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2010.10 No.202  発行 2010年10月29日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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9月のニュースから

■折りたたみ自転車(A-RideX)の強度不足に注意/国民生活センター

 小径タイヤ(8インチ)の折りたたみ自転車で走行中、道路の段差でフレームが破損して転倒、50代の男性が顔面骨折や歯が折れるなど、1か月以上のケガを負う事故が発生したとして、国民生活センターが注意を呼びかけています。

 事故品は中国で製造され、(株)価格ネットが輸入販売していた折りたたみ自転車「A-RideX」で、小型軽量であることを特徴とした製品です。

 当該製品は通常の折りたたみ自転車とは構造が大きく異なり、軽量化のためか、フレームにはアルミ合金製パイプや樹脂部品(ナイロン)を使用しています。

 またタイヤは直径が8インチ(約20cm)のソリッドタイヤ(空気を入れない中実のタイヤ)を使用しています。

 同センターが「A-RideX」に65kgのダミー人形を乗せ、時速15kmで4cmの段差を上り下りする試験を行ったところ、段差を下りた際には変形や破損は生じなかったものの、上った際には樹脂製(ナイロン)の前ホークが根元で破損するとともに、事故品と同様の箇所の前方チューブ上端にも変形が発生したものです。

 商品の取扱説明書の「警告・注意」には、段差のあるところで使用しないことや、スピードを出さないことなどが記載されていましたが、破損する恐れがあることまでは記載されていなかったということから、警告表記の問題もあります。

 実際日本の道路で乗ることを前提に考えた場合、4cmの段差を超えなければならない状況はよくあることです。屋外で乗ることを前提とした自転車で、4cmの段差を超えたときにが壊れてしまうような強度では、取扱い説明書の注意書きがあっても、商品価値を疑う商品のようです。

 また、そのような重大な欠陥を注意として取扱い説明書に記載する場合、センターの言うように予想される被害を述べる必要があります。それも自転車が破損することで、搭乗者が放り出されて重大な怪我をすることまで記載しなければなりません。

 同センターではこの商品について、フレームの強度に問題があるとして、段差のある道路などでは使用しないよう促しています。

 今回の事故品は、英国で開発されて世界中に愛用者がいるというA-bikeの模倣品のようですが、どうやらおもちゃ的な印象を感じるものです。
 商品を持っている人・これから購入を考えている人には、十分注意してもらいたいものです。

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薬の包装シートの誤飲事故/国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターによると、薬を包装ごと飲みこんでしまい、喉や食道などを傷つけたという事故が危害情報システムに86件寄せられているそうです。

 薬の包装はPTP包装シートと呼ばれるものが主流ですが、1996年以前のPTP包装は、縦横にそれぞれミシン目が入って、1錠ずつ切り離せる構造でした。

 しかし錠剤と一緒にPTP包装を誤飲してしまう事故が頻発したため、1錠ずつに切り離せないようにミシン目を一方向のみとし、誤飲の注意表示を増やすなどの対策がとられました。しかし、その後も誤飲事故は後を絶たないのは、携帯時などに消費者がハサミで1錠分に切り離している問題が指摘されています。

 センターでは、1錠単位に切り離した薬をPTP包装のまま飲み込んでしまうと、自力で取り出すことは難しく、X線写真にも写りにくいため、内視鏡で取り出すことになり、身体への負担も大きいことから、被害の未然防止・拡大防止のため、あらためて消費者への注意を喚起することにしたものです。

主な相談事例を次に紹介します。
【事例1】
 処方された薬を包装ごと飲みこんだ。喉が痛く救急車で病院に行ったが、喉仏の裏側に薬が引っかかってレントゲンでは見つからず、数時間かけて内視鏡で取り出した。

【事例2】
 貧血検査のため内視鏡を飲んだところ、十二指腸球部にPTP包装が刺さっていた。取り出したが穿孔(せんこう)しており、手術した。
これら事例からの問題点としてセンターの見解では、薬を1錠ずつに切り離せない構造が主流となっているが、携帯時などに消費者がハサミで1錠分に切り離してしまい、これが誤飲しやすいサイズであるため、事故につながっている、としています。

 センターでは、PTP包装は切り離すと角が鋭利になるため、人体内部を傷つけることがあり、部位によっては穿孔するおそれがあるとしています。

 さらに痛みなどの症状が表れるまで誤飲したことに気付きにくいという側面もあるとしています。
 また誤飲を自覚せず体調不良などで検査しても、PTP包装の素材はX線を透過してしまうため、発見されにくく、発見が遅れると重症化するおそれもある、と指摘しています。

 さらに、高齢者で事故が目立つ現状などから見て、消費者側が誤飲を防ぐには限度があることも指摘しています。

 製薬業者に対しては、誤飲しても体内で溶ける素材やX線を透過しない素材などを含めた、製品側からの安全策を求めてきました。ただ製薬業者による研究も、薬の品質を保ちつつ事故防止につながる有効な手段は見つかっていないようなので、当面改善は期待できない状況のようです。

センターでは消費者に対し、次の注意点を挙げています。
・PTP包装には誤飲防止のために横か縦の一方向にのみミシン目が入っているので、1錠ずつに切らないこと。
・高齢者の事故が目立つので、家族など周りにいる人も気を配る。
・PTP包装を飲み込んだかもしれないと思ったら、ただちに診察を受ける。
・1回分ずつの薬を袋にまとめて入れる「一包化」を活用する。

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園芸用シートに措置命令/消費者庁

 ホームセンター「コーナン」を経営するコーナン商事(株)が販売した園芸用シートの表示について、景品表示法の優良誤認規定に違反する事実が認められたとして、消費者庁は同社に対し同法に基づく措置命令を行いました。

 措置命令の対象となったのは、同社が製造販売する園芸用シート「不織布」で、農作物の保温、防虫、防鳥などを目的として家庭菜園などの畝の上にかけて使用されるものです。

 消費者庁によると同社は、2008/09頃の商品販売開始時から2010/09/01頃まで(商品パッケージについては2010/06頃まで)、商品パッケージ、店頭ポップ及びWebサイト「コーナンeショップ」において、「べたがけやトンネルに最適」、「シートの上から散水OK!」などと、地面や作物に 直接シートを被せるべたがけでも、一方の畝肩から他方の畝肩に差し込んだ支柱を覆うトンネルがけでも、商品の上から散水して使用できるように表示・説明していました。しかし実際には、トンネルがけで使用する場合には商品の上から散水してもほとんど透水しないものであり、虚偽の表示であることが判明したものです。

 命令の内容ですが、今回販売した「不織布」は一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると誤認させる表示であったことを公示すること、再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること、今後、同様の表示を行わないこと、としています。

 実際に商品を使用する顧客にとっては、浸透性が無いことなどすぐに露見するので、故意に隠したものでないことは分かりますが、それにしても商品性能の確認を全く行わなかった懸念があります。

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鉄道模型から発煙/マイクロエース

 鉄道模型製造の(株)マイクロエースは、今年9月に出荷した「A2952/国鉄24系24型寝台客車特急『富士』7両基本セット」に不具合が発見されたため、製品を回収・交換すると発表しました。

 同社によると、一部商品において、セット内の一両目「カニ24-2」(ディーゼルエンジン音発生車両)をレールに乗せてパワーパック(線路から模型車両に電流を加えて、発進・停止・スピードコントロールなどを行う機器)のコントローラーを最大位置にすると、しばらくして発熱・発煙とともに音が止まってしまう場合があるといいます。

 一部のパワーパックにおいて12V以上の電圧を発生するものがあり、回路の一部が焼けてしまうことが原因とのことです。

 このような模型の安全性については、スケール、駆動電圧などの目標規格があるだけなので、今回のケースから実際には公称電圧が適切でない製品もあることが分かります。今のところトラブルに見舞われたメーカーが対処するだけですが、今後業界内のレベルアップが必要なのでしょう。

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ミルク加工品の大腸菌汚染/各県で回収続く

 9月は、乳製品の大腸菌などの汚染による回収が多くありました。

 まず、広島県庄原市にある「食彩館しょうばら」のミルクファームHARUが3日、アイスミルクの「ココナッツミルク」と「古代米」から自主検査により大腸菌群が検出されたこと、また、氷菓の「パイン」においては一般細菌数の基準をオーバーしていたことから、商品を回収すると発表しました。
 11日には、愛生乳業協同組合が製造した「愛生3.5牛乳」の一部から大腸菌群が検出されたとして、新潟県長岡保健所は同協同組合に対し、商品の回収を命じました。 なお、これまでに健康被害の報告はないといいます。
 同社は2010/09/11に製造された商品の回収を行うとともに、自主検査で安全が確認されるまで製造・販売を中止しています。

 18日になると、長野県茅野市の八ヶ岳中央農業実践大学校が、「有機栽培抹茶アイスクリーム」の一部について、大腸菌群陽性であったことから、回収を行うと発表しました。

 そして21日、長野県安曇野市の「みさとミルク」は、同社が販売した紙パック入りアイスクリーム2種(ミルクと抹茶味)において、検査の結果大腸菌群が検出されたため、自主回収を行うと発表しました。
 両アイスクリームは賞味期限が3日異なることから、製造日も異なり、日頃の衛生管理などずさんな面があったようです。

 22日になると、栃木県佐野市の(株)どまんなか たぬまが、道の駅「どまんなか たぬま」で販売した2種(バニラとジャージーミルク)において、製品検査の結果、大腸菌群陽性であることが確認されたため、商品を回収すると発表しました。

 大腸菌などの汚染を防ぐにはそれほどコストも掛からない衛生管理が出来るのに、乳製品食品加工事業主は、いったいどうしたというのでしょう。

 もう昔の話ですが、飲食店で働いたことのある人が言った言葉に、「衛生管理がひどくて、もう○○は食べられなくなった」、ということがありました。今もそのような事業所・店が多いのでしょうか。困ったものです。

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