ASPニュース Web版

No.244

  発行 2016年3月10日

発行人 中澤 滋 ASP研究所 長野県松本市梓川梓3072-12

Tel:0263-50-6315/Fax:0263-50-6512

 

 

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ASPニュースは、複数の新聞・雑誌などの記事から
事実関係を整理した上で個人的な見解で記事にまとめています。

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★11月のニュースから

■コープ、商品回収相次ぐ

 日本生活協同組合連合会は11月2日、「CO・OP(コープ) いちごジャム 紙カップ150g」「CO・OP マーマレード 紙カップ150g」の商品中に、ゴムパッキンの一部が混入した可能性があることから、回収すると発表しました。
 いちごジャムは賞味期限が2016年8月14日、マーマレードは同7月10日、8月15日の商品が該当するとしています。

 続いて11月4日、「CO・OP小盛りご飯(富山県産こしひかり使用)」で、製品のトップシール面にキズが付き、一部でピンホールが発生している可能性があることから、賞味期限が2016年7月5日、7月27日の商品を回収・返金すると発表しました。これまでに健康被害の報告はないとのことです。

 さらに11月5日、太平物産が製造しJAが販売した肥料が設計と異なっていたことが判明したため、「CO・OP 秋田の発芽玄米(特別栽培米あきたこまち使用) 120g×5袋/120g×15袋」を回収すると発表しました。
120g×5袋入は賞味期限が2016年5月28日、6月16日、8月10日の商品で、120g×15袋入は同6月11日、7月22日、8月3日、8月19日の商品が該当するとしています。

 顧客の安心と安全をうたうコープですが、CO・OPブランドが相次ぐ商品回収となっています。マーマレードは7月10日、8月15日の商品が該当するとのこと。マーマレードの加工・製造日が異なっていることになりますが、品質保証システムが機能しているのか気になります。

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★12月のニュースから

ダスキン、窓用フィルム施工サービスで消費者庁から措置命令

 消費者庁は12月11日、清掃・衛生用品のレンタルと販売のフランチャイズ事業を行う(株)ダスキンに対し、同社が供給する窓ガラス用フィルムの施工サービスに関する表示に、景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を行いました。

 対象商品は「遮熱・UVカットタイプ Nano 80S」と称する窓用フィルムの施工サービスで、ダイレクトメールとチラシを2014年4月頃〜同年7月頃まで配布した印刷物です。
 そこに記載されていたのは、同サービスの提供を受けることで、室温の上昇が最大で5.4℃または6℃抑えられるかのような表示があり、景品表示法違反(優良誤認)にあたる、とされたものです。

 同庁はダスキンに対して当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、ダスキンから提供された資料では、裏付けとなる合理的な根拠を示すものが認められなかったとしています。
施工価格は、1平方メートル当たり1万9440円で、14年4〜9月に3都県で312件、約2800万円の売り上げがあったと報じられています。

 ダスキンが消費者庁に提出した資料ですが、フィルムメーカーの住友スリーエフ(株)が行った実験結果から、窓際の気温の上昇が抑制されることを示したものでした。しかし消費者庁は室内全体の気温が抑えられる根拠とは認められないと認定したものです。

 たしかに窓際の気温の上昇が抑えられることで、何で室温の上昇が最大で5.4℃または6℃抑えられるという、いかにも実験したような具体的な数値が出てきたのか、という科学的な説明が全く無いです。まるでダスキンは「消費者は騙しやすいのでとりあえず数字を表記した」と考えているようです。知名度も高い大手企業こそ社会的責任が求められているのに、このようなビジネスは悪徳商法のレベルです。

 同庁では、商品の機能や性能を表示する際は、表示の裏付けとなる根拠データを以下の観点からきちんと確認することが重要だとしています。
(1)提出資料が客観的に実証された内容のものであること。
(2)表示された効果、性能と実証された内容が適切に対応していること。

  フィルムやシェードによる室温低下を期待する消費者が多いためか、過去にも似た事案がありました。2015年2月の翠光トップラインの窓ガラス用断熱フィルムの機能表示に対する措置命令、そして3月の(株)タカショーの屋外用シェードの日よけ効果表示。いずれも根拠のないものとされました。

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★1月のニュースから


コイズミ「セラミックヒーター」の一部で、発煙・発火の恐れ

 国民生活センターは、発火した原因を調べてほしいという、同じ型式のセラミックファンヒーターについて、二件のテスト依頼が寄せられたため商品テストを行いました。その結果、いずれも本体に内蔵されているセラミックヒーターの端子に著しい焼損が見られ、セラミックヒーターと配線の接続部に何らかの不具合があったために異常発熱し、発火したものと考えられました。

 2つの事故品を分解調査したところ、内部はどちらも同様に焼損した状態で、セラミックヒーターの3つの端子のうち中央の端子の焼損が著しく、端子にかしめて接続されていた配線が断線していました。
 焼損した原因はセラミックヒーターの接続部に何らかの不具合があったため異常発熱し、発煙・発火したものと考えられ、当該部位は購入後に使用者が触れる部分ではないため、製造時に何らかの問題があった可能性が高いと考えられました。

 なお、今回の依頼テストとなった事故のほかに、同型のセラミックファンヒーターについては消費生活用製品安全法及び消費者安全法に基づき2件の重大事故が公表されています。
 また、事故の原因などの詳細については不明ですが、PIO-NETにはもう1件の発火事故の情報が寄せられています。同じ型式のセラミックファンヒーターで、事故が4件発生しています。

 1月20日になり、小泉成器株式会社が販売したセラミックファンヒーター(KCH-1233)の一部に、ヒーター接続部に不具合があることから、無料の製品交換を発表しました。

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★2月のニュースから


菓子の賞味期限を改ざん、静岡市の会社に改善指示

 菓子の賞味期限を改ざんして販売したとして、静岡市は藤仲屋に対し食品表示法に基づき回収および是正を指示しました。
 対象商品は「江口のピーナツバター」で、製造者の江口製菓が設定した賞味期限「15.2.16」を、藤仲屋が「16.10.30」に改ざんし、2016年1月21日〜2月4日に100袋販売していたものです。これまでに健康被害の報告は無いとのことです。

 同市は食品表示法に基づき、食品の賞味期限を改ざんして販売した事業者に対し、指示書を交付し改善すべき旨の指示を行いました。

 不正発覚は、2016年1月29日に京都市から菓子の賞味期限改ざんの疑いで調査依頼が静岡市にあり、2月1日に静岡市保健所が当該事業者に立ち入り調査を実施したことから明らかになったものです。
 調査の結果、菓子(江口のピーナツバター)は、製造者が設定した賞味期限「15.2.16」を、賞味期限が切れたため「16.10.30」に改ざんし、平成28年1月21日から2016年2月4日に100袋(1袋55g)を販売していたことが判明したものです。

 リコール情報で多い“誤表示”とは違い、この藤仲屋は悪質です。廃棄物処理業者が冷凍食品を食品として転売した事件もあり、同社のような企業も数多くあると考えて注意したいものです。

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おもちゃの破片で目に重傷/国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターは25日、沖縄県内に住む男性(33)が、左右にひもを引っ張って円盤を高速回転させて楽しむ玩具「光るびゅんびゅんマスター」で遊んでいた際、円盤の破片が飛び散って目に入り、重傷を負ったと発表しました。

 同玩具を販売した事業者は現在、販売を中止していますが、同センターは同玩具にひび割れなどが見つかった場合は、使うのをやめるよう注意喚起しています。

 同センターによると男性は昨年12月、沖縄県内で、子供に手本を見せようと、玩具を高速回転させて遊んでいたところ、飛散したプラスチック製の円盤の破片が目に入り角膜裂傷などの重傷を負った結果、医療機関に入院したといいます。

 事故を受けて同センターが調査を実施したところ、ひび割れなどの破損がある状態で同玩具を使用すると、割れた破片が毎時190キロで飛散する可能性があることが判明したといいます。
 調査結果を踏まえ、同センターは「小さくても傷やひび割れがある場合、使用を中止してほしい」と話しています。

 事故が起きた玩具は、大阪府東大阪市の輸入販売事業者「戸成」が中国から輸入した製品で、円盤に通したひもの両端を左右に広げるように引っ張ることで円盤を高速回転させ、その遠心力により、円盤内のバネスイッチが入り、LED電球が点灯するというものです。同社はこれまでに1個当たり50円程度で、約20万個販売しているとされています。

 昔はボール紙や大きなボタンで遊んだものと同じ仕組みのようですが、今は主にゲームセンターの景品などで手に入れることが多いとのことです。危険なので、身近にあるのを見つけたら即廃棄するのがいいでしょう。

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見た目だけでは分からない、えごま油の品質

 国民生活センターが「えごま油」についてのレポートを発表したので、その概要を紹介します。
「えごま」はシソ科の植物で、えごま油はその種子から搾られた、α-リノレン酸を豊富に含む油です。近年、「アレルギー疾患を改善する」、「がんの発生を抑制する」、「高血圧を予防する」などと言われ、テレビや雑誌等のメディアでしばしば取り上げられているものです。

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、えごま油に関する相談が、2010年度以降2015年11月末までのご年間あまりで179件寄せられており、2015年度に入ってその件数は急激に増加しています。

 今年度に入り複数の消費生活センターから、購入したえごま油の色や臭いがおかしいため、えごま油であるか調べてほしいという依頼が当センターへ寄せられ、調べたところ、いろいろな機関等で調べて公表されているえごま油とは脂肪酸の組成が大きく異なるものがあり、純粋なえごま油であるか疑わしいものがありました。

 そこでセンターでは、市販のえごま油20銘柄の品質や表示について調査し、消費者に情報提供することとしました。

(1)脂肪酸組成は20銘柄中1銘柄で脂肪酸組成が一般的なえごま油とは大きく異なるものがありました。

(2)酸化安定性では、えごま油は酸化安定性が低く、他の食用植物油脂(なたね油、ごま油、オリーブ油)よりも早く劣化しました。

(3)物性等について、えごま油にはほぼ無色のものから黄色や褐色のものがあり、色からは脂肪酸組成の違いは分かりませんでした。酸価の値にはばらつきがあり、製法の違い等が一因と考えられました。

(4)よう素価はおおむね同様の値となりましたが、α-リノレン酸の割合が低かった1銘柄は低い値を示しました。

(5)表示・広告については、インターネット通信販売サイトの広告に疾病の予防や健康の維持、増進効果と考えられる記載がみられました。本体表示から商品の名称や原材料名等の記載内容が確認できないものが1銘柄あり、また栄養成分表示の方法に問題のあるものがありました。

センターでは消費者へ次のアドバイスをしています。
 えごま油はn-3系不飽和脂肪酸を多く含む植物性油脂ですが、脂質全体の摂り過ぎにもつながるため、過剰摂取に注意し、バランスのよい食事を心がけましょう。
 えごま油にはほぼ無色のものから褐色のものまでばらつきがあり、またα-リノレン酸の割合が低いものがあったことから、見た目や表示等からは品質が分からないことを知っておきましょう。
 えごま油は劣化が早いため、低温で光の当たらないところで保管するなど、開封後の保管条件に気を付け、早めに使い切るようにしましょう。

また事業者には次の要望を出しています。
 インターネット通信販売サイトの広告に、関連性が明らかとは言い難い疾病の予防や健康の維持、増進効果と考えられる記載があることから、事業者には表示の改善を要望します。
 また栄養成分表示などの食品表示に問題があるものがありました。適切な表示を行うよう要望します。

 サプリメントや健康食品、そして品質が良さそうな特定機能食品など、メディアを通じて目に入ってくる健康に良さそうな商品は増え続けています。しかし実歳のところ、これら商品の安全性の検証は私たち消費者の手の及ばないもので、企業の宣伝文句を鵜呑みにしがちです。

 最近では10年前には考えもつかなかった大手メーカーの参入も多く、よほど儲かる事業だと考えられます。当然情報量過多になっている私たちの意識のスキをついてくるものもあるでしょう。十分気を付けたいものです。

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