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2012.6 No.222  発行 2012年6月26日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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5月のニュースから

■デジタル式個人線量計のテスト/国民生活センター

 昨年の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、放射線による被ばくへの関心が高まり、放射線を検知・計測する機器を購入する消費者が出てきています。
 これら線量計の中には、放射線業務従事者個人の被ばくした積算線量を把握・管理することが目的のものがあり、それらの販売時に消費者に対する説明が必要になるものです。

 国民生活センターでは、個人線量計は長期にわたり使用することから、正確に測定できていなければ線量の管理ができない、と考えています。また個人の被ばく線量は、その人がどの場所にどれくらいの時間滞在していたかなどの生活スタイルによって異なるものであるため、センターでは正確に測定ができているか個人が判断することは困難だと見ています。

 そこでセンターでは、一般の市場で個人線量計として販売され、日々の被ばく線量を積算して測定できる機能を持つ機器のうち、デジタル表示されるもの6銘柄を対象に、正確に測定できているかのテストを行うとともに、その販売広告や取扱説明書等について調査し、情報提供することにしました。

<主なテスト結果>
●個人線量計の校正方法に基づいたセシウム137由来のγ線照射試験
全銘柄ともばらつきは小さく、照射した線量に非常に近い積算線量を示す銘柄があった一方で、1000μSvの条件において照射した値に対して、約半分の積算線量を示す銘柄もあった。

●被災地の屋外環境に近い線量率でのセシウム137由来のγ線照射試験
被災地の屋外環境に近い線量率の条件では、照射した線量と正味値のずれが大きくなる銘柄があり、JISの許容する誤差の範囲内に収まるのは3銘柄だけだった。また、50μSvの試験結果を参考に正味値を補正してみると、取扱説明書等の誤差の範囲に収まる銘柄があった。

●表示
販売広告から個人の被ばく線量管理等を目的とした個人線量計であることが全銘柄で確認できたが、個人線量計そのものを知らない消費者にはどのような用途で使用できるかわからない銘柄もあった。
校正証明書が添付されていない銘柄があり、出荷前に校正が行われているかを消費者が確認できないと考えられた。また、校正サービスについての問い合わせ先が記載されている銘柄もあった一方で、日本での問い合わせ先がわからない銘柄もあった。

<消費者へのアドバイス >
(1)個人線量計は個人の被ばく線量を測定・管理するために用いる機器である。購入する前に機器の用途をよく把握した上で購入、使用する個人線量計は、ひとりひとりがそれぞ自分の身体に装着して常に持ち歩き、自分の被ばく線量を測定・管理するために使用する機器である。そのため、空間の線量率測定や表面汚染検査など他の用途には適していない。また、元来は放射性物質やX 線等を取り扱う施設において業務従事者が使用することを想定しているものであるため、一般消費者が取り扱うには個人線量計という機器に対する十分な理解が必要となる。購入前に使用用途についてよく確認し、どういった目的で使用するものであるかをよく理解した上で購入するとよい。

(2)個人線量計は校正された結果をもとに、自分で補正をすることで、より正しい値を得ることができる。購入する場合は校正済みの製品であるか、かつ校正定数が示されているかについて確認を行ってから購入、使用するとよい。今回の試験では添付の校正証明書に記載されていた校正定数や、試験結果から得られた校正定数を用いて補正をすることで、より正確な値となった銘柄があった。
 購入する場合には校正済みの製品であるか、さらに、校正定数が示されているかを製造販売元へ問い合わせたり、添付の校正証明書で確認するとよい。また、より正確な値を得るためには、自分で校正定数をかけて補正する必要があることをよく理解した上で購入、使用する。

(3)個人線量計は被ばく線量の管理を目的にしているため、継続して使用を続けるには定期的に校正を依頼するなどの管理が必要である。個人線量計は経年劣化等の影響があるため、正確な測定をするためには、通常 1 年に 1 回程度校正等による定期的なチェックが必要となる。 購入後は定期的に製造販売元等に依頼して校正を行い、管理をしながら使用する。

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エアコン及び扇風機による事故防止/ NITEが注意喚起

 NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)は、エアコン及び扇風機による事故の防止のため注意喚起を行いました。

 NITE 製品安全センターに通知された製品事故のうち、エアコン及び扇風機の事故は、事故発生日でみると、平成18年度から23年度にエアコンの事故は、製品に起因しない事故や原因不明な事故を含め470件、扇風機の事故は231件ありました。
 エアコンの事故470件について、事故発生状況を現象別に分析すると、次のような事故が多く発生しています。

(1)電源コードや連絡配線の継ぎ足し及び電源コードとプラグ部の接続方法が不  適切であったため、接触不良によって発火
(2)洗浄液等が付着し、トラッキング現象が発生し、ショート
(3)電気部品等が経年劣化によってショート

 また、扇風機では、「経年劣化による事故」が多く発生しています。扇風機の事故について、事故発生状況を現象別に分析すると、次のような事故が多く発生しています。
(1)スイッチを入れたままその場を離れ、コンデンサー等が経年劣化によってショート
(2)スイッチを入れたまま就寝し、コンデンサー等が経年劣化によってショート

 NITEでは、エアコン及び扇風機の事故防止のための注意喚起を、これまで平成22年(6月及び8月)、平成23年(5月及び6月)と4度にわたって行っています。昨年、節電要請の厳しかった関東で扇風機の事故が多く発生したここともあり、全国的に節電要請が高まっている本年も、同様の事態が予想されるとして、事故防止のために再度注意喚起を行うことにしたものです。

 レトロなデザインが気に入っているのか、いまだに20年以上前の扇風機を使っている家庭があります。しかし扇風機は古くなるとモーターの潤滑油がなくなり、ACモーターのコイルがショートしたり、コンデンサーなどの部品劣化から火災につながりやすく、危険なものです。

 異音や異臭、異常な回転や動作停止などの症状が現れたらすぐに運転を停止し、コンセントを抜き新しい製品を買うべきでしょう。

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■ナショナル除湿機点検&交換

 松下エコシステムズ(現パナソニックエコシステムズ)が製造した「ハイブリッド方式除湿機」の一部製品で、機器内部のヒーターコイルが、内部の樹脂部品に接 触し、発煙・発火に至る可能性があるとして、2004年〜2007年に製造した2機種を交換することになりました。
これまでに「F-YHA100」で1件、「F- YHB100」で2件の焼損事故が発生していますが、いずれの事故も人的被害には至っていないとのことです。
当該製品をお持ちの方は、ただちに使用を中止し同社に連絡、あるいは購入店まで連絡するようにしてください。

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■温熱マッサージグッズ「ポケットQ」が 販売中止と自主回収/村田製作所

 村田製作所は18日、厚生労働省に温熱マッサージグッズの「ポケットQ」が無許可医療機器に該当するとの指摘を受け、販売中止と自主回収(約3000台)すると発表しました。
 同商品は2010年9月からインターネットなどで販売され、これまでに3054個を出荷しているということです。

 同社は製品販売前に社内で法的な問題について検討、医療機器メーカーへの聞き取りも行ったそうですが、「薬事法上の医療機器には当たらない」という結果になったそうです。

 ところが今年3月、京都府の保健所から「効果効能をうたった宣伝が薬事法に違反する」との指摘を受け、広告を削除しました。これは薬事法で許可が必要な「家庭用温熱式指圧代用器」に当たると判断されたということです。

 同社では、無許可販売について「薬事法の内容を熟知していなかった」とコメントしていますが、同社の規模から「事前の調査が甘かった」ではすまされない不祥事だと思います。

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■コチニール色素に関する注意喚起/消費者庁

 消費者庁は、コチニール色素を含む飲料と急性アレルギー反応(アナフィラキシー)に関する国内の研究情報が提供されたことから、注意喚起を行いました。

 これまで国民生活センターや地方自治体の消費生活センター等には、コチニール色素を原因とするアレルギー症状の事例は寄せられていないものの、コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、アナフィラキシーを引き起こしたと推定される事例が、1960 年代から数にして 20 ほどの論文等で報告されているそうです。

 急性のアレルギーを発症した場合、呼吸困難などの重篤な症状となる可能性もあり、万が一、コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、かゆみなどの体調の変化を感じた場合は、すみやかに皮膚科やアレルギー科の専門医を受診するよう促しています。

 コチニール色素とは エンジムシ(中南米原産の昆虫)から得られた、カルミン酸を主成分とする赤色の着色料で、食品(清涼飲料水、菓子類、ハム、かまぼこなど)や医薬品、医薬部外品、化粧品(口紅、アイシャドーなど)で使用が認められています。

 また、医薬品などではコチニール色素のほか、カルミン(コチニール色素の化合物)などが使用されているものもあります。

 現在までに報告されている発症事例として、コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、かゆみ、じんましん、発疹、呼吸困難などのアレルギー症状を示した事例報告があり、また赤色の色素を含む化粧品の使用により、かゆみを覚えていた女性が、コチニール色素を含む食品を摂取したところ、呼吸困難を伴う重篤なアレルギー反応を示した事例報告もあるとのことです。

食品の原材料名の欄に「コチニール色素」、「カルミン酸色素」、「着色料(コチニール)」、「着色料(カルミン酸)」との記載がある場合は気をつけたいものです。

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