◆覆水盆に返らず◆
ご存知のとおり今月の末位に、政府は福島第一原発の処理水の海洋放出をしようとしています。IAEAが大丈夫だというからと、現地の漁業関係者その他の反対の声がありながら強行しようとしているのは、報道のとおりです。
そこまで、強行しようとするなら、政府与党はなぜ、海洋放出が人体に対して無害であるというエビデンス、証拠を自ら身を以て実験台となり安全性を検証して示そうとしないのかが大いに疑問です。
震災による事故から、この10年間、飲料水としてはもちろん、生活用水として政府与党自らが、率先垂範して使用して、その安全性の検証をする必要があったと思うのです。そもそも、この原発事故は震災発生前に大津波による被害発生について、国会で指摘されていたことであり、それを大丈夫と言った現与党に重大な責任があると思うのです。
そして、これだけの重大な事故が発生しながら、今後も国内の原発推進をするのであれば、政府与党は身を以て、その安全性を示さなければならないと思うのです。
今からでも8月末の処理水の放出は延期し、その前に政府与党全員で飲料水としてはもちろん、生活用水として、処理水を使って実際に生活して健康被害や安全性などの検証をしてみてはどうかと思うのです。政府与党だけでは心もとないのであれば、他に原発推進の考えを持つ財界関係者も巻き込めばいいのではないでしょうか。
短いスパンではなく最低でも10年ほどの期間で様子をみる必要があると思うのです。もっとも10年でも、まだ足りない位で放射能の影響調査はその後も長く追う必要があるのですが。であれば、せめて放出時の汚染水のように、海水で希釈するのではなく、いっそ原液のまま生活用水として使用し、健康に害なく、安全であることが立証できれば、それは、より強力なエビデンスとなり国内外の漁業関係者はじめ利害関係者に対する説得材料となりましょう。また、今後の原発推進においても、進めるか退くかの貴重なデータ取得の大きな機会になるのです。
政府与党にとって、身を以て汚染水の安全性を検証することは、政治家であることを示すいい機会でもあるのですし、その位のことをしなければ漁業関係者のみならず多くの国民は納得しないのではないでしょうか。
命に係わるかも知れないから、検証できない、あるいは検証途中で健康を害したりする者が出れば、そこで海洋放出する計画は止めるというのが当然の話です。
今、ありがたいことにスーパーや魚屋さんにはたくさんの魚が食料として並んでいます。これらが、汚染水の放出により消滅する可能性も多々あります。「昔は海の魚が食料だったんだよ。美味しかったんだよ。」このような悲しい会話が、国民の間でされるようになるのでしょうか。
覆水盆に返らずという言葉がありますが、汚染水放出後、国内では健康被害が多発しても、裁判で因果関係は認められないという判決で政府与党は逃げることはできるかも知れません。でも、それにより確実に日本はより滅亡に向かうでしょう。 |