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2009.7 No.187  発行 2009年7月27日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6512/Fax:0263-50-6315

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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6月のニュースから

道路凹凸が衝突の一因、国道バイク事故で国に賠償命令

 ミニバイクで国道を走行中、道路の凹凸にひっかかって道路脇の街路灯に衝突、意識不明の状態になったとして、静岡県島田市内の男性(31)と父親(62)が国を相手取り、治療費など計約1億9580万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、静岡地裁でありました。

  財賀理行裁判官は道路の凹凸が事故原因と認め、計約6830万円を支払うよう国に命じる判決を言い渡しました。
判決によると男性は2003年9月14日、ミニバイクで同県藤枝市内の国道1号上り車線を走行中、道路上の凹凸(高低差約7センチ)にバランスを取られ、街路灯に衝突したもので、男性は頭を強く打って意識不明の重体となり、04年5月に意識が回復する見込みがないと診断されたものです。

  判決で財賀裁判官は、「男性の前方不注意も事故の一因」としたうえで、バイクは道路の凹凸部分を通ったことでバランスを崩し、街路灯にぶつかったと認定し、国は道路に凹凸ができたら速やかに補修する責任があったと指摘しました。

  市民から見ると当然の判決だと思いますが、裁判所が厳格に国道の管理責任を国に求めたことは評価できると思います。表に出てこない道路脇の凹凸による自転車事故も多いので、運転者の自己責任だけではないとして、道路管理者への責任を求めてもらいたいものです。その結果、道路責任者の管理の甘さに対する反省も出てくるように思います。

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冷凍野菜産地偽装で有罪判決/長崎地裁

 中国産冷凍野菜を「国産」などと偽装し販売したとして、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪に問われた食品加工会社「キャセイ食品」(既に解散)の元社長、阿部俊八被告(68)ら3人の判決公判が1日、長崎地裁でありました。松尾嘉倫裁判官は3被告にいずれも懲役2年・執行猶予3年(求刑・懲役2年)を言い渡しました。

  検察は論告で「学校給食用であれば、クレームが少ないとの理由から、中国産冷凍野菜の割合を特に多くしていた」と指摘、「給食を口にしていた児童、その保護者に与えた不安は大きく、刑事責任は重大」と述べていました。

 被告らは共謀して08年7月15日〜8月11日、南島原市の長崎工場で中国産カリフラワー約1300キロとグリーンアスパラ約730キロを、「国産」などと表示した包装袋や段ボール箱に入れ、同年7月23日〜9月3日に松江市などの学校給食会に販売したものです。

 「学校給食用であればクレームが少ない」と考えたようですが、無神経であり関係者には失礼な話です。学校給食用だからこそ地産地消の食材を使うところが増えてきている、という現状に、児童が食べる給食では品質問題は分からないだろう、と考えているようです。おそらく他にもこのような業者がいると考えられるので、今回の判決が抑止力となることが望まれます。また関係者には、安心できる給食材料の管理システムを考えてもらいたいものです。

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自転車用傘ホルダーの傘で大けが/国民生活センター注意喚起

 自転車に乗る際に傘が運転の邪魔にならないように収納できる傘ホルダーですが、ホルダーの固定が万全ではないものがあり、事故につながることが国民生活センターの調べで分かりました。

 事故は10歳代の男性が傘ホルダーを装着した自転車で走行中、傘ホルダーに差し込んだ傘の先端が前輪に巻き込まれたため、前方の道路に顔から叩きつけられて顔面に大けがを負い、3週間入院したというというものです。
 センターで調査したところ、事故品は傘の先端を部品1個で固定し、傘の柄をハンドルに掛けて使用する構造の傘ホルダー(1点留め式)というものでした。

 被害者は傘の先端を傘ホルダーに差し込み、傘の柄を変速機のワイヤー越しにハンドルに掛けて走行していたといいます。そして段差を通過した際、傘ホルダーに差し込んでいた傘が上下に弾んで傘の先端が前輪に巻き込まれ、前輪が急にロック状態となり、前方に飛ばされて車道の端に顔面から叩きつけられたというものです。

 センターの検証試験においては、事故品及び、事故品と同様に1点留め式のものは、走行中に傘が外れることがあり、危険であったといいます。

 事故を受け、卸業者は表示の不十分さを認めたものの、製造委託業者は、傘ホルダーが「取扱方法」どおりに取り付けられていなかった可能性を主張しました。しかし検証試験において、「取扱方法」に従って取り付けても傘が外れることが分かったといいます。

 センターが指摘した問題点は、自転車によっては変速機のワイヤーが邪魔になるなどで、傘の柄がハンドルに直接掛けられない場合があること、変速機等のワイヤー越しに傘の柄をハンドルに掛けた場合は、直接ハンドルに掛けた場合よりも傘が外れやすいため、さらに危険性が高くなるということでした。

 卸業者は注意表示を追記するなどの改善を行ったものの、既に販売した製品に対しては特段の対応を取らないとのことでした。今回のニュースを、どれほどの購入者が知り得ているというのでしょうか。これでは安全対策としては不十分で、業者にはPL事故、という認識を持って対処してもらいたいものです。

 センターでは消費者へのアドバイスとして、今回、検証試験に使ったタイプの1点留め式の自転車用傘ホルダーは、ハンドルの状態やハンドルへの傘の掛かり方、走行する路面状況等により、傘が外れる恐れがあり、外れた傘が前輪に巻き込まれると大きな事故になる可能性が高いとして、このタイプの製品の使用は避けるべきであると結論づけています。

 製造委託業者の言葉では、当該製品の安全性についての実験・検証もないことが分ります。このような安いアイデア商品にはありがちですが、製品事故の情報に常に関心を持ち、消費者自らがリスクを避けたいものです。

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病院の介護ベッドで首挟まれ、患者が死亡/経産省が注意喚起

 病院の介護ベッドの手すりに首を挟まれ患者が死亡する事故が発生していたことが16日、経済産業省の調べで分かりました。同省は事故防止のため、今年3月に手すりの間隔の基準を決めた新JIS製品を使用するなど、注意喚起をしています。

 事故は今年4月15日の午後7時ごろ、三重県内の総合病院で、介護ベッドの片側に2つ取り付けられていた手すりと手すりの間に、90代の男性の入院患者が首を挟まれた状態でみつかったもので、男性患者は翌日死亡しました。

 経産省によると、過去2年間で、同様の事故が4件報告され、うち3件が死亡事故、1件が重傷事故で、2件の死亡事故と1件の重傷事故は、今回の三重県ほか広島県、岡山県の病院での発生でした。

 こうした事故はいずれも、三重県の事故と同様に、20年ほど前の古いタイプの介護ベッドで、約7センチのすき間に首を挟まれていたことから、同省では今年3月、新JIS規格を定め、すき間を6センチ以下にするか23センチ以上に拡大する措置を行っていました。

 経産省は新JIS規格を定めたので、病院の責任で安全確保をしなさい、ということのようですが、長い間不安全な旧JIS規格を放置してきた責任もあります。したがって経産省による注意喚起は必要ですが、経営の苦しい病院が多い中、旧規格対応ベッドを新規格対応に買い換える場合の助成などの措置を、厚労省と合同で考えてもらいたいものです。

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1歳までの乳児事故、転落が最多46%/「京あんしんこども館」調査

 1歳までの乳児の事故はベッドなどからの転落が最も多く、動きの少ない3カ月未満でも油断できない、との結果が、「京(みやこ)あんしんこども館」(京都市中京区)の調査で明らかになりました。

 同館では「不慮の事故」は、子どもの死亡原因1位で、窒息など命にかかわる可能性が高いケースもあり、「一層の注意を」と保護者に呼び掛けています。

 今回のまとめは、2007年度生まれの乳児分を、保護者347人から回答を得た(有効回答327人)ものです。集計結果では、「事故が起きた」が64.2%(210人)で350件あり、複数回の経験者も多く、2回以上が70%弱、3回以上も14.2%あったといいます。

 内訳は転落が46.3%で、次いで誤飲、転倒、衝突、やけど、また転落での骨折も2件あり、月齢別では、つかまり立ち、ハイハイで行動範囲が広がる8〜11カ月が62%を占めたといいます。3カ月までも6.6%あり、この時期ではベッドからの転落が半数以上に上っていました。

 「セロハンをのどの奥に詰まらせた」(5カ月)「スタンドの電気コードを首に巻いていた」(10カ月)など窒息の危険があった例が9件、風呂の湯船に落ちて溺水の危険があった例も4件ありました。

 同館の澤田淳センター長は「死亡例はないが、その可能性があったのが13件と予想外に多い。動きの少ない3カ月未満でも『ちょっとだけ、とソファに寝かせず、ベビーベッドに柵をしてほしい。注意すれば防げる事例も少なくない」と話しています。

 より具体的で効果のある予防策につなげるため、同館は京都市内で07年4月1日以降生まれの乳児の保護者に対し、出生届出時に全員に配布しているはがきでの報告(1、2歳の誕生日以降)を呼びかけています。

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自転車3人乗り解禁で子供の体重確認を/国民生活センターが警告

 7月の自転車3人乗りの解禁を前に、国民生活センターが幼児用座席をつけた自転車の耐久試験を実施した結果、子供の重さ制限を超えた場合に自転車と座席の接合部が破断し、座席が脱落しやすいことが15日、分かりました。

 脱落による子供の転落事故も報告されており、センターでは「座席に乗せても可能かどうか、子供の体重は必ず確認してほしい」と呼びかけています。

 センターは5月までに、国内で販売されている荷台つきの自転車7機種で幼児用座席を積載した場合の耐久試験を実施、その結果、「幼児用座席を取り付け可能」と表示している荷台付き自転車3機種の場合、制限体重をオーバーしても破断はなかったものの、表示のない荷台付き自転車4機種に幼児用座席を取り付け、体重を4キロ超えた22キロの人形(6歳児を想定)を乗せたところ、いずれも破断し、座席は脱落したといいます。

 同センターは「荷台が付いていれば、幼児用座席の取り付けは可能だが、構造上強度が十分でないので、『幼児用座席を取り付け可能』と表示された自転車を使用することが望ましい」としています。

 また、座席に乗せても大丈夫な子供の体重については、同センターが消費者約300人にアンケートしたところ、「5〜6歳児で体重15〜22キロ」が過半数を占めていたことから、「余裕をもって18〜25キロが積載可能であることを確認してほしい」と注意喚起しました。

 これまで、各地の消費生活センターに寄せられた相談のなかでは、座席と荷台や、荷台と自転車本体の接合部が破断して子供が転落し、けがをした例が報告されている、とのことです。

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「ずわいがにコロッケ」、実はベニズワイガニ/ニッスイに排除命令

 冷凍コロッケの原材料に「ずわいがに」と表示しながら、実際は原価が8分の1の別のカニを使っていたとして、公正取引委員会は15日、水産大手「日本水産」(ニッスイ)に景品表示法違反(優良誤認)で、再発防止を求める排除命令を出しました。公取委から情報提供を受けた農林水産省も同日、ニッスイにJAS法違反で改善指示をしました。

 公取委や農水省によると、問題があったのは冷凍商品の「ずわいがにコロッケ」で、ニッスイが07年4月〜今年2月に全国の生協を通じて、組合員向けに約85万パック(1パック6個入り、300円前後)販売、商品名と原材料欄には「ずわいがに」と表示していたのに、実際はベニズワイガニを使っていたものです。

 ズワイガニは「松葉ガニ」や「越前ガニ」などとも呼ばれる高級品ですが、漁獲量は年間5300トンとベニズワイガニの3割弱ほどで、1キロ当たりの卸売価格は約1995円と、ベニズワイガニ(約253円)の約8倍もするといいます。

 ニッスイは「どちらもズワイガニ属に入るので、属を表示すれば問題ないと思った」と釈明していますが、プロの言葉と思えない言い訳がましいものです。なぜ真摯に「申し訳なかった」と言えないのでしょうか。
企業イメージのためには無理をしてでもデメリット情報を出さない、それが私たちには企業が反省してないように映り、その結果ニッスイの企業体質が国民目線でないことが明らかになってしまいます。水産大手というニッスイといえども、対外広報におけるリスク把握は、この程度のものなのでしょうか。

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