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2012.2 No.218  発行 2012年2月27日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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1月のニュースから

■ホテル向け冷蔵庫で発煙・発火事故/ツインバード

 ツインバード工業は、ホテルの客室に設置されていた同社の電子冷蔵庫が、昨年11月に発煙・発火する事故が発生したことから、最新型に無償交換すると発表しました。また今回の事故によるケガ人は出なかったとのことです。

  対象製品はホテル向け電子冷蔵庫(TR-16型)で、対象台数は20,500台に上るとしています。 発煙・発火原因ですが、同社及び消防研究センターでの調査では原因が特定できませんでした。調査結果に基づき、同社では「極めて稀な事象であり多発性はない」と判断しましたが、不特定多数の客が宿泊するホテル専用冷蔵庫であることから、より信頼性の高い最新型の電子冷蔵庫(TR-17型)への無償交換をおこなうことにしたものです。

  一般家庭用冷蔵庫での事故の場合、過去の多くのメーカーと同じく、発煙・発火事故が一件起きた程度では迅速な回収はしなかったものと考えられます。今回は、ホテルという特殊な環境と、営業的な信用を第一に考えた措置のようです。

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充電式コードレスミニドライバー、熱で樹脂が変形

 アイメディア株式会社は、「充電式コードレスミニドライバー」の一部商品で、充電中に持ち手底部分が熱くなり一部樹脂が変形するという不具合が発生したと発表しました。

  現在までに2件の不具合があり、原因調査の結果、工場での組み立てミスの商品が混入したことが判明、商品を交換することにしました。

  不具合が発生する商品には以下特徴があるとのことです。
   1.ドライバーの回転が「しめる」と「ゆるむ」で逆になる。
   2. 充電できない。
   3.充電中に持ち手底部分が極度に熱くなる。

  手ごろな価格の小型電気ドリルは、「ちょっと買ってみよう」という気になりますが、安全面の担保がないものもありそうです。

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小鉢で基準値超える鉛を検出/たち吉、商品をリコール

 たち吉グループの、(株)萬皿屋が2011年12月5日に製造した「黄地草花小鉢」から規制値を超える鉛が検出されたとして、岐阜県より食品衛生法に基づく回収命令を受けたことから、同社は当該製品を回収すると発表しました。

  岐阜県が行った溶出試験で、規制値2μg/mlのところ6.6μg/mlの鉛が検出されたものです。 同社では、回収命令を受けた12月5日の製造品以外の商品も全て自主回収するとしています。また、通常の使用では健康被害が生じる可能性は低いと考えられるとのことです。
  これを受けて、(株)たち吉も、同社が販売した対象商品の自主回収を始めました。

  焼き物の上薬で使う釉薬や絵の具には、酸化鉛やカドミウム顔料を含むことがあります。これは和食器・洋食器問わずよく利用されていますが、高温で焼いてガラス状に固まるため、食器から人体に危険な量が溶け出す事はありません。

  しかし焼きがあまくて、釉薬が十分固まっていない場合は、成分が溶出してしまうことになります。
今回の製品も焼きのあまい粗悪品だった可能性があり、大手事業者のたち吉にも管理上の問題があったようです。

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■冷感タオル が湿疹・かぶれの原因に

 国民生活センターでは、水に濡らすことでひんやり感じる「冷感タオル」の使用で、湿疹・かぶれの症状が出た苦情があったことから、商品に使用されている防腐剤を調べ、利用する際の注意点等について情報提供を始めました。

  東日本大震災の影響から、昨年は「冷感グッズ」が多く出回りましたが、それらの一つに「水に濡らすだけでひんやり」や「水に浸してすぐひんやり」 など、水でぬらして首等に巻くことで冷感が得られることをうたったタオルが数多く販売されてきました。

  「冷感タオル」は、サイズや表面の風合い等細かい点での違いはあるものの、多くはポリビニ ルアルコール樹脂製で、乾燥すると硬くなるため、流通・販売の際には、わずかに湿 った状態でパッケージングされているとのことです。

  センターにはこのようなタイプの「冷感タオル」を使用して、「湿疹がでた」や「赤く腫れた」 等の苦情相談が、2011 年に入り複数件寄せられました。センターではその内3件について調査、いずれの商品からも「イソチ アゾリノン系」の防腐剤が検出されたそうです。

  この防腐剤は、ヨー ロッパ等で、1980 年代から重篤なアレルギー性の接触皮膚炎を起こすとの報告があったものだといいます。

  また、センターで調べた商品にはいずれも「薬剤は化粧品などで使われている成分を使用しています」等の表示があったものの、化粧品における表示とは異なり、防腐剤の名称まで記載してあった製品はなかったとのことです。

  主な危害事例は、次の通りです。
【事例1】
家電量販店で冷却持続性タオルを購入した。1〜2 日首の回りと顔にあてて使用したが、分厚くて使い心地が悪いので使用をやめた。それから 3〜4日して顔と首の回りがザラザラになりサメ肌のようになり、ヒリヒリし赤く腫れてしまった。
販売店に電話すると、防腐剤が入っているからそれが肌に合わなかったのだろうと言われ、よく濯いでから使ってくださいと言われた。そのような注意表示はケースの注意書きに書かれていない。(2011 年 5 月受付、70 歳代、女性、東京都)

【事例2】
少し前に購入してこれまでにも何度か使用している。朝8時から正午まで、途中10時頃にもう一度水に浸して、首に巻いてエアコンの効いた車中で作業した。首に痛痒さを感じたので午後は使わず、夕方入浴した時に湿疹ができているのがわかった。翌日も痒みが引かないので、3 日目になって、以前医師に処方されたあせも・湿疹用の塗り薬を使い始め、4 日目の今日は症状が少 しおさまり赤みが薄くなってきた。使用上の注意には「異常を感じたら医師に相談するように」 と書かれているだけだ。(2011 年 8 月受付、60 歳代、男性、新潟県)

【事例3】
幅 30 センチ、長さ 75 センチの商品を購入して水でぬらし首に巻き1時間ほど散歩して帰宅した。首と胸など布が触れた箇所がはれ上がり汗でひりひりし湿疹もあった。
石鹸で洗ったが改善しないので翌日かかりつけの病院に行った。注射をしてステロイドが入った塗り薬をもらい 2 回 目の注射をしたがまだ、完治していない。塗料の有機溶剤を扱っていたがかぶれた事はない。(2011 年 8 月受付、70 歳代、男性、福岡県)

  これら商品は、「薬剤は化粧品などで使われている成分を使用しています」等の表示しか行っていなかった、ということは「化粧品で使っている成分だから何が入っていようが安全だ」、とでも言いたかったようです。
しかし成分表示を記載しなかったことは、お客に客観的な判断材料を提供しない、つまり消費者目線に立ってない業者ばかりだったのは残念なことです。

  このような商品でも、安全に対する認識をしっかり持ってくれる業者が増えて欲しいものです。

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■バターやチーズにカビ/西友、らでぃっしゅぼーやが回収

 合同会社西友は、同社が販売したチーズにおいて、包装不良により一部の製品にカビが発生したおそれがあるとして、対象製品の自主回収を行うと発表しました。

  対象製品は、PB商品・グレートバリューの「モントレージャックチーズ」、「コルビー&モントレージャック」、「マイルドチェダーチーズ」、「ムンスターチーズ」で、2011年12月5日〜2012年1月22日に販売された商品です。

  また会員制食品宅配サービスの「らでぃっしゅぼーや」は31日、同社が販売した「四酪の白いバター」元気くんに、カビの発生が確認されたとして回収を始めました。

  カビの発生が確認されたのは昨年11月14日以降に販売された分で、賞味期限が2012.2.1、2012.2.15、2012.2.22、2012.2.29、2012.3.7の商品で、消費者から「黒いカビのようなものがある」との報告を受け、明らかになったものです。

  同社では、対象商品を届けた可能性のある会員には、個別に回収の連絡をすることにしています。
  西友の場合は、製造工場での品質管理活動から判明したようですが、らでぃっしゅぼーやの場合は、消費者からの報告で品質不良を初めて把握したもので、同社の品質管理上の問題が感じられます。

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