ASPニュース Web版

No.241

  発行 2015年5月6日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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★1月のニュースから

■YAMAZEN 「スチーム式加湿器」 回収&返金換

 株式会社山善は、2006年9月から2008年1月に販売していた「YAMAZEN スチーム式加湿器/DSKI-320P」の一部で、水垢(カルキ)付着による、内部部品の劣化が原因と考えられる発火事故が2件発生したと発表しました。
 同社によると事故原因は現在調査中としているものの、蒸発皿に水垢が固着した状態で使用を続けることにより、内部部品が異常過熱したもの、あるいは本体ケースと蒸発皿との間に水垢が固着したため、亀裂を生じ、漏れた水が内部部品に浸入したことによる出火ではないか、と考えているようです。
 そのため同社は今後の事故防止として、2015年1月22日より対象製品の回収を始めました。また、一般的にスチーム式加湿器の利用にあたっては手入れ不足により、故障や水漏れの原因となることもあるとして、ユーザーには取扱説明書を確認し、定期的な手入れを実施するよう呼びかけています。

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★2月のニュースから

Hirota ECOマルチパン、使用中に一酸化炭素発生、 回収&返金

 廣田株式会社と杉山金属株式会社は、「Hirota ECOマルチパン(エコマルチパン)」の購入者から、使用中に警報器が鳴ったとの申出が4件あったことから商品を検査、その結果一般的な同サイズの鍋と比べて健康に害を与える恐れのある量の一酸化炭素が検出されたため、商品の使用中止を呼びかけるとともに、2014年7月〜2015年2月にかけて販売された10,700台を回収・返金することを発表しました。

 同社では現在、商品と一酸化炭素発生の因果関係を調査していますが、加熱効率を高めるよ う、炎と接する面の高さ数センチの波形フィンが原因ではないかと考えているようです。また、これまでに事故は発生していないとのことです。

 このマルチパンは、「横に逃げる炎と熱を波形フィンが吸収し、効率よく調理面加熱に伝えるため、熱ムラが少なく、フライパン全面で食材を加熱できます」とうたっており、一般的なフライパンと比べ短時間で料理ができることを宣伝していました。
 このようなことが続いたことから、NITE(ナイト:独立行政法人製品評価技術基盤機構)は3月に入り、 「エコ等をうたった鍋、釜、フライパン等によるCO中毒の防止(注意喚起)」の記者説明会を行いました。以下その内容を記します。

 エコ等をうたい加熱性や保温性を高めたフライパン、釜等のガスこんろ上で使用する調理用製品において、製品の使用中に一酸化炭素警報器が鳴動するといった情報が、最近NITEに4件報告されています。
 これらの情報は、NITEに通知された製品事故情報として報告されたものであり、いずれの事象も、人的被害や物的被害は発生していませんが、一般的な構造のフライパン、釜等と比較して、その構造上、排出されるCO濃度が高いため、CO警報器が鳴動したり、場合によっては死亡に至るおそれがあります。

 CO濃度が高くなる原因としては、加熱性や保温性を高めるため、フライパンなどの底面の形状を、平面ではなくひだ状の構造(フィン)にしたり、釜の構造を、外枠(外釜)と内枠(内釜)といった二重構造にしていること等によって、供給されたガスの完全燃焼に必要な空気の供給が制限され、空気不足による不完全燃焼を引き起こし、CO濃度が上昇したものと推定できます。
 これらの製品について、現時点ではCO中毒等は発生しておりませんが、使用環境、換気状況によっては死亡等の重大事故に至る可能性があるため、今回、緊急に注意喚起を行うこととしました。

 なお、過去には「省エネ」をうたった「省エネ五徳」という製品を、ガスこんろの五徳部分に装着して使用したことで、CO中毒による3件の死亡事故が発生しています、と言うものでした。
 最近ではCO中毒を気にして一酸化炭素警報器を使う人が増えていることから、メーカーも調理器の不具合が把握できるようになったようです。

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★3月のニュースから

空間虫よけ剤で各社が不当表示/景表法に違反で消費者庁措置命令

 興和株式会社のKowa「ウナコーワ虫よけ当番」4商品、大日本除虫菊株式会社の「KINCHO虫コナーズ」11商品、フマキラー株式会社の「虫よけバリア」7商品が、消費者庁から景品表示法違反として措置命令を受けました。
 Kowaの「 ウナコーワ虫よけ当番」では、商品から放射線状に広がる輪から逃げるユスリカ及びチョウバエの絵が記載され、さらに「使用の目安:およそ12平方メートルあたり1個」、「効きめ長持ち およそ63日間」、「いやな虫をシャットアウト」、「虫の侵入口に見えない3次元バリア!」、「吊り下げても、置いても使える屋外・屋内兼用の虫よけです。」などと表示していたものです。
 これら表示は2011年4月18日以降の商品パッケージに行われ、商品をベランダ等に吊るすなどするだけで、記載された範囲・期間にわたり、商品から放出される薬剤によってユスリカ及びチョウバエを寄せ付けないかのように表示していました。

 KINCHOの「虫コナーズ」でも同様で、2012年3月以降の商品パッケージに、商品をベランダ等に吊るすなどするだけで、記載された範囲・期間にわたり、商品から放出される薬剤によってユスリカ及びチョウバエを寄せ付けないかのように表示していました。

 フマキラー の「虫よけバリア」7商品でも、2014年3月1日以降の商品パッケージに、商品をベランダ等に吊るすなどするだけで、表示された範囲・期間にわたり、商品から放出される薬剤によってユスリカ及びチョウバエを寄せ付けないかのように表示していました。

  各社は消費者庁の求めで資料を提出しましたが、同庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものではないと判断したものです。現在各社は、適切な表示に改めた商品の準備を進めているといいます。
 これらの商品は、ホームセンターなどで良く目にしたものですが、人体に害があるくらいの相当強い忌避効果がなければ、吊すだけでは広範囲の効果は期待されないという、考えてみれば当然の結果になったようです。

  さて防虫剤や殺虫剤の主成分には、農薬で使われる「ディート」と呼ばれる化学成分が忌避剤として利用されていますが、アメリカやカナダでは子供への使用について厳しい規制が設けられているものです。
 今回大手3社による効果のない商品群が明らかになりましたが、使われている化学合成物質は体に良くない、という認識を持つことも大事でしょう。これを機に、天然成分のヒバ油やハーブなどを使った虫除け忌避剤の利用も考えたいものです。

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SHOWAの電動車いす、8機種で点検&部品交換

 昭和貿易株式会社は、電動車いすの一部製品で特定のジョイスティックのワイヤー接続がねじれる不具合があり、ジョイスティックのワイヤーが酸化、車いすの速度が一時的に低下することが判明したとして、8機種のジョイスティック・ドライバーコントロールを無償交換することにしました。

同社によると、ごく一部の製品で、プログラムした速度に比べ低下したまま走行し、その後回復した際に予期しない加速が生じる事例が発生したことからの交換だといいます。
 対象者には取扱店等から案内をする他、ユーザーにおいては購入店に連絡してもらいたいとのことです。

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エネタンポ2、劣化で液漏れ4件

 大河商事株式会社が2012年発売した蓄熱式電気ゆたんぽ「エネタンポ2」で、劣化による破れが原因で液漏れする事故が4件発生しました。同社はユーザーに対し、商品の寿命である1年6ヶ月〜2年を超えて使用しないこと、カバーを外して定期的に点検し、ダメージを受けている商品は使用しないよう呼びかけています。

  同製品はテレビや雑誌で紹介された人気商品だといい、ネットでは今でも継続的に販売されているものです。
 しかし同社が言うところの「商品の寿命1年6ヶ月〜2年」という文言はサイトでは確認できません。一回の蓄熱に要する電気代が2円という省エネで、環境に優しいと謳う商品ですが、価格は2400円程度と決して安くないものであり、それが1年6ヶ月ほどで使えなくなりゴミになる、というのではエコとは言えない商品のようです。

  しかも2014年発売の「エネタンポ4」でも商品の破裂事故が3件おき、内1件は重傷とのメーカーのサイト情報が公開されており、そこではユーザーに使用を控えるよう促しています。
 いったいこの企業の品質保証ポリシーとは何なんでしょう。商品を回収することもせず、「寿命を超えて使わないこと」、「事故が発生したから使用を控えよ」、というのでは、自らの責任を放置、購入した消費者に負担を強いるだけのものです。
 このような企業の商品は買わないことですが、サイト運営会社など販売を押し進めている業者にも、消費者に不利益を与えていることを認識してもらいたいものです。

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★4月のニュースから

鴨川製餡所 「生あん(白あん)」 回収

 生あんの一部から「シアン化合物」が検出されたとして、千葉県安房保健所は製造者の鴨川製餡所に対し、食品衛生法に基づき回収を命じました。同社が2015年4月16日に製造し、4月20日に安房保健所が収去した生あんを千葉県衛生研究所で検査したところ、シアン化合物がシアン化水素として1.3ppm検出されたとしています。
 このシアン化合物とは、特定の豆類に含まれている成分で、梅等にも含まれることが知られているものだといいます。通常、豆類の場合は調理加工時の水さらしや十分な加熱により除去され、生あんの成分規格では検出されてはならないとされているものです。同社によるとこれまでに、健康被害等の届出はないとのことです。

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