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2011.2 No.206  発行 2011年2月25日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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1月のニュースから

■患者からの副作用収集システムを開発/厚生労働科学研究班

 慶応大薬学部医薬品情報学講座の望月眞弓教授を代表研究者とする厚生労働科学研究班が、インターネットを通じて患者から直接、医薬品の副作用情報を収集するシステムを開発しました。医薬品医療機器総合機構のホームページにもリンクが張られ、患者が直接、生の声を入力できるようになっています。現在は試験運用段階で、システムの使用感などを聞いて改良していく予定だといいます。

  現在、日本では医薬品の使用者本人による副作用報告制度はありませんが、欧米等一部の国では使用者本人からの副作用報告の制度があります。

 医薬品が正しく安全に使用されるためには、医薬品の使用者からの情報を有効に活用できる方策を検討する必要があり、今回の研究は今後の運用に期待が持てます。

 医薬品副作用報告システムでは、今年7月まで一般からの情報提供を受け付けているので、次のホームページをご利用ください。http://rx.di-research.jp/

■ひかり電話ルーター「RT-200KI」の電源アダプター交換
 NTT東日本及びNTT西日本が提供しているひかり電話ルーター「RT-200KI(沖電気工業株式会社製)」において、昨年2件の焼損事故が発生したため、製品交換を進めています。

 同社によると事故原因については現在継続調査中ですが、何らかの原因により異常電流が発生、発熱・発火に至った可能性があるとしています。

 さらにダイレクトメールにて個別に案内をして、対策を講じた電源アダプターを送付するとしています。
 レンタルでの使用が前提の商品なので、電源アダプター交換は順調に行われることだと思います。
 テレビをインターネットに接続するため、ひかり電話ルーターを使う人も増えてきたので、対象機器を利用しているユーザーは交換するまで注意したいものです。

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ガラス製カップとネコのぬいぐるみをリコール/イケア

 イケアから19日、RUND/ルンドガラスカップのリコール情報が出ています。
  RUND/ルンド ガラスカップをお持ちの方はただちに使用を中止し、最寄りのイケアストアの返品カウンターまでお持ちください、商品代金を全額払い戻すとのことです。
 当該製品が使用中に割れたと全世界で12件寄せられ、5件でユーザーがケガをしたそうです。

 同社の調査の結果、ガラスの厚さに偏りが生じていたことが原因だということです。
 また同社では29日、ネコのぬいぐるみ(ゴーシグ カット ソフトトイ)のリコールに関するお知らせも出しています。

 商品名GOSIG KATT soft toy/ゴーシグ カット ソフトトイが、着色料の溶出により食品衛生法に基づくおもちゃの規格基準に適合していないための回収だとしています。
 安全性に関する問題はなく、これまでに色落ちや健康被害に関する報告も受けていないようです。

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リコール情報伝わらず、メーカー再社告多く

 リンナイの湯沸かし器、パナソニックの暖房機など、何度も社告を目にしましたが、製品リコール後も事故が続いたり、回収率の低迷、あるいは点検・修理率が上がらないなど、メーカーは事故のリスクの高い製品対処には苦慮しているようです。
 1月も再社告がいくつか見られました。

電気カーペット回収/東レ
 東レ株式会社は11日、1976年〜1983年に販売した電気カーペット(ダンポッポ・だんぽっぽ・ほかにか・ほかほかオーケーの全ての型番)で、使用中に周囲の布団や畳を焦がす事故が発生したとして、2008年5月に続いて、2回目のリコールのため再社告を出しました。

加熱式加湿器(ML-550MF)の無償製品交換/旧森田電工
 株式会社ユーイング(旧社名:森田電工株式会社)は25日、2010年1月20日付の新聞紙上、ホームページで社告を出し加熱式加湿器の回収を行ってきましたが、回収が進んでいないため再社告を出しました。
 製品名はML−550MFで、1999年10月〜2003年3月販売したもので、基板の部品が原因と見られる発火・火災事故が発生しているため、確認したいものです。

自転車用リヤチャイルドシート/ブリヂストン
 ブリヂストンサイクル株式会社は27日、鉄製「自転車用後席幼児座席(リヤチャイルドシート)」において、「足乗せ部」が破損し、お子様の足が車輪に巻き込まれ怪我をされる事故が発生していることから、対象となる12モデルについて、樹脂製リヤチャイルドシートに無償交換をしています。
 また経済産業省は27日、ブリヂストンサイクル社製の自転車用幼児座席において、リコール開始後も重大製品事故4件及び非重大製品事故6件が発生していることから、文書により関係団体に対して同社が行う周知への協力を要請しています。

 同社では当該製品に対し、2010年6月28日に注意喚起を行い、使用者にお願いしたものの、そのご過った取り付け方法が原因との見解から2010年7月9日には無償点検・修理を行ってきました。しかしその後も事故が続き、2010年9月21日、ようやく樹脂製リヤチャイルドシートに無償交換することになったようです。

 注意喚起から、修理、そして完全な安全対策品との交換、といった経緯をたどりましたが、当初の事故分析をしっかりしておけば時間もかからず消費者に迷惑もかけずにすんだものをと、企業対応のまずさを感じます。
 事故製品の安全検証においては、設計・開発部門はすぐ「使い方が悪い」と言いがちですが、「火のないところに煙は立たない」を基本に、使用者と製品、どちらに非があるのか「最初は五分五分」、という考えを持つべきでしょう。

オイルヒーター点検・修理/フィリップス
 (株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは、1998年〜1999年に生産・販売したフィリップス社製オイルヒーター3機種の一部に、生産初期段階での作業不良品が混入し、長期間の使用中に稀に発煙・発火に至る可能性があるとして、2001/10よりWebサイト等で点検・修理の告知を行ってきました。しかし未点検の製品がまだ多く残っていることから、対象製品の購入者に対し、再度点検・修理を呼びかけています。

 21日付の消費者庁の発表によると、対象製品の2010/12/31現在の改修率は36.4%で、昨年12月30には対象製品から出火する火災が1件発生しています。冬が終わるとしまわれる季節商品なので、使用者は今確認したいものです。

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