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2012.5 No.221  発行 2012年5月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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4月のニュースから

■電子レンジの事故防止について/ NITE が注意喚起

 NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)製品安全センターに通知された製品事故情報のうち、電子レンジ及び電子レンジとの組み合わせで使用される製品の事故は、事故発生日でみると平成18年度から平成22年度の5年間に706件ありました。被害の状況は、重傷事故が16件、軽傷事故が57件、拡大被害は107件でした。1室以上の火災は12件でした。

 また、電子レンジが関係する事故のうち、電子レンジの事故が606件、電子レンジとの組み合わせで使用される製品の事故は100件でした。

 電子レンジが関係する事故706件のうち、製品に起因すると考えられる事故及び調査中の事故を除く423件について、事故発生状況を現象別に分析すると、次のような事故が多く発生しています。

@庫内に汚れが付着したまま加熱、炭化し発火。
Aほ乳びん用消毒バッグで乳首を付けたまま消毒、ほ乳びん内圧が上昇し破裂。
B食品を過加熱、炭化し、発煙・発火。
C基板上に異物が付着してショートし、発煙・発火または誤作動。
D電子レンジで加熱して使用する製品を過加熱、容器が溶融・破損。
E過加熱による突沸。

 電子レンジが関係する事故は、「原因不明のもの」及び「調査中のもの」を除くと、「設計上、製造上又は表示に問題があったと考えられるもの」や「誤使用や不注意な使い方と考えられるもの」による事故の比率がそれぞれ高くなっています。また、使用開始から1年未満での事故も多く発生しているとのことです。
電子レンジが関係する事故の防止について NITEでは、誤使用や不注意な使い方によるものの割合が高くなっていることから、電子レンジは熱を発生する製品であり、発火、破損、やけど等、こんろの事故と同様な被害が起きることを認識し、取扱説明書をよく読み、次の事項に注意するよう促しています。

@庫内やドアに汚れが付着したまま使用すると、発煙や火花が発生することとなります。庫内をこまめに掃除してください。
Aびんや密封容器を使用して温める際には、容器のふた等を外してください。
B自動加熱機能は定められたもの以外には使用しないでください。また、再加熱する時は自動加熱機能を使用しないでください。
C食品や飲み物は、加熱しすぎないよう注意してください。過加熱は発煙・発火の原因となります。少量の食品は自動加熱機能を使用せず、手動加熱機能を使用して様子を見ながら加熱してください。
D飲み物やとろみのあるもの及び、油脂分の多いものは、加熱中や加熱後に突沸して飛び散ることがありますので、加熱前にスプーン等でかき混ぜて、突沸が発生しないようにしてください。加熱しすぎた場合は、しばらく冷ましてから取り出してください。
E食品以外の製品を使用する際は、決められた出力、加熱時間を守ってください。
F温まらない時や、機器に不具合や異常があれば使用を中止して、販売店等に連絡してください。

 また、製品に起因する事故については、社告・リコールの対策がとられているものがあります。使用している製品が社告・リコールされていないか、添付の社告・リコールリストで確認してください。加えてオフィスや社員食堂等に設置されている電子レンジについても確認してください。

 電子レンジメーカーは食品以外のものを加熱しないよう、各社の取扱説明書には記載されていますが、ほ乳びん用消毒バッグ、ゆたんぽ、ふろ湯保温器、カイロ、たまご調理器、ポップコーンメーカー等、様々な製品が電子レンジで使えることを謳い販売されています。

 しかしこれらの製品を利用して事故に遭遇した場合は、電子レンジメーカーの意図した使い方ではないことになり、基本的に事故責任はユーザーが負うことになります。また、そのような電子レンジメーカーの指定用途外製品を、「電子レンジで使える」と勧めて販売している製品メーカーを野放しにしていることにも問題がありそうです。
 ユーザーには、重傷事故の起きているゆたんぽと、ふろ湯保温器の取り扱いには十分注意してもらいたいものです。

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デジタルカメラ用バッテリー発熱の恐れ/ニコンが回収

 株式会社ニコンは、デジタル一眼レフカメラ用およびレンズ交換式アドバンストカメラ用 Li-ion リチャージャブルバッテリー EN-EL15 生産品の一部で、当該バッテリー内部の部品の不具合により機能不良に至る可能性があり、その際、稀に発熱してバッテリーの外装が変形する場合があることから、対象製品の回収交換を始めました。

 また、本事象は弊社生産工程においてのみ不具合を確認しており、市場からの報告はないそうです。
同社 Li-ion リチャージャブルバッテリー EN-EL15 は、ニコンデジタル一眼レフカメラ D800、D800E、D7000とレンズ交換式アドバンストカメラNikon 1 V1に使用可能なリチャージャブルバッテリーです。
  製造ロット番号はバッテリーの底面の銘板下部に、14 桁の製造ロット番号の先頭から 9 桁目の英字が「E」または「F」と印字しているものが回収対象品です。

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自動車用緊急脱出ハンマーでウインドーガラスが割れない

 国民生活センターは、乗車中の事故時や災害時にウインドーガラスを破壊し、自動車から緊急脱出するために使用する自動車用緊急脱出ハンマーの特定の商品について、「ウインドーガラスを割るのに必要な硬さを有していない」と発表しました。
 商品名は「エマージェンシーハンマー オレンジ・イエロー」で、株式会社 えむ.しー.じゃぱん(M.C.JAPAN)が輸入、販売を行っているものです。

 同センターに寄せられた調査依頼に基づいて調査を実施したところ、硬度不足が見つかったといいます。
 発表によると、同製品はガラスを割るための金属部分が2 カ所に付いているものの、相談者が持ち込んだ同製品は、未使用側の金属ヘッドは先端部がとがっているのに対し、相談者が既に使用した側では先端部が潰れていました。相談者の話では、ウインドーガラスを割ったところ、いずれも割ることができず、衝撃によって金属部分の先端が潰れたといいます。

 現在、国内には自動車用緊急脱出ハンマーの性能に関する規格・基準がないため、センターでは当該品についてドイツの GS マーク認証試験を参考にしたウインドーガラス破砕テストを行いました。その結果、当該品は 2 カ所の金属ヘッド(使用した側、未使用側)でウインドーガラスをたたいても、いずれもウインドーガラスを割ることができないことがわかったといいます。

 破砕テスト後の 2 カ所の金属ヘッド先端部を観察すると、既に相談者が使用した側ではさらに潰れ、未使用側では新たに潰れた状態となりました。一方、他の同型品ではウインドーガラスを割ることができたものです。

 また、同型品の硬度を測定したところ、材質の使用硬さが著しく低い数値であることも分かったそうです。
国民生活センターからのテスト結果を受け、株式会社 えむ.しー.じゃぱんでは、国土交通省に自主改善の報告を行うとともに、自主回収を行うことにしました。

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■泡ソープで基準を上回る菌が検出/ベビーファーファ、自主回収

 NSファーファ・ジャパン株式会社は、「ベビーファーファ 泡全身ソープ」において、社内基準を上回る菌が検出されたとして当該商品の回収を始めました。

 回収対象商品は、「ベビーファーファ 泡全身ソープ」 <販売名;NSファーファ泡ボディソープ(BF)> 、 400mlボトル(JAN;4902135520667)、350ml詰替(JAN;4902135520681)で 製造番号:Y12.03.19だといいます。

 同社によると、当該品は生産直後の社内基準に基づいた検査において合格した製品を出荷していたものの、出荷後に再度自主検査をしたところ、対象ロットの一部において社内基準を上回る菌の発生が確認、自主回収することにしたといいます。

 外部機関による検査の結果、菌は各種土壌、河川などの幅広い環境に分布する自然環境に常在する菌であるため、洗い流して使用する当該品について、接触してただちに健康被害が発生するおそれはなく、現在までに客からの健康被害報告ないとしています。

 赤ちゃんにやさしいと謳っているベビーファーファシリーズですが、菌の検出という思わぬ事態となってしまいました。同社のコメント内容からは、全数検査後に出荷しているかどうかは定かでありませんが、ボトルについていた菌が増殖した可能性もあります。赤ちゃんに安心できる商品を提供する以上、品質管理は厳格にしてもらいたいものです。

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■温熱マッサージグッズ「ポケットQ」が 販売中止と自主回収/村田製作所

 村田製作所は18日、厚生労働省に温熱マッサージグッズの「ポケットQ」が無許可医療機器に該当するとの指摘を受け、販売中止と自主回収(約3000台)すると発表しました。
同商品は2010年9月からインターネットなどで販売され、これまでに3054個を出荷しているということです。
同社は製品販売前に社内で法的な問題について検討、医療機器メーカーへの聞き取りも行ったそうですが、「薬事法上の医療機器には当たらない」という結果になったそうです。
ところが今年3月、京都府の保健所から「効果効能をうたった宣伝が薬事法に違反する」との指摘を受け、広告を削除しました。これは薬事法で許可が必要な「家庭用温熱式指圧代用器」に当たると判断されたということです。
同社では、無許可販売について「薬事法の内容を熟知していなかった」とコメントしていますが、同社の規模から「事前の調査が甘かった」ではすまされない不祥事だと思います。

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