Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第20号

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〜田舎暮らしに思う〜

谷口 一也

 秋も深まってきた八ヶ岳周辺では、落葉樹の紅葉が今年も綺麗です。都会との決定的な違いは、四季がはっきりとしていることで、それが自分の生きているということの計りになることが嬉しいですね。 
さて、そんな時期になると我が家のある別荘地はキノコ取りの人たちで賑わいます。私たち夫婦は「生えてるねぇ。」位の興味で、一向に取って食べてみようという気がないのですが、地場の人にしてみれば「何で取らないの。」と逆に呆れられる始末です。雨の降った翌日なんて、籠を荷台に載せた軽トラが大挙してやってきて、知らないおじさんが我が家の庭先でごぞごぞしているわけです。あまりいい気分ではありません。そんなイメージです、キノコ取りは。

 春は山菜取り、秋はキノコ取り、これは地場の人にとって生活の一部ですから、別に趣味というわけではないのでしょう。昔からの習慣。食が貧しかったころからの習わしみたいなものだと思っています。保存食集めは長野県の得意芸ですものね。では、そんなキノコ取りと関係ないIターン者夫婦の秋は何をしているかといいますと、もっぱら冬の準備です。薪ストーブの掃除、薪集めとか、屋根掃除など日々の暮らしでいっぱいです。それじゃ話にならないって?

 先日、とある媒体の取材で「田舎暮らしをして、どんな趣味を満喫されていますか。」と、くどいほどに質問されました。何故、田舎へ移住したのかの動機や、その生活の満足度を数字で表せとでもいいたいのでしょう。田舎暮らし希望者の満足いく話が欲しかったのでしょうか。老後は趣味を持たないと時間を持て余すし、惚けにも繋がる、とよく言います。田舎暮らしをして、キノコも山菜も採らず、畑仕事もせず、ガーデニングもしない我が家は、模範の「田舎暮らし者」ではないのですね。だいたい田舎っていう定義はどこにあるのかと考えてしまいます。私は柳生博さんではないわけで、この頃、そういう「Iターン者の暮らし方」をマニュアル化しようと画策する媒体にちょっと疑問符をつけたくなります。それは、目的意識を持って生きなければならない、みたいな風潮が強いのも影響していると思います。高尚な誰にでも解る趣味を持つことも同様。履歴書に書き込めるようなものではなくて、もっと自然体で成り行き任せの生き方をしていきたいと思うわけです。
 
 それでは、田舎を満喫できないわけだから、都会にいても同じかというとそうではないのですね。基本的に人口密度の低い地方、時間のゆっくり流れる「場所」に生きていることこそが我々には重要なわけで、そこから自分のペースで遊びや仕事ができればそれが幸せ、ということだと考えています。勿論、理想通りにはいかないわけでして、楽あり苦ありの毎日ですが。例えば、ほんの一瞬の幸せとはこんなことです。


 寒くなってくると、空気が透明になってきます。標高の高い我が家ではそれでなくても天に近い感じなので、星はよく見えますが、冬場は格別。望遠鏡など持っていませんが、放射冷却が起きそうな夜、ちょっと玄関から外へ出て首を上に向けるだけで天の川が見えて俄然気分がよくなったりします。そんなたわいのないことです。でも、星は都会では見えないわけですから、山に移住した意味というのはそれだけでも価値はあったと思えます。子供の頃は東京だって星も幾らか見えた記憶がありますが、今では終夜営業です、都会は。

谷口さんのホームページはこちらです。


〜一の沢転落の反省記〜

M.S.

 今年の8月2日午前10時過ぎ、常念岳を下山中に一の沢上部で、沢に約20メートル転落し大怪我。九死に一生を得て生還しました。このルートは地元の中学生も集中登山する一般ルートであり、ほとんど危険なところはないのですが、疲労と不注意によるものと反省しきりです。今後の会員の皆様への参考になればと思い、ここに報告させていただきました。

 まずは前後の状況について、簡単に記しておきます。前夜は常念小屋に泊まり、翌朝ピークを往復しつつ槍・穂高を撮影。小屋に戻り朝食をとってから山を降りました。今回は知人夫妻とわれわれ夫婦の4人パーティでした。水場までの1時間を一気に下ると、その先に高山植物の小さな群落がありました。そこは登山道の右が、沢に垂直に切れている危ないところだと知っているので、いつもは通過してしまう場所でした。しかしその時に限って花を追いかけ、ファインダーを覗いているうちに頭から転落していったようです…。

 気がついたときは、見馴れない河原に血まみれになって座り込んでいました。自分が何でそんな所に居るのか解りませんでしたが、周囲で人々が大騒ぎをしている様子から、重大な状況にあることは察しがつきました。後で知ったことですが、登山道に残った同行者が通りがかりの登山者の携帯電話で常念小屋に救助を求めたようです。その間私は別の登山者の救急薬品の提供を受けて、40〜50分間救助隊の到着を待ちました。頭部・腕などに裂傷を負い、打撲も何箇所かありましたが不思議と痛みは感じませんでした。
間もなく看護婦さんを伴った4人の救助隊が着き、応急手当。ヘリの要請をしましたが、立地条件が悪い為入れないとの事。手足の骨折がないようなので、自力で下山せざるをえないことになりました。(入院後、肋骨にひびが入っていることがわかりましたが。)慎重に下りてゆくうち、大事を取って下からも4人の救助隊に上がってもらい、前後を守られながら4時間以上かけて下山・入院・治療となった次第です。
 
<反省事項>
・年をとると平衡感覚が低下することを十分に自覚し、危険個所では慎重に行動する。
・登山中は自己のペースを厳守し、オーバーワークからの疲労を抑えること。
・写真撮影時には、地形をよく見て安全の確認を必ずすること。
・救急薬品は、消毒・止血用のほか大き目のバンソウコウを必携品に。
・山間地でも使用できる携帯電話を持参すること。
・救助に備え、単独行はできるだけ避けること。

<参考資料>
・連絡ルートのこと
 現場から電話→最寄の山小屋→担当警察署(=山岳救助隊)→出動要請→最寄の救助隊が出動。
・救助費用の件
 *救助隊員一人あたり15,000〜30,000円くらい。(隊員の負荷・難易度により異なるようです。)救助
 終了10日後くらいに、請求明細と振込み依頼書がきました。
* 民間ヘリは1時間当たり40〜50万円。(県警ヘリは無料のようですが、飛行高度・揚力など救助能力が
 弱い為、多くの場合民間ヘリになるようです。この判断は救助隊が。)
以上簡潔に書いてみましたが皆様の今後の参考になれば幸甚です。末筆ですが、日赤では中澤さんの奥様に何かとお世話になりましたことを、この欄をお借りして御礼申し上げます。




第16回例会報告


第17回例会のご案内


会員紹介



〜言葉の散歩道〜

“メスキータ”

M.S.


 みなさん、この言葉を聞いて何語だとおもいましたか? ふつうは“スペイン語? それにしてもどんな意味?”と頭の中で考えるものです。それがフツウです。ところが、これがレッキとした日本語・それも信州語だったんです。そうと知ったときは、本当に驚きでした。(こんなとき、この土地では「オドケタ」と云うようですが…。)

 一般的に“方言”というものは、やや泥臭いニュアンスのものが多い気がしますが、このあかぬけした響きをもったことばが安曇野の方言だなんて。全く意外なことでした。

 その意味するところは、スノコのことでした。風呂場などに敷いてある、あの隙間のあるイカダのようなやつです。それがなんで“メスキータ”なのか? 答えは簡単でした。板と板の間の目が空いている、つまり「目空き板」のことだったんです。いくつかある方言のなかでも、これは傑作といっていいでしょう。


〜おいしい味を、少し〜

中澤 滋

 今回も長野市のお店になってしまいました。松本地域も回っているのですが、なかなか「これだ!」というお店がないのが残念です。値段と味のバランスが大事な“質”のため、なかなかお奨めのお店に巡り会えません。

すや亀本店

 長野市の中央通りを西に少し入った西後町にあるこのお店はおみそで有名ですが、お昼のランチも手軽でおいしいことから、昼過ぎに入るとビジネスマンやOLであふれています。できれば12時前に入るようにしましょう。

 女性の一番人気はなんといっても650円の「田楽ごはん」でしょう。ボリューム一筋の人には向きませんが、3種類のみその風味が楽しめるお奨めのものです。煮物や小鉢の付いた「焼きむすび籠」も720円とお手頃価格です。「コシヒカリみそ」などを使用した、おいしいみそ汁が付いているのも魅力です。また焼きむすび1つが付いた「みそ煮込みうどん」(夏は冷やしみそうどん)も、650円とお奨めです。
 
 食事の後は本業の味噌や漬け物のコーナーで、買物をしてはどうでしょう。超特選の「コシヒカリみそ」はちょっと贅沢ですが、まろやかで風味の良い、いかにもていねいに造られたという、とてもおいしい味噌です。500グラムで700円と値が張りますが、一度はお試しを。「大吟醸みそ」もおいしく、1キロ850円です。日常的にはこの大吟醸みそで十分なものだと思います。このみそはダイエーハイパーマートでも売っていて、そちらでは同じものが798円なのでお買い得です。



編集人から

 今年は庭のヤマボウシの実がとてもいっぱい付きました。以前テレビで「ヤマボウシの実が食べられる」と聞いていたので、早速ジャム作りに挑戦(私ではなく女房が、ですが…)。ちょっとサツマイモのような風味のある変わった、でも、おいしいジャムができました。
 波田町の緑化樹生産者の知人に持っていったところ、とても気に入ってもらいました。その方は自分の畑から大量に実を集めてジャムを作り、瓶詰めにして先月行われた“楽市楽座”に出品し好評だったといいます。身近なものを上手に使うことで、食や生活が豊かになるのは、「信州ならでは」の思いがしました。来年もまた作ってみたいジャムです。

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