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2011.4 No.208  発行 2011年4月28日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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3月のニュースから

■コーヒー・ティーメーカーが突然破損/イケア回収

 イケア・ジャパン株式会社は、同社が販売した「フォールストー」コーヒー・ティーメーカーにおいて、使用中にガラスポットが突然割れて火傷や切り傷を負う事故が発生したとして、製品の自主回収を行うと発表しました。

 同社では、ガラスポットに取り付けられた金属製ホルダーからの圧力で、ガラスポットが使用中に突然割れる、という認識を示していますが、今までに全世界で20件の報告があったとしています。

 これらのうち、こぼれたコーヒーや紅茶によるやけどの報告が12件、割れたガラスによる切り傷の報告が1件あったそうです。

 回収とする製品は0.4Lと1Lの2つのタイプでり、2010年2月から12月まで販売されていたものです。
このタイプの製品はハリオなど昔から良く販売されていたものと構造的には同じで、ガラスポットは上に引き出すことで取り外しできるものです。

 したがって金属製ホルダーからの圧力が極端に大きなものとは考えにくく、ガラスポットの加工むらや、もともと肉厚が薄かったのかも知れません。

 今回のケースは、あまり聞かない事故であり、製造元がよく分かりませんが、イケアの品質管理がずさんだった可能性があります。

 いずれにしても紅茶を飲むには熱湯を入れるものなので、当該製品をお持ちの方はすぐに使用を中止し、イケア・ジャパン・コンタクトセンター(0120−151-870)に連絡しましょう。

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携帯電話の充電器とACアダプターが発火事故

 株式会社StrapyaNextは、同社が2010年12月から2011年3月の間に輸入・販売した携帯電話の充電器とACアダプターのセットにおいて、カーペットや周囲のものを焦がす発火事故が発生したことを受け、対象製品の自主回収を行うと発表しました。

 発火の原因は現在調査中とのことですが、対象製品はPrimo Power Core Battery Packプリモパワーコアーマルチアダプター充電器、型番496-155776です。また充電器に同梱されているACアダプターは、型番400-ACADPTです。

 同製品は、アップル公認の超パワフルな充電器として、電池容量8200mAhと大容量のため、スマートフォンなら4〜5回、バッテリ容量の大きいiPadでもフル充電することができるものだといいます。

 消費電力の大きいスマートフォンユーザーには人気の商品ですが、大容量=高エネルギーのため、危険リスクも高いものです。

 同製品で使われているリチウムイオンバッテリーは、そのエネルギー密度の高さから電池そのものや周辺回路にも様々な安全対策が施されていますが、それでも過去にはノートパソコンや携帯電話において異常過熱や発火事故などがニュースになってきました。

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充電式歯ブラシで発熱や変形事故/東レ

 朝日医理科株式会社が製造し、東レアイリーブ株式会社(現 東レインターナショナル株式会社)が販売した超音波歯ブラシ 「ウルティマフレッシュ」 (品番UT-270)及び 「ウルティマフレッシュEX」(品番UT-271) に付属する充電器(共通品番UT-270)で、これまで4件の発熱や変形が発生しています。

 同社によると、原因は充電器内部に水が入り、電子回路がショートしたことにより部品の発熱等が発生したことによるものだとしています。

 同社では現時点では事故等の発生はないものの、充電器の回収・交換をすることにしました。

 電動歯ブラシを充電する充電器は、当然濡れた歯ブラシや手がアクセスする環境で使う製品ですが、防水機能が劣っていたというのでは困ったものです。

 メーカー品であっても、OEMなど外注されやすい充電器の製造品質の検証ができていなかったことになります。コストを優先し安全配慮を欠いていたと見られても仕方ありません。

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■アボカドから基準値を超える農薬/ローヤル自主回収

株式会社ローヤルは、同社が輸入・販売した下記のメキシコ産アボカドにおいて、農薬「アセフェート(殺虫剤)」が基準値0.01ppmを超える0.02ppm検出されたとして、対象製品の自主回収を行うと発表しました。

 厚生労働省が今回行った命令検査実施の際の説明では、アセフェートの許容一日摂取量(人が一生涯毎日摂取し続けても、健康への影響がないとされる一日当たりの摂取量)は、体重1kg当たり 0.0024mg/日であることから、体重60kgの人がアセフェートが0.02ppm残留したアボカドを毎日7.2kg摂取し続けたとしても、許容一日摂取量を超えることはなく、健康に及ぼす影響はありません、と説明しています。

 また、アセフェートはアボカドには0.01ppmの基準値(一律基準)が適用されますが、例えば、セロリには10ppm、みかんには5.0ppmの基準値が設定されています、とも説明しています。

 ではなぜアボカドにこれほど厳しく、しかも意味のない基準を適用しているのか、それはアボカドにはアセフェートの基準がないために0.01ppmの一律基準が適用されるからなのです。

 食品の残留農薬は体内に取り込んで初めて人に危険な状況を作りますが、セロリが安全であるならば、それよりも1/500も少ない残留農薬が検出されたアボカドも、当然安全なわけです。

 なぜこのようなことになってしまったのか、それはポジティブリスト制度が導入され、基準が設定されていない農薬等が一定量以上残留する食品の流通が原則禁止となったことと関係しています。

 残留基準(現行どおり)とは、食品衛生法に基づく食品に残留する量の限度が適用されるものです。
 そして我が国に残留基準がない場合は、諸外国の基準を適用しますが、それもない場合には、一律基準として定めた0.01ppmが適用されてしまい、今回のようにアボカドとセロリのおかしな関係になってしまいます。
それでは皮を食べないアボカドは、セロリ並の基準値でも全く問題ないため、そのような残留基準を作ればいいと思うのですが、そのような動きはないようです。

 現在もスーパーではアボカドの入りが悪くなっている、こんな混乱を生じさせている意味のない「一律基準」という安全基準ですが、厚生労働省は何も感じてないのでしょうか?

 厚労省には早急に一律基準で取り扱われる農産物全体の客観的安全評価をして、国民の不利益にならないようにしてもらいたいものです。

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