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2011.9 No.213  発行 2011年9月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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8月のニュースから

■IHこんろによる事故が増加、NITEが注意喚起

 IHこんろによる事故が年々増加傾向にあるとして、(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけています。

 NITE製品安全センターに通知されたIHこんろによる事故は、2005年度には3件だったものの、2007年度には21件、2010年度には32件と、普及に伴い増加しています。

 2005年度〜2010年度の6年間に通知された計118件のうち、重傷事故は2件、軽傷事故は27件で、火災事故が7件ありました。2011年度に入ってからも、IHこんろの事故は既に7件通知されているそうです。

 事故の現象別では、なべ底が平面でない・油量が少ない・通常加熱設定で揚げ物調理をした等の要因が複合して油が過熱し、その場を離れたため発煙・発火したもの、誤って電源スイッチを入れたため、調理器具以外のものが過熱され発熱・発火・破裂したもの、加熱中に突沸現象が発生したものなど、誤った使い方に起因する事故が多くなっています。
 また、使用開始から1年以内に事故が最も多く発生しており、IHこんろの使用に不慣れな時に事故が起こっていることも考えられます。

 NITEは消費者に対し、IHこんろ使用時の注意点として、取扱説明書をよく読んで使用し、揚げ物調理をするときは揚げ物設定を使用すること、フライパンやなべ・やかんなどは、使用するIHこんろに対応したものを使うこと、IHこんろの上に調理器具以外のものを置かないことなどを呼びかけています。

 炎がみえる普通のガスこんろの危険は分かりやすいですが、IHこんろでは近くにいないと通電状態が分からなく、加熱された鍋などで表面のプレートが熱せられていることも理解しにくいものです。
 自分の知らない家電製品、ということでコンロを使ってきた経験をリセットした方が良いでしょう。そのためにも、取扱説明書は必ず読んでもらいたいものです。

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ボックスオーブン加熱時蓋落下の恐れで回収/スノーピーク

 (株)スノーピークは、2011年8月より販売を開始した「GR-016 ボックスオーブン」について、使用中に不具合を生じる可能性の高いことが判明したため、商品の販売を中止するとともに、回収・返金を行うことにしました。

 同社によると、ボックスオーブンを加熱中に本体が変形し、リッド(蓋)が外れてしまう現象が確認された。最悪の場合、加熱されたリッドが落下し、火傷やケガなどにつながる可能性があるそうで、同社は対象商品の購入者に対し、直ちに使用を中止するよう呼びかけています。

 8月に発売して同月に回収となりましたが、開発・製造元ではダッチオーブンとして使用確認・検査をどの程度行っていたのでしょう。
 新商品の開発を優先したためか、加熱中に鉄製オーブンが変形するなど考えにくいトラブルで、品質確認を怠ったとしか思えません。鉄の厚み、歪みといった要素は、長年製造しているメーカーであれば品質のばらつきも殆ど押さえ込めるはずで、スノーピークの品質における認識の甘さと、製造元の品質管理に立ち入ることができないことがあるかも知れません。

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中国製加湿器、基板不具合で火災の恐れ/Abitelax

 吉井電気(株)は、2003年9月〜2006年2月までに中国から輸入・販売した「温熱式加湿器 Abitelax」において、基板の不具合により火災等の重大事故が発生する可能性のあることが判明したため、9月1日から製品の点検・基板交換修理を行うと発表しました。

 消費者庁及び経済産業省の発表によると、2011年3月1日に、この製品を使用中にスイッチ部周辺から火花が生じる火災が発生、製品が焼損したといいます。また事故原因は現在調査中とのことですが、製品の表示灯基板において必要な絶縁距離が確保されていないとされていることから、当該部分が短絡して出火に至ったと考えられています。

 電気製品における絶縁・空間距離といった安全規格の基本的な要件の設計・製造ミスというのは、この製品の開発・製造元の安全品質が劣ることを端的に表しています。

 今後も吉井電気でこのメーカーの製品を扱うようであれば、安全設計・製造の客観的評価をメーカーに問わなければなりません。

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■味の素、米国で冷凍ギョウザ回収/アレルギーの恐れ

 味の素のオレゴン州ポートランドにある米国冷凍食品関連法人は、全米の小売店やレストラン向けに販売した野菜餃子にシーフードが混入しているものがあり、重篤なアレルギーを引き起こす恐れがあるとして、19日から回収を実施しています。

 同社では、パッケージに「ベジタブル・ギョウザ」と表示されている商品に、シーフード・ギョウザが混入している場合があり、甲殻類や魚介のアレルギー疾患者が誤って口にした場合、重篤な症状を引き起こす可能性があると警告しています。今のところ、このリコール商品が原因とみられる病人などは確認されていないとのことです。

 今回リコール対象となっている冷凍ギョウザは、6月30日から8月4日までに全国のスーパーやレストラン向けに販売されベジタブル・ギョウザで、パッケージにはコード番号231751と記載されているとのことです。
 同社では、米国でのアレルギーに関する問題のためか、回収まで10日ほどと迅速な対処をしたようです。

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■眼鏡の広告で景品表示法に基づく措置命令/フイッシュランド

 消費者庁は、遠近両用眼鏡の広告に不当な表示を行っていたとして(株)フイッシュランドに対し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。

 同庁によると、同社及び子会社の(株)ドクターアイズがそれぞれ経営する「ドクターアイズ」の新聞折込チラシ(2010年1月23日、2010年7月31日に配布)で、「最高品質・国内トップメーカーレンズ使用」、「ドクターアイズならなんと!!8,800円税込特価」と記載していたものの、実際には8,800円で購入できる商品に使用されているレンズは、購入者が選択できるレンズのうち最も品質が低いもので、より高品質のレンズを選択した場合の販売価格は13,800円ないし68,800円だったといいます。

 また、同じ広告に「全店7,000本のフレームから自由にお選びください」と表示していたものの、8,800円で購入できる商品に用いられているフレームの種類は、2010/12/03時点で、全ての直営店及び子会社経営店を合せて1,691種類だったそうです。

 同庁では、(株)フイッシュランドが行った表示は、対象商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底することとして、再発防止策を講じること、今後、同様の表示を行わないことを求めています。

 眼鏡販売店の広告では、最低価格を安く見せるため普通購入されない厚型レンズでの価格表示をすることがよくあり、またごく一部のフレームだけが対象であったりします。今回はフイッシュランドの広告が他店に比べて大幅に安かったため、消費者庁にクレームが入ったのかもしれませんが、今回のケースに近い宣伝は全国に多くあると思います。

 同庁もこれを機に、通報されなければ調査をしないのではなく、消費者生活製品における宣伝の適正化について独自調査をもっと進めてもらいたいものです。

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■国際免疫研究所、無許可で化粧品製造

 国際免疫研究所は、「リバースライブプラセンタ」について、化粧品製造業許可を取得せずに製造したこと、化粧品製造販売届を提出せずに製造販売をしたこと、また、製造販売名が不適切であったこと、製造した化粧品に薬事法上の製品表示事項(製造販売業者の氏名、主たる事務所の所在地)を記載していなかったこと、保存方法や期限表示に誤りがあったことが判明したため、回収を行うと発表しました。なお、製品の安全性に問題はなく、現在までに健康被害の報告もないといいます。

  この商品は「純正プラセンタ」の宣伝から多くのユーザーが購入しているようですが、化粧品製造業許可を取得せずに製造・化粧品製造販売届を提出せずに製造販売をしたことなど、企業としての体を為していません。
  「同社の製品は効果が有る」と信じている方も、いつ何か不具合を出す会社として気を付けていたほうが良さそうです。

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