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新・信州人倶楽部

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第120号

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長野県各市町村のIターン支援策
こちら

オンライン総会のお知らせ 

 

 コロナの影響で今年も皆さんと集まるのは厳しい状況です。そこで昨年同様、高藤さんの協力でZOOMによるオンライン総会を行うことにしました
 スケジュールですが4月の16日午後7時からで、いつもの参加者には連絡済です。

 

長野 鉄雄 

国民にとって、防衛のために、防衛費の増額以前に必要なことは

 北海道や舞浜のデイズニーランドあたりで、以前のように、海外からの旅行客と思しき、大きいスーツケースを持った人を多く見かけるようになりました。
 冷え切った日本経済は、この人たちの財布もあてにするのが当たり前のようになってしまいました。
 しかし、ご存知の通り、政府は、防衛費を増額し、この人々の国をも攻撃の対象にしようとしています。どこか妙に思えてなりません。
 また、北海道をはじめ、国内の土地が海外資本に多く買われつつあります。
こういった行為は、侵略とはならないのでしょうか。
先日も報道で海外の方が沖縄の島を購入したとのニュースをみました。
政府は無策のようです。
 将来世代にツケは回せないというようなことを言っていますが、現代の国民は、30年前の政府のツケを払わされながら生きているのと同じことだと思うのです。
 国民に対して、理解を求める前に、まず政府が国民の事を理解することが先だと思うのです。
 国会でろくに審議せず、国民の意見を聞かずして、勝手に防衛費の増額を決定し、アメリカに報告する。これこそが、民主主義への暴力ではないでしょうか。
 為政者がどこかの国のように発狂してしまったかで、物事の進め方の順序をまともに考えられず、その結果、国民が滅びるようになってしまいそうな事になっても、選挙の結果だから仕方がない、というようになるのでしょうか。
 消費税などで、国民を経済的に困窮させ弱らせるだけ弱らせて、防衛という言葉が出てくることにも、悲しい思いがします。
 冒頭に申し上げた、大きいスーツケースを持った旅行者が外国人ではなく、日本国民でしたらどうでしょう。
 国内の経済状況を労働環境を、そのような状態にすることこそ、防衛費の増額以前に必要なことだと私は思うのです。
 日本は素晴らしい国です。地方に行ったときに、それを感じると同時に、人口減とともに経済的にも厳しい状況になっていることも痛感します。
 国民が地方を旅行し、日本の地方の良さを再認識し移住者も増えれば、地域経済の活性化にもつながります。
 今の日本の国民の真の防衛のために必要なことは、本当に防衛費の増額なのでしょうか。

中澤   

食の改善でこれだけ違う!

 食の改善によって会社を建て直した経験を持つ、起業家の国府田淳氏は、著書『健康本200冊を読み倒し、自身で人体実験してわかった 食事法の最適解』で、「体に良い食べ物」より「悪い食べ物」を知り、それを「やめる」のが、最も挫折しない方法だといいます。そこで何を避けるべきなのか? 著書からご紹介します。

ドイツ人の4分の1とはいえ……加工肉
 まずはハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフなどの加工肉。これらは「発ガン性がある」という理由で、ほぼすべての本で否定的。肯定的な意見はありませんでした。こちらは世界保健機関(WHO)の報告があることもあり、広く認知されています。
  主な理由としては、加工に使われる化学物質や、高温で焼いた際に発生する発ガン性物質などに問題があるからです。たとえば、国際がん研究機関(IARC)は「毎日50gの加工肉を食べ続けると、大腸ガンになるリスクが18%増加する」と指摘しています。
 ただし、「ほどほどであれば、リスクは低い」と主張する機関も存在しますし、「平均的な日本人の摂取量であれば、問題ないと思われる」(国立がん研究センター)という見解もあります。ちなみに、日本人の平均的な摂取量は1日13g程度で、ドイツ人の約4分の1。世界でも少ない国に入ります。
 しかしながら、エビデンスをもとに、「加工肉を摂るのは完全にやめたほうがいい」という主張もあります。もしも加工肉のほかに選択肢があるのなら、そちらを優先しましょう。朝食であれば、サラダや納豆、魚などの和食系に置き換えればいいのです。普段から何の疑いもなく食べている方がほとんどなので、意識するだけでも変わります。
ほとんど否定派、一部に賛成派……牛乳
 多くの学校給食で出されている牛乳ですが、実は90%以上の本で体に悪いとされています。その理由は…… 「牛乳の87%を占めるカゼインたんぱく質に発ガン性がある」、「酸性食品のため骨をもろくして骨粗鬆症の原因になる」、「飽和脂肪酸なので血液をドロドロにしてしまう」などなど、散々な言われようです。カゼインたんぱく質には高い栄養価もありますが、最近ではさまざまな研究から、ガンを引き起こす可能性があることも指摘されています。
 しかし、否定派がほとんどですが、一部には賛成派もいるという状況です。高齢者向けの本では、むしろ推奨されている場合があります。「牛乳は、動物性たんぱく質やカルシウム、ビタミンなどを効率的に摂れる栄養満点の飲み物である」という主張です。東京のある都市での調査によると、日常的に牛乳を飲んでいる高齢者のほうが、そうでない人より長生きだったという結果があります。そもそも、牛乳を飲むとお腹がゆるくなってしまう人も多く、体質に合う、合わないという面もありますので、まずはその見極めが重要です。
 ちなみに、私は牛乳単体で飲むことはないのですが、コーヒースタンドを経営していることもあり、牛乳の入ったカフェラテを毎日のように飲んでいました。ところが、アレルギー検査をしたところカゼインに反応が出たので、牛乳を豆乳に変更すると、免疫力が上がったのか、風邪を引きにくくなりました。もちろん、牛乳だけが影響しているとは断言できませんが、牛乳や乳製品をあまり摂らない生活にしてからのほうが体の調子は良いようです。
もしもお子さんの学校給食で出ているなら、その分、家では控えるなど、飲み過ぎないように注意しましょう。飲む場合も、なるべく自然に近い製法のものや放牧牛のものを選ぶなど、質の良いものをお勧めします。よつ葉乳業や木次乳業など比較的規模のある会社でも、放牧牛の牛乳を販売しています。
工業品と考えるしかないのか……加工食品
 加工食品は、冷凍食品やカップ麺、菓子パン、スナック菓子、ドーナツ、ソーセージ、エナジーバー、アイスクリームなど、私たちの生活に溶け込んでいるものばかり。これらの食品は、長期保存できるように多くの添加物が使われています。実際、「食物の生命力が失われた工業的食品」という見方をする人もいます。栄養価も低いため、からっぽで栄養のない「エンプティカロリー」なんて言われ方もします。
 2018年2月には、フランスの研究チームがこんな発表をして、世界中でちょっとした話題になりました。加工食品の分類の中でも、特に高度に加工された「超加工食品(Ultra-Processed Foods)」を食べる割合が大きい人ほど、死亡リスクが高いというのです。
超加工食品というと、いかにもすごそうに思えますが、温めるだけで食べられるレトルトフードやカップ麺、菓子パン、スナック、ソーセージ、エナジーバー、アイスクリームなどで、日常にあるものがほとんどです。添加物のほかにも、塩分や糖質、脂肪などを複合的に組み合わせて作られている加工品のことです。

  やっかいなのは、これらには中毒性があるということ。一つ食べたらもう一つ……と、どんどん深みにはまっていく経験は、皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか。
 そもそも、塩分×糖質や脂肪、糖質×脂肪などの組み合わせには中毒性があり、それらが過剰に含まれている超加工食品に体が依存してしまうのは当然です。強い意志を持つ人でも生理的に反応してしまうため、なかなかコントロールが難しいところ。薄味に慣れていてほとんど超加工食品を食べない私でも、たまに食べると「うわっ、塩辛いな、甘いな」と思いながらも、次々と欲してしまうことがあります。
 ちなみに、ポテトフライやポテトチップスは、糖質が高い上に高温で揚げているため、老化を促進させるAGEsが発生しています。菓子パンは、グルテンと糖質と添加物のオンパレード。ドーナツは糖質とグルテンでできており、高温で揚げているという理由から、「良くないづくしの食品」として、多くの本で紹介されています。
依存作用に気をつけよ……砂糖
 砂糖は素早く吸収されて脳に伝達されるため、「エンドルフィン」という快楽物質が分泌され、一瞬は幸せな気持ちになるものの、すぐにその効果は薄れてしまいます。すると、さらに甘いものが欲しくなり、供給されないと精神的に不安定になってキレやすくなります。
  さらに、甘いものをどんどん食べると当然太りますし、糖尿病などの疾患につながることもあるなど、さまざまな不調の原因となります。砂糖にはドラッグと同じような依存作用があるといわれるのも、納得がいきます。
 砂糖の中でも特に良くないとされているのが、精製された白い砂糖です。砂糖の原材料はサトウキビやてんさい(別名サトウダイコンと呼ばれる植物)などですが、製造の過程で漂白したり、結晶化させるために石灰と混ぜたりするなどの手が加えられるため、原材料にあった食物繊維やビタミン、ミネラルなどは失われてしまいます。この、甘いだけで何の栄養素もない精製された砂糖が、血液の酸化や糖化を促したり、ビタミンやミネラル、カルシウムを奪ったりして、うつ病などの精神疾患やアレルギー、アトピー、ガン、集中力や記憶力の低下、肌荒れや老化、虫歯など、あらゆる不調を引き起こすのです。
 甘いものが好きな私は、精製された砂糖の代わりに、てんさい糖やきび砂糖、黒糖、メイプルシロップ、アガベシロップ、ココナッツシュガー、天然のはちみつ、ラカント(羅漢果という植物)、有機砂糖(オーガニックで高度な精製を行なっていない)、オリゴ糖などを使ったものをなるべく選ぶようにしています。もちろん代替のものにも各種の意見があり、たとえばはちみつには賛否両論ありますし、てんさい糖やサトウキビも農薬が大量に使われているという話や、そもそもどの糖分も良くないという主張もあり、多角的に見る必要があります。
  私が甘味でよく食べるのは、カカオ70%以上で有機サトウキビ糖などを使っているダークチョコレートや、ノースカラーズ社の純国産・北海道黒豆の甘納豆(てんさい糖を使用)、サトウキビ糖を使っているココナッツチップスなどです。
 砂糖の摂取目安については、WHOによると、1日25g、角砂糖6個、ティースプーン6杯、スティックシュガー8本ほどのイメージです。500mlのペットボトルの炭酸飲料に含まれる糖分は50〜70g、スポーツ飲料が30gですから、1本でアウトです。
 ショートケーキやアイスクリームは30g程度なので、これらも1個でアウト。缶コーヒーやカップケーキ、あんパンは15g程度で、半分くらいの量にあたります。こうして見ると、すぐに摂取目安を超えてしまいますね……。
 また、エナジードリンクには炭酸飲料と同じくらいの糖分が入っている上に、カフェインや大量の添加物も含まれていますので、体への悪影響が世界的に問題になっています。特に子どもへの影響は深刻とされているので避けましょう。私は昔、編集職だった頃は徹夜も多く、自分に対してだけでなく、周囲への差し入れにも必ずエナジードリンクを選んでいました。良かれと思ってたくさん配っていたことを思い出すと、複雑な心境です……。
危険性の指摘も多い……人工甘味料
 「カロリーゼロ」「糖質オフ」「ダイエットソーダ」など、いかにも健康に良さそうな食品やドリンクが出回っていますが、これらは砂糖の代わりに人工甘味料を使っています。よく見かけるのが、スクラロースやアスパルテーム、サッカリンNa、アセスルファムKなどです。これらは、人間の体の血糖値を調整する能力を弱め、腸内フローラのバランスを壊し、ガンや各種疾患との関連性が高いとされています。砂糖のほうがまだマシだといわれるほど、危険性が指摘されています。
 もちろん、砂糖より少量で何百倍もの甘さを出せるので、甘さを感知させるという意味では効果的ですが、砂糖と違って甘さの後に体に入ってくるはずの糖質やエネルギーが入ってこないために体が混乱してしまうそうです。人工的に作られたものなので、体が対応しきれないということでしょう。
 ちなみに、「ステビア(多年草)」と「ラカント(羅漢果)」は、人工甘味料っぽい名称ですが、どちらも天然の植物由来なので、比較的安全です。「キシリトール」も、白樺の木やトウモロコシの芯からできた植物由来で、虫歯予防にも効果があるとされています。ただし、遺伝子組み換え作物が使われている可能性が高く、そもそもキシリトールを使ったガム自体が添加物を多く含んでいるので注意しましょう。
たんぱく質の過剰摂取になる?……プロテイン
 ジムに通って体を鍛え、いかにも健康的な人がよく摂取しているプロテイン。筋肉を作るたんぱく質が効率的に摂取できるので、トレーニングには欠かせないと、毎日のように飲んでいる人も多いでしょう。ですので、多くの方が健康的なイメージを持たれているかもしれません。しかしながら、このプロテインには否定的な意見が多いのです。
 たんぱく質を過剰に摂取すると、腎臓の「ろ過機能」が酷使され、腎臓の機能が弱まるというのが、良くないとされる理由です。特に、人工的に作られたプロテインやアミノ酸は、その可能性が高いそうです。添加物や人工甘味料がたくさん入っている点も見逃せないポイントです。
 プロテインを摂る人は定期的に摂取しているため、もし体に合わないとしたら、そのダメージも大きくなります。摂取している人は一度、成分や量などをチェックして、見直してみましょう。筋トレをする人は、ささみ肉や干し芋、ブロッコリーなど、筋肉を作りやすい食べ物を積極的に摂りましょう。
原材料表示を見る習慣をつけよ……添加物
 私は一度、コンビニの棚の商品を根こそぎ調べてみたことがあります。添加物が入っていないものは、水、バナナ、ゆでたまご、クッキー2種類、一部の野菜ジュース、ハーゲンダッツのアイスクリームくらいしか見当たりませんでした。駅の駅弁コーナーには皆無でした。むしろ添加物が多量に使われているものが多く、注意が必要です。
 また見落としがちですが、スーパーの手作りのお惣菜も、裏の原材料表示を見ると、結構いろいろ入っていてびっくりします。もはや、添加物は私たちの生活に欠かせないものになってしまっているのです。
 「国が定めた基準に沿ったものなのだから、そこまで神経質にならなくてもいいのでは?」という意見もあります。たしかに、発ガン性や毒性があるとはいえ、驚くほど大量に摂取しないと弊害は現れませんし、添加物によって食中毒などのリスクが減っていることや手軽にさまざまなものが食べられるようになっている側面もあり、添加物はNGと決めつけるわけにもいきません。その一方で、動物実験をもとに安全性を確認しているため、人間に対してはどこまでの作用があるかはわかっていなかったり、かつては安全といわれていた添加物が実は危険だということがわかって禁止になった例もあります。ほかの物質と複合的に摂り入れた際の作用は追いきれないといった話もありますし、長期的に蓄積された結果、各種の疾患にどのくらい影響するのかも、現状では明らかになっていないのです。
 基本的には、添加物というのは人工的に作られたものですし、「消費期限を延ばす」「見た目を綺麗にする」「多くの人の好きそうな味わいを出す」などを目的に開発されたことを考えると、私はなるべくなら、摂らないほうが良いと考えています。
 ただ、いきなりすべてのものを無添加にするのは難しいことです。対策としてはまず、原材料表示を必ず見る癖をつけましょう。その中でも特に危険とされている添加物だけは覚えておき、それらを避けるようにします。それが習慣になってきたら、積極的に添加物の少ないものを選びましょう。ネットなどをフル活用しながら注意深く取り組んでいくと、かなり減らしていくことができます。
腸内環境の悪化もある……揚げ物
 からあげ、とんかつ、天ぷらなどの揚げ物は美味しいのですが、今後は少し控えめにしましょう。高温で調理するため、ビタミンや必須アミノ酸などが劣化し、たんぱく質と糖を加熱することで老化を促進するAGEsが発生します。
 さらに、発ガン性物質が発生したり、悪玉コレステロールが増加したり、腸内環境が悪化するなど、なかなかの悪役ぶりを発揮します。そもそも外食の場合、揚げる油の質が悪かったり、酸化していたりするリスクも高いので、そうなると目も当てられません。
 対策は、自炊の際は茹でる、蒸す、炒める、焼くなど、ほかの調理法を優先する、低温でじっくりと揚げる、新鮮なオリーブオイルを使用する……などが考えられます。単純に控えめにして、たまに食べるくらいが良いでしょう。
国府田氏の食べ方は……
 加工肉はほぼ食べませんが、食べるとしても、無添加で安心・安全を謳ったサイトウハムや中津ミートのものを選びます。牛乳は飲まず、加工食品や人工甘味料、プロテインは摂りません。揚げ物もごくたまに食べる程度。砂糖は、精製された白砂糖を使っていないものを選ぶようにしています。ココナッツシュガーやアガベシロップ、メイプルシロップ、はちみつ、てんさい糖などです。
 添加物については、安部司さんの『食品の裏側』(東洋経済新報社)などの書籍を読みながら、理解を深めていきました。今では食品表示を必ず見るようになりましたが、習慣化するまでにはかなり時間がかかりました。段階的に取り組んでいくと、少しずつコツがつかめてきますし、企業の姿勢やスタイルなども垣間見られるようになり、楽しくなってきます。
 たとえば、Pasco(敷島製パン)は添加物が比較的少なく、無添加のものまで発売しているとか、イオンは無添加のチョイスがほかのスーパーより多いとか、そういえばビオセボンもイオンが経営しているとか、地方の小さな企業が差別化を図るために無添加に取り組むことが多い……などといった具合です。現在は、かなりの添加物を避けられるようになりました。
 また、最近は無添加に意識を向ける健康志向のお店も増えているように思います。以前は東京駅でお弁当やサンドイッチなどを買おうとしても無添加のものが皆無だったので、おにぎりなどを持参していました。ところが「大地を守るDeli」や「えさきのおべんとう」などができ、無添加のものを買えるようになりました。新幹線で駅弁を食べるのはテンションが上がるので、ありがたい限りです。

 

 

 

メールマガジンから

第155号/12月号から

第156号/1月号から

第157号/2月号から

編集後記

 牛肉のサシについて、農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリストの山本謙治さんの話を紹介します。
肉牛生産の関係者が読む冊子に「日本飼養標準」というものがあり、脂肪交雑について次のように書かれている箇所がある。
 「サシの多少が食味性にそれほど寄与していない」「牛肉の焼肉による食味評価において、“脂肪交雑の多少が食味性にそれほど寄与していない”という記述とともに、遊離アミノ酸や脂肪酸の重要性が1987年の報告で指摘されている」
 つまりある程度以上のBMSナンバーになると、もはやそのサシの多さがおいしさにつながるわけではないということなのだ。
 「牛肉中の脂肪含量が増加すれば食感は、やわらかくジューシーである。その反面、牛肉中の粗脂肪量が50%前後まで増加すると、タンパク質含量が減少し、その結果として呈味物質である遊離アミノ酸含量が低下する可能性がある」
食に関する科学の世界でよく言われるのは、香りは油脂、味わいは肉から生まれるというものだ。肉を食べるとうま味を感じるが、これは肉の赤身部分を構成するタンパク質が酵素によって分解することで生じる遊離アミノ酸によるものである。この、うま味を生じるもととなる赤身肉の分量は、当たり前のことだがサシと反比例の関係にある。サシが入れば入るほど赤身が減るので、遊離アミノ酸によるうま味の少ない肉になるということなのだ。
 おそらく20年前の格付け最上級の肉は、赤身肉とサシのバランスが程よく、本当においしかったのだろう。しかし、今、私たちが口にするA5の肉は、牛という動物の長い歴史の中のここ20年ほどに現れた、いわば未曾有の霜降り度合いになっている。それがイコール「おいしい」とは言えないというのが現実だと思う。マスメディアの情報や飲食店などで「A5の肉が最上級」と連呼され、それがおいしさとイコールの関係になっていると思っていた人には、驚きではないだろうか。
 ところで、このA5に到達することを目標に、今、広く実施されている技術がある。それは「ビタミンコントロール」と呼ばれるものだ。どんなものか。実際には「コントロール」というよりも「ビタミン欠乏」と言ったほうがよい。肥育期間をいくつかに分けたうちの中期と呼ばれる段階で、餌に含まれるビタミンAを与えないようにする。そうすることBMSナンバーは高くなり、ロース芯と呼ばれる部位の面積も拡大する。
 ただし、ビタミンAは必須栄養素である。それを制限しすぎると、当然ながら牛に悪影響を及ぼすこともある。そこで、健康状態は保ちつつもサシや肉の歩留まりを向上できるようなギリギリの欠乏状態を保つというのが「ビタミンコントロール」なのである。ただビタミン欠乏が一定以上になると、牛の目が見えなくなったりと、さまざまな病気が発生しやすくなる。粗脂肪量が50%以上にもなるのだから、ビタミン欠乏以外の要因によっても、肉牛の体調は悪くなる。(中)

 

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