偽装、同県内のスーパーに約1億2400万円で販売した疑いが持たれています。

 県警によると、アオキ淡水は1キロ当たり数百円の仲介料を得て、かば焼きを丸源水産に卸していて、片山容疑者が従業員と「徳島産36うなぎ」と書いた箱に詰め替えたといいます。 

 丸源水産とアオキ淡水は、ウナギの産地を偽装したとして、それぞれ昨年11月と12月に、JAS法に基づき県から是正指示を受けていましたが、共謀したアオキ淡水社長にも逮捕が及んだものです。

 さてJAS法違反で是正指示に従わなかった場合は命令、その命令に従わなかった場合に罰則となりますが、この4月に改正されたJAS法では、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金となり、今までの罰則が倍増となりましたが、まだまだ量刑は軽く、これでは再犯を抑止できるものではないようです。


「アーサ」産地偽装で書類送検
 鹿児島産アーサ(アオサ)を沖縄県産と偽って販売したとして、沖縄県警生活保安課などは25日、不正競争防止法違反(産地偽装)の疑いで、食品加工会社「海昇食品」(宜野湾市)の玉城昇社長(48)と、法人としての同社を書類送検しました。

 同課によると、社長は容疑を認め、「県内産を調達できなかったためやった」と供述しているといいます。
同課などによると、玉城社長は昨年10月上旬から12月中旬までの間、鹿児島産の乾燥アーサ約20キロを小分けにして詰めたパックに、「沖縄産アーサ」と偽って表示、県内の食品卸会社3社に販売したとされています。

ハチミツ偽装表示で改善命令
 ハチミツを25%しか使用していないにもかかわらず原材料名欄に「はちみつ60%」と偽装表示していたとして、農林水産省は20日、ハチミツ製造販売「ボーソーハチミツ」(東京都江戸川区)に対して、JAS法違反で改善命令を出しました。また、同様の偽装表示をした同社の子会社「ビー・シー」(千葉市)にもJAS法に基づく改善を指示しました。

 農水省によると、2社は07年12月〜今年3月、ハチミツに価格の安いブドウ糖液などを75%混ぜた商品の原材料名欄を偽装し、約129トン分を販売したといいます。
 ボーソーハチミツはまた、ブドウ糖液などが使用されている業務用ハチミツなど約1400トンでもハチミツ100%使用などと表示していました。

 同社は06年10月にも同様の偽装表示で、農水省からJAS法違反として改善指示を受けていましたが、農水省の調査に対し「処分後に業績を回復させるため、コストを抑えた商品を売ってもうけようとした」と話しているといいます。

 今回の事件は今年2月、農水省に情報提供があり発覚したといい、同省は19年2月に、是正指示が守られているか調査したものの、同社が虚偽の書類を提示したため見抜けなかったといいます。

 農水省関係者によると、同社はいったんは不正を改めたものの、再び同様の手口ではちみつを薄め、濃度20%程度を60%などと偽装して発売、今年4月ごろまでに、100トン程度を販売したとされています。
 また、農水省が出した改善指示の違反には罰則を科すことができないため、今回JAS法違反として罰則を科す命令に切り替えたとみられています。

 過去にもありましたが、同社のような確信犯的な悪質性が認められるものは、JAS法の適用以外に「当初から人を騙す目的の詐欺罪」での立件をしてもらいたいものです。そのようなケースの積み上げで、他の悪質業者への抑止力にして欲しいと思います。

小麦粉7割の「深大寺そば」
 警視庁生活経済課は30日、JASの規格を満たさないのにJASマークを付けた「深大寺そば」を東京都内のそば店に販売した疑いで、島田製粉(東京都三鷹市)と同社工場などをJAS法違反容疑で家宅捜索しました。これは農林水産省が28日に告発していたもので、小麦粉を7割も使用していたにもかかわらず、そば粉を小麦粉より多く使用したとする偽装表示をしていたため、東京都は近く、同社に対してJAS法違反で改善指示をすることにしています。

 農水省によると、同社は07年12月〜今年2月、深大寺そば17商品中5商品約4.3トンについて、規格を満たしていないのにJASマークを付けて販売していたといいます。同社はまた農水省から不正を指摘されたものの、3月まで販売を続けていたものです。
 3商品のJAS法違反の内容は、そば粉を3割しか使っていないのに、原材料名欄にそば粉、小麦粉の順で記していたものです。

 小麦粉が7割でも「そば」という商品名が可能、と言う問題もありますが、今回のケースでは小麦粉、そば粉の順番に表示してあれば何の問題もなかったわけです。消費者はそこまで見ない人も多いこともあり、今後の悪徳業者の対応として、原材料の多い順に表示する、ということの周知をはかって欲しいものです。

 名物といった、いわゆるブランドに人が群がるから狙われる、悪徳業者にとっては当然の成りゆきだとは思います。しかしそば粉3割の深大寺そばを、「美味しいそばね」と皆さん食べていたのでしょう。昨今のグルメ番組に影響される人の多さ、そして「美味しさの客観性」などについて考えたくなります。

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中国側に改善申し入れへ/家電など製品事故多発で経産省

 中国製品の重大事故によるリコールが後を絶たないため、経済産業省は26日、中国政府に対し、事故防止に向けた連携を求める申し入れを、近く開催される日中政府間定期協議で行います。中国政府への製品事故対策のための申し入れは初めてのことです。

 経産省によると、重大事故の報告事例は、人的損傷や火災など重大製品事故の報告公表制度が始まった平成19年5月以降1年間で1346件、うち中国製が215件と外国製品ではトップでした。リコールが実施された件数は19年から今年3月末までで81製品で、うち中国製が24製品にのぼっています。

 また、これまでリコールされた製品は、冷蔵庫、電子レンジ、除湿や洗濯および食器の乾燥機、電動ベッド、ヒーター、トレーニングマシン、自転車、DVDプレーヤー、ベビーカーなどです。

 経産省は「年々多様化しており、日本での販売者も中小から大手企業までさまざまで、中国製品への依存度が高まっている」としていて、特にベビーカーは、国内で販売されている大半が中国製品だといいます。
 重大事故にかかわった中国製品の追跡調査をしたところ、事故製品を製造している工場がある程度特定できたとい、経産省では中国政府に対し、「事故や日本でリコールが発生した事例について情報提供するとともに、事故予防のための連携を求めたい」としています。

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注射針、安全に取り外し/みくに工業など技術開発

 産業機械などを製造する、みくに工業(長野県岡谷市)は、信州大学付属病院と共同でインスリン投与に用いた注射器から、注射針を安全に取り外す装置の基礎技術を開発しました。

 糖尿病患者はインスリンを1回投与するたびに、本人や家族、看護師が注射針を取り替えていますが、注射針を手回しで外すときに針で手を傷つけることがありました。事故や感染症の予防につながる商品として、同社は来年の商品化を目指すとしています。

 装置は、上部から注射器を差し込むと、チャック機構が針の根本を固定、そのまま注射器を押し込むとその力で針の根本が回転し、数回繰り返すことで針が外れる仕組みになっています。
 外れた針は装置の容器にたまり、いっぱいになれば装置ごと捨てるものです。

 同社では昨年7月、信大病院の看護師から相談を受け、共同開発を始め、長野高専の協力を得て基礎技術を考案、この3月に特許を申請したものです。今後医療廃棄物として処理できる商品を開発、市場調査や販路開拓を進め、2年後には全国販売を計画しています。

 昔から針刺し事故は多くありますが、気をつけているはずの看護士であっても同様でした。今回の装置が適当な価格で提供されれば、社会的貢献度の大きな商品として評価できます。

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タケノコ産地見破る新技術/横浜の会社

 タケノコに含まれる酸素や水素など、元素の重さから中国産か日本産かなど、産地を厳密に見分ける分析技術を、横浜市の民間会社「日本同位体分析研究所」が確立しました。

  同研究所では9割以上の精度で産地国は判別可能としていて、農林水産省の検査機関は「国に同様の技術はない。精度が高く有効な方法」と評価しています。
  食品の産地偽装事件が相次ぐ中、うそを見破る強力な手段になることが期待されます。

 研究所は同様の手法でウナギや牛肉、イグサの産地判別にも成功。警察や生協などから月300件を超える分析依頼があるといいます。

 研究所によると、産地によってタケノコに含まれる酸素や水素、炭素、窒素の質量が原子レベルで異なることに着目、中国のほか、日本では静岡、和歌山、京都、福岡、熊本などの産地からタケノコ約420本を集め、タケノコが生えていた場所からは土を採取、「同位体比分析」法で産地ごとの元素の質量を分析しています。
同社では、中国産か国産かは、これらの質量の違いで容易に判別できるとして、今後は国内の産地も見分けることができる方法の確立を目指すことにしています。
 
 同研究所の分析技術が幅広く利用されることで、技術立国日本にはまがい物が通用しない、という常識ができてほしいものです。不正を働くものから見れば、現在誰にでも簡単に虚偽表示が出来るため、今回の新技術導入では不正によるリスクが極めて高くなります。
今後の展開が楽しみです。

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